フジキセキとは、1992年生まれの競走馬・種牡馬。「サンデーサイレンス産駒初の三冠馬」になるかもしれなかった馬である。
主な勝ち鞍
1994年:朝日杯3歳ステークス(GI)
1995年:弥生賞(GII)
この記事では実在の競走馬について記述しています。 この馬を元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクターについては 「フジキセキ(ウマ娘)」を参照してください。 |
父*サンデーサイレンス、母*ミルレーサー、母父Le Fabuleuxという血統。父*サンデーサイレンスにとっては初年度産駒であった。ちなみに、母は血統表に有名種牡馬がほぼ見当たらない、近年では非常に珍しい異系血脈である。*サンデーサイレンスの母方もかなり傍流の血統なので、本馬は血統的には非常に珍しいところの大きい馬であると言える。
*サンデーサイレンスは輸入時、もちろん大きな注目を集めていたが、大成功するとまでは思われていなかった。というのは、当時日本ではアメリカの一流馬が種牡馬として大成功を収めた例が無く「アメリカ競馬はパワーでがーっと行く競馬なので、日本向きじゃない」とか思われていたのである。サンデーはもちろんこれまで来たアメリカ馬とは格が違うのだが「ダートの短距離で成功するかもね」くらいに言われていた筈である。そもそも*サンデーサイレンスもアメリカの関係者から種牡馬としての成功の見込みゼロとか言われており、箔をつけていたのは事実上社台総帥の吉田善哉氏だけで、これでは「成功するの?」と思われても仕方がない。
産駒が生まれてからもその評価はあまり変わらなかった気がする。馬体は評価する人もいたが、とにかく気性が荒い馬がむっちゃ多いと評判だった。もっとも、育成牧場で馴致が始まると次第に評価は高まっていたらしいが。
その*サンデーサイレンス初年度産駒の一番馬がフジキセキである。それはもう、当歳の時に牧場の人が「こいつがNo.1です!」と躊躇無く挙げたというのだから凄い。
渡辺栄厩舎に入厩したフジキセキ。調教でも非常に良い動きを見せ、大きな期待を集めたのだったが、ゲート試験になんと5回も落ちてしまう。ゲートに入るのはすぐ入るのに、ゲートが開いてもしれっとした顔して出ないというのを繰り返したらしい。
このエピソードから分かるようにフジキセキはいたずら好きのやんちゃ坊主で、渡辺師は後に「こんな楽しい奴はいなかった」と述懐している。*サンデーサイレンス産駒にしては凶暴なところは無かったようである。走ることが大好きで、併せ馬なんて怖くて出来ないほど調教でもぶっ飛ばしていたらしい。
新馬戦は出遅れながら楽々捲って8馬身差で楽勝。持ったままでこのパフォーマンスを見せたあまりの強さに新潟競馬場はどよめいた。この時、新馬戦で続々*サンデーサイレンス産駒が勝ち上がっており、*サンデーサイレンスの種牡馬としての凄さの「片鱗が」明らかになっていたわけであるが、この時のフジキセキの強さは「もしかして、サンデーって恐ろしい種牡馬なんじゃ」と思わせるに十分だった。
もみじステークスでは後のダービー馬タヤスツヨシとの対決になったのだが、タヤスツヨシが押し捲り叩き捲りなのに、ほいほいっと角田晃一騎手が促すだけで楽々勝利。しかもレコードのおまけ付きである。ちなみにツヨシもサンデー産駒であり、この頃には「*サンデーサイレンスってすげぇぞ!」と大騒ぎだった。
朝日杯3歳ステークスでは外国産馬のNO.1、*スキーキャプテンとの対決だったのだが……。
直線で最内から馬なりでちょっと抜け出すフジキセキ。ん? なんで行かないの? 行けないの? と思ったら、角田騎手は大外を見ている。そこから猛然と*スキーキャプテンが追い込んできた。角田騎手はそれを確認。それからフジキセキにゴーサインを出す。*スキーキャプテンも物凄い脚だったが、余裕十分でフジキセキが勝利。辛勝にも思われる勝ち方だったが、角田騎手は楽勝だと言ってのけた。なにせ鞭も使っていないのである。
もはやこの時点でその強さは同世代に冠絶したものと見做され「三冠馬間違い無し!」との声がそこかしこで聞こえたものである。なにせこの前年にはナリタブライアンが三冠馬になっていた。シービーとルドルフみたいに2年連続三冠馬だ! と盛り上がったのである。
翌年。初戦に選んだのは弥生賞。16kg増だったが、たくましくなったなぁというだけでそれほど太め感は無く、ファンの期待は揺るがなかった。
レースでは重馬場のスローを2番手追走。直線入り口で先頭に立つ。しかしそこからあまり伸びず、その間に外からホッカイルソーが襲い掛かってくる。厳しいかと思われたところ、並ばれかけた辺りからあざ笑うような脚でぐわ~んと引き離し、2馬身差をつけて勝利した。渡辺調教師が苦笑しつつ「遊び半分」と言ったように他馬を舐めきったレース振りは正直「とんでもねぇ馬だよこいつ!」とファンを呆れさせた。そして、新種牡馬*サンデーサイレンスがいきなり三冠馬を出す事を、多くのファンは確信したのであった。
……しかし、弥生賞から一月も経たない内に重度の屈腱炎で引退。ファンは呆然。三冠どころかクラシック戦線を戦う姿さえ幻となり、その年のクラシックは一気に色あせてしまったのであった。
その後、皐月賞をジェニュインが、ダービーをタヤスツヨシが勝ち、「*サンデーサイレンス旋風」はフジキセキがいなくなっても衰えを見せず、それどころか年を追うごとに拡大して日本競馬を飲み込むことになるが、もしもフジキセキが「いきなり三冠馬」になっていたら、また違った展開を見せたかも知れないとも思う。もっと早くから海外に雄飛するサンデー産駒が出たかもしれないし、その中からケンタッキーダービーを親子制覇するサンデー産駒が出たかもしれない。
とにかく、たったの4戦しか走っておらず、しかもどう見てもどのレースも本気で走っていないため、強さの底が知れないということに関しては疑いないだろう。反面、所詮は3歳春までしか走っていない馬であるので、その後どうなったかは分かったもんではないという意見もある。同期のジェニュインやタヤスツヨシが秋以降苦戦した事もあり、フジキセキの成長力に疑問を投げかける意見もある。
しかし、後述の種牡馬成績、特に*キンシャサノキセキやストレイトガールからして晩成傾向で成長力は随一と見る人もいる。ただ、なにぶん遅咲きすぎるので怪我なく活躍すると晩成傾向を嫌う風潮から種牡馬生活を順風満帆に送れたかどうかは疑問符がつく。
いずれにせよ、故障した時点でフジキセキは「未完の素質馬」以上の何者でもない存在になってしまった。実は遅咲きで身体が完成しないうちに無理をして故障してしまったのだろうか。故障に強いステイゴールドも未勝利時代に骨膜炎を発症しているし。その素質の全貌を見るまもなく引退してしまったのはあまりにも惜しい。
フジキセキ以下初年度産駒の活躍ぶりから、*サンデーサイレンスはウルトラ超人気種牡馬となった。しかしながら、*サンデーサイレンスも生き物であるからヤれる回数には限界があるのである。殺到する種付け依頼を全てこなす訳にはいかなかった。
そこへ登場したのがフジキセキである。当たり前だが当時、*サンデーサイレンスの後継種牡馬なんてほとんどおらず、しかも競走生活をきちんと送って成績もちゃんと残した馬となると、フジキセキしかいなかった。初年度産駒だから当たり前である。
当然、サンデーを付けられなかった生産者にフジキセキは大人気となった。*サンデーサイレンス産駒であるだけではなく「幻の三冠馬」であり、底を見せない強さから本馬自体に掛ける期待も大きかった。おまけに、血統も非常に傍流で、幅広い牝馬に種付けする事が出来たのである。118頭もの種付け数は父に勝るとも劣らない。シーズン途中からの種牡馬入りということを踏まえたら尚更だ。
故に、その種牡馬入り時点で、フジキセキの種牡馬としての成功は約束されているともっぱらの評判だった。
ところが、これが意外に苦戦する。初年度からそこそこ走る馬は出すものの、重賞勝ち馬も出ない。2世代目でようやくダイタクリーヴァが出るものの、期待からすれば大外れレベルである。血統が良くないのか単に早熟なのか……。
オーストラリアにシャトル種牡馬として出されたりして、すっかり当初の期待は忘れられてしまう。それでも重賞勝ち馬をポツポツと出し、サイアーランキングも2000年からベストテンをキープ。……え?
そう、実は派手ではないだけで、フジキセキ産駒は堅実に走っていたのである。GIを賑わす馬があんまり出ないだけである。というより、そもそもフジキセキが苦戦していた頃、そのG1戦線で猛威を振るっていた種牡馬というのは他ならぬサンデーサイレンスである。
当時は*サンデーサイレンスの絶頂期であり、種付け料は3000万円に達したと言われる。選りすぐりの名牝200頭以上に種付けをマシンのようにこなし、生まれた産駒はGIを呆れるような勢いで勝ちまくる。フジキセキが口をきけたら「そんな化け物と比べないでくれ」などと言ったかもしれない。
そもそも、フジキセキ産駒は*サンデーサイレンス産駒よりも馬体が大きく、成長が遅く、パワー型に出る事が多く短距離の方が得意な傾向にあったのである。サンデー産駒のようにクラシックに間に合わせるために仕上がりを早めようとすると故障を生じ易かったのだ。それが分かってきて、短距離向けにじっくりと育てられ始めるようになるとフジキセキ産駒はようやく本領を発揮し始める。
カネヒキリがJCダートを連覇するなどダート王として活躍し、オーストラリアで残してきたSun Classiqueがドバイシーマクラシックで優勝し、他にも次々とGI戦線を賑わす馬が出るようになると、フジキセキの種牡馬としての名声は完全に復活した。2010・11年には*キンシャサノキセキが高松宮記念を連覇したが、その2011年以降、種牡馬としては開店休業状態になってしまった。繋養先からの正式発表はなく、一部報道では「腰痛により引退状態」と言われている。
フジキセキの「ラストクロップ」は2011年世代となったが、その最後の世代でイスラボニータが皐月賞を勝ち、自身が成し得なかったクラシック競走制覇を成し遂げた。競走馬引退から実に19年の歳月が流れていた。
2015年、頚椎を損傷し23歳で死亡した。後継種牡馬としてはカネヒキリが種付け中の事故で死んでしまったが、キンシャサノキセキやダノンシャンティ、韓国に輸出されたサダムパテックがおり、イスラボニータも初年度産駒からいきなり重賞馬を出し順調な滑り出しを切っている。
2014年まで産駒の通算勝利数、通算重賞勝利数は内国産種牡馬として歴代1位であったが、同父の後輩であるディープインパクトに塗り替えられた。しかし、*サンデーサイレンスの最初の後継種牡馬として、血を更に広げたことは大きな功績である。
*サンデーサイレンス Sunday Silence 1986 青鹿毛 |
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Cosmah | Cosmic Bomb | ||
Almahmoud | |||
Wishing Well 1975 鹿毛 |
Understanding | Promised Land | |
Pretty ways | |||
Mountain Flower | Montparnasse | ||
Edelweiss | |||
*ミルレーサー Millracer 1983 鹿毛 FNo.22-d |
Le Fabuleux 1961 栗毛 |
Wild Risk | Rialto |
Wild Violet | |||
Anguar | Verso | ||
La Rochelle | |||
Marston's Mill 1975 黒鹿毛 |
In Reality | Intentionally | |
My Dear Girl | |||
Millcent | Cornish Prince | ||
Milan Mill | |||
競走馬の4代血統表 |
3代母Millcentの1つ上の半兄は名馬にして名種牡馬のMill Reef。また母ミルレーサーの半妹*ミルカレントの曾孫には2012年のジャパンカップダートの覇者ニホンピロアワーズがいる。
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最終更新:2024/04/24(水) 17:00
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