フッ化水素(hydrogen fluorite, HF)とは、 水素とフッ素からなる無機化合物のことである。常温で気体または液体(沸点19.54℃)。水溶液はフッ化水素酸(フッ酸:弗酸)で弱酸である。
歌い手としてのフッ化水素はフッ化水素(歌い手)を参照のこと。
化学的特性として、電気陰性度の差が大きいためイオン結合に近い結合をしている。また、強い水素結合により分子間に強いファンデルワース力を持つことから、分子量の割に沸点が高くなっている。
本化合物はフッ素の性質による極めて強い透過性・腐食性で有名である。
工業的に多用される化合物であり、フッ化水素を利用した化合物(フッ化物)は半導体製造や化学的溶媒などの用途に使われる。また、六フッ化ウランから核燃料を作成する際にもフッ化水素ガスが用いられる。
このため、日本国内を含め先進国ではトン単位でHFが生産・消費されている。
フッ素がそうであるように、フッ化水素も極めて強い毒性を有しており、少量で容易に致死量に達する。フッ化水素9%溶液をスプーン1杯分口にするだけで死んでしまう。
その原因は極めて強い透過性と骨中カルシウムイオンと結合してフッ化カルシウムを形成する性質にある。
特にその透過性が有名で、ゴム手袋程度の防護では役に立たず、もしゴム手袋の上に溶液を垂らしたら容易にゴムを貫通し、皮膚に到達してしまう。さらに、一般的な実験器具の材料であるガラスさえもガラス中のケイ素と結合しフッ化ケイ素を形成して突破してしまう。
そうして皮膚についたフッ化水素は皮膚や筋肉をも貫通して骨中のリン酸カルシウムと反応し、フッ化カルシウムを生成してようやく反応を停止する。このフッ化カルシウムは骨そのものより非常に脆く、従ってちょっとした衝撃で容易に微細な結晶針となり、筋肉に刺さって地獄の痛みを加える。また骨という連続体の一部がフッ化カルシウムに置換されるため容易に骨折を引き起こす。
「ちょっと垂らすだけでも骨に到達し、致命的になるまで自覚症状に乏しい」というのがフッ化水素酸の厄介なところで、実験室などでフッ化水素を扱う際にこうした事故が起こるだけで大変な騒ぎになる。ことに骨修復は多大な出費を伴うため、骨までフッ素が侵襲した場合はその部位ごと骨を切断するというのが第一選択処置になる。
つまり、つま先に1滴垂れただけで死亡フラグが立ち、家に帰る頃に激痛が走るがその頃には手遅れ。良くて足の指が消え、悪くて長時間激痛に苛まれた後に心停止という、非常にイヤな死に方をもたらしかねないのである。
フッ化水素に被曝すると、濃度により数十分から数時間後に疼痛あるいは激痛を感じるが、これはおもに神経細胞への影響による。フッ化水素が神経に達すると、神経細胞中のカルシウムイオンを吸着し、神経伝達物質の放出を引き起こすため、疼痛の原因となる。高濃度のフッ化水素は細胞内のカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの低下をもたらし、神経細胞のみならず通常の細胞にとっても致死的であるため、高濃度のフッ化水素に被曝すると数日で組織の壊死(細胞死)が起こる。さらに高濃度のフッ化水素を被曝すると、血中のカルシウムイオンをもフッ化するため、低カルシウム症による心不全を起こし死に至る。強酸や強アルカリによる化学熱傷とは異なり、高濃度フッ化水素であっても、被曝直後には炎症や組織の損傷は見られない。つまり、被曝後ある程度の時間が経過して初めて神経症状が出る、ということになる。
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最終更新:2025/03/26(水) 16:00
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