フランスの内乱 単語

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パリコミューンの様子

『フランスの内乱』とはドイツ哲学カール・マルクス共産主義を標榜する団体『インターナショナル』を通じて、1970年勃発した普戦争とそれに続くフランス臨時政府パリコミューンの内乱に関して出した三つの宣言文である。その三番の宣言が『フランスの内乱』にあたる。本作と『フランスにおける階級闘争』、『ルイボナパルトブリメール18日』と合わせてマルクスフランス三部作と称される。マルクス政治学が凝縮されている重要な作品である。

歴史的背景

1870年7月19日。ルイボナパルトナポレオン三世)からの宣戦布告によってフランスプロイセン(普戦争は始まった。発端はスペイン王位継承にからむ紛争であり、開戦までには複雑な経緯があった。ボナパルト政はこの戦争勝利をおさめてナポレオンと威回復すると共にラインを手に入れる領土拡欲望もあった。プロイセンにとっては防衛戦ではあったのだが、プロイセンの有名な鉄血宰相ビスマルクは対フランス戦争に周到な準備をしていた。世界史を習った人ならエムス電報事件とか色々覚えただろう。

戦争はあっという間にプロイセンが圧勝した。フランス侵略戦争は一転プロイセン侵略戦争に代わっていたのである。を突破されたルイボナパルトは病を押して出したがスダンの戦いで包囲され、捕虜となってしまう。敗戦の報を受けたパリでは9月4日市民が立法院に押し寄せ政の止と共和制の成立をめた。第二政の終わりと第三共和制の始まりである。そうこうしてる間にもパリにはプロイセン軍が迫っている。パリ市民土を防衛するために臨時政府を設立し防衛軍を結成した。パリ市民覚悟を決め、プロイセンとの決戦に備えたのである。

しかし市民の望みは裏切られる。臨時政府秘密裏にプロイセンとの休戦講和条約の締結を進めていたのである。講和条約を結ぶ為には正式な政府が必要であるためわずか10日の間に投票を行い、ティエールとする新政府パリに設立された。新政府が講和条約を結ぶための一番邪魔な存在はパリに集まったフランス防軍であった。プロイセンからパリを守るために武装していた防軍はプロイセンではなく同じフランス人と戦うこととなる。こうしてフランスの内乱が始まった。

結論から言えば勝ったのは防軍であった。制圧に失敗した政府ティエールパリを脱出し、プロイセンの支配するヴェルサイユへと遁走していた。これが3月18日労働者革命である。防軍を導していた中央委員会は革命の正当性を明確にするために3月26日選挙によってコミューン評議会を選出しパリコミューンが成立。これは普通選挙によって選ばれた世界で最初の労働者による政権であった。

しかしパリコミューンは短命に終わる。プロイセンと手を組んだティエールの反撃によりコミューン政府は壊滅。革命に関わった者はそのほとんどが処刑されてしまったのである。そのあまりの虐殺ぶりは白色テロ反共義、反社会主義テロ)と呼ばれた。その後、を誇っていたフランス社会主義運動空白期間を経ることとなる。

コミューンに対するマルクス

フランスは元々社会主義運動が盛んであり、1848年の2月革命もあってマルクスロンドンにいながらパリポールラファルグ(後にマルクスの次女と結婚する社会主義者)と手紙を送り合って情報を得ていた。マルクスはその手紙からプロイセンフランス戦争が不可避であることを知り、1870年7月いざ普戦争が勃発するやいなや筆を執り、4日後に『第一の宣言』を発してエンゲルスと共に反戦運動を展開した。彼らはフランスのボナパルト政治批判し、プロイセンが防衛戦争から侵略戦争へと展開したのを見てビスマルクの膨政策を暴露した。マルクスフランスプロレタリア革命への確信、しかしプロレタリア組織の未熟を見抜いていた。革命が発生した時、それを導する者がいないことを憂いていたのである。

戦争勃発の二ヶ後にナポレオン三世が捕虜となり第二政が崩壊するとマルクスは『第二の宣言』が発表し、プロイセンが迫っているのに味方同士で争う愚を説いた。そして1871年3月いよいよプロレタリア革命が勃発。革命は時期尚であると危惧していたマルクスであるが、コミューンが誕生するとすぐにその支持にまわった。コミューン戦士たちもマルクスに数通の手紙を送り、その助言をめた。マルクスはそれに応え多くのアドバイスを与えると共に、フランス西南部で人民起を起こさせるべく工作を行ったりもしていた。

しかしコミューン政府マルクスの努にも関わらず多くのミスを犯してしまった。臨時政府に反撃する時間を与えてしまったこと。農の農民達との連携の失敗。前述の通り1871年5月パリコミューンはわずか2ヶで崩壊。その奮さめやらぬ二日後にマルクスは『第三の宣言』、すなわち『フランスの内乱』を発し、パリコミューンの分析を行ったのである。

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