フルハーフ又はFruehaufとは。
ここでは3を説明する。
フルハーフという企業及びブランドの源流は、ミシガン州デトロイトで創業したFruehauf Trailer Company(フルハーフ ・トレーラー社)。トレーラー製造を主たる事業とする会社で、同業者の中では先駆者となる存在であった。同社は現代的な第五輪の開発など、技術革新によって世界のトップメーカーとして君臨する。だが経営の悪化により倒産、1997年には同業他者に買収される。これにより、同社とアメリカにおけるフルハーフブランドは消滅した。
一方で、フルハーフから技術供与を受けた会社は世界各地に残っており、それらがフルハーフのブランドや会社名を掲げて今日でも事業を営んでいる。
1907年、ミシガン州デトロイトで、鍛冶屋と馬車製造業の共同店舗が開店した。馬車を使う人は両方の世話になるので、一度に済ませたほうが早いと言うことだろう。それから7年後の1914年、この店でアウグスト・C・フルハーフという鍛冶職人が働き始める。言わずもがなだが、彼がフルハーフという企業・ブランド名の由来である。
彼が働き始めたその年。地元の中畑木材 材木業者から「俺のフォードTで、材木ば運ぶ車を作ってけないかい?」と依頼を受ける。当時の自動車と言えば材料はともかく、構造的には馬車にエンジンと駆動系を乗っけたようなもの。ハイテン鋼だのモノコックボディなどは無かったので、フルハーフをはじめとする鍛冶屋と馬車屋が仕事に取りかかり、『フォードTのシャシーを延長して、後部にセミトレーラーを連結する』自動車を作った。この時の経験に基づき、1916年には第五輪とセミトレーラに関する特許を取得している。
1918年、この店を母体としてフルハーフ・トレーラー社が設立。以後は1955年にはコンテナ積載トレーラー(コンテナ台車、シャシー)を製造するなど、物流に革命をもたらし続けた。1963年に社名をFruehauf Trailer Corporation(邦訳は同じ)に改名する。
フルハーフ社の経営にはフルハーフ一族が長らく関与していたが、1964年に一族の手を離れる事になった。その後も業界の古参として経営が続いていたが、経営の失敗から業績が悪化し倒産。1997年に同業のWabash National Corporation(ウォバッシュ社)
に買収される。創業の地であるアメリカでは、こうしてフルハーフのブランドは消えてしまった。
ただフルハーフ社が消えても、フルハーフの系譜が消えたわけではない。同社がライセンス契約を通じて各地に撒いた種は芽を吹かせ花を咲かせ、そのブランドは今でも健在である(詳しくは次項)。
現在でも世界各地にある、フルハーフを掲げるトレーラーメーカー。それらは創業において本家のフルハーフとライセンス契約を結ぶなど、技術的な繋がりを持つ企業ばかりである。但しフルハーフという名を冠すグループ企業ではなく、相互に資本的な繋がりはない。
1963年創業。トレーラーの製造、及びトラック架装を主たる事業としている。日本軽金属といすゞ自動車の共同出資で、フルハーフ社の技術を導入して設立された。同業の日本トレクスと並び、日本では大手の一つ。またトレーラー製造だけではなく、単車への架装も行っている。
製品の特徴は、日本ではバラ積み輸送の主流となるウィングがあること。他国では横が開かないドライバンや、横は開くけど樹脂製カーテンになっているカーテンサイダーが主であり、日本独特のものとなっている。
1946年創業。極初期はフルハーフ製トレーラーの販売を行っていたが、後に本家フルハーフから技術供与を受け、フランスでも製造を始めた。
製品はヨーロッパのバラ積み輸送で多様されるカーテンサイダーとドライバンの他、コンテナシャシーや平台など、一般的なものになっている。
会社の起源は1865年、当時24歳のウィリアム・クレーンがノーフォークで開いた鍛冶屋にまで遡る。1906年にウィリアムが他界した後、彼の二人の息子が家業を引き継ぎ店を営んでいた。その後は軍から野砲用台車(昔の大砲の下についている車輪)や野戦救急車を受注するなど、徐々に自動車事業に関与して行く事になる。
1960年代、フルハーフのトレーラーをベースにアルミボディのトレーラーを開発。以後は「Crane-Fruehauf」のブランドでトレーラーの製造を始める。尚、ブランドは「クレーンさんとフルハーフさん」という意味であり、物を吊り上げるクレーンの付いたフルハーフトレーラーではないので注意。
製品は他のフルハーフブランドとは異なりダンプのみで、またトレーラーだけでなく単車への架装も行っている。
ニュージーランドのフィールディングで、トレーラー製造業を営んでいたドメット一家。彼らが1969年にフルハーフとライセンス契約をし技術を導入したのが、同国におけるフルハーフブランド展開のきっかけである。
オセアニアは独自のロードトレイン利用が活発な地域であり、その為の4軸フルトラクタの車体製造や架装も行っている。

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