フレーモアとは、1931年生まれの日本の競走馬。黒鹿毛の牡馬。
「大尾形」に初のダービーを贈った、史上唯一の秋田県生まれのダービー馬。
父*シアンモア、母*アステリヤ、母父Othelloという血統。
父は小岩井農場に輸入され、フレーモアを含め第2回から3年連続でダービー馬を出すなど、戦前の日本競馬を*トウルヌソルとともに牽引した大種牡馬。
母はイギリスからの輸入繁殖牝馬。フレーモアは第2仔。
母父オセロは英リーディングサイアーにも輝いたDesmondの産駒だが詳細はよくわからない。
3歳下の全妹に1938年の目黒記念(秋)を勝ち帝室御賞典2着2回の実績があるフエアモア、そして4歳下の全妹に1938年のオークス馬で皐月賞馬ヒデヒカリの母アステリモアがいる。
1931年5月25日、秋田県平鹿郡の土田農場で誕生。地元の素封家・土田萬助が創業した牧場で、その長男である土田荘助が馬主となり、東京競馬場の尾形景造(後の尾形藤吉)厩舎に預けられた。
さて、当時は今でいう2歳戦は存在しなかったのだが、それでもフレーモアのデビューは遅めで、ダービーまでもう1ヶ月もない1934年3月25日だった。しかし二本柳勇を鞍上に、デビュー戦を6馬身差で圧勝すると、続く優勝戦でも同じ尾形厩舎の牝馬テーモアを半馬身退けてレコード勝ち。2戦2勝で、フレーモアは有力馬の一角としてダービーに乗りこむことになった。
しかしこの年、ダービー戦線はもはやある1頭の馬の確勝ムードが漂っていた。デビュー3戦3勝全てスーパーレコード、前走で前年のダービー馬カブトヤマを蹴散らした奇跡の天才ミラクルユートピアである。ミラクルユートピアのあまりの強さに他陣営はおそれをなし、次々と有力馬がダービーを回避、11頭立てという少頭数になっていた。
そんな中で、勝負を諦めていなかったのが尾形師である。尾形厩舎はなんとこのダービーに4頭出しで臨んでいた。他厩舎はほとんど記念出走みたいな顔ぶれになる中、尾形厩舎だけがフレーモア、テーモア、デンコウの*シアンモア産駒の有力馬3頭を送り込み、果たしてミラクルユートピアにどこまで食い下がれるか。とはいえミラクルユートピアが負けることはないだろう、というのが大方の見方であった。
だが、世の中何が起こるかわからない。なんとミラクルユートピアがレース当日の調教で故障発生、出走取消になってしまったのである。
結果、現在もダービー史上最少頭数の10頭立てとなったレースは、尾形厩舎の3頭に人気が集中。なんとこの3頭で単勝支持率が合計98%である。正確なオッズは不詳だが、支持率から推定すると1番人気フレーモアが1.9倍、2番人気テーモアが2.4倍、3番人気デンコウが3.6倍で、4番人気アンヨウが約65倍。まるで地方勢スカスカの交流重賞みたいだなあ。
ともあれ、二本柳騎手はデンコウに回ったので尾形厩舎所属の大久保亀治騎手[1]を迎えたフレーモア。目黒競馬場から東京競馬場に移って初のダービーは前日の雨で不良馬場となった。
大外枠から好スタートを切ったフレーモアは、そのままスムーズに逃げる態勢へ。軽快に逃げるフレーモアに対し、2番人気テーモアが追いかけてきて、直線では完全にこの2頭の一騎打ちとなったが、フレーモアはテーモアの追撃を寄せ付けず、2馬身半差振り切って鮮やかに逃げ切った。2着はテーモア、そして大差の3着にデンコウが入り、人気順の決着となった。
初の府中のダービー馬となったフレーモアの勝利は、さまざまな記録ずくめであった。列挙してみると、
最終的にダービーを8勝(!?)する尾形師にとっても、これが初のダービー制覇となった。
フレーモアはその後、半年休んで10月の帝室御賞典(橫濱)で復帰したが4着で初黒星。以後12月まで2ヶ月間で10戦する過密ローテ(当時としては別に普通)で走り、11月の帝室御賞典(東京)、12月の中山4歳特別など4勝を挙げ、2着3回、3着2回と安定した成績を残した。
5歳となった1935年2月、調教中に右前肢を脱臼し現役引退。通算13戦7勝[7-3-2-1]。
引退後は1936年からブラオンジヤツクと名を改め、北海道の伊藤繁太郎牧場で種牡馬入り。ホウカツピータ(1942年春)、カミカゼ(1949年春)と2頭の中山大障害勝ち馬を輩出したが、平地では11勝を挙げ帝室御賞典3着などがあるアケヨシが目立つ程度で、1945年に廃用。その後、戦後の混乱の中で消息不明になったと伝わっている。
| *シアンモア 1924 黒鹿毛 |
Buchan 1916 鹿毛 |
Sunstar | Sundridge |
| Doris | |||
| Hamoaze | Torpoint | ||
| Maid of the Mist | |||
| Orlass 1914 黒鹿毛 |
Orby | Orme | |
| Rhoda B. | |||
| Simon Lass | Simontault | ||
| Kilkenny Lass | |||
| *アステリヤ 1926 鹿毛 FNo.1-w |
Othello 1908 黒鹿毛 |
Desmond | St. Simon |
| L'Abbesse de Jouarre | |||
| Queen Fairy | Oberon | ||
| Lady Lothian | |||
| Astafieva 1917 栗毛 |
Sunstar | Sundridge | |
| Doris | |||
| Aunt Hetty | Love Wisely | ||
| Hettie Sorrel |
クロス:Sunstar 3×3(25.00%)、Angelica=St. Simon 5×5×4(12.50%)
YouTubeには第3回東京優駿大競走の映像
がちゃんとあります。
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最終更新:2025/12/09(火) 20:00
最終更新:2025/12/09(火) 19:00
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