フヴィチャ・クヴァラツヘリア(Khvicha Kvaratskhelia, 2001年2月12日 - )とは、ジョージアのサッカー選手である。
フランス リーグ・アンのパリ・サンジェルマン所属。サッカージョージア代表。
ポジションはFW(ウイング)。利き足は右足。183cm76kg。
ジョージアのトビリシ出身。世界最高クラスのウインガーと評され、ジョージアサッカー史上最高の選手と呼ばれている。左サイドを主戦場にスピードとテクニックを駆使したドリブル突破が武器の選手で、ナポリの伝説的選手ディエゴ・マラドーナにちなんで「クヴァラドーナ」、また「ジョージアのメッシ」とも呼ばれている。
メディアでは将来が期待される若手選手と期待され、ガーディアン紙の「2018年次世代:世界サッカー界で最も優れた若手選手60人」に選出されている。しかし、小国ジョージアの選手ということもあって世界的には無名の存在だったが、2022年にイタリアのSSCナポリに移籍し、加入1年目にしてセンセーショナルな活躍を披露。33年ぶりのセリエA優勝に貢献したうえにリーグの年間MVPにも選出されたことで一気にワールドクラスのスター選手にブレイクする。
2025年1月にパリ・サンジェルマンに移籍すると、加入後すぐに重要な中心選手に定着し、2024-25シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ決勝でゴールを決めるなど、クラブのトレブル(三冠)獲得に大きく貢献している。
ジョージア代表ではU-17代表時代に頭角を現し、各年代の代表で中心選手として活躍。フル代表には2019年に18歳でデビューしており、2024年にはジョージアにとって初となる国際大会出場となるEURO2024出場権獲得に貢献し、本大会でもベスト16まで進出している。
日本では表記ゆれが多く、フウィチャ・クワラツヘリアやクヴィチャ・クヴァラツヘリア、フヴィチャ・クヴァラツェリアなどメディアによって表記が異なっている。ファンの間でも名前が長いので「クヴァラ」と呼ばれることが多い。
ジョージアの首都トビリシに生まれ、父親もアゼルバイジャンでプレーしていたプロサッカー選手だった。そんな父の才能が彼にも受け継がれ、5歳年上の兄を追いかけて走る中で、5歳にして方向転換をスピードを落とさずに行える驚異的な身体能力を見せ、周囲の指導者たちはその反射神経に驚き「スポーツ選手の資質がある」と即座に見抜いたという。
8歳のときにサッカーを始める。11歳となった2012年には母国ジョージアの名門であるディナモ・トビリシの下部組織に入団。ちなみに後にジョージア代表でチームメイトとなるギオルギ・ママルダシュヴィリも在籍していた。ユース時代にはすでに頭角を現し、国内でも注目されるようになり、アンダー世代の代表にも名を連ねるなど順調にステップアップを重ねていた。
2017年には16歳でトップチームに昇格する。2017年9月29日のエロヴヌリ・リーガ第28節ポティ戦で62分に途中出場し、1-1で引き分け、トップチームデビューを果たした。プロ1年目では全コンペディションで合計5試合に出場し、2017年11月19日の第34節シュクラ・コブレティとのアウェー戦で初ゴールを記録している。出場試合数は少ないものの、2018年1月にはジョージアのU17/U19代表での功績やディナモ・トビリシでの活躍を讃えられ、名誉あるアレクサンダー・チヴァーゼ・アワードを受賞するなどジョージア国内でも有数な若手選手として位置づけられた。
2018年シーズン開幕もディナモ・トビリシの一員として迎えるが、クラブとの契約交渉で揉めた結果、退団。第3節を終えた 2018年3月20日に同じジョージアのFCルスタヴィにフリートランスファーとして移籍することが発表される。では17歳と若いこともあり、限られた出場機会であったが、第19節の古巣ディナモ・トビリシを相手に移籍後初出場を果たすと、第23節のFCシオニ・ボルニシ戦では1得点1アシストを記録するなどリーグ戦18試合に出場し、3得点1アシストを記録。
2019年2月15日、初めて母国を離れ、ロシア・プレミアリーグのロコモティフ・モスクワに半年間の期限付き移籍することが発表される。加入から1ヶ月後のロシア・プレミアリーグ第19節 アンジ・マハチカラ戦にてデビューを飾り、第28節のルビン・カザン戦で移籍後初ゴールを記録。半年間の在籍期間でインパクトは残したが、7月1日、レンタル期間満了後にクラブを退団したことが発表される。
ロコモティフ・モスクワも彼を獲得する意志があったとされているが結果的に合意には至らず、当時の監督だったユーリー・ショミン監督は、擢んでた才能を持つ彼を完全移籍で獲得出来なかった事に大変がっかりしたと述べている。
2019年6月5日、ロシア・プレミアリーグのルビン・カザンと5年契約を締結。開幕戦にて古巣ロコモティフ・モスクワを相手に後半21分から出場すると、10分後にはチームを救うヘディングでの同点弾を記録し、ファンが選ぶ開幕戦のMVPに輝く鮮烈な新天地でのデビューを飾る。この活躍によって徐々に試合出場時間を増やしていき、1年目の2019-20シーズンは3ゴール2アシストを記録。リーグの最優秀若手賞を受賞し、加入からの1年間で市場価値が5倍に上昇したと見られている。
2020-21シーズンになると攻撃の中心として君臨するようになり、8月、9月、10月、4月の4回、月間最優秀選手にノミネートされる。怪我の時期もあったが、4ゴール4アシストを記録し、2年連続でリーグの最優秀若手選手に選出。2021年初頭に発表されたレキップ紙による21世紀生まれのベスト50選手のリストにRPL選手の中で唯一選出されている。
2021-22シーズンもジョージアの年間最優秀サッカー選手に2年連続で選ばれ、イングランドのアーセナルの獲得リストに入るなどロシアで順調なキャリアを過ごしていた。しかし、そんな彼に予期せぬ事態が起きる。2022年2月に勃発したロシアのウクライナ侵攻の影響で家族に脅迫が及ぶなど問題が生じる。FIFAはロシアのウクライナ侵攻により、ロシアに所属する外国人選手は6月30日まで契約を一方的に停止することができ、同日までロシア国外のクラブと契約することが許可されると発表していたことからルビン・カザンとの契約を解除。ロシアからの撤退を決断する。
2022年3月24日、エロヴヌリ・リーガのディナモ・バトゥミへ移籍することが発表され、3年ぶりに母国ジョージアへ復帰する。11試合に出場し、8得点2アシストとこれまでのキャリアを大きく上回る数字を残し、4月から7月にかけてのリーグ最優秀選手に選出にされる。
2022年7月1日、イタリア・セリエAのSSCナポリに5年契約で加入することが発表される。ナポリでは前年に退団したエースのロレンツォ・インシーニェの後釜として期待されたが、イタリアではまだまだ無名の存在だった21歳の若手に対して懐疑的な見方のほうが大きかった。しかしそんな声はすでにかき消されてしまうのだった。8月15日、セリエA開幕戦のエラス・ヴェローナ戦で1ゴール1アシストというセンセーショナルなデビューを飾る。8月29日の第2節ACモンツァ戦では2ゴールを決め、早くも辛口なイタリアメディアが手の平返しを始めるようになり、2022年8月のセリエA月間最優秀選手に選出される。初出場となったUEFAチャンピオンズリーグでも開幕戦である9月7日のリヴァプールFC戦で大きなインパクトを残し、強豪相手の4-1での圧勝に貢献。10月4日の第3節アヤックス・アムステルダム戦では1ゴール1アシストを記録しており、1週間後のアヤックスとの再戦では1ゴール1アシストの活躍でこの試合のMOMに選出。欧州中にクヴァラツヘリアの名前を轟かせる。ナポリではそのキレ味のあるドリブル突破からクラブのレジェンドであるディエゴ・マラドーナになぞらえて「クヴァラドーナ」という異名が付けられるようになる。2023年2月には3ゴール1アシストを記録し、2度目のセリエA月間最優秀選手に選ばれ、同一シーズンに複数回受賞した初の選手となった。セリエA月間最優秀選手賞を再び受賞。3月11日のセリエA第28節アタランタ戦では、数的不利な状況からドリブル突破から個人でゴールをこじ開けるゴラッソを決める。このゴールはセリエA年間最優秀ゴール賞を受賞。シーズン終盤はゴールから遠ざかったものの、リーグ首位を独走するチームにおいてもひと際眩い輝きを放ち続け、ナポリの33年ぶりとなるスクデット獲得の立役者となる。アタッカーにとって難易度の高いセリエAにおいて12ゴール10アシストという文句なしの数字も残し、セリエAの年間MVPを受賞。ガゼッタ・デロ・スポルトの10点満点のシーズン採点でもビクター・オシムヘンと並んで最高点となる9.5を付けられる活躍ぶりで国際的な知名度も大きく飛躍したシーズンとなった。
2023-24シーズンは監督交代の影響もあってチームの調子が上がらない中、9月27日のウディネーゼ戦でゴールを決め、6ヶ月続いた無ゴールに終止符を打つ。この年のナポリは前年のスクデットが嘘のような深刻な不振に陥り、自身もシーズン序盤の怪我に加えてチームに足を引っ張られて前年に見せたセンセーショナルな活躍は見せられずにいた。それでも孤軍奮闘でチームの中でもっとも多くのチャンスを作り出し、2シーズン連続での二桁ゴールを記録。最終的に11ゴール6アシストという記録を残している。
2024-25シーズンでは、2024年8月25日のボローニャ戦で1ゴール1アシストの活躍を見せる。この年から監督に就任したアントニオ・コンテから求められるハードワークにも見事に応え、10月には通算4回目となるセリエA月間最優秀選手に選出される。首位を走るナポリの攻撃の切り札として変わらず輝きを放っていたが、2025年に入って移籍話が急速に浮上。そして、1月16日に自身のSNSにおいてナポリからの退団を発表し、優勝争いを演じるチームに水を差す行為としてナポリのサポーターの怒りを買うことになる。
2025年1月17日、フランス リーグ・アンのパリ・サンジェルマンに移籍することが発表される。契約は4年間の長期契約で移籍金は8000万ユーロという巨額の取引となったとされている。発表から1週間後のリーグ・アン第19節スタッド・ランス戦でデビューを飾ると、ウスマン・デンベレのゴールをアシスト。2月7日の第21節ASモナコ戦では移籍後初ゴールを決める。彼の加入はPSGにとって最後のピースが揃ったことを意味し、チームは欧州最強チームへと進化していき、リーグ・アン、クープ・ドゥ・フランスと国内二冠を達成。ノックアウトフェイズからの出場となったCLでも重要な働きを見せ続け、5月31日のインテル・ミラノとの決勝はチームの4点目を決めるなど活躍し、加入わずか半年でPSGの初のスクデット並びにトレブル(三冠)達成という頂点に立つことになる。
6月からのFIFAクラブワールドカップ2025にも出場し、グループステージ第3節シアトル・サウンダーズ戦でゴールを決めている。
2016年9月、15歳にして飛び級でU-17ジョージア代表に初めて選出。2017年5月にはUEFA U-16ディペロプメント・トーナメントに出場し、決勝のラトビア戦でゴールをあげるなどジョージアの優勝に貢献。2017年11月には16歳にして1つ上の世代のU-19代表に選出。U-17代表のときと同様にこのカテゴリーでも特別な才能を見せつけ、2019年にはU-21代表にも選出。デビュー戦となった11月15日のUEFA U-21欧州選手権のフランス戦でゴールを決めている。
アンダー世代での活躍が認められ、2019年6月にフル代表に初招集され、6月7日のEURO2020予選ジブラルタル戦で18歳でのフル代表デビューを飾っている。2020年10月14日、UEFAネーションズリーグの北マケドニア戦で代表初ゴールを決める。2022 FIFAワールドカップ欧州選手権の頃にはすでに代表の中心選手となっており、2021年3月28日のスペイン戦、3月31日のギリシャ戦で2試合連続ゴールを決めている。
UEFAネーションズリーグ2022-23では、グループCの4試合で5ゴールを決め、ジョージアのグループB昇格に貢献。EURO2024予選でも攻撃の中心としてチームを引っ張り、プレーオフを勝ち抜いてのEURO本大会初出場という快挙を成し遂げる。
2024年6月、ジョージアにとって初の国際的なメジャーの大会出場となるEURO2024本大会に出場。守勢に回ることが多いチームの中でカウンターの先鋒として違いを作り出し、グループステージ最終戦となったポルトガル戦では、EURO初ゴールを決め、歴史的なジャイアントキリング達成に貢献。この試合のMOMにも選出され、ジョージアをグループステージ突破に導く。ラウンド16でスペイン相手に大敗したが、同国の歴史に新たな1ページを付け加える大会となった。
| シーズン | 国 | クラブ | リーグ | 試合 | 得点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2017 | ディナモ・トビリシ | エロヴヌリ・リーガ | 4 | 1 | |
| 2018 | ルスタヴィ | エロヴヌリ・リーガ | 18 | 3 | |
| 2018-19 | ロコモティフ・モスクワ(loan) | ロシア・プレミアリーグ | 7 | 1 | |
| 2019-20 | ルビン・カザン | ロシア・プレミアリーグ | 27 | 3 | |
| 2020-21 | ルビン・カザン | ロシア・プレミアリーグ | 23 | 4 | |
| 2021-22 | ルビン・カザン | ロシア・プレミアリーグ | 19 | 2 | |
| 2022 | ルスタヴィ | エロヴヌリ・リーガ | 11 | 8 | |
| 2022-23 | ナポリ | セリエA | 34 | 12 | |
| 2023-24 | ナポリ | セリエA | 34 | 11 | |
| 2024-25 | ナポリ | セリエA | 17 | 5 | |
| パリ・サンジェルマン | リーグ・アン | 24 | 0 | ||
| 2025-26 | パリ・サンジェルマン | リーグ・アン |
メインのポジションは左のウイングであり、世界でもトップクラスのウインガーと評される。右のウイングや2トップの一角としてもプレーできる。右利きではあるが両脚で遜色なく蹴ることができるため、実質的には両利き。長身で細身ではあるが体力があり、ボールを持った時の優雅さ、加速力、スピード、そしてドリブルスキルとフェイントの使い方が持ち味となっている。
ワイドに張った位置からチャンスメイクするクラシカルなスタイルのウイングであり、ボールを持てば非常に積極的にドリブルで仕掛ける。ドリブル突破の試行数、ドリブル突破成功数が非常に高く、強気に勝負するタイプ。加えて仕掛けのバリエーションも多彩で、多くのアイディアによって違いを生み出せる。とはいえ、明確なゴールチャンス(有効なスペース)がない場合は自らボールをキープすることを選択し、相手の注意を引き付けつつサイドでボールをキープし、周囲の味方に時間とスペースを作り出そうとする。
前方にスペースが広がっている場合は迷わず一気にスペースにボールを運び、相手守備を切り裂いてゴールに迫る傾向が強い。スペースを消された場合には小さなタッチに切り替えるなど、相手の動きを読みながら次の動きを決定する。このようなスペース認識とボールコントロールが、彼のプレーにおける大きな特徴である。ボールコントロールの技術も高く、派手なフェイントは用いないものの、何度もドリブルの方向を変えたり鋭いキックフェイントで相手のバランスを崩したりして、巧みに突破を仕掛けていく。常にボールを相手ディフェンダーの足が届かない位置にキープしており、常に足元にボールを置いているためいつでもボールを動かせる準備ができている。そのため相手の出方を見てからプレー選択をする「後出しジャンケン」が可能。
アントニオ・コンテやルイス・エンリケといったウイングにプレスバックを求める監督を満足させるほど守備への貢献度も高く、守備の局面になるとすぐに守備に切り替え、サボらずにプレスバックし、相手に対して果敢にプレッシャーをかけてくる。キャリア初期にタフで厳しいファウルの多いロシアリーグを経験していることもあり、メンタルも強く、攻守両面で戦える選手である。
代表ではセカンドトップが定位置であり、ボールを奪い返す役割や攻撃を組み立てる役割も献身的にこなし、自らがボールを持ち運び、チーム全体を押し上げる役割を担っている。カウンターの際はスピードと技術を活かしてボールを運び、相手ゴールに迫る。セットプレーや守備から一気に攻撃に転じる際、彼のプレーがチームの勝敗を左右している。
ウィークポイントは試合ごとのパフォーマンスに波があり、安定感に欠けること。特にナポリでの2年目のようにチーム全体が低調な際に、自身の個人能力だけで試合の流れを一変させるような場面が少ない。
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最終更新:2025/12/10(水) 01:00
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