ブガッティとは (ブガッティとは) [単語記事]

概要

正式名称ブガッティ・オトモビル（ Bugatti Automobiles SAS ）はフランスに本社を置く自動車メーカーである。今のブガッティはフォルクスワーゲンが往年のブガッティの商標権および製造販売権を獲得し100%子会社として1998年に買収、ブランドを再生させた物である。

本拠地はフランス、モルスハイム近郊のドリスハイムでフォルクスワーゲンが2000年 12月にブガッティを正式に設立した際。1856年に造られ創業者エットーレ・ブガッティがゲストハウスとして使っていたシャトー・サン・ジャン城を購入、改装し本社とした。以前のブガッティの工場はスネクマが手放さなかった為、この城の脇に「モダンなアトリエを城（本社）の南隣に建設する」と発表し新しく建設された。

1909年、イタリア出身の自動車技術者、エットーレ・ブガッティがアルザス（当時ドイツ領）に創業。1940年代初頭まで主に高性能スポーツカーやレースカーを製造している。

1987年、廃れてしまっていたブランドをイタリアの実業家、ロマーノ・アルティオーリが手に入れ、モデナ（イタリア）に設立、ブランドを復活させる。1995年に経営破綻する。

1998年、ドイツのフォルクスワーゲンが買収、ブガッティの創業地・アルザス（フランス）に移し設立する。現在まで「ブガッティ」のブランドで自動車の製造・販売を行っている。

ブガッティ社の創始者、エットーレ・ブガッティは1881年、イタリアはブレシアの芸術家の一族の家に生まれた。彼は若くして「プジョー･べべ」等多くの自動車の設計に携わり、こうして生まれた数々の車は彼の評価を高めることになった。

こうして自信をつけたエットーレはイタリアを飛び出し、1909年、当時ドイツ領であった（現フランス領の）アルザス地方にある小さな町、モルスハイムに移り、ブガッティ社を設立した。しばしばドイツの自動車メーカーと表記されるのは誤記ではなく、このためである。

エットーレは革新者として多くのエンジン、自動車を設計し、モータースポーツにおいてフランス・グランプリでの勝利を皮切りに、第1回、2回、3回モナコグランプリでの３年連続優勝、タルガ・フローリオでの優勝など輝かしい成績を残した。この頃がブガッティの頂点だったと言っても過言では無いだろう。

その後はガソリン気動車、航空機用エンジンの設計にも乗り出したが、商業的に成功しなかった。そして1939年、エットーレの息子、ジャン・ブガッティがレースカーのテスト中に事故を起こし死亡してしまう。これは非常に致命的であった。ジャンは若き日のエットーレのような革新者であったが、エットーレはもはや革新者ではなく、SOHC、リジットサスなど古い技術に固執する老人となっていたためである。それを示すように会社の業績は下を向くようになる。さらに第二次世界大戦でモルスハイムの工場は破壊され、1947年にはついにエットーレ・ブガッティが他界する。

第二次大戦後、絶体絶命の危機にブガッティは復活の狼煙を上げるため、1950年から創設されたF1世界選手権に参戦した。が、出来たマシンは危険極まりなく、ドライバーが「命が惜しい」と言って自らシートを降りたほどであった。この原因はジャンの弟であったローラン・ブガッティがエットーレと同じくリジットサスに固執したため、と言われている。こうしてブガッティは自動車メーカーとしての幕を下ろした。

その後はルヴァロワ工場で飛行機用エンジンを細々と生産しイスパノ・スイザ社に納入していたが、1968年にスネクマ社（現・サフラン）に併合された。現在はサフラン社傘下のメッサー・ブガッティ社として飛行機のブレーキ・ホイールを製作している。

こうして自動車メーカーとして永遠の眠りに付くかと思われたブガッティだったが、1987年にイタリアの実業家、ロマーノ･アルティオーリが突如としてブガッティの商標を手に入れ、ブガッティの復活計画が持ち上がる。

こうして、上記のメッサー･ブガッティとは関係の無い、ブガッティ･アウトモビリS.p.A.が設立された。開発はランボルギーニ･カウンタックのパオロ･スタンツァーニとマルチェロ･ガンディーニのコンビに決まり、二人はカウンタックの真の後継車を目指し開発を進めた。

が、それはアルティオーリが望んでいた「フェラーリ的なスーパーカー」では無かったため、スタンツァーニ、ガンディーニ両氏と対立し、二人はプロジェクトを途中で去ることになった。結局フェラーリ･F40のエンジニアであるニコラ･マテラッティ、ランチア･トレビの内装を担当したジャンパオロ･ベネディーニが後を引き継ぎ、ブガッティ･EB 110は完成した。

EB 110は予想以上に売れず、生産されたのは139もしくは154台といわれている。その後EB 112というコンセプトモデルを発表するが、ロータスを買収するなどの過剰投資がたたり、倒産してしまう。

その後EB 110のパーツはレーシングコンストラクターとして有名なダウアー社に引き取られ、製作途中の車両を引き継ぎ、ダウアーB110として数台が製造された。また、ダウアー社の他にもブガッティ･アウトモビリS.p.A.の副社長であったジャン･マーク･ボレルがパーツを買い取った後に新会社、Bエンジニアリングを設立し、エドニス･V12というスーパーカーのベースにもされている。