ブルックドルフ(Bruckdorf)とは、『銀河英雄伝説』の登場人物である。
銀河帝国に属する司法官僚、法学博士。ローエングラム朝銀河帝国の司法尚書。
新帝国暦2年に40歳をすぎたばかりとされる少壮の法律家。
「緻密な頭脳と厳正な政治姿勢」の持ち主であるとされ、良識的で法秩序と倫理を重んじる人物。
ゴールデンバウム朝末期までに大審院判事となり、帝国暦486年のベーネミュンデ事件の際、ベーネミュンデ侯爵夫人自裁の場に立ち会っている。
新帝国暦1年、ローエングラム朝銀河帝国の成立に伴い、初代司法尚書となる。翌年、大親征によって自由惑星同盟が完全に併合されるのと前後して、同盟特使ウィリアム・オーデッツがフェザーンにおいて「ロイエンタール元帥に叛意あり」との噂を流したことをきっかけに、自らの名でオスカー・フォン・ロイエンタール元帥を「不穏の気配あり」と弾劾するに至った。その報告書は大親征中ハイネセンにあった新帝国軍を震撼させ、”一〇〇〇万人の足をとめた一通”としてのちに知られるようになる。
彼としては、統帥本部総長であるロイエンタールを指弾することによって、一面では政府高官の綱紀粛正を企図するとともに、もう一面では皇帝ラインハルトの出自がら軍部独裁の気風が強かった当時のローエングラム朝において、健全な国家発展のために法律、官僚、軍部の三者のバランスをとる必要から、軍部に対して司法省の立場を優位におこうとしたものであった。しかしこの動きは、内務省内国安全保障局長ハイドリッヒ・ラングによるロイエンタールへの私的な復讐に利用されてしまうこととなる。
フェザーンまで出向き、同地で軍務尚書パウル・フォン・オーベルシュタイン元帥の諒解とラングの協力を受けて行った身辺調査によって、ロイエンタールがリヒテンラーデ公の一族とされるエルフリーデ・フォン・コールラウシュと関係を持っていたことが判明する。そして彼女の証言は、ロイエンタールの叛意を示唆するものだった。そしてラングは、ことが成文化された法律に反するもので無いことを理由に、権限を司法省から奪い取ったのである。
ロイエンタールへの弾劾は、それがオーベルシュタインやラングによるものではなく、厳正さを信頼されるブルックドルフによるものであったがために、ラインハルトが目を留めるべきものとなってしまった。ブルックドルフは自分の名をいいように利用されたと気づき激怒したが、法律至上主義をとるだけに、弾劾への加担を自身の愚かな失敗と認めてひきさがるほかなかった。
その後の登場はないが、石黒監督版OVAではセリフこそないものの皇后の法的位置について議論している場にて座長役となっている場面や、ラインハルト逝去時にカール・ブラッケ民政尚書らと控えている場面が確認でき、司法尚書の地位にとどまっているであろうことが考えられる。
「倫理と秩序意識を離乳食にまぶして成長し、法律知識の酒と司法事務の食事でおとなになった」と表現される、生まれながらの法律家ともいうべき人物。そのまっとうな倫理観からロイエンタールの漁色を不快に思ってこそいたものの、それは私人としての感情であって、公人である司法尚書の職務としてロイエンタールを弾劾する要因にはならなかったことが明示されている。
その一方で、少壮ながら抜擢によって司法尚書となった以上、相応の野心と抱負を持ち合わせてもいた。ロイエンタールへの弾劾に加担する理由となった、国家の将来を見据えての法律、官僚、軍部の均衡の是正のため軍部に対する司法省の有利を確立する、という意図は、まさにその表出である。
とはいえ、法律家としてのその厳格さは「状況とおきかえられる現象、それに証拠だけ」を信じるとされるほどで、ロイエンタールの調査にあたり、その漁色に関する無根拠な噂はいっさい信用しなかった。エルフリーデの存在が明らかになっても、調査があまりに容易だったことやラングの扇動的な態度への不信感から反ロイエンタール的な工作の可能性を憂慮し、エルフリーデ本人に直接事情聴取する良識を示している。
掲示板
9 ななしのよっしん
2022/01/02(日) 21:11:10 ID: ViMNGdpLht
本人も「なんであんなあぶねえ女に手を出すんだよ……」って思っていたかもな。
10 ななしのよっしん
2023/02/14(火) 22:56:23 ID: osD3VXi1lZ
11 ななしのよっしん
2023/04/28(金) 21:12:02 ID: 1dHhtf6uA1
べーネミュンデの時のブルックドルフとラインハルトに仕えたブルックドルフは果たして同一人物なのか?
別人の可能性はないか?
フレーゲル男爵と内務省書フレーゲルのように
あるいはカルナップ中将とカルナップ男爵のように
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最終更新:2024/04/25(木) 22:00
最終更新:2024/04/25(木) 22:00
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