ブロブフィッシュ(英:blobfish)とは、世界一醜い生物として有名な魚である。
スズキ目カジカ亜目[1]ウラナイカジカ科ウラナイカジカ属に分類される。
主に日本にも生息している最大種のニュウドウカジカ(学名:Psychrolutes phrictus)について解説するが、ブロブフィッシュ全般についても述べる。
全長70cmに達することもある深海魚で、北太平洋の深海底500~2800mに広く分布しており、日本でもオホーツク海沿岸や青森県〜茨城県の太平洋沿岸に生息している。
体形は頭でっかちのいわゆるオタマジャクシ型で、皮膚と筋肉の間にゼラチン状の層がありブヨブヨとしている。浮き袋は持っていない。
英名の「blob(ブロブ)」はゼリー状の塊を意味する。同名のパニックホラー映画を思い出す人も多いのではないだろうか。特にニュウドウカジカを指す英名として「blob sculpin[2]」とも。
和名の「ニュウドウカジカ」は体に生えたヒゲを仏門に入った高貴な人を指す「入道」に見立てて名付けられたが、妖怪としての入道も意識しているかもしれない。
ウミエラの仲間や甲殻類、貝類などを中心に色々なものを食べるが、普段は海底でじっとしていることが多い。
繁殖の際は一か所に多くの個体が集まるようである。また、自分の卵の世話をする習性が知られている、子煩悩な魚でもある。
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さて、ブロブフィッシュというとこのどせいさんピンクの肉塊のような姿を思い浮かべる人が多いと思われるが、これは実は深海から引き揚げられる際に皮膚が剥がれ落ちてしまい、更に地上で体を支えられず自重で潰れている姿で、鼻に見えるのも顔の先端が垂れ下がっているだけである。そもそも例の画像(この節の1つ目のツイートの画像)はニュウドウカジカではなく後述のトサカジカである。ちなみに口から生えたもやしみたいなものは寄生性の甲殻類(カイアシ類)らしい。
通常はヒゲの生えた皮膚で覆われていることに加え、水中だと顔も整っており割とイケメン(?)だという声も。
ただでさえ皮膚が剥がれやすいのに主に底曳き網漁で採集される為、どうしても傷つけずに採集するのは難しいのである(深海魚にはよくある事だが)。
そのインパクト絶大の姿から、2013年にイギリスの団体「Ugly Animal Preservation Society[3]」が行った投票で「世界一醜い生物」(The Ugliest Animal on Earth)に選ばれてしまい[4]、ブロブフィッシュ自体の知名度もこれを切っ掛けに世界中で大きく上がった。
余談だが、この世界一醜い生物を決める投票で2位に輝いたのは今やすっかり「Party Parrot」でお馴染みになったカカポ、3位はウーパールーパーことメキシコサラマンダーだったりする。
なお、ブロブフィッシュはUgly Animal Preservation Societyの公式マスコットにもなっている。
その後、他のブヨブヨとした深海魚を差し置いてキモい生き物として真っ先に名前が挙がったり、意外とかわいいとしてブロブフィッシュをモチーフにした創作も人気に。多くのグッズが発売されるまでに至ったが、本来の皮膚で覆われている、生きている時の姿はあまり知られていないのが現状である。
いつの間にか「世界一醜い生物」から派生して「世界一ブサイクな魚」とも言われている。また、英語圏での愛称として「Mr. Blobby」なんてのもある。
水族館でも長期飼育は難しいが、アクアマリンふくしまではニュウドウカジカが定期的に展示されており、50日以上の長期展示にも成功している。
そんなブロブフィッシュ(特にニュウドウカジカ)だが、揚げ出し・唐揚げ・味噌汁・煮つけなどになり意外と美味なんだとか。水っぽいが良い出汁が出るとのこと。当然市場には出回っていないので入手は難しい。
仙台うみの杜水族館の深海コーナーでは、生物ライターで珍生物ハンターの平坂寛氏がニュウドウカジカを捌いて食べる動画が公開されている。
魚類のデータベース・FishBaseによると、2020年7月現在ブロブフィッシュの仲間であるウラナイカジカ科ウラナイカジカ属には11種が認められている[5]。ここでは和名が付いている種と、英名に「blobfish」が含まれる種を挙げる。すべて海底で暮らしている底生性の深海魚である。
インターネットや書籍等で「ブロブフィッシュ」として挙げられている魚の画像や情報は、実際はこれら複数の種が混ざっていると思われる。
なお、属や科の名前にもなっているウラナイカジカ(学名:Psychrolutes paradoxus)はそれっぽくないのもあってブロブフィッシュとは呼ばれていない。英語では「Tadpole sculpin(おたまじゃくしのカジカ)」と呼ばれている。
同じウラナイカジカ科のアカドンコ属に属するEbinania macquariensisという魚も「Macquarie blobfish」と呼ばれている。
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最終更新:2024/04/25(木) 20:00
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