ヘリコプターマネー(ヘリマネ)とは、経済学における用語で、次のことを指す。
このように、ヘリコプターマネーとはだいぶ広い意味を持ち、用語の混乱が見られる言葉である。ただし、1.~3.は国民に資金を供給するという点で共通している。
中央銀行が大規模な買いオペレーションを行い、民間企業へ大量の資金を供給することをヘリコプターマネーという。大不況に陥ったときの金融政策の1つとして行われる。
買いオペレーションというと国債の買い入れをすぐに連想するが、ヘリコプターマネーのときは民間企業が発行する社債やCP(コマーシャルペーパー。民間企業が資金調達のため発行する手形)を買い入れる。
中央銀行が社債やCPを買い入れ、その代償に中央銀行当座預金(日銀当座預金)を発行して、民間企業のメインバンクに振り込む。民間企業のメインバンクは、中央銀行当座預金(日銀当座預金)と同額の銀行預金を作り出し、民間銀行の口座に書き入れる。
要するに、民間企業が発行する社債やCPを購入して、民間企業の保有する銀行預金を増やしてあげる金融政策である。
中央銀行が大規模な買いオペレーションを行い、市中銀行(中央銀行以外の銀行)へ大量の資金を供給することをヘリコプターマネーという。大不況に陥ったときの金融政策の1つとして行われる。
中央銀行が、市中銀行の保有する国債を買い入れ、市中銀行に中央銀行当座預金(日銀当座預金)を供給する。
市中銀行は、中央銀行当座預金(日銀当座預金)の額が増えるので、企業や家計に対する貸出限度額が一気に増える。このことについては、準備預金制度の記事も参照のこと。
政府が大規模に国債を発行するなどして資金を調達し、その資金を銀行振り込みで各国民に手渡すこと。大不況に陥ったときの財政政策の1つとして行われる。
2009年の定額給付金、2020年の全国民10万円給付、が典型的な例である。
ベーシック・インカムもヘリコプターマネーの一種ということができるだろう。
政府の資金調達には様々な方法がある。ごく普通の利子付き国債を発行して市中銀行に売り出すのが最も普通のやり方であるが、ごく普通の利子付き国債を発行して中央銀行に直接売り出すこともある。政府紙幣を発行することもありうるし、返済期限無期限・無利子の永久国債を発行して中央銀行に直接売り出すこともありうる。
ちなみに、政府が中央銀行へ国債を直接売りつけることを中央銀行の国債直接引き受けという。
3.の概要の中で、政府の資金調達手段として返済期限無期限・無利子の永久国債を発行して中央銀行に直接売り出すことが挙がっている。
このため「ヘリコプターマネーとは、中央銀行が返済期限無期限・無利子の永久国債を直接引き受けること」と扱う人が一部で存在している。この記事やこの記事やこの記事が典型例である。
この言葉を流行らせたのは、ベン・バーナンキ(2006~2014年のFRB議長。同職は日本の日銀総裁に相当)である。
バーナンキの師匠がミルトン・フリードマンというノーベル経済学賞を受賞した経済学者なのだが、そのフリードマンが『貨幣の悪戯』という著書で寓話を書いた。その寓話を読んだバーナンキは、フリードマンの90歳誕生日会で「デフレ克服のためにはヘリコプターからお札をばらまけばよい」と発言した。
バーナンキの発言が面白かったので、それ以降みんなが「ヘリコプター・ベン」「ヘリコプター印刷機」というあだ名でバーナンキを呼ぶようになった。
helicopter moneyと画像検索すると、面白い画像が多くヒットする。もちろん、実際の政策においては、本当にヘリコプターで紙幣をばらまくわけではない。
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最終更新:2024/03/29(金) 20:00
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