ヘンペルのカラス 単語

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ヘンペルノカラス

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りんご

りんご

くないし、カラスでもない!」

 

 

 

まな板

まな板

くないし、カラスでもない!!」

 

 

 

銀河系

銀河系

くないし、カラスでもない!!!」

「ハァ・・・ハァ・・・ついに全てのくないものを調べ終わったぜ・・・そしてその中にカラスは一羽もいなかった!つまり全てのカラス!!」

は?

一見突拍子もないように思えるが、この根拠と結論は論理的には全く正しい。この突拍子のなさを摘する言葉が「ヘンペルのカラス」である。

なぜこれが論理的に正しいと言えるのだろうか。

対偶

対偶偽は一致する」からである。順を追って見ていこう。

これらの文は、「○○ならば、△△」という形に書き換えることができる。

そして、「○○ならば、△△」という形で書くことのできる文は「対偶」を作ることができる。「ならば」の前後を逆にして(△△ならば、○○)、さらそれぞれを否定すると(△△でないならば、○○でない)、元の文の対偶ができあがる。

  • くないならばカラスでない。
  • わるいのはポリゴンじゃないやつ
  • やりたくてもやらない方がいいこともあるならば、それは青春ではない。

対偶の真偽

対偶偽、つまりその文の言っていることが本当なのかなのかは必ず同じになる。

たろうくんはは必ずジョギングをする。(ならば、ジョギングをする)

対偶は、

たろうくんがジョギングをしていないならば、それはではない。

である。

「たろうくんはジョギングする」というのが本当である(つまり、である)ならば、その対偶である「たろうくんがジョギングをしていないならば、それはではない。」も本当である。毎ジョギングするはずのたろうくんがゴロゴロしているのを見れば、今はではないことがわかる。

逆に、「たろうくんはジョギングする」というのがウソである(つまり、偽である)ならば、その対偶である「たろうくんがジョギングをしていないならば、それはではない。」もウソである。別に毎はジョギングしないわけだから、たろうくんがゴロゴロしてても今はかもしれないのである。

対偶偽が一致することは数学的に厳密に明されており、対偶偽は必ず一致する。

元の文が分かりにくかったり扱いにくかったりする場合に、その対偶を考えるとすんなり理解できたり明できたりする場合がある。一般に、対偶を用いて元の文について何か言おうとすることを「対偶論法」という。

カラスの話に戻ろう。前述の通り、「全てのカラスい」の対偶は、「くないならば、カラスではない」である。対偶偽は一致するので、「くないならば、カラスではない」が正しいと結論づけられたなら、自動的に「全てのカラスい」も正しいことになるのである。

ヘンペル「それっておかしくねぇ?」

「だって、カラス一羽も見てないじゃん」

ドイツ哲学カール・グスタフ・ヘンペルが四十歳のときに著した"Studies in the Logic of Confirmation"の中ではじめて「カラス」と「い」という例を用いてこの対偶論法の矛盾ともいえる問題を摘した。

「全てのカラスについて何らかのことを言うのに、カラスでないものを拠にするなんてちょっとどうなの? い靴やカラスさの拠になるの?」というわけである。これが認められるならば、「羽がないもの」をすべて調べれば妖精には羽があると結論づけられるし、「羽がないもの」と「がないもの」を調べ尽くせばユニコーンにはも羽もあることを明できてしまう。「実際には調べ尽くすことなどできない」ということを抜きにしても、一つもその対を調べることなくそのものについて何か結論できてしまうというのは、われわれの日常的な感覚からすると受け入れがたく感じる。

解説

この奇妙さはくないものはカラスではない」という文章が「カラスの存在を保していない」ことからくる。「くないものはカラスではない」がである場合、「仮にカラスが存在するならばい」と解釈するのが正しいのであり、「カラスは存在しない」、もしくは「存在するとすればい」、のどちらかが成り立つのである。

カラスの代わりに「ウンベロゲンゲン」や「りゅぬぁってゃ」などと意味のい単を入れてみればなんとなく理解できるであろう。「くないものにウンベロゲンゲンが含まれていなかった」ならばウンベロゲンゲンなど存在しない、もしくはウンベロゲンゲンが存在するとすればい、と結論できる。

「Aという集合にXは含まれていなかった」事を根拠に「XはAでない」という属性を付与する事ができる。Xが実在すればそれは正しい。しかし、Xがそもそも存在していないなら「Xは存在する」という偽の命題から「XはAでない」という結論を得ると言う事になる。「偽の前提から得られる結論は全て」であることにより、存在しないXに好き勝手な属性をつけることができてしまうのである。

上記ユニコーンの例で言うならば、全てのと羽のいものを間違いなく調べ上げた結果ユニコーンが存在しなかった場合、「ユニコーンなど存在しない」、もしくは「存在するならばも羽もある」という事になる。上記例では存在しない可性の方を無視して存在する方のみを採用してしまっている。現実にはユニコーンは存在しないので調の仕方により好き勝手に属性をつけることができてしまい、羽がイメージに反して羽があるという属性を付与できてしまうのだ。

疑似パラドックス

ヘンペルのカラスは、「カラスパラドックス」あるいは「ヘンペルパラドックス」とも呼ばれる。ヘンペルのカラスなどのように「別に矛盾ははらんでいないが、どうも変だと感じる」というタイプパラドックスを「疑似パラドックス」と呼んで区別することがある。

他に疑似パラドックスで有名なものには

などがある。

ヘンペルのカラスは疑似パラドックスなので解決する必要はない、とする向きもあるが、この違和感を解消するためのいくつかの案も提示されている。らしい。なんか調べたけどちょっとよくわからなかった。

余談

当然だが、全てのくないものを調べ尽くすことは現実的には不可能である。くないものは無限に存在するし、「もの」の範囲が曖昧だし(「楽しさ」や「消費税」なんかもくはない)、調べ終わったと思っても「もの」は増え続ける。例えば、この記事もくはない。

「せっかく全てのくないものを調べ終えたのに何かまた増えてるな・・・また調べ直さなくちゃ・・・この記事の背景くないしカラスでもない!この記事のリンクくないしカラスでもない!この記事の見出しはくないしカラスでもない!この記事のlistはくないしカラスでもない!この記事の・・・」

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