ベピ・コロンボ(BepiColombo)とは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)とESA(欧州宇宙機関)が共同で進行中の水星探査プロジェクトである。
探査機はESAが開発を担当した水星表面探査機『MPO』と、JAXAが開発を担当した水星磁気圏探査機『MMO「みお」』、水星到達までの推進を担当するESA開発のイオンエンジンを持つ電気推進モジュール『MTM』と水星軌道上で『MMO(みお)」を放出するまで太陽から守るためのサンシールド(MOSIF)で構成される。
計画名の「ベピ・コロンボ」は、最初の水星探査機マリナー10号を減速スイングバイを用いて水星に導いたイタリアの数学者で天文学者のジュゼッペ・コロンボ(Giuseppe Colombo、1920〜1984年)から命名。ベピ(Bepi)は彼の愛称である。
直列に連結された探査機は、2018年10月20日10時45分28秒(現地時間19日22時45分28秒)、南米フランス領ギアナのクールー宇宙基地からアリアン5ロケットで打ち上げられた。その後惑星探査機では最多の減速スイングバイ(地球スイングバイ、2回の金星スイングバイ、6回の水星スイングバイ)を経て2025年末に水星に到着、1年の探査を予定している。
太陽から一番近いところを公転する惑星「水星」。非常に熱い星で、昼間の温度は430℃。ただし夜の温度は-170℃で、両極の永久影には氷の存在が確認されている。人類はその存在を古くから知ってはいたが、太陽から近すぎることもあり地上からの観測は太陽光が邪魔をする為観測が難しく、見ることが可能なのはだいたい日の出日没の前後1時間ほど。そのため他の天体が天文学者により詳しく観測される中でもなかなか詳細を調べることが難しい惑星であった。そのせいかはたまた天文学者の負け惜しみか「太陽系惑星で一番つまらない惑星」とまで言われる始末…
宇宙開発時代になり、惑星探査機が月や火星や金星さらには木星以遠に行くようになっても、水星への道のりは
という大きな壁が立ちはだかり、2018年まで「マリナー10号」と「メッセンジャー」の2機のみ水星に到達するまさに秘境の惑星であった。
そんなわずかな観測実績ではあるが貴重な探査を積み上げていったわけではあるが、調べれば大きな謎も積み上がっていく。
水星は━━━
とわけのわからないことだらけだったりする。
つまりは水星の特殊性を調べて理由がわかれば、太陽系外惑星の中から生命の住める「第2の地球」を見つけられる鍵になるかもしれない。
開発15年、到達まで7年。非常に長い時間をかけ、ベピ・コロンボの探査機たちは太陽系の最も内側にある惑星「水星」の探査に挑む。
ベピ・コロンボで運用される探査機は2機。これに推進モジュールを含め3機縦に積んで水星まで向かい、水星に到達後まずMTMを分離、MPOの分離し推進装置で周回軌道に乗せてMMOを分離、MPOはさらに軌道修正をして各機の探査を行う。
熱対策が徹底的に行われ、搭載機器の選定や配置、極軌道に投入したり太陽光をより反射させるなどして蓄熱から可能な限り逃げるなど様々な対策が講じられている。そのために見た目は全身銀色。
協力して難しい水星探査に挑むので、そのイメージを反映してかTwitterではちゃんとした探査計画のアカウントの他に擬人化した各モジュールのアカウントが存在しタイムライン上で各々仲良く和気あいあいとしてる姿(アニメーション付きで)を見せている。プロデュースしたの誰だ。
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https://twitter.com/jaxa_mmo/status/979328413331726337
日本のJAXAが開発運用を担当する探査機。打ち上げ時重量285kgのスピン安定衛星。水星の磁気圏の観測を行う。磁気圏観測大好きISASの面目躍如。
八角柱体で、側面は一部の太陽電池を除けばほぼ鏡面で水星近傍の強烈な太陽光をシャットアウトしている。両頂面は内部の熱を放出しつつ、太陽光と水星からの照り返しは通さない特殊なシールド材でできている。通信アンテナも太陽熱の影響を受けにくい耐熱素材を用いた円盤型をしている。
磁場やプラズマ、希薄大気のナトリウム、ダストなど水星周辺の環境を調べることを目的に、5つの観測機器を高さ2.4m(アンテナ部含む)1.8mの対角線を持つ8角柱の機体に詰め込み、その機体上面中央からは姿勢制御のために4秒周期でスピンする機体と逆方向に回転するハイゲインアンテナが、側面からは4本の15mワイヤアンテナと2本の5m磁場観測用マストが伸びる。水星に到着するとこれらの観測機器を展開するため外観はかなり大きいものになる。
なお日本の惑星探査はメインとなりがちな表面の探査はあまり行わず、周囲の高層大気や磁気圏の探査が中心となっているのが基本方針。
2018年6月8日にMMOの愛称を公募した案より「みお」とすることを発表。ちなみに選定理由は
というところから。あのキャラやあのキャラからとったわけじゃないよ。違うんだからねっ!
Twitterでは3つのキャラのうち小さいキャラで日本語と英語を併用した情報を発信している。
構造上加工できない部分を除いて「OSR(Optical Solar Reflector)」と呼ばれる光反射と放熱に優れた銀蒸着された鏡が貼られている。これにより430℃にも上昇する表面温度を180℃程度に押させることができるとみられる。
機体のアンテナ側の半分には太陽電池パネルが配されているが、太陽電池自体の青黒い色を変えることはできないので裏面をORS加工して廃熱を促しその内側に一切機器を配置しない(つまり太陽パネルが機体から王冠状にそそり立っている)ことで熱対策をしている(それでも240℃にも温度が上がるとみられる)。
同じくハイゲインアンテナも回転する機体と違い一定方向を向くようになっているために400℃まで温度が上がる対策としてチタンの薄板とセラミック繊維のメッシュで作られた特殊な多層断熱材を採用し白色に塗装されている。
さらにORSが使えない場所には通常の人工衛星に使われている「MLI(多層断熱材)」が使われているが、観測上の要求により探査機表面に絶縁物を出せないのでMLIの最外層には導電性のあるゲルマニウム蒸着ポリイミドフィルムが使われ、色も熱蓄積を少しでも防ぐために灰色に加工されている。
そして水星軌道で分離されるまではMPOと同じく3軸制御によって姿勢制御されているためスピン制御による姿勢制御をするつもりのMMOは同じ面を日照に晒すこととなる。このMMOにとっては不都合な状態から機体を守るためMPOと結合されている間は「MMOサンシールド(MOSIF)」というエリザベスカーラーみたいな形の大きな日傘でMMOを守り、MPOから切り離されるときにはMOSIFも切り離す。
磁場・磁気圏を観測するために、MMOには水星周辺の磁気圏の様々な現象を調べ得る「MPPE(プラズマ粒子観測装置)」「MGF(磁場観測装置)」「PWI(プラズマ波動・電場観測装置)」、水星上空の大気の様子を調べる「MSASI(大気分光撮像器)」、ほとんど未知の状態である太陽系最内縁の宇宙塵の状態を調べる「MDM(ダスト検出器)」が搭載されている。これで水星の“表面と中身を調べる”MPOに対し、MMOが“外の具合を調べる”ことで水星を複合的に調べる。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/esa_bepi/status/979328054815281152
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/esa_mtm/status/979327495441993728
水星に向かうには地球の公転速度を相殺しつつ、最も公転速度の速い水星を追跡できるだけの推進能力が求められる。これを生み出すのが電気推進モジュールMTMである。月フライバイで地球の重力圏を脱出した後、進行方向に向けてひたすらイオンエンジンを噴射する。本体にはイオンエンジンに電力を供給する巨大な太陽電池パネルがついている。
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最終更新:2024/12/10(火) 21:00
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