ベラミロードとは、1996年生まれの元競走馬・繁殖牝馬である。
抜群のスタートで栃木三冠を制して「北関東最後の女傑」と称えられ、中央や南関東に殴り込み、ついには地方年度代表馬をも手中にした快足娘。
主な勝ち鞍
1999年:栃木三冠[しもつけさつき賞(地方重賞)、北関東ダービー(地方重賞)、しもつけ菊花賞(地方重賞)]、しもつけ4才スプリンターズカップ(地方重賞)
2000年:東京盃(GII)、カネユタカオー記念(地方重賞)
2001年:TCK女王盃(GIII)
父はRibot系で、競走馬時代は1986年ジャパンカップで2着など。輸入された後はスーパーダートダービー覇者メイショウモトナリや朝日杯3歳S2着馬ヤマニンミラクルなどを輩出した個性派種牡馬。
しかし、特筆すべきは母ベラミスキーである。競走馬としては90年代前半の栃木最強馬カネユタカオーのライバルとして戦い、水沢の南部杯[1]でも「岩手の怪物」スイフトセイダイのライバルで「SG」と謳われたGの方・グレートホープに先着する2着などの実績を残した宇都宮競馬の名牝なのだが、1994年に引退して繁殖に入ってからも栃木との縁が深かった。
1995年に生まれたベラミロードの半兄イヴニングスキー(父サクラロータリー)は1998年に北関東ダービーを制覇し、その後も妹ベラミロードとともに北関東で活躍して重賞11勝を挙げた。さらには半弟のベラミチケット(父ウイニングチケット)やブリッジクリアー(父サクラチトセオー)が宇都宮競馬で重賞ウィナーになるなど、とにかく宇都宮の水が合った一族であった。
栃木血統ということもあり宇都宮で「ミスターピンク」「競馬のレースに出走する騎手」こと内田利雄騎手を背に旧3歳夏にデビュー。するとデビュー戦で3.0秒差の大差勝ちを皮切りに年末まで4連勝、明け旧4歳になってからも1戦して大差圧勝。ここまで無傷の5連勝で合計着差は44馬身という化け物ぶり。デビュー戦が中央認定競走だったこともあり、中央競馬の芝の重賞フラワーカップ(GIII)に出走を表明する。
不良馬場から先行し最後こそ馬群に飲み込まれたが6着に好走。しかし、ここで芝はきっぱりと諦め、栃木で強くなってから中央の馬と揉まれあう道を選んだ。
ただでさえ素質はあったが、ゲートが開くことに集中することを覚え、さらにフラワーカップでの経験を糧に強くなったベラミロード。栃木において敵はいなかった。栃木三冠初戦しもつけさつき賞は5馬身、古馬との対戦となったアマリリス特別は大差圧勝、北関東ダービーは9馬身差のレコードタイムで前年の兄イヴニングスキーとの2年連続兄妹制覇。文月特別では1996年の東京ダービー馬セントリック相手にレコード勝ち。しもつけ4才スプリンターズカップに至っては2着に3.3秒差を付ける大差のレコードタイムで、ダートに戻って5連勝レコード3連発とまとめて再び中央へ挑んだ。
選んだレースは当時の「3歳ダート3冠」の緒戦・ユニコーンステークス(GIII)。地元でとんでもない実績を引っ提げてきていたため、名古屋優駿とグランシャリオカップの勝ち馬で指定交流の春4歳ダート戦線で活躍していた中央所属のマイシーズンの2番人気に支持される。
レースではいつも通りの好スタートから逃げを打ち、道中1馬身ほどのリードを保ったまま直線へ。ここから後続を突き放して200mを切り、短い中山の直線でそのまま逃げ切ろうかというところ、外からゴールドティアラが強襲して差し切られてしまい2着。ダートでは初めての敗北を経験した。
なお、勝ったゴールドティアラは翌2000年に南部杯を制する馬だが、地味に10着には後にフェブラリーSを勝つことになる本格化前のノボトゥルーも出走していた。ちなみにゴールドティアラやノボトゥルーのほかにも、サウスヴィグラスやトーホウエンペラーらがこの世代。96年生まれ世代は芝でテイエムオペラオーやらメイショウドトウやらナリタトップロードやらが大暴れした世代として知られるが、ダートも充実度は高かった世代なのではないか。ハルウララとかもいるけど。
こうして中央挑戦に再び失敗したベラミロードは栃木に戻り、栃木三冠最終戦のしもつけ菊花賞に挑む。このしもつけ菊花賞は2600mと生涯最長の距離となり、やはり距離が合わなかったのもあったのか、ここでは後続に3馬身まで縮められたが快勝して見事6年ぶり3頭目、牝馬では史上初となる栃木三冠を達成した。この後古馬対決を1戦、そこを快勝してこの年を終える。
旧5歳初戦は重賞・八汐賞。ここまで栃木では負けなしということもあり1番人気に支持されたが兄のイヴニングスキーの2着に敗れてしまう。しかしこの次戦のカネユタカオー記念はイヴニングスキーが5着に沈むのを尻目に2着に6馬身つけてレコードタイムで快勝。
陣営はここで、芝への再挑戦として夏の福島競馬の吾妻小富士オープンに出走。3番人気に支持されるも4着。しかし中央勢に5馬身離された。
陣営は秋緒戦に東京盃(指定交流GII)を選択。このレースは1番人気には短距離戦線の名脇役・ワシントンカラーが推され、自身は2番人気。
レースではゲートが開いて1秒で2馬身とまでいわれる好スタートからハナを切って逃げ、直線に入っても伸びる伸びる。最後はセレクトグリーンに5馬身差つけて快勝。
この時ベラミロードが叩き出したタイムは、1980年にカオルダケが記録した1:10.2のレコードタイ。大井競馬場は1986年に砂が深くなって時計が出にくくなったことから、これ以前に記録されたレコードはことごとく「不滅」のものとなり、しかも当日は良馬場で時計が出にくいにも関わらず、この時計を、しかも栃木の馬が記録したことは歴史的快挙ともいえるものであった。なお、最後内田騎手は少し追うのを緩めているが、仮に最後まで追い続けていればレコード更新も狙えたといわれている[2]。
東京盃の次に向かったのは中央・東京競馬場のダート重賞・根岸ステークス(GIII)。何の縁か最大外16番枠で枠服も内田騎手おなじみのピンク色となったこのレース。東京盃同様の好スタートを決めて先行し、直線に向いた後もエイシンサンルイスやノボジャックといった中央勢には突き放されながらも懸命に粘り、同じく公営愛知からやってきたゴールデンチェリーと3着争いになろうかというところ、ある牝馬が大外から直線一気の脚で強襲。彼女がとんでもない脚で伝説になる陰で差し切られたベラミロードは4着でこの年を終える。
しかし、北関東という一段劣る地域を拠点にしながら、中央や南関東の馬相手の善戦を幾度となく繰り返し、特に東京盃レコードタイの功績が認められ、この年のNARグランプリ年度代表馬に選ばれた。
翌2001年、馬齢表記が変わって「新5歳」として迎えた初戦の特別を快勝し、続いて向かったTCK女王盃(GIII)を逃げ切って制覇、地方年度代表馬の威厳を見せつけた。
しかしここからは勝てなくなり、翌年のTCK女王盃でブービーで負けたのを最後に引退した。
繁殖としてはメイケイペガムーンが中央で勝ち上がった他は目ぼしい活躍馬はでていない。その後は2018年を最後に繁殖を引退して功労馬として暮らしていたが、2022年9月3日に26歳で老衰のため死亡した。
自らの本拠地・宇都宮競馬は経営不振や競馬場内に厩舎を置けず交通事故が多発していたことなどもあり2005年に廃止され、2020年には「カンセキスタジアムとちぎ」として競馬とは別の形の熱狂の場に変わった。相棒の内田利雄も帰る場所を無くした後期間限定騎乗で各地をさすらう騎手となったのち、2012年からは浦和競馬に腰を据えることとなった。内田は2021年に還暦を迎えたが未だ現役。同じく北関東競馬の廃止で帰る場所を失った矢野貴之や森泰斗と共に、南関東の地で戦っている。
*アレミロード Allez Milord 1983 鹿毛 |
Tom Rofle 1962 鹿毛 |
Ribot | Tenerani |
Romanella | |||
Pochahontas II | Roman | ||
How | |||
Why Me Lord 1974 黒鹿毛 |
Bold reasoning | Boldnesian | |
Reason to Earn | |||
Tomorrowland | Pappa Fourway | ||
Gleam | |||
ベラミスキー 1988 鹿毛 FNo.9-f |
*コリムスキー 1975 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Libro d Oro | Francis S. | ||
Exclusive | |||
ベラミスポート 1976 黒鹿毛 |
*パーソロン | Milesian | |
Paleo | |||
*エツヂオブイヴニング | Nashua | ||
Perimeter | |||
競走馬の4代血統表 |
「ベラミロード、いいダッシュ!いいダッシュ!一完歩二完歩ぐんぐんぐんぐん出ていきます!」
掲示板
1 ななしのよっしん
2022/01/03(月) 00:07:40 ID: RA6N54kkd9
記事立て乙です
正直ブロードアピールが勝った根岸ステークスで良いダッシュ決めた馬くらいの認識しかなかったけどそんな強い馬だったんですね
2 ななしのよっしん
2022/01/21(金) 21:40:31 ID: nns2maiDK4
記事立て乙です
ちゃんと競馬のレースに出走する騎手を拾っててすこ
3 ななしのよっしん
2023/12/11(月) 16:23:59 ID: JnFsceFLAS
ブライアンズロマンもオリオンザサンクスも今年逝ってしまった
長生きしてくれると嬉しい
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最終更新:2024/04/25(木) 15:00
最終更新:2024/04/25(木) 15:00
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