日本においてボクサーサウンドといえば、レガシィ、インプレッサ、フォレスター、更に遡ればレオーネ等の、水平対向エンジンを搭載したかつてのスバル車の代名詞ともいえる独特のサウンドを指すことが多い。
「ボボボボボ…」「ズドドドド…」など人によって表現は様々。
現在製造されるスバルのマシンにこのサウンドを求めることはできない。
なぜあんな特徴的な音が出るのかというと答えは簡単で、単にエキゾーストマニフォールド(以下、エキマニ)の長さが揃っていないためである。
水平対向エンジン、180度V型エンジンといった類はその構造上、他のエンジンに比べてエキマニの取り回しに苦労しやすく、結果的にどうしても一部のシリンダーから伸びる配管が他の配管よりも長くなってしまう。そのため、燃焼を終えたガスが排出される際に他のシリンダーから排出されたガスとが各シリンダーから伸びて集約されたエキマニの集合部でぶつかり互いに抵抗となる(これを排気干渉という)。
この干渉こそが、独特の「ボボボボ」という音の正体で、具体的に言うと、エキマニは4本or6本(各シリンダー毎のパイプ)→2本(初めの集合)→1本(タービンや触媒の直前)の順で集合する。その最後の1で干渉したときの音がコレ。エキマニの長さが揃っていなければいないほどこの音は大きくなる傾向にあり、当然ながら他のレシプロエンジンやディーゼルエンジンでも完全に長さが均一というわけではないので、厳密に言うと微かながら発生している。
要は、既存のレシプロエンジンを超える回転効率と低振動化を目指して設計した際、他の補器類を熱害で壊さないように、または機能をジャマしないようにエキマニを取り回した結果、偶発的に生まれた副産物といえる。
ボクサーサウンドとまで言われた理由を日本だけに焦点を当てた場合、とりわけスバルが開発したEA、EJ、EZエンジンが該当する。これらは当時の排ガス基準を合格するために触媒を大きくせざるを得なかった為、エキマニのとり回しが更に複雑になったので「ボクサーサウンド」=「スバル車の特徴」とまで言われるようになった所以となっている。
特にターボチャージャーを搭載したEAやEJエンジンでは、排気管の取り回しや触媒の制約が大きかったことから、ボクサーサウンドが目立つ傾向が強い。
排気抵抗が大きいということは、それだけエンジンが回りにくくなることへ直結するため出力が落ちてしまう。片方のシリンダーではスムーズに排気されても、他のシリンダーから排気されたガスがジャマをするので、双方の排気時期に差が生まれて必要以上の排気抵抗→出力の低下へと繋がってしまう。
この抵抗を減らすにはエキマニの長さを極力揃えられればいいのだが、そうなると、今度は上記にあるように排ガス規制を合格できなかったり、ファンが愛する排気音が消滅するといった面と向き合うことになる。
更に突き詰めていくと、排ガスはむやみやたらと抵抗なく排出できればよいと言うわけでもなく、適度に抵抗を残さないと低回転時にトルクを稼ぐことができず、スカスカになってしまう。クルマのチューンアップ初心者や、単に爆音目当てでマフラーを変えた人が「マフラー変えたら走り出すときにエンストしやすくなった」などと言った場合、まさに排気抵抗が小さくなり過ぎて下のトルクが無くなってしまった証拠といえる。
コレを人間に例えてみよう。
重いものを持ち上げたり、瞬間的に大きな力を使うような仕事をするときに息を止めて踏ん張るが、これは「呼吸」という排気を妨げて肺に空気を一時的に溜めることによって力を搾り出している。
この「息を止める」という事こそが排気抵抗と同じであり、エンジンも同様に、本来の出力を出すまでに大きな力を必要とする際には、それなりの抵抗が必要不可欠となる。
エンジンの構造を見直すことによって、それまで無駄に幅を利かせていた補器類をより小さく収めることができたほか、研究によって触媒の排ガスの浄化性能が向上したことによってエキマニのとり回しが、それまでのレシプロエンジン並みに均一にすることができ、排気抵抗を小さくできたことが挙げられる。スバルはこのエキマニを独自に「等長等爆エキゾースト」と呼び、低回転でのトルクを犠牲にすることなく更に向上させ、更に全回転域において、よりエンジンレスポンスを良くさせることに成功した。
スバルでは等長等爆エキゾーストを2000年代前半からインプレッサ、レガシィへと順次導入していき、ボクサーサウンドを鳴らすスバル車は急速に減少していった。
2010年代には、ボクサーサウンドが聴けるスバル車は不等長EJ25ターボを搭載する3代目インプレッサのWRX STI A-Line(GRF/GVF)、不等長EJ20ターボを搭載する3代目フォレスターのターボ車(SH5 XT)およびエクシーガのターボ車(YA5 2.0GT)のみとなった。
その3車種も、モデルチェンジ及びマイナーチェンジにより不等長ターボエンジンの搭載グレードがなくなったことから、現在、新車でボクサーサウンドが聴ける車種は存在しない。
だがやはり、「多少の性能低下は目を瞑るが、あの音は復活させて欲しい」と思うボクサーサウンド愛好家も少なからずいるはずである。
全てのスバル好きがこの音を好んでいるわけではなく、やはり「ドコドコうるさい」と忌み嫌う人もいるので、インプやレガシィに詳しい=音が好きと一括りにできないのが現実。
主な理由を挙げるとすれば、特徴的な音であることもさることながら、エキマニ→触媒→マフラーと、接続されるパイプの長さが災いして低音が非常に大きくなり、装着しているマフラー次第では、まさに全身が低音に叩きつけられるような不快な爆音と捉えられることもある。特に触媒の中身をくり貫いたりした直管フルエキのマシンは、その排気量と相まってかなりの轟音となる。
低音は指向性を持たないのでどこから聞こえてくるか分かりにくいこともあり、みんなが寝静まった深夜などにこのような音がすると、かなり耳障りであるため、周辺住民との余計な摩擦を避けるためにも、節度を守って楽しみたいものである。
今日の日本ではボクサーサウンドというと昔のスバル車の排気干渉音を指すことが多いが、海外や一部の日本人においてはボクサーサウンドというとポルシェの水平対向エンジンが奏でる甲高い音を指すこともある。車好き同士の会話の際には留意する必要があるかもしれない。
掲示板
18 ななしのよっしん
2017/12/10(日) 22:08:14 ID: 1ew9yxESEo
極端に言えば
都会に住んでたら駐車場代がバカにならないわ止めるどこないわ
渋滞しまくって動けへんわでクルマなんかいらなくね?
って言ってしまいかねないぞ?
欠点があるなら捨ててしまえの考えはただの大馬鹿野郎だ。
てめぇで勝手に効率のケツを追いかけていれば良い。
そのころに幸福はいづこへ行ってしまうが
19 ななしのよっしん
2018/01/21(日) 07:09:12 ID: icM3JOqFnb
自分も好きな類の人間だけど、嫌いは正義じゃないって事を
よく分かってないと思う。こっちは別に好きを押し付けるつもりもないし嫌いなら「ああ、おうか。そりゃ仕方ないよな」としか思わない。だけど嫌いを振りかざして価値観を他人に強要するのは
間違い出しされる覚えもない。こっちが好きを押し付けたなら
ともかくとして
20 ななしのよっしん
2018/11/04(日) 19:40:09 ID: jM6f5336RR
名探偵コナンでもこのサウンドから車種を特定するシーンがあったな
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/25(木) 07:00
最終更新:2024/04/25(木) 07:00
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