ボランは水素とホウ素の化合物のことである。化学式BmHnで表される。もっとも単純なモノボランBH3や、ジボランB2H6、B4H10、B5H11など多くの種類が存在する。
1912年にドイツ人のストックによってはじめて合成された。現在では、後述するヒドロホウ素化-酸化によるアルコールの合成やロケットの推進剤として利用されている。
この化合物の特徴としては、例外的にオクテット則を満たさないということが挙げられる。モノボラン及びジボランの電子式は以下のようになっている。モノボランではホウ素原子の周りに電子が6つしかなく、ジボランでは1つの水素原子が2つのホウ素原子と結合するという形になっている。このためボランは電子が不足しており、反応性が高い。
モノボラン | ジボラン |
モノボランは不安定な物質であり、実際は二量体のジボランとして存在する。ただし、ジボランは発火性がありかつ有毒な気体状物質であるため、扱いが難しい。基本的にはTHF(テトラヒドロフラン)のようなルイス塩基との錯体として市販されている。
ヒドロホウ素化はボランとアルケンまたはアルキンの付加反応である。不飽和結合部分の一方の炭素に-Hが付加し、他方に-BH2が付加する。この付加はシス付加である。
一般的に不飽和結合への付加反応はマルコフニコフ則に従う。しかしこの反応では例外的に逆マルコフニコフ型で進行する。
この反応の発見者であるハーバート・C・ブラウンは、ヒドロホウ素化を含む有機ホウ素化学を発展させた業績により、1979年にノーベル化学賞を受賞した。
ヒドロホウ素化-酸化は、ヒドロホウ素化した化合物に過酸化水素を作用させることで、アルコールを得る反応である。
実際には、赤線部分も同様にアルケンや過酸化水素と続けて反応する。
この反応は第1級アルコールを選択的に得る反応として非常に重要である。通常、アルケンやアルキンにH2Oを付加しようとすると、マルコフニコフ則に従って第2級、第3級アルコールが優先的に生成してしまう。しかし、この反応は逆マルコフニコフ則で進むため、第1級アルコールを得ることも可能である。
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最終更新:2023/03/26(日) 00:00
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