マクギリス・ファリドとは、TVアニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』に登場するチョコレートの人(命名:三日月・オーガス)である。
治安維持のための組織「ギャラルホルン」の監査局特務三佐で、「ギャラルホルン」を束ねる7つの家門「セブンスターズ」の一つであるファリド家の一員。
表向きには、同組織の地球本部・ヴィーンゴールヴの司令であるイズナリオ・ファリドの妾の子とされているが、実際には血のつながりは一切無い。真相については後述する。
洞察力に優れ、監査員としてはどんな不正も見逃さない優秀さを持つのみならず、モビルスーツパイロットとして優秀で、専用の青いシュヴァルベ・グレイズを与えられていることからその実力が高いことがうかがえる。かつてエイハブ・リアクターが戦乱を招いた原因であることや、阿頼耶識システムを知っていることから、厄祭戦の事も詳しい模様。
作中では宇宙に上がった鉄華団と初交戦。阿頼耶識システムの弱点を一発で見抜き的確に攻撃するなど、その洞察力と技量の高さを存分に見せつけ、阿頼耶識だけでなく対応力に優れた三日月ですら「他とは違う」と警戒したほどである。
性格は紳士的で、事故りそうになった時、相手の女の子(ビスケットの双子の妹)に詫びとしてお菓子の詰め合わせを渡す一面を持つ(ブルーレイディスク2巻のおまけ漫画によると自分用のだったらしい)。
同僚のガエリオ・ボードウィンとは親友の間柄で、序盤から行動を共にしている。共にセブンスターズの家に籍を置いており、義父との微妙な関係に「顔を見せずに済むならそれに越したことはない」と言葉を投げかけられるなど、ギャラルホルンにおいてマクギリスの貴重な理解者でもある。
また、そのガエリオの妹アルミリア・ボードウィン(9歳)と婚約の話が持ち上がっている。彼女からは「マッキー」と呼ばれ親しまれている。
(前述の事故の件といい、幼い許婚の件といい、ロリコン疑惑がかけられないといいが…現状は彼が紳士的なので特に不名誉な扱いはされない)
ちなみに、同じくセブンスターズのカルタ・イシューは、ガエリオとの通信で捻くれた感じでマクギリスを言い表している。マクギリスは先述の通りアルミリアと婚約しており、彼女の部下が全員マクギリス同様の金髪碧眼なので、おそらく・・・。
「金髪の、高慢ちきな、地位のためにションベン臭い子供なんぞと婚約したッ!
いっつもッ! 前髪イジイジしている男ッ!!」
作中では、地球にて鉄華団の情報を持ってカルタと接触し口説き文句を垂れる。しかし・・・。
監査のためにやってきた火星で前述の事故により鉄華団の三日月・オーガスと遭遇、彼とはここから浅からぬ因縁を持つことになる。
先述のお菓子の詰め合わせがチョコレートだったことから、三日月からは「チョコレートの人」という仇名をつけられている。とはいえ、ガエリオがもっとあまりに酷い「チョコレートの隣の人」と名付けられているため、まだ扱いはいい方である。
ギャラルホルン内で水面下で動いていた彼だが、ギャラルホルンの腐敗については以前から懸念していたらしく、クーデリア・藍那・バーンスタインや鉄華団を組織変革のための外圧として利用しようとしているようだ。
しかしそのためなら手段を選ばず、非合法な海賊組織ブルワーズに依頼をするなど、鉄華団にとっての脅威となり続けている。
・・・と、このように紳士的なイケメンとして隙なく描かれてきた彼だったが、web版14話で放映された15話次回予告にて盛大なネタバレと迷言を打ち放ち、一転してネタキャラと化した。その内容からか、実際にテレビで放映された15話次回予告はかなりの部分がばっさりカットされている。
仮面の男? チョコレート仮面? 知らない。第2期OPでも別々に映ってたし別の人でしょ。
しかし、負傷したアイン・ダルトンの扱いに対してガエリオに「真の阿頼耶識」を提案したり、鉄華団追走を希望するカルタを焚きつけたり、さらには親友のガエリオに裏切りを宣言した上で、人知れず自ら討ち取るなど、水面下で不気味なくらいの暗躍を重ねている。
彼の真意とは何なのだろうか。本当にギャラルホルンの腐敗を懸念しているのだろうか。
ただ一つ言えることは、その笑顔の下に底知れない何かを持っているということだけである。
実のところ、マクギリスは「腐敗したギャラルホルンを改革する」という己の野望を果たすために周到な計画を立てており、敵である鉄華団、友人であったカルタ、ガエリオ、アルミリア、重傷を負ったアインさえも利用して、ギャラルホルンの権威の失墜と、セブンスターズ内での地位確立を目論んでいた。
第一期においてマクギリスがそれぞれに割り振った役割は、それぞれ次のようなものである。
・鉄華団→ギャラルホルンを失墜させる立役者にして、マクギリスの障害となる者を抹殺する手駒。そのためにわざわざ正体を隠し(モロバレだったが)「モンターク商会」を名乗り、物資の補給、援軍まで務め上げた。後に代表のオルガを火星の王にする事を約束しており、クーデターの際は武力制圧を手伝って貰っている。
・ガエリオ→彼の純粋な正義感をうまく利用して説得し、アインの上官として阿頼耶識システムの手術を行う決断をさせた。その後、自らの手で真相を話し、絶望の淵に叩き込んで討ち取り、ボードウィン家の乗っ取りを画策。次期当主たるガエリオを亡き者にしたと思い込んでいたマクギリスは、彼の父であるガルス・ボードウィン卿が亡くなり次第、ボードウィン家は自動的に娘婿の自分が継ぐことになると確信していた。しかしヴィーンゴールヴでガエリオの生存が判明した事により、その前提から覆ることに。
・アルミリア→上記の通り、ボードウィン家乗っ取りのための布石。
・カルタ→セブンスターズの第一席であるイシュー家を事実上乗っ取るために、唯一の跡取りであるカルタを鉄華団とぶつけ、戦死させた。カルタの父は重病のためにまともに当主の仕事が出来ず(第26話のセブンスターズの会議でも、イシュー家の席だけが空席だった)、ファリド家がカルタの後見人になることで辛うじて家を維持できていた。そのファリド家の当主・イズナリオもマクギリスの計画で失脚させられ、カルタも死んだため、イシュー家の後見人の座はイズナリオの息子であるマクギリスが就くことになる。
・アイン→ギャラルホルン自ら「人体改造は悪」という風潮を広めておきながら、実際には阿頼耶識システムの研究を続け、人体改造を容認していたという事実を明確に表す生きた証拠として「グレイズ・アイン」という化け物にさせた。これによって、ギャラルホルンが守るべき市街地で、当のギャラルホルンのMSが大暴れするという状況すら作り出し、一気に権威を失墜させた。これは、後に自身がガンダム・バエルを手に入れた時のために必要となる「成人への阿頼耶識システム増設手術」を行った場合のデータ取りを兼ねており、このデータを元に自身への阿頼耶識システム増設手術を、より確実かつ安全に行うことに成功した。
2期(26話~)ではファリド家当主でありカルタ・イシューの戦死後、空席になっていた地球外縁軌道統制統合艦隊の司令に就任。新たに石動・カミーチェを部下に加え、階級も特務三佐→准将に昇進している。若輩とはいえセブンスターズのイシュー家の後見人であり、ボードウィン家の娘婿という立場はギャラルホルン内部でも一目置かれ、その発言力の強さを活かし「お飾り」とも言われていた同艦隊の組織改革を実施して実戦的な部隊に仕立て直し、主力機体であるグレイズリッターの更新を行うなど精力的に活動している。
だが、その活動がセブンスターズの他の領域を犯す側面を持っているため、火星圏を含む地球圏外圏での治安維持が主任務である月外縁軌道統合艦隊「アリアンロッド」との摩擦が顕在化している。アリアンロッド司令官ラスタル・エリオンを始め、ギャラルホルン内部からも鉄華団との協力体制が疑われており(事実ではあるが)、その地盤は決して盤石とは言えない。
後に、宇宙海賊「夜明けの地平線団」討伐後、組織として大きくなった鉄華団と協力体制を敷く。
しかしラスタルの手の者であるガラン・モッサと、外部から鉄華団に監査役として出向していたラディーチェ・リロトの結託により彼の立場が脅かされかねない紛争が発生。彼自身が出撃する羽目になるも、ガランの手により鉄華団地球支部と潰し合いをさせられてしまうこととなり、結果的にアストン・アルトランドの命を奪ってしまうことになる。しかし彼は地球支部の人間に対し出来うる限り戦闘を避けるための行動は取っており、「やむを得ず」という言葉が正しい状況下であったためか、鉄華団との摩擦は最小限に抑えられているようだ。
戦闘後、命の恩人である三日月に対しチョコレートを贈り、団長のオルガに対しても自ら礼を言いに訪れ、今後の協力体制の維持を願うと同時に、その見返りとして「自分がギャラルホルンの長となったあかつきには、ギャラルホルン火星支部が持っている権限を鉄華団に全て譲り渡す」という破格の報酬を提示した。
第34話では、彼の目的の断片が語られた。「卑しい身分」の生まれであった彼は世界に絶望感を持っていたが、ギャラルホルンの創始者「アグニカ・カイエル」の伝記を読んだことでその思想に感銘を受け、生まれも身分も関係なく誰もが平等に競い合える社会を築くという夢を持つ。そのためにギャラルホルンの頂点に立つことを目指し、あるモノを手に入れることを最終目標とする。
イズナリオに引き取られる以前の彼は、身よりもなくホームレス同然の生活を送っており、そのために「力こそが全て」と考えるようになっていた。後にイズナリオに男娼として引き取られてからも、同じような目的で引き取られてきた他の養子たちに暴力を振るう、または振るわれ、体には常にアザが出来ていた。そんな中でアグニカ・カイエルの伝記を読み、あらゆる種類の力を手に入れるためにギャラルホルンのトップに立つという目標を掲げ、そのための努力を惜しまぬようになり、その努力と才能を買ったイズナリオによって後継者として認められる。それと同時に、他人を利用し、切り捨てることをためらわない性格が醸成された。
その本質は大人になっても変わっておらず、後にガエリオから「普通の人間が尊いと感じるものはお前には届かない」「力に変換できるものしか信じていない」と評されている。
幼い頃のガエリオとカルタが初めて見たマクギリスの姿は、ガエリオ曰く「ばっちい」身なりであったという。前述の事情により、ガエリオたちと知り合うまでは基本的に友人が居ないぼっちであり、自分もその境遇を受け入れていた。事実、カルタが最初に声をかけたときにも彼女の執事が「そいつは私達と違います」と言うなどあからさまな差別を受けており、マクギリス自身も「僕みたいなのと遊ばないほうが良いですよ」と自ら切り出している。そのマクギリスにカルタ・イシューは一目惚れしたわけだが。
後にアリアンロッド艦隊の司令官となるラスタル・エリオンとも子供時代に面識があり、イズナリオによって彼の屋敷に連れて来られ、父を待つ間1人で本を読んでいた時に声をかけられている。その時に「つまらなそうだな。何か欲しいものがあれば持ってこさせよう」というラスタルに対して「…バエル」と一言だけ答え、ラスタルから「子供の口からその名前が出るとはな」と驚かれている。この「バエル」については後述する。
その後、紆余曲折を経てガエリオとカルタとは友人になるが、カルタのことは表面上は友人付き合いをしつつも内心ではそう思っておらず、前述するように鉄華団と潰し合わせて謀殺している。また、ガエリオに対しても「お前は私の生涯でただ1人の友人だったよ」と独白しつつも、最終的には討ち取っている。その後の彼は「私に友人は1人も居ない」と宣言し、再び孤独な道を歩み出している。
マクギリスは周到にギャラルホルンの腐敗の証拠をつかみ、それと同時に現状のギャラルホルンを打倒して革命を成すために同志を集め続け、テイワズから離脱した鉄華団との合流を果たしたのを機に、ついにクーデターを起こして動き出す。手始めにギャラルホルン本部施設であるヴィーンゴールヴを武力で制圧すると、その地下にある秘密格納庫に足を踏み入れる。
そこには彼が長年探し求めた、ガンダム・フレーム1号機…ガンダム・バエルが眠っていた。
後を追ってきたヴィダールことガエリオ・ボードウィンを三日月に任せると、彼はバエルのコクピットに入り、上半身の服を脱ぐ。その背中には阿頼耶識システムのコネクターが増設されていた。
バエルを起動させたマクギリスは高らかに宣言する。
「ギャラルホルンを名乗る身ならば、このモビルスーツがどのような意味を持つかは理解できるだろう! ギャラルホルンにおいて、バエルを操る者こそが唯一絶対の力を持ち、その頂点に立つ! 席次も思想も関係なく、従わねばならないのだ。アグニカ・カイエルの魂に!!」
と。彼の最終目的とは、名実共にギャラルホルンのトップに立つために、創始者であるアグニカ・カイエルの魂が眠るガンダム・バエルを手に入れることだったのだ。
―――が。
と、バエルを手に入れてから彼は悲惨な道を転がり続けている。それでも涼し気な表情を崩さない彼の真意は、果たしてどこにあるのだろうか。
もはや勝ち目を失ったマクギリスは、残った部下を全員逃がし、ガンダム・バエルに乗り込み1人で突撃。ラスタルを単騎で討ち取ることで、組織の力ではなく、研ぎ澄まされた純粋な1人の力で世界を変えられることを証明しようとした。それを防がんとするガエリオとの壮絶な一騎討ちの末に敗北して重傷を負い、それでも諦めきれずにバエルを降りてラスタルの座乗艦に潜入し、彼を銃殺しようとする。
だが、その行動を読んでいたガエリオに銃で撃たれ致命傷を負い、完全に野望を絶たれてしまった。
今際の際にガエリオに詰め寄られたマクギリスは、ガエリオやカルタに本当の友情を持っていたが、それを否定しなければ今まで抱いてきた自分の思いを見失ってしまいそうで、あえて友達ではないふりをしたこと、アルミリアのことも野望の道具としてではなく本心から愛しており、第一期の最終決戦でガエリオに言い放った「アルミリアの幸せは保証しよう」という言葉を現実にしたかったことを打ち明ける。そんなマクギリスの想いを聞いたガエリオは無意識に涙し、最後にマクギリスが何か言おうとしているのを遮り
「言うな! 言わないでくれ…お前が言おうとしている言葉が俺の想像通りなら…言えば、俺は許してしまうかもしれない…だから言わないでくれ。カルタのために、アインのために…俺はお前を…!」
と、敵意と友情の間で葛藤していることを訴える。それを聞いたマクギリスは、ガエリオに看取られ静かに事切れた。
死後、マクギリスの起こした一連の騒動は「マクギリス・ファリド事件」として記録され、同時に後継者を失ったセブンスターズの消滅により、ラスタル・エリオン主導の下でギャラルホルンの改革・火星支部の縮小による火星圏の独立など、世界に大きな転換を与えるほどの影響を遺した。
作中で作り上げた阿頼耶識システムによってバエルを動かすマクギリス。
この阿頼耶識は軍事組織や海賊組織などでヒューマンデブリ達に施術していた粗悪品とは異なり、厄祭戦時代のものを再現した代物、俗にいえば「完全版」である。
・・・いや、やはりやめておこう
掲示板
3863 ななしのよっしん
2024/02/11(日) 04:48:55 ID: PODbTTU48T
イズナリオが選挙の場に現れて癒着を糾弾されて失脚したが、
マクギリスも鉄華団の採掘場に公務でも私服でのこのこ現れた現場を押さえられたのを契機に転げ落ちていく羽目に陥る
軽蔑していた義父の二の跌踏むのが、バエルの権威に縋って悪い意味で旧態依然のギャラルホルンの有り様に染まってるマクギリスらしいムーブ
3864 ななしのよっしん
2024/02/16(金) 09:10:36 ID: 2xRhJ3J+lS
>>3863
というか、自分がここまでやれてるのは「ファリド家の跡取りだから」って前提がある事実から無意識レベルで目を背けてたと思う
本質的にルサンチマンで平等を謳いながら生まれの身分にこだわってるから
革命を成したとしても実質的に富裕層や既得権益層を弾圧するポル・ポトみたいな事になってたんじゃねぇかなぁ?
3865 ななしのよっしん
2024/03/22(金) 10:06:36 ID: riyC/f+Jgi
名瀬が「(オルガは)何でもいいから早く上がって楽になりたい」破滅願望があると指摘していたけど、マクギリスにも似たような節があったと思わせる結末だった
第1期で見せた慎重さや大胆さが第2期で消えたのは計画の目的が「どうせ死ぬならバエルに乗って死にたい」という遠回りな自殺にあって、鉄華団に惹かれたのはその無鉄砲さにマクギリス自身の破滅願望を重ねていたからだと考えると納得がいく
(もっともオルガは「進み続けろ」と言って破滅願望と決別している)
バエル奪取後の善後策をなぜ練らなかったのか?と最初は疑問に思ったけど、そもそも練る必要がなかったんだな
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/24(水) 20:00
最終更新:2024/04/24(水) 20:00
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