マグニチュードは1増えると32倍なので2増えると当然1024倍単語

マグニチュードハイチフエルトサンジュウニバイナノデニフエルトトウゼンセンニジュウヨンバイ

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マグニチュードは1増えると32倍なので2増えると当然1024倍とは、とある高校地学教師の発言である。

概要

ハッシュタグが生まれた経緯

Twitterハッシュタグ#マグニチュードは1増えると32倍なので2増えると当然1024倍exit」を検索するとネタとしての扱われ方がわかるであろう。

元ネタはとある高校地学教師の授業中の発言で、その授業を受けていた地学オリンピック参加者がハッシュタグを作ってつぶやき、地学オリンピック参加者の間で内輪ネタとなったものがその外部にも広まった、という経緯らしい。

教師「マグニチュードは1増えると32倍なので2増えると当然1024倍」
生徒1000倍ですよ~」
教師1024倍だよ」
生徒1000倍ですよ~」
教師1024倍だろ」
別の生徒理系教師なのに対数の計算もできんのかワレェ教員やめろこれまで何勉強してきたんじゃ」

――発端となったツイートexit(ただし生徒名の部分のみ「生徒」「別の生徒」に置換)

ここまでの説明だと高校の授業内でのローカルネタのようにも見受けられるが、建築会社の奥村組exitや、地方自治体加古川市exit呉市exit、さらには検定試験を称する科学検定exitに至るまで、幅広い分野において「1024倍」という記載を確認できることから、ローカルネタではないことがわかる。

「1000倍」が正解になる理由

地震が発するエネルギー E [J] からマグニチュード M をめる式は下記の通り。

log10E = 4.8 + 1.5M

この式から、マグニチュードが1増えると地震エネルギー1010 = 31.62...倍 、2増えると (1010)2 = 1000 となる。

「1024倍」という数値が導かれる理由

マグニチュードが1増えるとエネルギーが約32倍」と中途半端に覚えてしまうと、マグニチュードが2増えた場合のエネルギーを計算する際に 322 = 1024 という誤った数値を導いてしまう。

もう少し大雑把に「1増えると約30倍」と覚えた場合は 302 = 900倍 となる。この「900倍」という数値も、1024倍と同様にいくつかの記載が見られる。

2の累乗で 32 = 25, 1024 = 210 と表されるキリのよい数であることも、この誤解を招く理由の一つであろう。それっぽく「0.2増えると2倍だから1増えると 25 = 32倍」と考えることもできる(論間違いである。正確には0.2増えると1.99526...倍)。

ちなみに、1増えると32倍なので2増えると64倍だとする誤答もあるが、これに関しては「マグニチュード1→2と変化し、さらに2→3と変化した場合」と「1→3と変化した場合」の2つを較すれば容易に間違いであることがわかるだろう。

「1024倍」でも実用上は問題ない理由

通常、マグニチュード小数1位まで発表されるため、例えばM5.0と発表されたら「M4.95M5.05」の範囲内にあると考えられる。つまり、同じマグニチュードが発表された地震でもエネルギーには約1.4倍の開きがあり、マグニチュードが1増えると20〜45倍くらい、2増えると700〜1400倍くらいという程度の見積もりしかできない。巨大な地球を前にすれば、1024倍も900倍も細な誤差の範囲というわけである。

もっとも、地球上に四方八方に拡散される地震エネルギーを正確に見積もる方法はなく、計算式や地震観測網の違いにより微妙に異なるマグニチュードが算出されるため、これ以上桁数を増やしてもあまり意味がない。

これを踏まえると、より正しく表現するなら「マグニチュードは1増えるとだいたい30倍、2増えるとだいたい1000」程度が適切だと言えるだろう。

とはいえ

ハッシュタグ元ネタになった高校教師のように「定義に沿って算出した値である1000倍を誤答扱いにし、正解は当然1024倍だとして譲らない」行為が言断であることに変わりはないことを補足しておく。

地学教育への警鐘

本記事初版では、このフレーズ地学教育の現状を結びつけるような記載が行われていた。しかし、教師が自らの誤りを認めずに譲らない事例については、物理化学などの他分野、また英語数学などの他教科でも広く散見される。ゆえに、表題の事例の原因に地学特有の事情が関係していたとは断定できない地学教育の現状と教師の質はいずれも問題視されるべきではあるが、あくまで分けて考える必要があるといえる。

そもそもこのフレーズネタにされるようになったのは、その教科のプロであるはずの理科教師ですら堂々と間違えたという事実であり、このことは日本における地学教育を軽視する潮に警鐘を鳴らしているとも言える。

ご存知のように日本地震台風火山噴火などさまざまな自然災害に毎年のように襲われており、これらの災害から生き抜くためにはもちろん、日常生活で諸現に対応するためにも地学の知識が諸外以上に必要とされている。しかし現実には高校地学を教えている学校はわずか363校しかなく出典exit)、受験で利用できる大学も限られている。さらに具体的なデータを挙げると、センター試験において地学基礎の選択者の割合は全体の15.3%地学選択者に至ってはわずか0.5%平成31年度。出典exit)という驚異的な数字を叩きだしている。

このような環境であるため、地学を学ぶ必要がない=地学はそこまで重要ではないという意識が潜在的に根づき、そのせいで地学を専攻する学生が減り地学教育者も減少、という負のスパイラルに陥っている。

現代社会において地学知識の欠如から様々な誤解・虚報を投げかけそれを信用しまう人が散見されるが、このような人が現れるのも地学教育に原因が全くないと言い切れない。このフレーズをきっかけに地学教育の現状が周知され、そこから見直しが進み状況が好転し、少なくとも物理化学生物に近いレベルまで基礎的な知識が民に定着することを願うばかりである。

ちなみに

マグニチュード」を発案したリヒターの論文[1]では、一次式ではなく以下のような二次式を用いるとより正確な値が得られると記されている。[2]

log10E = 2.4 + 2.14M – 0.054M2

この式をもとに計算した場合、マグニチュードが1増えた際に E が増加する割合はもとのマグニチュードの値によって以下のように変化し、 E が 31.62... 倍になるのは M ≒ 5.43→6.43 の場合に限られることがわかる。これは頻度でいうと日本に約10回発生する程度の大きさの地震に相当する。

M の変化 1→2 2→3 3→4 4→5 5→6 6→7 7→8 8→9
E の変化 95 74倍 58 45倍 35倍 27倍 21倍 17倍

ただし、この二次式は「リヒターマグニチュード」において適用できるものであり、現在際的に使用されている「モーメントマグニチュード」や、日本で使用されている「気象庁マグニチュード」に適用できるものではない(そもそもこれらは二次式ではなく上述の一次式を満たすように良が重ねられたものである)。

故に、この二次式を持ち出して「マグニチュードが1増えると約32倍になるという前提も『当然』ではない」と論ずるのは不適切だといえる。

関連項目

外部リンク

脚注

  1. *Gutenberg, B., Richter, C. F. (1956) Earthquake magnitude, intensity, energy, and acceleration (Second paper), Bull. Seism. Soc. Am., 46, 105145.
  2. *元の論文ではエネルギー単位エルグを用いていたが、本記事ではジュールになるよう補正してある。
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掲示板

  • 179ななしのよっしん

    2021/07/30(金) 16:58:07 ID: OHOAHn0wQ/

    なるほどわからん

  • 180ななしのよっしん

    2021/07/30(金) 18:46:26 ID: T15pVKF8Qf

    バイトとビットの換算と同じやろ

    諸説とかそういう話ではなく

  • 181ななしのよっしん

    2021/08/02(月) 12:32:17 ID: XAr9hH5x+A

    ある学問分野内での原理的決まり事は他に解があり得ないんだけど
    学問分野と複数の非学問的分野を並べて「諸説ありすぎ」と言う人もいる
    中には不完全性定理とかを持ち出して、世の中に確実な原理などなくみんな「バラバラ」だと言う人さえいる

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