マタンゴとは、
である。ここでは主に、1.について記す。
1963年公開。
「美女と液体人間」などの、特撮サスペンス『変身人間シリーズ』の番外編的扱い。
ウィリアム・H・ホジスンの海洋怪奇小説『夜の声』を原案としており、ヨットで無人島に行き着いた人々が、
食欲と性欲に苛まれながら、一人また一人と怪キノコ『マタンゴ』の誘惑に負けていく姿を描く。
ノワール映画・怪奇映画として評価の高い『変身人間シリーズ』の系譜に属することもあって、怪奇性や淫靡さに満ちた作品。特撮映画ではあるものの、キノコの怪物の恐怖よりも、荒んで行く人間関係が中心的に描かれる。
2008年には吉村達也による続編小説『マタンゴ 最後の逆襲』も発売された。映画本編から50年後を舞台に、再び若者達に襲い掛かるマタンゴの恐怖、そして戦慄の真実と結末が描かれる。
「みんな僕をキチガイだと思ってるんです。でも僕はキチガイじゃありません」
「しかし僕の話を聞いたら、あなたもまた僕のことをキチガイだと思うでしょうね」
都内のある病院の一室で、若者はそう言って、自らの経験を回想した。
彼を含む7人の男女が、ヨットで旅に出た。
大学教授、社長、歌手、推理作家など、社会で一定の成功を収めた者と、その部下や恋人達であった。
船は暴風雨に遭遇した。マストは折れ、無線は故障し、潮の流れに従ってただ南へと漂流するのみとなった。水や食料は尽き果て、彼らは次第に荒んでいった。
しばらく経ったある日、彼らは深い霧の中に島を見つけた。喜んで上陸したはいいが、霧が漂うばかりで人がいる気配はなかった。
しかしやがて彼らは、人の足跡らしきものを発見した。それを辿った先には、島に打ち上げられた難破船があった。
すこしばかりの缶詰が残されている。だが、人々の姿はなく、死体すらも一切残っていない。
食料を残したままで、乗組員達は消えたのだろうか。
7人は不思議に思いつつも食料を貪り、腹を満たした。
しばらくすると、結局また飢餓に襲われた。
食料を求めて7人は島をさまよう。
謎の無人島に生息するキノコ。
その名前は、ツチグリ(食用)の東北での呼び名「ママダンゴ」から。
食べた者の体に異変を起こしてマタンゴにしてしまうという恐ろしい性質を持つキノコ。
麻薬的な効能を持っており、食べた者には、気分の高揚や幻覚などの症状が出てくる。
また、島にたどり着く生物がすべからく空腹であるためか、それとも元来のものかはわからないが、非常に美味であるらしく、たとえその恐ろしい代償を知っていても、一度食べると止められなくなる。
熱と光に弱く、じめじめした暗いところを好む。
これは、マタンゴを食べて変貌した人間も同様。
マタンゴを食べた人間は、体がキノコのように変貌するものの、人型を保ち、歩行などが出来る。
若干の知能が残っているものの、人間らしい行動はとらない。
最初は顔の面影も残っているものの、やがてキノコに手足が生えただけのような姿と化す。主人公達より先にマタンゴの誘惑に負けた難破船の乗組員達は、高さ2.5mの、文字通りのキノコの化物と化していた。
不気味で甲高い鳴き声(後年、『ウルトラQ』のケムール人や『ウルトラマン』のバルタン星人に流用)を上げる。
仲間を増やすことに貪欲で、マタンゴを食べた人間達は、他の人間にもマタンゴを食べさせようとしてくる。
変貌する前の状態では、恋人や友人に甘い言葉をかけて引き込もうとするほか、怪人と化した状態では力づくで生物を拉致して食べさせようとする。
また、マタンゴのいる無人島にはマタンゴ以外に一切食料がなく、鳥達も近づかないため、漂着した生物は、脱出しない限りは、マタンゴを食すか死ぬかの二択を迫られる。
変身途上のマタンゴを演じたのは、後に『仮面ライダー』で死神博士役を演じる天本英世。怪物と化したマタンゴのうち一体は、『ゴジラ』シリーズで長年ゴジラのスーツアクターを務めた中島春雄が演じている。
ちなみに、登場人物がマタンゴを食べるシーンで使われていたのは、上新粉と食紅でそれっぽく作られたお菓子である。
そのままでは無味な代物だったそうだが、味気ないからと砂糖をまぶしたところ、今度は美味く仕上がりすぎて、つまみ食いする役者やスタッフが出てきたらしい。
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最終更新:2024/04/19(金) 21:00
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