マダラトビエイとは、トビエイ科マダラトビエイ属に属するエイの一種である。
学名はAetobatus narinari。…だとされてきたが、近年は大西洋のみで見られる種をA. narinari、東太平洋で見られる種をA. laticeps、インド洋・西太平洋で見られる種をA. ocellatusと3種に分け、その中で日本で見られる種であるA. ocellatusを改めてマダラトビエイとする説が有力。
翼のような胸ビレや、クチバシのような鼻先から「鳶(トビ)エイ」と名付けられた。全世界の熱帯・温帯の浅い海に生息し、日本近海にも現れる…が、準絶滅危惧種でもある。
主な食べ物は海底の貝類・甲殻類など。主な天敵はサメ。大きな胸ビレは最大で幅3mにもなると言うが、普通は1mを超える程度。
泳ぎ方や模様が美しく、それでいて顔付きや仕草がひょうきんであり、更に飼育方法も確立しているため、飼育展示を行っている水族館も少なくない。ダイバーにも人気。
以下、マダラトビエイの体や生態について詳述する。
エイと言えばここ、胸ビレ。輪郭は三角形を基調として微妙な曲線を描き、鳥の翼と同じ羽ばたきの原理で推力を生み出す。ゆったりと胸鰭全体を動かし、羽ばたくように泳ぐ姿はとても滑らかで、優雅である。また、羽ばたきをやめて滑空の原理で海底に滑り降りることも。
野生では水上に飛び出すこともあるが、水族館ではそのようなことはない。驚いた時などはかなり速く泳げる。旋回もうまくこなす。
こうした泳ぎ方をする生き物には他にペンギン、ウミガメなどがいる。
胴体と胸鰭の背中側全体が茶色~濃紺で、胸鰭には小さな白い水玉が並んでいる。マダラトビエイの「マダラ」とは、この水玉を指す。
この水玉には大きな個体差があり、濃いものや薄いもの、後頭部まであるものや鰭の後ろの方にしかないものと様々。
腹側は白いが、胸鰭の先端近くだけ少しまだら模様があるものもいる。
ものすごいしゃくれ顎と勘違いする人もいるが、口については後述。
普段は尖った形をしており、何やら上面の両サイドに溝のような部分がある。海底の餌を探す時はこの溝が左右に広がり、「頭鰭」と呼ばれる丸く平たい部分が現れる。これはサメの鼻先と同じく感覚器官で、砂に隠れた餌を察知しつつ砂を掘ることができる。水族館でも水槽の底の砂を調べていることがある。
エイの例にもれず腹側にあり、モナー( ´∀`)のような顔つきをしている。普段は呼吸のためフガフガ動いている。それもまた可愛い。
一見ひょうきんだが、歯と顎は非常に頑丈で、ウチムラサキガイ(食材としては大アサリと呼ばれる)という、子供の握り拳ほどもある大きな二枚貝を噛み砕くことができる。この顎で貝や甲殻類の殻を砕き、中身を食べる。
歯は左右が組み合わさった平たい棒状のものがさらに前後で組み合わさり、上下それぞれが分厚い板と化している。古くなると一つひとつ生え変わる。
鰓孔は胸鰭の腋に5対並んでいる。噴水孔とは軟骨魚類によくあるもので、目の後ろにある。口ですり潰した殻や餌の粉末がこれらから漏れ出て、それを狙う小魚が食事中のマダラトビエイを追いかけて群れを成すこともある。
左右に少し出っ張った部分にある。瞳孔は縦長で、タレ目にもサメのような冷たい眼差しにも見える。
ふっくらと丸みを帯びた流線型で、アカエイやマンタと比べると胸鰭との区別がはっきりしている。
お腹はもちもちと柔らかそうだが、水族館のタッチプールに入ることも、そこで腹側を見せてくれることもありえないだろう。
小さな腹鰭と、さらにずっと小さい背鰭が胸鰭の後ろにある。泳ぎを安定させるのに役に立っていると思われる。また腹鰭はブレーキや、飛行機の補助翼のように体を傾けるのに使っているようだ。
背鰭の後ろ、尻尾の付け根にある。基本的に自己防衛にしか用いられないが同種をひどく傷付ける場合もあり、人間の死亡例もある。
体の何倍もの長さになることもある、大変細長い尻尾。これも泳ぎを安定させるのに役立っていると思われ、尾の長い個体が旋回すると優美な曲線を描く。
水族館では短く切れた個体や途中で曲がった個体も多い。どうも新しい水族館より古い水族館のほうが尾の長いマダラトビエイがいることが多いように思われる。
オスは腹鰭の付け根に交接器という生殖器官が1対あり、これで雌雄が見分けられる。軟骨魚類にはよくあることだが交尾による体内受精を行い、また卵胎生で、1年かけて最大4尾の親と同じ姿の子供を産む。妊娠時は背中が膨らむ。
繁殖に成功している水族館もいくつかある。国内で初めて繁殖に成功したのは美ら海水族館である。
オランダのバーガーズ動物園で、マダラトビエイ(もしくはその近縁種)が単為生殖を行ったことがDNA鑑定で明らかになった。エイとしては初めてのことである。Facebookの記事
複数の個体が並んで泳ぐことがある。水族館でも複数飼育していれば見られる行動だが、野生では大群を成すこともある。実はこの群れは、先頭がメスで後ろのその他大勢がオスという組み合わせになっていて、交尾するために大勢でメスを追っかけているだけである。
本来臆病な性質のはずなのだが、水族館ではダイバーが餌をくれるということを覚えさせ、1尾ずつ手渡しで確実に餌を与えることができる。すっかり慣れたマダラトビエイはダイバーに向かって我先に群がり、鼻先をぐいぐいと押し付ける。
ただしペンギンやイルカと違って、水槽の外の来館者に対して好奇心を発揮することはないようだ。
同じトビエイ科マダラトビエイ属に「ナルトビエイ」がいる。背中は茶色一色で、マダラトビエイと比べて小柄。瀬戸内海や有明海では大群でアサリを食い荒らすので漁業上は嫌われるが、こちらも飼育している水族館がいくつかある。
トビエイ属の「トビエイ」はかなり小さく、マダラトビエイ属の子供と勘違いされることがある。鼻先は丸くて短く、マダラトビエイ属と比べると水底に留まることが多い。
「ウシバナトビエイ」は鼻先が四角くて段差がなく、のっぺりとした形をしている。頭鰭がエの字型に下に向かって広がるのが特徴。 マンタ(イトマキエイ)もトビエイ科に含まれる。
エプソン品川、海遊館、和歌山、海の中道、美ら海の個体は特に美しい。
行動や見え方は水槽の造りに大きく左右されるため、見る水族館によって違った印象を受けるだろう。例えば美ら海水族館では黒潮大水槽の向かって右側に群れていることが多いが、海遊館ではガラス面に接近したり一時的に群れを成したりと一定しておらず多彩、エプソン品川では底の砂を調べている姿がよく見られる…等。
グッズもマンタほどではないが少なくない。大小各種のぬいぐるみ等。
このぬいぐるみのシリーズはMサイズ、Lサイズ、磁石入り、携帯画面クリーナーもある。
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最終更新:2024/04/20(土) 12:00
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