マラト・サフィンとは (マラトサフィンとは) [単語記事]

マラト・サフィン(Marat Safin)とは、ロシアの元テニス選手である。

概要

基本情報
Marat Safin
国籍	ロシア
出身地	ロシア：モスクワ
生年月日	1980年 1月27日
身長体重	193 cm 88 kg
選手情報
利き手	右
ﾊﾞｯｸﾊﾝﾄﾞ	両手打ち
ﾃﾞﾋﾞｭｰ年	1997年
引退年	2009年
テニス選手テンプレート

いわゆるニューボールズ世代(1980年前後生まれ)の代表的選手の一人。

とにかくメンタルのムラが激しく、好不調の波が大きいことで有名な選手である。四大大会では2000年全米オープンと2005年全豪オープンで優勝。「ハマったら強い選手」というのは探せばそこそこいるが、このタイプで四大大会で2度も優勝する選手は珍しいのではなかろうか。一方でテンションが下がるとラケットを破壊してしまったり、集中を切らしてしまう場面もよくみられた。

プレースタイル的には強力なサーブとストロークの強打を武器にしていた。特にスピンサーブとバックハンドの評価が高い。スペインのテニスクラブで育ったため土のコートもそれほど苦手にはしていなかったようだ。2002年には全仏オープンで準決勝まで進んでいる(このときは同世代のファン・カルロス・フェレーロに敗れた)。

2005年全豪オープン優勝直後はロジャー・フェデラーの勢いを止めるかと期待されたが、結局その後ツアーで1度も優勝できず、2009年限りで惜しまれながら引退した。引退時のランキングは61位だった。

引退後もときどきエキシビションをこなしていたようだが、2015年シーズンオフのIPTLではジャパン・ウォリアーズに参戦、神戸での日本ラウンドにも出場している。現役時代、ジャパン・オープンには一度も出ていなかった(来るといっててドタキャンした年もあった)ので、来日はファンには非常に驚かれた。

才能だけならフェデラー以上？

サフィンを語るときよく聞かれる言葉が「才能だけならフェデラー以上」という言葉。本気でフェデラーより上だと考えている人はファンでも少数派だと思うが、一方でハマッた時限定なら最強の選手ではないかと思わせるものはあった。2000年の全米オープンでは90年代の王者ピート・サンプラスをストレートで圧倒しているし、2005年の全豪オープン準決勝で当時全盛期にあったフェデラーをフルセットで下した試合は半ば伝説化している(次にフェデラーがハードコートの四大大会で敗れたのは2008年の全豪オープン準決勝なのだ)。5年に1回あるかないかの才能の大爆発が起きれば、そのときだけは全盛期のフェデラーにだって勝ててしまう、というのを表した言葉が「才能だけならフェデラー以上」ではないだろうか。

2000年、2005年と四大大会で優勝したので次の爆発は2010年かと期待したファンもいたかもしれないが、結局2005年の全豪オープンが最後のツアータイトルとなってしまった。優勝はできなかったが四大大会での最後の活躍としては2008年ウィンブルドンでの準決勝進出がある(フェデラーに敗退)。このときは当時ランキング3位に定着していたノバク・ジョコビッチを2回戦で破っている。また、これで全ての四大大会で準決勝進出となった。

そして政治家へ

2011年、まさかの政界入り。12月4日投票のロシア下院選に与党：統一ロシアから立候補して見事当選した。この件についてサンプラスは「彼ならきっと大統領にもなれる」とコメントしたとか。ロシアの大統領といえば、故ボリス・エリツィン元大統領は熱狂的なテニスファンとして知られ、デビスカップやフェドカップ(前者は男子、後者は女子の国別対抗戦、平たく言えばテニスのW杯的なもの)の会場にも応援に来ており、選手からも慕われていたらしい。サフィンもいつか彼のような存在になるのだろうか。

ちなみにこの選挙では女子テニス選手のアンナ・チャクベターゼも立候補していたが、こちらは残念ながら当選ならず。彼女は過去に最高ランキング5位を記録しているが、この当時は病気や故障もあってツアーから離れていた。2012年に復帰したが、かつての輝きは取り戻せず引退している。

本人は否定しているが、2015年になって脱税疑惑が出ている。同年2月、スイスのプライベートバンクの情報が漏洩し、顧客に対する脱税幇助が明るみになったスイスリークス事件において、サフィンも口座を持っていたことが判明している。ただし判っているのは口座を持っていたことだけで、本当に脱税していたかは今後の捜査結果を待つことになる。

その他のエピソード

2005年全豪オープン優勝時にコーチを務めていたピーター・ルンドグレンはフェデラーがウィンブルドンで初優勝したときのコーチだった。その後はブルガリアの若手選手グリゴール・ディミトロフやフェデラーの後輩スイス人スタニスラス・バブリンカのコーチなども務めたが、彼らの指導中はあまり結果が出なかったようだ。
妹のディナラ・サフィナもWTAランキング 1位を経験している。2011年シーズン途中から休養していたが2014年になって正式に引退を表明した。彼女は四大大会シングルスでは準優勝3回に止まっており、WTA史上初めて四大大会優勝が無いまま引退した1位経験者となってしまった。兄と同じくメンタルの弱さが指摘されていたが、それでも彼女の前後にランキング 1位に立った選手と比べれば遥かに女王らしい成績だったので、ちょっとかわいそうなところもあった。
2004年の全仏オープンでポイントを取った後、突然ハーフパンツを下ろして審判にポイントを無効にされたことがある。曰く「最高のポイントだと思ったんだよ！だからパンツを下ろす気分になったんだ。」
2015年のIPTLでは同チームの奈良くるみをお姫様抱っこして登場、色男っぷりを見せ付けた。ちなみに現役時代にはファミリーボックスに金髪美女を侍らせたりもしていた。