マンタ師匠とは、ニュルブルクリンクで開催される耐久レースに気まぐれに現れる妖精さんドイツのレーシングチーム・ベックマンから、主にNLS(旧称VLN)シリーズやニュルブルクリンク24時間レースといった耐久レースに参戦しているオペル・マンタの通称である。
「マンタ先輩」「マンタ先生」「マンタさん」などと呼ばれ方が一定しない場合もあるが、いずれにせよこんな名前で呼ばれているオペル・マンタは世界にただ1台しか存在しないので、特に問題はないであろう。
個体としてのマンタ師匠の出自は、グループBのホモロゲーション用として生産されたオペル・マンタ400のうちの1台と思われる。
当時オペルは、オペル・パフォーマンスセンター(OPC)というレーシングチューン部門を擁し、アスコナのグループB仕様でWRCにワークス参戦するなど活発にモータースポーツ活動を行っていた。このOPCと密接な協力関係にあった準ワークス的なプライベーターであるキスリング・モータースポーツが、耐久レースに参戦するために1台のオペル・マンタ400を改造したのが、マンタ師匠が誕生した切っ掛けであるらしい。
マンタ師匠がいつからニュル24を走っているか、正確な時期は定かではないが、1987年のレースに参戦した際のものとされる写真がキスリングのFacebookに掲載されていることから、マンタ400がロールアウトした1983年から、写真が撮られた1987年の間のどこかであることは間違いないだろう。
前述の通り、マンタ師匠の改造と運用に携わったキスリング・モータースポーツはOPCと密接な技術協力関係にあり、オペル車のメカニズムについては隅々まで精通していた。そんな彼らの手によって、30年余りにわたる参戦歴の中で、マンタ師匠には次々と近代化の手が加えられていく。
判明しているだけでも、
と、改造箇所は多岐に渡る。
これらの改造によって、マンタ師匠は外見こそ30年物の旧車でありながら、内部メカニズムは最新のマシンと比較しても遜色ない性能にアップデートされ続けている。実際、出力重量比は約3.36kg/psとなかなかのもので、現在でもニュルブルクリンク北コースのベストラップは10分を切り、トヨタ86やスバルBRZといった強豪の犇めくSP3(2000cc未満NA)クラスでも随一。トラブルさえ出なければ充分にクラス上位を争える戦闘力を備えているのだ。
そして何より、マンタ師匠を語る上で外せないのは、師匠の「本体」こと
もっふもふのしっぽ
である。
ルーフアンテナの先端に括り付けられた大きな狐のしっぽが、走行時の風圧に煽られ、アンテナ自体の弾力とも相まってフリフリ、ピコピコと踊っている様は、その愛らしさゆえ過酷な耐久レースにおける一服の清涼剤として、ファンのみならず多くの関係者にも愛されている。
2011年、ニュルブルクリンク24時間レースの車輌レギュレーション改正によって、製造終了後10年以上経過したマシンはエントリーすることができなくなった。当然、種車が1988年に製造終了しているマンタ師匠も対象となり、1980年代からの連続参戦はストップしてしまう。
しかし、長年にわたり参戦し続けた師匠の復帰を願うファンの声は根強く、この後押しを受けて2014年以降、主催者招待枠という特別エントリー枠が数台分設定され、この枠には上記の10年制限が適用されないことが定められた(当然、安全装備などのアップデートは前提条件となる)。かくしてマンタ師匠は、再びニュル24の舞台に降り立つこととなった。
そんなマンタ師匠の一世一代の晴れ舞台は、2015年のニュルブルクリンク24時間レース。この年3月のVLN開幕戦で発生した上り坂でのマシン離陸によるクラッシュと、それに伴う観客死亡事故の影響により、ニュルブルクリンク北コースには直線部分に200~250km/hの最高速度規制が掛けられた。これに加え、折からの雨模様で思うようにパワーを発揮できずペースを乱されるマシンが続出する中、珍しく目立ったトラブルも無く24時間を快走したマンタ師匠は、ルノー・クリオとの壮絶な競り合いを制して見事SP3クラス優勝に輝いたのである。
2019年1月、キスリング・モータースポーツはオペルの親会社であるプジョーのグループ再編方針、および創業オーナーであるヘルムート・キスリング氏の病気引退に伴って、レーシングチームの運営を含む全てのモータースポーツ活動を終了することを発表した。
この衝撃的なニュースに、世界中のファンからマンタ師匠の運命を心配する声が上がったが、チームドライバーの一人であるオラフ・ベックマンがキスリングから車輌の所有権を継承して、元OPCチーフエンジニア兼ドライバーのフォルカー・ストリチェクらスタッフ仲間と共にレース活動を継続することが発表され、2019年のVLNシリーズとニュルブルクリンク24時間レースにも無事エントリーを果たした。
不幸にも、この年の決勝でマンタ師匠はクラッシュによって左フロントのサスペンションが折損全壊するという即死級の大ダメージを負ってしまうが、チームの技術陣は実に9時間にわたる修復作業によって、自走可能なまでに師匠を回復させるという離れ業を演じて見せた。[1]
このように、キスリング時代からの卓越した車輌知識と技術力は確実に継承されている模様であり、もうしばらくの間は、ニュルブルクの空を気持ちよさそうに泳ぐもふもふノルドシュライフェを元気に走る師匠の姿を見ることができそうである。
2020年6月、コロナ禍によって世界が揺れる中、NLSは例年より大幅に遅れながらも開幕を迎え、マンタ師匠も元気に参戦を果たしていた。しかし、8月に入って重大な問題が発生する。破損したクラッチ部品の交換スケジュールが、9月下旬のニュルブルクリンク24時間レースにはどうあっても間に合わないことが判明したのだ。
これが現行車輌であれば、メーカーやOEMサプライヤーから部品を調達して交換するだけというせいぜい数日の作業なのだが、何しろマンタ400は生産終了から30年以上経過したクラシックカーである。純正部品のストックなど、この世のどこを探しても出てくるわけもなく、必然的に全ての交換パーツはオーダーメイドか自作で手に入れるしかない。一応、工場での製造は何とか間に合わせたようであるが、メーカーの規格品と違って個別の製品ごとに性能や耐久性をきちんとテストしなければ、実戦ではとても使えない。チームとしても何とか試験スケジュールを前倒そうと頑張って調整していたが、結局9月15日にプレスリリースが発表され、無念の参戦中止となった。
なお、車体そのものには問題はなく、2021年もレースが開催されるならば参戦見込みとのことである。
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掲示板
7 ななしのよっしん
2023/05/16(火) 22:45:58 ID: 9TtnRs+Qzw
https://
復活!!SP3クラスで参戦だ!
タイランドトヨタのアルティス2台とダチアローガンが相手だ!
絶対走りきってくれよ!!
8 ななしのよっしん
2023/05/20(土) 15:54:08 ID: JblUU9k74V
ついったーに乗ってたけど
マンタ師匠の本体が走行中に行方不明になったとか
9 ななしのよっしん
2023/05/21(日) 07:52:09 ID: nRvTZnBeDJ
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最終更新:2024/04/20(土) 07:00
最終更新:2024/04/20(土) 07:00
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