メジャーエンブレム(Major Emblem)とは、2013年生まれの日本の競走馬。栗毛の牝馬。
抜群のスピードでレースを引っぱって世代マイルGⅠを2勝するも、原因不明の故障でターフを去ってしまった快速牝馬。
主な勝ち鞍
2015年:阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)
2016年:NHKマイルカップ(GⅠ)、クイーンカップ(GⅢ)
父ダイワメジャー、母キャッチータイトル、母父*オペラハウスという血統。
父は皐月賞を勝ったあと、ノド鳴りによる不振を乗り越えてGⅠを5勝した名馬。種牡馬としても早熟のマイラーを出す種牡馬として大成功を収めている。
母は芝の中距離を走って20戦5勝。オープンまでは勝ち上がったが、重賞では結果を出せなかった。
母父は豪華メンバーのキングジョージを制するなどG1を3勝したイギリスの馬。輸入された日本ではテイエムオペラオーとメイショウサムソンの父として知られる。
2008年の秋華賞馬ブラックエンブレムとは違い、*ウォーエンブレム産駒ではない。
2013年3月26日、ノーザンファームで誕生。オーナーはおなじみサンデーレーシング。募集価格は1口50万円×40口(=2000万円)と、サンデーレーシングの活躍馬としては格安だった(ドリームジャーニーやフェノーメノと同額)。主戦騎手はクリストフ・ルメールで、デビューから引退まで全戦に騎乗した。
栗東・田村康仁厩舎に入厩。ダイワメジャー産駒らしく仕上がりは早く、デビューは2015年6月14日の東京・芝1800mの新馬戦。単勝2.6倍の1番人気に支持されると、前目から4コーナーで早くも先頭に立ち、直線で一度は後方から来た2番人気プランスシャルマンに並びかけられながら、そこから再度突き放す強い内容で1馬身半差の快勝デビューを飾る。
2戦目は9月、中山芝1600mのアスター賞(500万下)。+12kgながら単勝1.2倍の圧倒的支持を受け、2枠から前を行かせて外に出し、スローの展開を外から捲って直線で突き放して圧勝。この時点でルメールはレースが終わってすぐスタッフに「次はどこ?」と訊いてくるほど惚れ込んでいた。
3戦目はアルテミスS(GⅢ)。ここでも単勝2.2倍の1番人気。大外枠から馬が行きたがったため、ルメールが無理に抑えずハナに立たせるとそこで折り合いがつき逃げる体勢へ。直線でも後続を寄せ付けず突き放して逃げるが、後方から12番人気の伏兵デンコウアンジュが大外を猛然と追い込んできて、最後は内外離れて入線。結果はクビ差だけ差しきられてまさかの2着。ルメールは「直線で1頭になってしまったのが堪えました。併せていれば違ったと思います」とのコメント。
そして向かった阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)。大本命の彼女が前走敗れたこともあり混戦という評もあったものの、2.5倍の1番人気に支持される。レースは最内枠から抜群のスタートでハナを切るが、大外から最低人気の九州産馬キリシマオジョウが競り掛けてきたためハナを譲って2番手で内に構える。後ろからは前走で敗れたデンコウアンジュらからのマークを受けるものの気にすることもなく、4コーナーで早くも先頭を捕まえると、直線では持ったままで後続を突き放していく。最後はルメールが後ろを確かめる余裕すら見せながら2馬身差の完勝。
ルメールはJRA移籍後GⅠ初勝利。管理する田村師も嬉しいGⅠ初制覇。もちろんJRA賞最優秀2歳牝馬もゲット。全く隙のない強さで、翌年の牝馬クラシック大本命の地位を揺るぎないものにした勝利だった。
明けて3歳初戦は2月のクイーンカップ(GⅢ)。単勝1.3倍の圧倒的1番人気に応え、抜群のスタートから逃げを打つと、直線では持ったまま後続を突き放し、残り200mから追い出すとあとは差が開く一方。他の先行馬は総崩れの前潰れを展開を逃げて圧巻の5馬身差、まるで力が違う大楽勝である。2ハロン目で10秒8を出してハナを切って、あとはゴールまでずっと11秒台のラップという驚愕の内容。ダイワメジャー産駒ということもあり、父の妹であるダイワスカーレット級だという声も挙がるほどだった。
そんなわけで迎えた桜花賞(GⅠ)では、クイーンカップからの直行組は1976年のテイタニヤ以来勝ちがないというデータなど関係なし、単勝1.5倍の圧倒的1番人気。阪神JFや前走の勝ち方を考えれば納得の人気であろう。対抗できるとすれば無傷の3連勝でチューリップ賞を勝ってきたシンハライトと、そのチューリップ賞をハナ差の2着に敗れたものの3戦連続上がり最速のジュエラーぐらいだろうと見られ、この2頭が4.9倍、5.0倍で続く。オッズ的にはウオッカ・アストンマーチャン・ダイワスカーレットの3強対決になった2007年桜花賞と似た感じだが、このときの雰囲気は3強というより、メジャーエンブレム1強+2という感じであった。
が。レースが始まり、当然ハナを切るのはメジャーエンブレム……あれ? いないぞ? そう、決して大出遅れしたわけではないのだが、スタート直後に隣の馬とぶつかったせいもあってかテンのスピードに乗れず、メジャーエンブレムは逃げられずに中団からのレースになってしまったのである。
レース展開は緩めのペースでの直線瞬発力勝負。こうなると逃げ馬のメジャーエンブレムには辛い展開。4コーナーで包まれながらも直線で馬群を割って抜け出しを図ったが、同じぐらいの位置から馬場の真ん中を抜け出したシンハライトと、後方から猛然と追い込んできたジュエラーの激しい追い比べには置いていかれてしまい、フィリーズレビュー2着のアットザシーサイドにもかわされて、まさかの4着。強引にでも逃げなかったルメールの騎乗にも批判が集まることになった。
陣営はこの敗戦でオークスを回避し、NHKマイルカップ(GⅠ)への参戦を決めた。牡馬相手でも実績では完全に頭ひとつ抜けており、クイーンカップで圧勝した府中マイルだし、単勝2.3倍の1番人気に支持される。
前走の反省もあり、染め分け帽のルメールはスタートから積極的に押してハナを切る。2ハロン目10秒7でハナに立って自分のペースに持ち込めば、あとはもう彼女の脚を止めるものは何もない。直線半ばで圧倒的な手応えのまま後続を突き放すと、彼女以外の先行勢が全滅する中、後方から追い込んできた2番人気ロードクエストや12番人気の伏兵レインボーラインの追撃もものともせず、悠々とゴール板を先頭のまま駆け抜けた。3/4馬身差という着差以上の完勝である。
桜花賞の悔しさを晴らし、改めて強さを見せ付ける内容で復権を果たした2歳女王。この年は牡馬クラシックでサトノダイヤモンド・マカヒキ・リオンディーズ・ディーマジェスティが激闘を繰り広げており、メジャーエンブレムも世代の牝馬代表として、古馬との対決も期待された。
……のだが……。
秋は紫苑ステークスからの始動を予定して、ノーザンファーム天栄に放牧に出されていたメジャーエンブレム。ところが左後肢の筋肉に痛みが出て、紫苑Sを回避。北海道に移って調整を続けたが今度は左前肢の蹄を痛めた上、筋肉の痛みは一向に回復の兆しが見られない。
結局、はっきりとした原因もわからないまま、年明けに「競走能力喪失」の診断が下り、まさかの電撃引退となってしまった。
通算7戦5勝、出走したレースは全て1番人気。最もオッズが高かったのが新馬戦の2.6倍。小細工無用のハイラップ逃げで他馬をすり潰す、紛れもなく強い逃げ馬だった。そのレース内容からすれば間違いなく古馬の牡馬相手でも通用したと思えるだけに、非常に惜しまれる早期引退となった。
結局この2016年クラシック世代の牝馬は、彼女のみならず桜花賞馬ジュエラーもオークス馬シンハライトも古馬として走ることなく故障で現役引退となってしまった。春のクラシックに縁が無かったヴィブロスやクロコスミアが息の長い活躍をしたのとは対照的である。ダービー馬マカヒキを筆頭に牡馬のクラシック組も古馬となってから苦しんだことは有名だが、なんというかそういう運命だったのだろうか……。
引退後はノーザンファームで繁殖入り。今のところ目立った産駒はいないが、母のスピードを受け継いだ仔が活躍する日を待ちたいところである。
| ダイワメジャー 2001 栗毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
| Cosmah | |||
| Wishing Well | Understanding | ||
| Mountain Flower | |||
| スカーレットブーケ 1988 栗毛 |
*ノーザンテースト | Northern Dancer | |
| Lady Victiria | |||
| *スカーレットインク | Crimson Satan | ||
| Consentida | |||
| キャッチータイトル 2003 栗毛 FNo.B3 |
*オペラハウス 1988 鹿毛 |
Sadler's Wells | Northern Dancer |
| Fairy Bridge | |||
| Colorspin | High Top | ||
| Reprocolor | |||
| *タイトルド 1996 鹿毛 |
Rainbow Quest | Blushing Groom | |
| I Will Follow | |||
| Her Ladyship | Polish Precedent | ||
| Upper Strata |
クロス: Northern Dancer 4×4(12.50%)
掲示板
1 ななしのよっしん
2022/11/25(金) 10:55:58 ID: /oUYzdYTQm
作成乙
NHKマイルカップは大関隼アナのGⅠ初実況だったかな、「しかしまだまだ止まらないメジャーエンブレム」の実況は印象深い
現時点での産駒は妙に惜しいレースをする仔が続くが、毎年JRA勝ち上がり級を送り出しているのだと思えばかなりのものでもある
ところで、「叔母のダイワスカーレット」というのは、もちろん言いたいことは分かるのだが、当たり障りのないように修正したほうが良い表現ではなかろうか
2 ななしのよっしん
2024/09/23(月) 12:55:04 ID: fPp6NT2cjT
早期引退はもったいなかったなぁ~シーザリオみたく産駒が良かったらまだマシだが現状全然だし。なんとかG1馬出して来れんかな?
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最終更新:2025/12/09(火) 16:00
最終更新:2025/12/09(火) 16:00
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