株式会社モリサワとは、日本のフォントメーカーである。大阪市浪速区所在。
1924年、石井茂吉とともに写真植字機の開発に携わり、写真植字機研究所(株式会社写研)の設立メンバーとして貢献した機械技師の森澤信夫が経営の方向性の観点から同社と訣別し、1948年に「写真植字機製作株式会社」の名前で大阪に設立した。
一時期から「モリサワ写真植字機製作株式会社」と名乗り始め、1971年に正式に現在の会社名となる。写植メーカーとしては写研に次いで国内2位のシェア率であった。社名からもわかるように写真植字機の製造が元々の主力事業で、書体の制作は子会社の「モリサワ文研」で行われており、書体と機械が一体であるという思想のもとで書体開発部門が社内に置かれていた写研とは異質の性格といえた。
書体の評判もまた当初は写研に比較して必ずしも良いものではなかったが、子会社のモリサワ文研において粘り強く新書体の開発を進め、次第に品質の高い書体を生み出すようになっていく。また機械の開発や、ライノタイプやAdobeといった他社との協力などを活発に行い、AdobeとPostScriptフォントの共同開発及び販売契約を締結したことなどにより現在の隆盛に至った。この写植時代の書体には、デジタルフォントとしてはリリースされていない物も多い。
デジタル化の推し進められる一方で写真植字機の製造などは廃されて行き、2000年代までに写植機の製造取扱は終了。また、2020年にモリサワ文研がモリサワホールディングスに統合されたことでモリサワは完全に純粋なフォント・ソフトウェアメーカーとなっている。
ATMフォントなどのパッケージ販売を経て、2005年からは「MORISAWA PASSPORT」(通称モリパス)、2022年からは「Morisawa Fonts」という名前で年間契約型のフォントライセンスサービスを提供開始。現在ではフォント業界トップのシェアを持つと言われるほどに、多くの書籍や映像作品、印刷物やゲームなどに使用されている。
他にも、国際的な書体のデザインコンテスト「タイプデザインコンペティション」を開催したり、2010年にはタイプバンクを子会社化し2017年に吸収合併、2011年にはリョービイマジクスからフォント事業を譲受、2016年には昭和書体からの書体ライセンスを受け、2019年に字游工房を子会社化している。また、かつて袂を分かった写研とは2021年にOpenTypeフォントの共同開発を行うことで合意したと発表。日本におけるタイプファウンドリーの中心として業界に様々な影響を及ぼしてきている。
2021年に開催された東京オリンピック2020においては、オフィシャルサポーターの一社として制定カスタムフォント「TOKYO2020」書体ファミリーを提供するなどの活動を行っている。
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最終更新:2024/12/01(日) 05:00
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