モルガン(Fate)とは、Fateシリーズに登場する登場人物及び、スマホゲーム『Fate/Grand Order』に登場するサーヴァントの一騎である。
CV:遠藤綾(Fate/Apocrypha) / 石川由依(Fate/Grand Order)
イラスト:武内崇
サーヴァントについてはサーヴァント(聖杯戦争)の記事を参照。
アルトリア・ペンドラゴンの異母姉。(原典のアーサー王伝説においてはティンタジェル公ゴルロイスとその妻イグレインの間に生まれた異父姉。型月世界ではイグレインが妖精の子を孕んだ後、ウーサー王に嫁いだ。)ブリテンの王候補であったがアルトリアが選定の剣を抜いたため自身は王になれず、彼女を恨んでいた。ロット王との間にガウェイン、ガヘリス、ガレス、アグラヴェインの4人の子を産んでいる。もう一人の隠し子モードレッドはアルトリアの遺伝子を回収し作成したクローン。アグラヴェインとモードレッドの二人を自らの野望のため円卓に送り出した。
三重人格者であったとも語られる。(人間でアルトリアの姉の側面/モルガン、湖の妖精/ヴィヴィアン、ブリテン島の化身の側面/モルガン・ル・フェ)
アニメ版にてモードレッドの回想シーンで登場。モードレッドをアーサー王を破滅させるために送り出す姿が描かれている。
このときすでにFGOでのものに近いデザインは出来ていたが、ヴェールで隠されその素顔は明かされていなかった。
また、FGO的に言うならば、Apocryphaに登場したのは汎人類史のモルガンであり、FGOで大いに活躍している異聞帯のモルガンとは同一人物にして別人である。
ベリル・ガットが召喚した「裁定者」のサーヴァントにして異聞帯ブリテンを統べる王、そして「楽園の妖精の使命を捨てた者」として登場。
一般住民である妖精たちには暴君として認識されている冷酷な女王。本来であれば異聞帯のモルガンは「6000年前にすでに死んでいたはずの楽園の妖精」なのだが、「サーヴァントして召喚されたモルガンが自身の霊基を代償にレイシフトを利用して記憶を過去へと転送、そのおかげで異聞帯のモルガンは賢者グリムを召喚し危機を脱した」。その後「救世主トネリコを名乗り、世界を救っては妖精たちに排斥され眠りにつくという事を繰り返す。妖精歴400年、始まりの騎士トトロット、黒騎士エクター、排熱大公ライネックと共に各地を転戦、統一王ウーサーを見出すに至る」。しかし「戴冠式当日ウーサーは毒殺され、彼女は妖精達に絶望、救済ではなく支配によりブリテンを統一することを目指した。」
その影響か残忍で淫蕩、自分勝手な性格は鳴りを潜め、挫折し反省した傾国の美女となっている。
嫌いなものは虫。モルガン最大のピンチは200年前に起きた「キャタピラー戦争」。虫型の厄災が現れた際モルガンは宝具一発のみを放ち「無理。帰る」と戦場から去ってしまったという。
筋力:C | 耐久:E | 敏捷:B | 魔力:A+ | 幸運:B | 宝具:EX |
はや辿り着けぬ理想郷(ロードレス・キャメロット)
ランク:EX / 種別:対城宝具 / レンジ:10~99 / 最大捕捉:100人
モルガンがその生涯をかけて入城を望み、そして果たされなかった白亜の城キャメロット。世界のルールそのもの……即ち『人理』が、モルガンをブリテンの王にはしなかった。叶わぬ望みは嘆きに替わり、やがて憎しみとなった。ねじれた支配欲と特権意識。燃えるような望郷と人間たちへの怒り。そして同じ存在でありながらキャメロットの玉座に座ったアルトリアへの憎悪が、モルガンを『円卓を破滅させるもの』に変えてしまった。
これはその在り方を魔術として顕したもの。決して辿り着けない路を一瞬にして踏破し、破壊せんとするモルガンの恩讐である。
モルガンが倒すべきはアーサー王ではない。人間の為にブリテンの妖精たちを一度滅ぼそうとする運命……『人理』そのものを打倒する為、彼女は最果てより戻り、世界を呪う魔女となった。
メインシナリオ2部6章「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」配信に合わせ、2021年6月11日より実装された限定星5バーサーカー。
性能は攻撃力極振りのバーサーカー。敵のクラスが複合の場合まとめて消し飛ばしてくれる他、NP供給やガッツも持ち合わせるため利便性にも優れる。宝具には対人特攻が付いているため、敵のクラスが複合+人の力属性を持った敵が沢山出てくる『キャメロット』や『トラオム』ではモルガン無双となる。特に『トラオム』終盤ではコンティニュー不可、ターン制限、フレンド使用不可が同時にある鬼畜面があり、モルガンの有無で難易度が大きく乱高下する。やっちゃえバーサーカー!
スキル「妖精眼」は被クリティカル率を20%低下させる。敵のクリティカル率は10~30%程度なのでクリティカル事故を大幅に減らせる。
妖精一覧はこちら。
HP | (Lv1/Lv90/Lv100) 1884/12440/13628 |
ATK | (Lv1/Lv90/Lv100) 1824/12193/13347 |
COST | 16 |
コマンドカード | Quick/Arts/Arts/Buster/Buster |
所持属性 | サーヴァント、地属性、秩序属性、悪属性、人型、女性 アルトリア顔、王、霊衣を持つ者、妖精 |
保有スキル | |
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渇望のカリスマ:B (CT8→6) |
味方全体の攻撃力をアップ[Lv.](3T) +自身のNPを増やす[Lv.](20→30%) +敵全体の防御力をダウン[Lv.](3T) |
湖の加護:C アヴァロンの妖精:C (CT7→5) |
味方単体のNPを増やす[Lv.](10→20%) +味方全体のNP獲得量をアップ[Lv.](3T) |
最果てより:A (CT9→7) |
自身にガッツ状態を付与[Lv.](1回・3T・1000→3000) &スター集中度をアップ[Lv.](3T) &クリティカル威力をアップ[Lv.](3T) &毎ターン「敵全体の攻撃力をダウン(1T) &クリティカル発生率をダウン(1T)」を付与[Lv.](3T) +スターを獲得[Lv.](5→15個) |
クラススキル | |
狂化:B | 自身のBusterカードの性能をアップ |
対魔力:A | 自身の弱体耐性をアップ |
道具作成:EX | 自身の弱体付与成功率をアップ |
陣地作成:B | 自身のArtsカードの性能をアップ |
妖精眼:A | 自身の被クリティカル発生耐性をアップ |
アペンドスキル | |
EX攻撃強化[Lv.]/NPチャージ[Lv.]/対セイバークリティカル発生耐性[Lv.] |
はや辿り着けぬ理想郷(ロードレス・キャメロット) | |
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カード種別:Buster | ランク:EX |
自身に〔円卓の騎士または妖精〕特攻状態を付与(1T) +敵全体に強力な〔人の力を持つ敵〕特攻攻撃[Lv.]<OCで特攻威力アップ> &呪い状態を付与(5T・-1000) +味方全体に宝具使用時のチャージ段階を1段階引き上げる状態を付与(1回・3T) |
〔円卓の騎士〕一覧 | ||
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セイバー | アーチャー | ランサー |
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ライダー | アサシン | キャスター |
バーサーカー | EX | その他 |
意外なところだとアルトリア〔リリィ〕/ヒロインX/ヒロインXXは円卓属性を持たない。
私はおまえたちを許さぬ。私はおまえたちを救わぬ。
ただ従え。頭を垂れよ。
その低頭の忠誠をもってブリテンを守護してやろう。
第六異聞帯『妖精國ブリテン』を統べる冷徹なる冬の女王にして異聞帯の王。一人称は「私」。キャメロットを居城とし、妖精騎士三騎と女王への忠誠が篤い女王騎士、そして女王軍を率いる。2000年間に渡って妖精から「存在税」と称して魔力を吸い上げ、人間の数を管理し、圧政を敷いて苦しめてきた魔女である。
本格的な登場は第二部第六章『妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ』だが、第二部第五章『星間都市山脈オリュンポス』終盤から既に行動を開始している。テーマ曲は『冬の玉座』と『トネリコ ~女王モルガン戦~』。第二部第六章第二十四節をクリアすると宝具に専用BGMが追加され、絆Lv5のボイスが解放される。
『アヴァロン・ル・フェ』の配信が始まった2021年6月11日から25日にかけて最初のピックアップが行われた。当初『アヴァロン・ル・フェ』のストーリーは前編・後編・崩壊編の三つに分割されており、モルガンがピックアップされたのは丁度前編部分であった。ピックアップ時に引かなかったマスターが、モルガンの設定が掘り下げられた後編で猛烈に欲しくなるも、既に入手の手立てが失われていて悶絶した話が伝わる。運営も何か思うところがあったのか、それとも商機だと思ったのか、最後の崩壊編が配信されてから2週間後の8月18日に異例の早さで復刻。
ぶっ壊れレベルの高性能と本編での不憫さ、主人公に明確な好意を向けている希少さから凄まじい人気を獲得し、『カルデア・サテライトステーション2021-2022』にて「最もレベル120にされたサーヴァントランキング ~☆5(SSR)編~」で1位に輝いた事が発表され、『ウィンターパーティー2022-2023』の英霊召喚フォトスタジオ(好きなサーヴァントと一緒に写真が撮れるやつ)においても、バーサーカークラスで最も一緒に写真を撮られて堂々の1位に。2023年度バレンタインイベントにおける祝福ロックオンチョコが贈られたサーヴァントランキングでも3位にランクインしているなど、彼女の人気ぶりは明確に数字に表れている。また実装から1年半以内に4回も復刻するという類を見ないペースでピックアップされている。またモルガンの実装は、難所だった第一部第六章『神聖円卓領域キャメロット』の難易度を劇的に引き下げ、アルジュナ・オルタともども初心者のお供としても人気。もはや人理の裏切り者どころか人理の守護神である。
モルガン自身が最高位の妖精であり、最果ての槍「ロンゴミニアド」を魔術として会得した稀代の天才魔術師という実力面は最強クラス。ゲーム内通貨であるQPを1億ポンッとくれたり、技術を解析して無断レイシフトしたり、ベリルをビーコンにして『ブリテン異聞帯』から『オリュンポス』の空想樹を聖槍で狙撃するなど規格外の事をしれっとやってしまう程。巡礼の旅を経て円卓軍全軍を一人で補助出来るようになったキャストリアですら「指先一つ程度」と笑って見せる。オーロラ曰く「女王の指先ひとつで私たちは全滅よ」と評し、グロスターを半独立状態たらしめるムリアンの妖精領域も破壊可能。実際、円卓・ノクナレア連合軍が居城キャメロットに攻め寄せた時も全く動揺せず、実力をも完全にコピーした分身を作って一気に殲滅している。妖精國に住む妖精は魔術基盤や礼装などの助けを借りずに神秘を成すため本来魔術を必要としないのだが、その魔術を神域に及ぶまで極めたモルガンは異質な存在と言える。
また圧政者ではあるものの、数百年に一度ブリテンで発生する災厄を水鏡を使って消しており、妖精たちもその面ではモルガンを認めている様子。しかし彼女は「決して妖精を救わない」と断言しており、歯向かう者は女王騎士であっても容赦なく処断する。もはや妖精國では彼女に勝てる者は存在しないのだが、何かに怯えるように魔力を徴収し続け、キャメロットには謎の大穴を睨むかのように聖槍ロンゴミニアドが複数設置されている…。『妖精國ブリテン』へは、異星の神に対抗するためのロンゴミニアドを獲得する目的と、突然観測された汎人類史への攻撃を止める目的のためにカルデア軍団が足を踏み入れる。
彼女が振るう魔槍は元々選定の杖であったが、敵を打ち倒すべく槍に変化したのだという。
妖精國に君臨する冬の女王だけに冷酷無比な性格。敵対者には容赦の無い鉄槌が下される。長年の『ブリテン』支配により心は冷え切り、あらゆる享楽や欲望にも興味を示さない氷のような存在。
モルガンは異聞帯の存在ではあるが、とある理由から汎人類史モルガンの記憶がインストールされており、(異モルガンとは直接関わりが無いものの)汎人類史で敵対関係にあったアルトリアやマーリンを憎悪している。一方で汎人類史における自身の子ガレスや本物ガウェインに対しては「私に似ず良い騎士に育ったようだ」と情を覗かせ、アルトリアをコピーしたモードレッドの存在に驚くなど様々な反応を見せる。
もちろん異聞帯での記憶も持ち合わせ、『ブリテン』崩壊の原因を作ったオベロンを「糞虫」と呼んで唾棄する。養子のバーヴァン・シー、トネリコ時代の仲間トトロット及びマシュ、長年の忠義を見せたウッドワスや妖精騎士には寛大であり、敵対関係になった妹のアルトリア・キャスターに対しても巡礼の旅を始めるまでは見逃す措置を取った。憎んでいる相手でも協力してくれたら感謝する辺り、素の優しさが見え隠れする。『竹箒日記』によると冬の女王になる前は雨音だけが友達の文学少女だったらしい。他にもモルポンドという自分の名前を入れた通貨を流通させていたり、年に一度「モルガン祭」なる謎の催しをしていたり、虫が大の苦手だったりと所々お茶目な面を覗かせる。
ただ、悲しいかな言葉足らずのため酷薄な印象を相手に植え付けてしまう。表情も凍り付いたように変化が無く無表情か微笑する程度と、喜怒哀楽を見せない点も手伝っている。このため最愛の娘であるバーヴァン・シーにすらイマイチ愛情が伝わらなかった(ベリルは気付いていた)。縁あってカルデアに召喚された後は反省したようで、若干口調が柔らかくなって口数が増えた。その様子は妖精騎士トリスタンから「でもあのお母様、妖精國の時よりかわいくない?猫どころかライオンかぶってるレベルよ、あれ」と評されている。
縁あってカルデアに召喚されると、いきなりマスターを夫(女性の場合は妻)と呼ぶ。このためユーザーからの愛称は「妻」、もしくは「陛下」。ちなみに召喚時の彼女をよく見ると男性マスターだと微笑んでいるが、女性マスターだと無表情になる細かい差がある。妖精は基本的にバイセクシャルだがモルガンは男の方が良いのだろうか。厳密には異なるが『ブリテン異聞帯』で実質マスターだったベリル・ガットに対しても「夫」と呼んでいた。これは汎人類史の魔術師に対して軽蔑と反感を抱いているからで、ニュアンス的には「夫って呼んで欲しいのか?ん?」といった嘲笑である。
サーヴァントになった後も女王気質であり、マスターを臣下として扱って全てを捧げるよう命じてくる。だが、そんな彼女と向き合って絆を深めていくと、次第に冷え切った彼女の心に温かな火が灯っていく。絆Lv3になると独占欲を見せて「何故私以外のバーサーカークラスがいるのです?全員解雇しなさい。必要ありません」と言ったり、絆Lv4では自分と夫/妻のために城を建てようとするなど恋慕を隠さなくなる。バレンタインイベントでは「(召喚された時は反感から夫と呼んだが)縁というのは不思議なもの。本当に、その通りに、なるなんて」と当人も困惑するほど親密な仲に発展し、本物の夫婦関係のようになっている。またバレンタインデーを「運命を共にすると決めた者に、日頃の感謝を告げ、将来の契約を交わすもの」と解釈しており、マスターに製作期間10日の気合いの入ったチョコレートを贈った。実装から長らく封印されていた絆Lv5ボイスでは「今度は失敗しないよう、私が野心とあなた、どちらも取りこぼさない法律を作ります」と呟く。
闇のコヤンスカヤのスケジュール表によると午前11時にマスター、モルガン、ハベトロットの三人で昼ドラ「奥方は魔女」を見ているらしい。イベント『カルデア妖精騎士杯』では妖精騎士ガウェインに薦められて少年漫画を読み、『竹箒日記』では正月の駅伝を見ている事が判明。幅広いジャンルを嗜むようだ。陣地作成スキルを持っているためか築城を得意としており、たった一人で巨大な城を作り上げてしまう。本人曰く「ビルド星5等プロ級」との事。
サーヴァントの状態だと、本人曰く第三再臨まで強化しても生前の1/3の実力にしかならない。故に『妖精國』で使用していた水鏡や分身といったチート魔術は一切使えないと思われる。しかし天才魔術師としての頭脳や魔術は健在。対魔力:Aにより現代の魔術師は事実上モルガンに傷を負わせる事は不可能、狂化:Bを保有しているが理性の維持に成功して全パラメーター強化の恩恵だけを受け、魔力を帯びた道具を作れる道具作成:EXをも持つ。魔術師だからか、バーサーカーながら陣地作成:Bを持っているが、現時点ではモルガンと千利休(fate)のみの珍しい特徴。ただでさえ強力なランクスキルを取り揃える中、独自スキルの妖精眼:A、渇望のカリスマ:B、湖の加護/アヴァロンの妖精:C、最果てより:Aを保有。このうち妖精眼、アヴァロンの妖精、最果てよりの三種は異聞帯のモルガンのみが持つ。サーヴァントになって弱体化しても規格外の地位に居座り続ける化け物と言える。
あまりに次元が異なる存在のせいか、すぐに黒幕の正体や真実に辿り着いてしまうためイベントではまず登場出来ない。『水怪クライシス』でようやくイベントデビューを果たすも、終盤を除いてマスター達とは別行動を取らされていた(実際早い段階でコンの正体に気付いている)。メインストーリーにおいても何かと異常なカルデア式召喚術の真実や空想樹の設計、未だ正体不明の黒幕を「天球」と称するなど核心に迫る情報を持っているとされる。妖精國崩壊の一因を担ったカルデアに対しては異常な召喚術の存在もあって悪感情を抱いており、ハベトロットにおぞましい宝具を持たせているのを見て「おのれ…許さんぞ、カルデアめ!」と激昂する一面も見せた。コヤンスカヤやアルトリア・アヴァロンのように、カルデアではなくマスター本人に従っているレアパターンと言える。
アーケード版『Fate/Grand Order Arcade』にも参戦。アーケード時空では妖精國を攻略していないためか、マスターの事を夫/妻とは呼ばず、終始臣下として扱っている。
FGO2部6章のネタバレが大量に含まれているため、折り畳む。
大厄災により『ブリテン異聞帯』に住む妖精の9割が滅び、ブリテンは一度滅亡した。しかしモルガンが空想樹セイファートを枯らす程の大魔術を使い、歴史を強引に再開させて『妖精國ブリテン』を作り出す。この時に空想樹は単なる枯れ木と化した。ブリテンは僅か数ヶ月で滅亡前の姿に戻り、妖精たちは順調に数を増やしていったが、氏族同士の争いも始まった。そこへ妖精たちを震え上がらせる恐ろしい侵略者が現れた。
女王歴元年。忘れられた北部の土地、最果ての地オークニーから嵐を伴って出現したモルガン。いがみ合っていた各氏族は共通の敵を前にして同盟を組み、迎撃を試みる(冬の戦争)。しかしモルガンの操る邪悪な魔術によって氏族同盟は惨敗し、力で氏族の半分を従え、たった一人で『妖精國』を平定。驚くべき事にロンゴミニアドは一発も使っていないという舐めプであった。支配の証として大穴の傍に王城キャメロットを築き、ソールズベリーの大聖堂で戴冠式を行って女王となり、玉座についた。その際に「私はお前たちを許さぬ。私はお前たちを救わぬ。ただ従え。頭を垂れよ。低頭の忠誠をもってブリテンを守護してやろう」と語った。モルガンが女王になったのを境に年号は女王歴と改められ、「新しく鉄の武器を作ってはならない」といった様々な法律を制定。馬車の使用も各氏族長以外は禁止している。これは馬車が当たり前になるとレッドラ・ビットのような妖精馬が生まれなくなるため、神秘を維持する目的で禁じている訳である。『ブリテン異聞帯』はモルガンの力によって空想から脱却し、汎人類史と同じ強度を持つ異聞帯として成立させた。
その後、モルガンは人間たちにある程度の自由を与えて文化の土台を築かせてゆく。一方で人間の出産数は厳しく管理され、都市部に生きる妖精たちにはモルガンの呪いである令呪が刻まれ、年に一度「存在税」として魔力を徴収する。一年間に「モルガンが満足出来るだけの魔力」を溜められなかった妖精はその場で絶命。耐え切れずに働けなくなった妖精はキャメロットに連行されて処理されるか、あるいは都市部から逃げ出して誰も知らない土地へ逃走するのだという。このような政策によりキャメロットには計り知れないほどの魔力が蓄えられた。マシュ曰く「これまでいくつもの魔力炉心を見てきましたが、それらを上回るといっても過言ではありません!」との事。他にもモルガンは虫嫌いだったため、虫の容姿を持つ妖精は居場所を失い、西にあるウェールズの森へと追いやられた。
『妖精國』ではモースを始めとする数多くの厄災が定期的に発生するが、モルガン率いる女王軍がその厄災を常に撃退しており、宣言通りブリテンを守護していた。このため妖精たちは女王を恐れ憎んでいる反面、モルガンの支配に頼って生きている。モルガンの力はブリテン全域を覆っている上、女王軍には訓練された妖精の兵士と女王の加護を受けた妖精騎士がいるため、誰も女王に逆らう事が出来ない状態だった。モルガンに厄災を祓っている実績がある以上、それが絶対的な正義となっており、女王を信奉する妖精も多数を占めている。ちなみに騎士グラントの「モルガン陛下から戴いたこの甲冑」、妖精騎士ガウェインの「陛下より杖を授けられた衛士」という台詞から女王騎士の武器と防具はモルガンが与えているようだ。災厄から安全に逃れられるのはキャメロットに住む上級妖精のみ。風の氏族長オーロラはキャメロット入りを許可されていたが、ソールズベリーの民も一緒に受け入れてくれなければ入らないと反発したためモルガンの怒りを買い、オーロラも入城禁止となった。
女王歴になった後、本来滅びるはずだったブリテンをモルガンが強引に維持した事で「滅びの意思」であるヴォーティガーンが出現。ブリテンを滅ぼそうとするもモルガンによって討伐された。しかしヴォーティガーンは今後も定期的に出現するようになり、ブリテンを脅かし続けた。同時にモルガンはブリテン創世のくだりである「ケルヌンノス」「最初の予言」「何故神はいなくなったのか」「六つの氏族は何を望んだのか」「そもそもこの世界が異聞帯になった理由」等をひた隠しにしていた模様。
女王歴400年、かつて救世主トネリコに敗れた女王マヴが北部の地にてエディンバラを築いて引退。二代目女王ノクナレアの誕生まで王の氏族は指導者無しの状態が続く。女王歴800年、ひそかに誕生した二代目ヴォーティガーンの扇動により牙の氏族が翅の氏族を滅亡させる。唯一ムリアンのみが生き残るが、しばらく六つの氏族は五つに減じる。
女王歴1000年。1000年おきに大災厄が起きる『妖精國』にとって節目の年に、二代目ヴォーティガーンことモースの王に率いられたモースの大群が出現。モルガンと五つの氏族が鎮圧に参加した(モース戦役)。モースの王は炎と稲妻を好む生態をしていた事から「嵐の王」と呼ぶ妖精もいたが、モルガンがその名を口にするのを禁じている。戦闘は数十年に渡り、排熱大公ライネックが戦死する被害を受けたが、次代のウッドワスが誕生し、彼がモースの王を討った事で戦役は幕を閉じた。しかし王は倒された時に牙の氏族へ呪いをかけていてモース戦役以降各地で妖精食いのブラックドッグが出現するようになる。この戦役で騎士ポーチュンが活躍し、200年間チェス盤で保存される事に。
女王歴1800年、中原で土地喰いの災厄である芋虫型モースが大量発生し、女王軍が迎撃する(キャタピラー戦争)。無限に増殖するキャタピラーを駆逐するため、モルガンはバーゲストに円卓の騎士ガウェインのギフトを与え、初代妖精騎士以来の妖精騎士が誕生。ガウェインのギフトを受けた事で真名が変貌し、誰もバーゲストの名を認識出来なくなった。『竹箒日記』によるとモルガンも参戦したようだが、キャタピラーの大群に向けてロードレスキャメロットを撃った後、「無理。帰る」と言って妖精騎士ガウェインに丸投げしてキャメロットへ帰ってしまったらしい。一人残されたガウェインはコーンウォール領主ファウル・ウェーザーを捕食してその力を我が物とし、芋虫型モースを撃破。その功績からマンチェスターの領主となった。高貴な立場でありながら率先で前で戦うガウェインの戦いぶりを、モルガンは「ノブレス・オブリージュ(高貴な者の社会的義務)」と評した。
女王歴1900年頃、ダーリントンにて蘇りの災厄が起こり、領主グレイマルキンがナイトコール化。その際にバーヴァン・シーが巻き込まれて死亡、現場に駆け付けたモルガンによって蘇生させられた後、ギフトにより妖精騎士トリスタンとなる。そのトリスタンを移転して再興したニュー・ダーリントンの領主に据えるとともに自身の後継者に指名し、魔術を教える。ニュー・ダーリントンには国立殺戮劇場が作られ、トリスタンが領主になってからはいたずらに殺される妖精の数が激増。牧場から脱走した人間もニュー・ダーリントン送りとなる。故に国立殺戮劇場は恐怖の対象として知られる一方、トリスタンへの反感から反乱軍や反抗勢力の規模を大きくしている。同時期、女王歴に年号が変わってから新しい鉄の武器は作られていなかったが、モースの増加や北の妖精の不穏な動き等を受けてスプリガンが重要性を進言した事でモルガンは許可を下し、彼が領主を務めるノリッジは鍛冶の街へと変貌した。
ぼくらの望みは棚の上。今も女王の手のひらのなか。でもそれもあと少しの辛抱だ。
二千の年を超えた朝、救いの子が現れる。
妖精と人間を結びつけ、世界を救う救世の子。はじめは小さな光でも、誰の目に見えなくても、
光を目指す蛾のように。
鉄の街、煤の海。災いを退けた時、巡礼は迎えられる。選定の杖に導かれ、異邦の旅人に見守られ、
救いの子は玉座に届く。
玉座につくのは真の王。血染めの冠おひとつどうぞ。ならせ、ならせ、雷のように。火のように。
六つの鐘をならして示せ。
真の王の道を作れ。あかい災厄が追いつく前に。くろい災厄が食いつく前に。
女王歴2001年、二代目の予言の子であるアルトリア・キャスターがティンタジェルに流れ着く。未来を見通せる鏡の氏族、その氏族長エインセルが「予言の子が偽りの女王を倒す」という予言を行い、圧政に苦しんでいた妖精を中心に予言の歌が流行り出す。この年に三代目ヴォーティガーンのオベロンが西の森で誕生。奈落の虫の力を宿していたが、モルガンがケルヌンノスを斃さずに封印していた事で奈落の虫が復活できず、しばらく何も出来ない日々を過ごす。
2012年、キャメロットで行われた御前試合コマドリ大会にて人間の騎士パーシヴァルが勝ち残り、決勝戦で妖精騎士ランスロットとぶつかるも生き残った。パーシヴァルの腕前をモルガンは高く評価し、「人間ながら妖精騎士に匹敵する」と褒美を取らせた。しかし一方のパーシヴァルはモルガンと謁見した事で「女王は人間も妖精も等しく道具としてしか見ていない」「今の妖精國の在り方を変える気は絶対ない」と実感するに至り、じきに現れるであろう予言の子を助ける組織・円卓軍の結成を決意する。当初はモースから商人を守る護衛団だったが、オベロンからの出資を受けて円卓軍に格上げされる。
女王歴2017年、予言の子が旅を始める16歳になるため、モルガンは女王軍に命じてブリテン全土で予言の子狩りを実施。通報を受けてティンタジェルにウッドワス率いる処刑隊が踏み込んでいるが、村人同士の殺し合いに巻き込まれ、キャストリアに逃げられている。いつ頃からかモルガンは「女王歴2017年の終わりに、我が妖精國はこの惑星の支配者となる」と公言しており、ブリテン島を囲っている光の壁を消して汎人類史へ攻撃を仕掛ける準備をしていた。
西暦2017年12月31日、宇宙から空想の種が落ちてきて、イギリスに落下したものが『ブリテン異聞帯』となる。しかし担当クリプターであるベリル・ガットが『ブリテン異聞帯』を訪れた当初は荒れ果てた土地が広がるのみで、空想樹セイファートこそ健在だったが『妖精國』なんてものは無く、何の発展性も無い行き止まりの世界であった。実際、第二部『Lostbelt No.1 獣国の皇女』プロローグでデイビットから「原始的」と評され、『Lostbelt No.5 神を撃ち落とす日』プロローグintorではベリルに「人間の数は少ねぇ、幻獣は腐るほどいる、ちょいと道を歩けばルールの違う世界に出る……」「ありゃあ地獄のワンダーランドだ。イギリス生まれのオレがドン引くほどのな」と言われる始末。またクリプター軍団のリーダー格であるキリシュタリア・ヴォーダイムは「イギリス異聞帯だけは残ってはいけない異聞帯なんだ」「イギリス異聞帯から出てくるものは、我々にも、『異星の神』にとっても脅威になる」と語り、担当のベリルにセイファートを伐採して自滅させるよう密命を与えていた。この時点でキリシュタリアは妖精國を汎人類史にまで拡大させるモルガンの野望を把握していたと思われる。
だがベリルが『ブリテン異聞帯』で汎人類史のモルガンを召喚した事で歴史が変わり、異聞帯のモルガンと化した救世主トネリコがセイファートを枯らして滅んだブリテンを復活させる。結果、『ブリテン異聞帯』を覆っていた嵐の壁は光の壁に転じた。通常異聞帯と汎人類史との境界には鉄をねじ切るほど強烈な嵐の壁が広がっているが、カルデア軍団に観測された時には既に『ブリテン異聞帯』は嵐の壁ではなく光の壁になっており、勝手に自壊すると判断して攻略を後回しにした。一応キリシュタリアからの密命は果たされた訳だが、ベリル本人にしてみれば寝ている間にいつのまにかセイファートが枯れ木と化し、荒野に『妖精國』が誕生しているという超展開にしか見えなかった。
ベリルが最初に訪れたのは大厄災で滅んだ一周目の世界だった。異聞帯モルガンになるはずの湖の妖精ヴィヴィアンは妖精によって既に殺害されており、大厄災を回避出来ぬまま一度は滅んだ。だが彼が汎モルガンを召喚した事で歴史が改変される。召喚されてすぐに事態を理解した汎モルガンは、過去の妖精歴4000年のヴィヴィアンに自身が持つ汎人類史の情報をレイシフトで提供して死亡。遠い未来から情報を得たヴィヴィアンは自身が殺されるはずの場面で生き残り、歴史を分岐させる。
そこから救世主トネリコとして仲間を率いながら何度も厄災を祓ってブリテンを守護するも、妖精からは称賛ではなく罵倒を浴びせられて次第に精神を病んでいく。妖精歴400年、トネリコは人間との共存を訴える円卓を結成し、人間の騎士でありリーダーのウーサーによって妖精氏族を屈服させてブリテンを統一。ロンディニウムの戴冠式で彼が王になるはずだったが、妖精の気まぐれによってウーサーは毒殺され、円卓は皆殺しにされてしまう。更に魔手はトネリコとその仲間にも及び、賢人グリムは逃げ延びたが、捕まった黒騎士エクターは不死だったため両目を潰された上で海に投棄される。トネリコ自身は魔術を使って首謀者の妖精に濡れ衣を着せて逃亡に成功するも、何度も妖精に裏切られ続けてきた彼女の心はもう限界だった。「ブリテンに住む妖精も厄災」と認識した彼女は、決して妖精を救わないと決心するのだった。
そしてモルガンを名乗った彼女は空想樹セイファートを枯らして歴史を強引に再開させ、二周目の世界である『妖精國ブリテン』が誕生。オークニーに上陸し、冬の戦争で妖精氏族を従えた冷徹なる女王は元号を女王歴に改めて「決して妖精を救わない」統治を始める。ちなみに「2017年の健在だったセイファートを見た」ベリルはありえざる歴史である女王歴に入った時にタイムパラドックスで一度消滅しており、女王歴のベリルはモルガンが作り直した二代目である。つまり彼は最初の爆死を含めて2回死んでいる。
本編での初登場は第二部第五章『星間都市山脈オリュンポス』第二十三節第二十五節。魔力を貯め込んで育ち切った空想樹マゼランを燃やすべく『ブリテン異聞帯』で枯れ木状態だった空想樹セイファートを自ら燃やし、枝という枝を伝ってマゼランを延焼させて内部から燃やすという離れ業を初手から披露。予想外の事態はキリシュタリアを驚愕させる。続いてオリュンポスに忍び込んだベリルを誘導ビーコンにして妖精國から聖槍ロンゴミニアドの狙撃を行った。その威力たるやホームズにして「仮に空間転移でオリュンポス都市部まで退避したところで、あの光は全てを貫く……!」と言わしめる程。光が全てを呑み込んで消し去るかに見えたその瞬間、キリシュタリアが張った結界に阻まれ、かろうじてオリュンポスは残った。が、目的であった空想樹マゼランを消滅させる事には成功する。ベリルもモルガンの実力は評価していたようで「(異星の神が降りてくる器が無くなって)今この惑星で一番強いヤツは、うちの異聞帯の王サマって話にならないかい?」と発言している。
異星の神の器となる空想樹セイファートを燃やした挙句、汎人類史を塗り替えて自身の『妖精國』を地球全土に広げる野望を抱くモルガンは異星の神にとって邪魔者でしかなかった。『オリュンポス』第二十七節にて、モルガンが放ったロンゴミニアドを「空想樹すら焼きかねなかった光の槍」と脅威に感じ、使徒の千子村正にモルガンを始末するよう命じて『ブリテン異聞帯』へと送り込んだ。村正はキャメロットに殴り込んで妖精兵士を蹴散らし、あと一歩の所でモルガンの首を取れるかと思われた瞬間、空から現れた妖精騎士ランスロットに妨害され、大穴に転落している。
モルガンは妖精たちから徴収した魔力を使って汎人類史への攻撃を企んでいた。彼女の真の目的は『妖精國』を拡大して汎人類史を塗り潰し、地球をブリテン島だけの惑星にする事だった。第二部第六章『妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ』のプロローグで観測レンズ・シバが24時間後に『ブリテン異聞帯』の崩壊を観測、その崩壊は地球全土に伝播して「星の終わり」を迎えると弾き出した。異星の神への対抗手段となる神造兵器ロンゴミニアドを確保し、汎人類史への攻撃を阻止するためカルデア軍団は『ブリテン異聞帯』へと足を踏み入れる。
序盤から断片的に女王の存在が語られ、妖精たちが恐れている事を窺わせる。第二節「ソールズベリー」で初めてオベロンの口からモルガンの名が出た事で同行サーヴァントの本物トリスタンが食い付き、『ブリテン異聞帯』で倒すべき存在がモルガンだと明かされた。また彼女が政策で人間の出産数や総数を管理している事も語られている。その頃、東の港町ノリッジには数ヶ月前から百年に一度と言われる強大なモース流こと厄災溜まりが渦巻き始め、日に日に空を黒く塗り潰していた。にも関わらずモルガンは何ら手を打たず、オーロラから「あの女王陛下でさえ解決できない呪い」と言われ、ノリッジの住民は「モルガンが街を見捨てた」と浮足立っていた。第三節「オーロラ」では事前にベリルからカルデア軍団が『妖精國』へ来訪する事を聞かされていたようで妖精騎士に「機会があれば捕らえよ」と命じている事が判明。はぐれたマシュを探し求めてカルデア軍団がソールズベリー西方の人間牧場を襲撃して女王騎士グラントを撃破。その隙に円卓軍が介入して収容されていた人間を救出した。すんでのところで妖精騎士ガウェイン率いる部隊が円卓軍を殲滅し、逃げ出した収容者の一部を捕まえて処刑するが、モルガンの財産たる人間牧場は機能を失った。
「5(断章)」では反モルガンの旗を掲げて戦争の準備をしているシェフィールドを潰すべく、ニュー・ダーリントンより女王軍を出撃させる。元々シェフィールドは北部の妖精に備えるべく軍備拡充をモルガンから認められていたが、それを良い事に領主ボガードが堂々と戦力を蓄え続け、トリスタンの横暴で殺される妖精が増えてからは反乱分子の受け皿にもなっていた。「7(断章)」ではボガードに対し「予言の子を差し出せ。従うのならシェフィールドの自由を認める」という旨の書簡を送り、シェフィールドの反乱を全く気にも留めていない事からボガードが激怒。「予言の子など我が城には存在せず。ただ女王への叛旗あるのみ」と返事して開戦不可避の状況となった。モルガンはボガード軍を確実に粉砕すべく妖精騎士三騎を同時投入。『妖精國』最大の戦力によりシェフィールドの城壁は容易に崩れ去り、進退窮まったボガードがブラックバレルを使用して大損害を受けるも戦況は覆らず、あっさり陥落。ボガードも戦死した。
第四節「グロスター(Ⅰ)」にて本格的に登場。キャメロットの玉座に集まった各氏族長からの報告に耳を傾ける。妖精騎士トリスタンが余興に書記官イットリーや法務大臣らを殺害してウッドワスが憤怒するが、「良い。貴様は黙っていろ、ウッドワス。家庭の事情というやつだ」と制する。次に妖精騎士ガウェインから南部の人間牧場が破壊されたと失態の報告を受けるも、どのみち牧場は取り壊す予定だったのと、シェフィールドでのガウェインの功績によって不問に付した。スプリガンからの陳情でノリッジの厄災溜まりに対しては水鏡を使うと決断、近頃国内を騒がしている予言の子については多少の危険性を考慮し、カルデア軍団のマスターに対しては引き続き殺害ではなく捕獲を命令。成功した氏族には五百エーカーの領土を褒美にするとして捜索の任を与えた。第八節「ドラケイの河」で、キャメロットにて女王が大規模な魔術の準備を始めたとの噂が流れ始めた。
第九節「ノリッジ(Ⅰ)」にて、いよいよノリッジの厄災が始まった。カルデア軍団の活躍で厄災を祓ったのも束の間、モルガンが準備していた水鏡の転移魔術が上空から放たれ、マスター達をかばって前に出たマシュを取り込み――消滅させた。厄災を祓ってノリッジを救ったカルデア軍団に対しモルガンは異邦の魔術師と、軍団と一緒にいる予言の子との謁見を許可。妖精騎士ガウェイン率いるモース掃討職第一近衛騎兵隊をノリッジからキャメロットまでの護衛に派遣した。不測の事態に備えて妖精騎士ランスロットも派遣している。キャメロットの北部では「大厄災に備えた軍事訓練」の名目で北部のノクナレア軍が領土ぎりぎりで演習を行うという露骨な挑発を受けていたが、過去に何度も同じ事を繰り返しては撃退され、またキャメロットには集められた膨大な魔力が蓄えられているのもあって脅威とも思っていなかった様子。
第十節「キャメロット」にて、モルガンはベリルを伴って異邦の魔術師ことマスター及び予言の子アルトリア・キャスターと相対。大使と官司の発言を一切禁じた後、キャストリアを一瞥して本物の予言の子だと見抜き、マスターにはノリッジの厄災を祓った褒美としてQP1億を与える約束を結ぶ(実際ゲーム内でQPが加算される)。どうやら短時間でカルデア軍団の魔術体系を読み取り、それを再現してQPを錬成したようだ。マスターとロリンチから『ブリテン異聞帯』の崩壊とそれに伴う地球の崩壊が検知された事、崩落現象の解明と解決のために『妖精國』へ上陸した事、オリュンポスに向けてモルガンが放ったロンゴミニアドの提供を求めに来た事を告げられる。だがモルガンは氷のような微笑を浮かべながら「おまえたち汎人類史は、この上なく無様に滅びよ」と処刑宣告を下す。崩落現象の元凶はモルガン本人であり、悲願でもある『妖精國』の領土拡大と相容れないものだったからだ。「おまえたちの世界を救いたければ、私を倒せ。それ以外、汎人類史を救う術はない」と宣戦布告とも取れる言葉を言い放つ。キャストリアにも「ブリテンを救いたいのなら、私を倒し、玉座を奪え」と明確な敵意を見せる。女王の謁見は終わった。早速ベリルがカルデア軍団に襲い掛かろうとしたが、キャメロットを出るまで賓客扱いだとするモルガンの重力操作によって床に叩きつける。そしてキャストリアに対して巡礼の鐘を鳴らさぬうちは見逃してやるが、一つでも鳴らしたらカルデア軍団ともども敵と認識して兵を挙げると脅しをかける。最後にマスターから水鏡で転移させたマシュの安否を問われ、ロリンチの説明を受けて何かに気付く素振りを見せた後、マシュの身の安全を保証した。図らずもモルガンと敵対関係になってしまったカルデア軍団。天才のロリンチですら「モルガンと敵対した時、どうすれば勝てるのか、といった判断材料がまるで見えてこなかった」と勝ちへの道筋が見えずに嘆息するのだった。
謁見から数時間後、妖精払いを済ませた玉座にて一人佇むモルガン。その視線の先には巨大な大穴があり、その中に潜む「何か」に気を揉んでいる様子だった。そこへ異星の巫女とカルデアの者が現れる。カルデアの者にとって異星の神の目的に比べればモルガンの野望は遥かにマシらしく、女王の手で汎人類史が滅びる方が良いとして『妖精國』拡大の妨害はしない、カルデア軍団にも助力しないと約束。モルガンが作り上げた『妖精國』という作品、神域の天才へと至ったモルガンの魔術を褒め称えたが、「貴様に魔術の腕を讃えられても喜べぬ。それこそ嫌味というもの」と不機嫌に返した。
第十二節「ノリッジ(Ⅱ)」ではカルデア軍団がキャメロットを出立した後、スプリガンがモルガンに女王軍の派遣を要請。ノリッジの厄災を祓った事で住人が予言の子を支持し女王への敵意を露わにした事が理由だった。ノリッジには女王騎士を含む軍勢が派遣されたが、ロンディニウムから出撃してきた円卓軍やカルデア軍団の出現に加え、反女王派の住民が一斉蜂起して乱戦状態と化す。やがて女王軍は撃退されて敗北。ノリッジの鐘が予言の子に鳴らされ、この時からモルガンと予言の子の敵対関係が始まった。
『予言の子』は妖精國に仇なす外敵。これに与するものも同類と見做す。
我が妖精國において敵は斃すもの。滅ぼすもの。一片の情けも与えぬもの。
オックスフォード領主、ウッドワスにはロンディニウムへの攻撃を命じる。
久しぶりの戦争に臣下の妖精たちが心躍らせる中、モルガンは「戦争の準備ができると見るや、我先にと、己が住みかに走り去ったか」「飽きやすく、血に酔いやすい。2000年かけても妖精どもの性根は変わらぬな」と一人呆れるように呟くと、チェス盤より護衛騎士ポーチュンを目覚めさせる。彼が眠っていた200年の記憶を含んだ「伝達の水」を与えて状況把握させた後、妖精騎士ランスロットとガウェインの補佐に付けた。
第十三節「ウェールズ(Ⅱ)」にて、命令通りウッドワス軍がロンディニウムの攻囲を始めたその矢先、モルガンは反乱分子どもを集める良い機会だとしてロンディニウムへの直接攻撃とウッドワスの出撃を禁じ、ベリルにその伝令役をやらせた。同時にモルガンはオベロンの本拠地であるウェールズの森にも戦力を差し向けており、ロンディニウムへの攻撃は単なる陽動、本当の目的はオベロンを始末する事だった。妖精騎士ランスロット、ガウェイン、護衛騎士ポーチュンを送り込むという必殺の構えであり、あっと言う間にウェールズの森は焼かれ、そこに住む妖精たちは皆殺しとなった。急報を受けて駆け付けたカルデア軍団や予言の子、オベロン、パーシヴァルの決死の抵抗により女王騎士の一団が戦死、キャストリアによって真名を見破られてガウェインがギフトを失い敗退、ポーチュンは鏡面迷彩を使ってパーシヴァルの隙を突こうとしたがガレスに見破られて失敗し、二人から同時に攻撃を受けて撤退。ランスロットは森の火災が鎮火したのを見て自らキャメロットへ退却して女王軍は退けられた。その後、ポーチュンは帰投中に何者かに襲われて死亡。
第十四節「決戦前夜(Ⅰ)」で、ウェールズの森での任務からバーゲストとランスロットが帰還し、玉座に座るモルガンの前に姿を現した。ギフトを失い予言の子に敗れたバーゲストに領地マンチェスターでの謹慎処分を言い渡す。「反抗勢力が立てこもるロンディニウムに増援として送るべき」という声もあったが、モルガンは既に援軍を送ったと取り合わなかった。ポーチュンの未帰還に関しては「妖精の質も落ちたものだ。『モース戦役』を生き延びた騎士でさえ、この体たらくとはな」と落胆を隠さずに言い放つ。この時にバーゲストからカルデア軍団との和解を進言されるも、ブリテンの存続しか考えていない彼女は却下、これによりバーゲストから「妖精を救う気が無い」と疑念を抱かれてしまう事に。
第十五節「ロンディニウム防衛戦」で遂にウッドワス軍がロンディニウムへの総攻撃を開始。しかしモルガンが送ったはずの増援は何故か到着せず、パーシヴァル率いる別動隊に包囲されてウッドワス軍本隊が混乱。カルデア軍団やパーシヴァル、ガレスの反撃でウッドワスが重傷を負い、ウッドワス軍は壊走。援軍が来なかった事でウッドワスの胸中にもモルガンへの疑念が渦巻き始めた。更にグロスターで行われた妖精舞踏会で妖精騎士トリスタンが予言の子に敗北した挙句、トリスタンの正体が吸血鬼バーヴァン・シーである事がバレてしまい、そのバーヴァン・シーを寵愛しているモルガンへの不信感が強まる。予言の子はノリッジに加えてグロスターの鐘も鳴らし、着実に巡礼の旅が進んでいく中、反モルガンの感情は主要都市の妖精だけでなく点在する村でも強まりつつあった。反乱分子が無視出来ないほど強くなったのを見て打算で動くスプリガンもまた反抗勢力への鞍替えを行う。凶事が次々に舞い込む中、無様に逃げ帰る羽目になったバーヴァン・シーがモルガンに無断で「失意の庭」を持ち出し――。
第十七節「マンチェスター」では玉座に座って一人公務を執り行っている描写が描かれた。肩の力を入れ続けているモルガンに対し、ベリルは「(圧倒的力を持つモルガンにとって)カルデアも『予言の子』もアンタの敵じゃあないだろ?」と諭すが、汎人類史を打倒するまでは玉座を譲る気は無いと跳ねつける。そしてグロスターで敗北したバーヴァン・シーに「次はない」と冷徹に釘を刺した。
第二十一節「ロストウィル」において、ベリル曰くバーヴァン・シーが玉座から「失意の庭」を勝手に持ち出した事に気付いて激怒していた様子。
第二十二節「最後の騎士」ではロンディニウムで決起した反乱軍に呼応して女王軍を送り込み、内外からの同時攻撃で城内を火の海へ沈める。子供も含めて避難民や兵士を皆殺しにし、ガレスの抵抗で若干の被害こそ出たものの、円卓軍本隊が戻ってくるまでに大損害を与える事に成功した。キャメロットでは開戦準備が進められ、モルガンは各氏族長、妖精騎士、女王騎士に招集の命を下した。招集に応じた妖精騎士ランスロットとバーゲストをキャメロットの城壁に布陣させる。一方、バーヴァン・シーは後継者から外されて軟禁となった。
第二十三節「決戦前夜(Ⅱ)」でグロスターの氏族長ムリアンは招集命令を無視して予言の子に賛同。直属の女王騎士ですら105名中25名が招集を拒否して領地に留まるなど女王軍内部からも離反者を出すほど士気は着実に下がっていた。だがモルガンの冷静さはまるで崩れない。西門から招集に応じるべく近づいているオーロラの軍勢には敵意があると見抜いて西門を閉ざし、招集に応じなかった女王騎士は作った分身を各地に飛ばし、わずか一晩で全員処断。自信たっぷりに「何があろうとキャメロットは落ちぬ。反乱軍など、そうだな――8度目の『災厄』程度の問題だ。私ひとりで事足りる」「『予言の子』……。巡礼の鐘をすべて鳴らした程度で、憐れな。私がそれを何度終わらせたと思っている。たった一度の巡礼では、私の指一本にも届くまい」と呟くのだった。そんな中、北部の妖精を束ねるノクナレアから明朝に城を明け渡すか、戦争するかの宣戦布告がなされ、円卓・ノクナレア連合軍との開戦は不可避となった。
第二十四節「モルガン」でいよいよキャメロットを舞台に女王軍vs円卓・ノクナレア連合軍の戦いが始まった。カルデア軍団との密約によりバーゲストは抵抗せず、賢人グリムと村正の攻撃により妖精騎士ランスロットは後退。賢人グリム曰くモルガンは戦いにおいては一度も引き分けた事が無く、どんな場所であれどんな相手であれ彼女が戦えば必ず死人が出るという。敵が死ぬか、自分が死ぬまで手を止めない苛烈なる女王。それがモルガンだった。ノクナレア軍の巨人兵団が正門を破り城壁内に連合軍が雪崩れ込む。城下の6割が連合軍に制圧され、女王騎士80名のうち38名が戦闘不能へと追いやられていた。戦況が寄せられるたびに敗色が一段と濃くなっていき、玉座に集まった上級妖精ですら女王軍の敗北を予期して保身に走りだす中、遂にモルガンが玉座から立ち上がって出陣する。
本気を出すのは2000年ぶりだ。初手で詰みにならぬよう、多少は気遣うとしよう。
キャメロットに雪のような灰が降りだした。咄嗟にキャストリアを狙った攻撃をマシュが防ぐ。灰を吹き飛ばす一陣の風が吹くと、カルデア軍団とキャストリアの前に女王モルガンの威容があった。まだ城内に突入すらしていないにも関わらず、街中で恐るべき冬の女王と出くわしたのである。異聞たるブリテンよりも正しさを取ったキャストリアに覚悟を問いただし、その覚悟を変えられないと確信した今、モルガンとカルデア軍団の決戦の火ぶたが落とされた。交戦の末、致命傷を受けたモルガンはあえなく消滅。確かにモルガンは強く、カルデア軍団の面々がこれ以上の戦闘は困難になるほど追い詰められたが、呆気ない女王の最期に困惑せざるを得なかった。その瞬間、オベロンがキャストリアを突き飛ばし、オベロンは一条の光に呑まれて消え去った。次はパーシヴァルを狙って光が落ちてきたがマシュが間に入って防ぐ。
まさか、私を一体倒しただけで終わり、などと思ったのか?
モルガンは分身していたのだ。先ほど倒されたのは数多の分身の1体に過ぎない。ノクナレア軍も、円卓軍も、単独行動中の村正も、みなモルガンに襲われている。嵐のような破壊に連合軍の兵士は抗えるはずもなく、出入り口は既に可動区画によって封じられ、今やキャメロットは反乱分子の処刑場。どれだけ兵力差があってもモルガンには関係の無い話だった。どれだけ凶事か舞い込んでも冷静さを崩さなかった女王の自信の正体。倒すのであれば暗殺でなければならなかったと妖精騎士ランスロットは痛感する。戦争を仕掛けた時点で勝ち目は無かったのだ。妖精騎士として女王の傍に仕え続けた彼女でさえモルガンの真の恐ろしさを計りかねていた。キャメロットの上空から降り注ぐ光の雨が容赦なく反乱分子を消し去ってゆく。カルデア軍団にも魔女の嵐が襲い掛かり、容易に薙ぎ倒される。戦争はモルガンの完全勝利で終わるかに見えた。キャストリアにトドメの一撃が振り下ろされようとしたその刹那、モルガンの分身体が一斉に消え失せる。
その頃、玉座の間では異変が起きていた。地下の抜け道を使って忍び込んだウッドワスが書記官メルディックを殺害し、女王の御前に立つ。ロンディニウムを攻囲した時に援軍を送ってくれなかったモルガンを問いただすために。モルガンは確かに援軍を送っていたのだが、事前にオーロラからの入れ知恵を受けていたウッドワスはこの回答を「牙の氏族を見捨てるための嘘」と解釈。忠義を踏みにじられ、氏族の誇りも汚されたウッドワスは激怒し、牙を剝き出しにして敵意を向ける。しかしモルガンは「おまえの毛並みは、このブリテンでもっとも温かく、愛らしかった」と宥め、激情のままモルガンに致命傷を負わせるも、その直後に自分の失態に気付いて後悔。モースとなって消え失せた。
ウッドワスに吹っ飛ばされて重傷を負った体に鞭打ち、よろよろと玉座へと戻ろうとするモルガン。そこへ追い討ちをかけるかのように反旗を翻したスプリガンとその軍勢に取り囲まれる。だが重傷を負っているとて相手は妖精妃モルガン。保険のためスプリガンは軟禁中のバーヴァン・シーを回収しており、人質として突き付けてきたが、それでもなお、左手しか動かせない状態ながら敵兵を物言わぬ肉塊へと変えてゆく。そして最後にモルガンを地獄へ突き落とす最悪のトドメが刺される。風の氏族長オーロラによってモルガンの正体が「楽園の妖精」だと暴露されたのである。ブリテンに住む妖精は本能的に楽園の妖精を排除したがる。モルガンが楽園の妖精だと知られた以上、転落はあっと言う間だった。瞬時に臣下からの信頼を失い、玉座の間が敵地となり、誰一人として味方となる者がいなくなったモルガン。周りから物を投げつけられ、剣で刺し貫かれ、「ブリテンを失いたくない」と玉座に戻ろうとする瀕死の女王を誰も顧みず、妖精たちからリンチを受けて死亡。遺体は原型を留めていないほど損壊が激しかったという。これが2000年間『妖精國ブリテン』を統治してきた女王の最期であった。モルガンの死によってキャメロットは陥落。円卓・ノクナレア連合軍の逆転勝利に終わった。実はサーヴァントとして実装された『妖精國』の主要人物の中で最も早い退場である。
モルガンの死後、新たな女王にはノクナレアが就き、彼女の治世のもと『妖精國ブリテン』は平和になる…と思いきや「モルガンの死」こそが『妖精國』崩壊の決め手となってしまった。オーロラの謀略により新女王ノクナレアはあえなく毒殺され、指導者不在の状態で千年に一度の大厄災を迎える事となった。オーロラの凶行を前にスプリガンは「妖精どもには纏め上げる王が必要不可欠だ!それはモルガンの歴史が証明している!」と吐き捨てたが、全てが遅すぎた。
何の前触れも無く島中にモースが大量発生し、恐怖に呑まれた妖精もたちまちモース化していく。ギフトによって霊基を上書きして呪いを抑えていたバーゲストとメリュジーヌが厄災と化し、大穴からは獣の神ケルヌンノスの死骸が呪いを撒き散らしながら蠢く。モースの大量発生に対応できる牙の氏族は既にムリアンが絶滅させ、有効手段を失ったまま『妖精國』全土が炎に包まれる。災厄を一手に引き受けていたモルガンがいなくなった事、ブリテン島の終末装置オベロン・ヴォーティガーンの暗躍が厄災の同時多発を招いたのだった。
しかしモルガンが大厄災――ひいてはケルヌンノス対策のために用意したロンゴミニアド12門がキャメロット城壁に遺されており、これがカルデア軍団の切り札となる。モルガンの死によって庭から解放されたマーリンも合流して一縷の希望が生まれた。第二十九節「ある予言」にて蓄えられた魔力とロンゴミニアドをキャストリアが使用。その際に彼女は「……すごい、本当に天才だったんだ」とモルガンへの賛美の念を抱いた。妖精としての能力は勿論、キャメロットそのものを礼装にする発想、これほど巨大な術式でありながら僅かな淀みもない魔術回路の繋がりと魔力循環、まさに神域の天才と。しかし唯一の欠点はその天才が扱う事を前提にした設計。キャストリアには扱えないものだったが、魔力を自分自身から供給する事でクリアし、自らの命と引き換えに聖槍12門全てを発射。ケルヌンノスの厚い呪層を貫通して遂に神核を露出させ、すかさずマシュがブラックバレルを撃ち込んでとうとうケルヌンノスは斃された。
だがケルヌンノスを斃した事で最後の厄災、奈落の虫とオベロン・ヴォーティガーンが出現する。厄災と化していたケルヌンノスは実は奈落の虫の出現を抑え込んでいた善神であり、モルガンは敢えてケルヌンノスを斃さずに封じる事で奈落の虫の出現を防いでいたのである。
2022年のバレンタインイベントで実装。前半のBGMは「冬の玉座」。
以下、イベントのネタバレが大量に含まれているため、折り畳む。
自分の部屋へ妖精騎士三騎を秘密裏に呼び出したモルガン。バーヴァン・シーに靴を自重で壊してしまった事を暴露されるバーゲストだったが、それを聞いたモルガンはバーヴァン・シーに命じて頑丈な靴を用意させ、早朝にも関わらず参集に応じたメリュジーヌを褒めるなど良き女王っぷりを発揮を見せる。今回モルガンが妖精騎士たちを呼び出したのは、10日後に控えるバレンタインを見据え、「我が夫に贈る品について会議」を開くためだった。ただ「我が夫」の正体については妖精騎士たちには明かしておらず、バーゲストはカルデアに集う歴戦の英霊に贈るものと思い、バーヴァン・シーも同様にカルデアの英霊が相手だと判断。女王に釣り合うかどうか、暇人マスターを誘って素行調査を行うつもりでいた。唯一メリュジーヌのみ「我が夫」の正体がマスターだと正しく理解し、恋人と夫は別のジャンルと言ってまどろんでいた意識を覚醒させる。
バレンタインにチョコレートを贈る事を事前に調査していたモルガンは、どのようなチョコを作るべきか妖精騎士に意見を求める。バーヴァン・シーは「今どきカワイイだけなんて魅力不足でマイナス」「クールでアイスでダークなの、得意でしょ」と述べ、バーゲストは「造形も大事ですが、重要なのはやはり愛ではないでしょうか」「愛着があるもの。愛しているもの。そういうものを模してみるのはどうでしょう?」「陛下を愛しているものを、同じように愛しく感じてくれるのなら、それは理想の伴侶ではないでしょうか?」と愛多きガウェイン卿らしい意見を述べ、メリュジーヌからは「自分自身を差し出す」という直球な意見を言われて「自分自身……それは些か、動物的すぎて……」とモルガンは顔を赤らめる。とりあえず自分自身とも言えるものをモチーフにすれば良いと解釈。一通り意見を聞いた彼女は道具作成EXスキルを使い、妖精騎士に手伝って貰いながら、10日間厨房にこもった。
10日後、モルガンはマスターの部屋にいた。突然押しかけて来たモルガンにマスターは困惑するも、彼女から今日はバレンタインと指摘された事で意図を察し、妖精國の威信を賭けて製作したモルガンの自信作「キャメロット物語」を手渡す。自身の居城キャメロットに、頼れる妖精騎士、ウッドワス、スプリガン、そしてモルガンとバーヴァン・シーを模したチョコレート。ともすれば芸術品にも見える迫力のあるチョコレートだった。アフタヌーンティーを楽しんだ後にチョコを味わおうと考えていたモルガンであったが、興奮のあまり先にマスターが包装を開けてしまい、予定が乱れる。何故か部屋にいたフォウくんにも茶化される始末。本来なら無礼打ちするところだが、先走るほど嬉しかったと解釈してマスターを許す。そして工房へ戻ろうとするモルガンをマスターが「チョコの説明をして欲しい」と引き留める。するとモルガンはハベトロットも呼んで茶会を開く事を提案。何せ、語りたい物語が沢山あるのだから。罪都キャメロットで紡がれたいくつもの悲劇、いくつものの寓話がマスターの人生の導きにならん事をモルガンは願う。
「キャメロット物語」の実装によって『妖精國』でモルガンの敗因を作ったウッドワス、重要な局面で裏切ったスプリガンの事も未だに大切に想っている事が判明する。敗因を作ったとはいえウッドワスのこれまでの忠誠は評価に値し、スプリガンは元々「はじまりのろくにん」とは関係ない存在のため、モルガンから侮蔑の目で見られていなかったと思われる。モルカーも作ってくれたし。今回のイベントでモルガンの私室がセイントグラフにある教会のような内装をしている事も判明した。
2022年3月16日より開催されたイベント『バトル・イン・ニューヨーク2022』の「G・B・Fプロローグ」にて登場。ネロ祭に参加するサーヴァントの中に妖精騎士ともども混ざっており、アルトリア(ランサー)と無言の対面をしていた。今にも別のバトルが始まりそうな険悪な雰囲気である。
本イベントでイベントデビューしたと言えるが、台詞一切無しのモブのような扱いであり、これといった活躍はしていない。
2022年4月6日より開始された『水怪クライシス』にも登場。今回は若干蚊帳の外へ追いやられながらもしっかりとした出番と台詞があり、実質本イベントがデビューと言える。またモルガンの登場に伴ってガチャでピックアップされた。
仮にモルガンがマスター達と一緒にレイシフトしていた場合、妖精眼で黒幕が一瞬で分かって話が終了してしまうため、モルガンを登場させるには露骨に別行動させるしかなかったと思われる。
以下、イベントのネタバレが大量に含まれているため、折り畳む。
第四節「インターミッション」より参加。カルデア軍団がコンの生息地を取り戻すべく水怪たちと戦っている中、モルガンパートは平和裏に進行していく。ハベトロットと散歩するためにカルデアから無断レイシフトを行い、マスター達がいる南国風特異点に人知れず降り立つ。そこで地面から生えてきた島の怪生物コンと出くわし、興味を持って抱きかかえる。第七節「監視塔建設計画」ではハベトロットが仕事に行ってしまい、一人残されたモルガンは頬を膨らませながら「おのれカルデア。私の憩いの一時を邪魔するとは……」と恨み節をぶつける。そんなモルガンを慮ってかコンから遊びの誘いがあり、ひなたぼっこをする事に。第九節の終盤にてコンに導かれる形で徴姉妹の徴弐と遭遇。一応自身をカルデアのサーヴァントだと名乗った。その後、竹馬に乗って遊ぶコンを見て「単純な作りではありますが、希なる発想力。絶妙に恐ろしく、楽しげではありませんか」と竹馬に興味を持ち、安全性確認のため徴弐に女王用の竹馬を献上するよう求めた。要は乗りたい訳である。
カルデア軍団の戦いには参加していないが観察はしていたようで、第十一節では第三エリア「ウハラ川」を奪還した事を把握していた。またこの時点では正体不明だったコンの素性を掴んでおり、ユーザーにとって彼女の独白は、コンを考察する上で重要な判断材料となった(さすがに正体に繋がるような部分は伏せ字だったが)。それはそうとしてコンの手触りにハマる女王であった。
マスター達の方は特異点を作った黒幕であるダゴンの正体を突き止め、ダゴンが津波を起こして島ごと沈めようとする緊迫状態の中、第十八節「顕れる神」にて、コンを抱えて「腹立たしい。喧しすぎて、落ち着いてこれを撫でることもできん」と抗議しながら登場。ここでようやくカルデア軍団と合流する事になった。ロリンチから「今までしょっちゅう、許可なくレイシフトしてる誰かがいる気がしてたけどキミかー!」と怒鳴られており、モルガンが今回の特異点攻略には本来無関係な存在である事、そして今までに何度も無断レイシフトしている事が判明した。状況が状況なのでマスターやマシュ、徴姉妹から助力を求められ、コンを助ける名目で協力に応じる。が、自身は手伝わないと宣言。マシュの円卓を地面に突き立てさせた後、触媒としてエレシュキカル、ラムダ、武則天から1本ずつ髪の毛を抜き、コン数匹を使って太歳星君を召喚。相変わらずブッ飛んだ魔術行使にロリンチも「くそー、悔しいけどやっぱり天才的な術者だなあ、モルガン!」と舌を巻いた。新たに召喚された太歳星君を加えてカルデア軍団が総力戦を行い、遂にダゴンを撃破。特異点解決の目途が立った。「エピローグ」では大多数のコンは特異点とともに消滅する運命にあったが、「そこで寝ている彼は連れて帰れるでしょう」「違法召喚のようなものとはいえ、マシュの円卓を通して縁を結んだ立派なサーヴァントですから」と太歳星君だけはカルデアに持っていけると指摘。実際、太歳星君はカルデアに来たのだった。
2022年11月9日から23日にかけて配信された『カルデア妖精騎士杯 二代目の凱旋』に登場。今回は「カルデア妖精騎士杯(モルガン祭)」の主催者であった。相変わらずマーリンとオベロンに対しては悪感情を抱いており、潰し合って欲しいと願う程(一方でプロトマーリンことレディ・アヴァロンはセーフらしい)。
ある日、彷徨海に謎の鎧騎士が殴り込んできた。マスターと手合わせした後、その鎧騎士は二代目ブリトマートを名乗り、モルガンに会うために来たと語る。そこへ珍しい魔力反応を探知したモルガンが姿を現す。いきなり探していた人物と相対して「その高貴なる気配と魔力の高まり、グロリアーナ陛下に勝るとも劣らぬ女王の風格は間違えようも御座いません!」と興奮を隠し切れないブリトマート。息を荒げる鎧騎士とは対照的に「ブリトマートと言ったか。汎人類史の妖精騎士が、カルデアに何用だ?」とモルガンは冷淡に語り掛ける。どうやらブリトマートはグロリアーナ女王に仕える妖精騎士なのだが、修行の一環で外征妖精騎士としてモルガンにも仕えたいのだという。だがこの申し出を断る。既に統べるべき国が無い事、自分が勝手に外征妖精騎士に任じればグロリアーナ女王にも失礼というのが理由だった。それでも食い下がるブリトマートの前に今度は妖精騎士トリスタンことバーヴァン・シーが登場。言葉ではなく体で、気持ちじゃなくて結果で思い知らせてやろうとモルガンに「アレ」の使用を具申する。
「アレ」とはモルガンが幾人かの協力を得て、シミュレーター空間で秘密裏に造っていた英霊のための修練装置であった。名付けて明日霊血古圏(アスレチック・ゾーン)。黒髭から借りた少年漫画をバーゲストが読み、続いてモルガンが読んだ事で影響を受けたらしい。往年のテレビ番組「SASUKE」のパロディだが、回転ノコギリや溶岩、振り子の大鎌、毒の沼などギミックはクッパ城みたいになっており、あくまで英霊用である。いつしか興味本位から多くのサーヴァントが集まり、実況と解説まで付いて大規模な競技にまで発展していった。外征妖精騎士と認めて欲しければ数多の参加者を蹴散らして見事優勝してみせよ。それがモルガンからの課題であった。
前半戦では背景のギミックは停止しているが、後半戦になるとギミックが作動して回転ノコギリや火の輪が火花を散らし、カルンウェナン(?)を模した謎の柱がバチバチと電撃を放つように。
以下、イベントのネタバレが大量に含まれているため、折り畳む。
数々の関門や他の参加者チームを倒して最終関門まで生き残ったマスターとブリトマートのチーム。いよいよ最終関門という事でモルガンも解説者として参加する。マスターのチームが最後まで勝ち残ったのは「それぞれの能力を発揮し、チームとして成立しているが故の結果」と分析した。暴力だけでも運動能力だけでも明日霊血古圏は攻略出来ない。チームとしての連携も必要。その事にエルメロイⅡ世とアストライア、そしてマスターは気付いていると評した。そんなマスターチームの最後の相手を務めるのは妖精騎士の三騎。ただメリュジーヌが本気を出すとシミュレーターが破壊されるため、モルガンは「手を抜かなければ恥ずかしい秘密を一つ公開する」と事前に脅していたらしい。戦闘能力では上の妖精騎士チームは力ずくで叩き潰そうとマスターのチームを狙う。実際、アストライアやマシュ、グレイ等を圧倒出来るだけの力を持っていた。だが戦闘に熱中するあまりゴールするのを二の次にしてしまい、ブリトマートの意表を突く奇策で先にゴールされて敗北。マスターチームの勝利に「見事な奮闘でした」「我が修練場、明日霊血古圏をよくぞ乗り越え、勝利の栄光を手にしましたね」と称え、約束通りブリトマートに外征妖精騎士の称号を与えた。こうして彼女はグロリアーナとモルガン、二君に仕える事となった。最後にトロフィー代わりの聖杯を受け取って妖精騎士杯は幕を閉じた。
ストーリーでのバトルでは姿を見せなかったモルガンであったが、7日目に実装された最後の超高難易度クエスト「フィナーレは皆で」で、満を持して登場。裏のラスボスとして君臨する。その際に協力してくれた人物一人ひとりに謝意を述べ、イベント冒頭で蛇蝎の如く嫌っていたマーリンにも場を盛り上げてくれたとして感謝する辺り、彼女の優しさが見え隠れする。
余談だが、周回性能の高さからモルガンをパーティーに採用する人が多く、「自分が用意した関門や敵チームを主催者自らが蹴散らし、自分の顔が描かれたメダルを集めている」というシュールな光景が生み出された。またマイルームの台詞に「私も年に一度のモルガン祭を開いていましたから」というものがあるが、この明日霊血古圏の事かどうかは不明。『妖精國』での方針から察するに妖精を溶岩に沈めたり、回転ノコギリの餌食にしていた可能性も否定出来ない。
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最終更新:2023/03/23(木) 14:00
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