ラグタイムとは、アメリカのセントルイスで誕生したといわれる音楽の一ジャンルである。
ラグタイム(ragtime)とは19世紀、アメリカのセントルイスで、黒人音楽から派生した音楽の一ジャンルである。ragとは不正確さ、ズレを意味するラグのことで、タイムとはテンポ、つまり直訳すると、ずれたテンポの音楽のことである。
シンコペーションと呼ばれる独特の抑揚を付けたリズミカルなメロディラインが特徴。また、ホンキートンクピアノと呼ばれる、わざと調律をずらしたピアノを、左右の手で異なるリズムを打楽器のように弾いて演奏するのも特徴で、それによって不協和音をデチューンすることで独特のハネたリズムが生まれる。奏者が適当に弾いているように見えるが、実はクラシック音楽以上にガチガチのルールに基づいており、譜面にすべて演奏方法が指示されているという、いわば完成されている音楽である(ただし、ジャズのようにアドリブを付けて演奏することはある)。
当時のセントルイスはミズーリ川に面するアメリカでも指折りの大都会であり、東西アメリカを結ぶ、人とモノの交流窓口でもあった。そこで黒人たちがホテルや盛り場などで即興の演奏を行いチップなどを稼いでいた。源流は黒人たちの間で流行っていたダンス、ケークウォークにあるといわれており、当時の盛り場を賑わせた。ちなみに、このラグタイムの源流になったポリリズムと呼ばれるブラックミュージックは、長い間音楽を禁じられた黒人奴隷たちの暗い歴史もひもとくことができ、白人たちがバンジョーで演奏していた音楽を、バンジョーの代わりにピアノなどありあわせの楽器で演奏したことで生まれたともいわれている(放置されていた、壊れたピアノで演奏していたともいわれているが、これについては諸説がある)。したがって、白人にとって馴染み深いバンジョーの音にも、クラシック音楽の一つ、マーチ(行進曲)に似ていることも、ラグタイムの人気が出た理由とされている。シカゴ万博ではラグタイム奏者が会場で演奏を行い、庶民の音楽としても浸透していった。
また、コンサートピアノの名門、ニューヨークに本社を置くスタインウェイ社が一般家庭にピアノを売り込むため、ラグタイムを出版していたレコード会社とタイアップしていたという。
作曲家ではラグタイム王と呼ばれるスコット・ジョプリンが登場したことも大きい。良き理解者、ジョン・スタークの推薦もあって敢えて難解なジョプリンの音楽をリリース、レコード100万枚以上を売り上げるヒットとなり、アメリカ本土を席巻していく。しかし、1910年頃からジャズが人気になると、ラグタイムは下火となり、ジョゼフ・ラム、ジェームス・スコットなどが現れてもなかなかスターダムに出ることはなかったという。
転機が訪れたのは1970年にスコット・ジョプリンの楽曲を集めたレコードがリリースされたことで、当時の人にとっては斬新なリズムが受け入れられ、再びラグタイムが人気となる。更に1973年に映画『スティング』が発表され、劇中にジョプリンの『The Entertainer』が採用(この曲自体は1902年に発表されたもの)されると、同作は日本含め世界中で大ヒットしたことで、ラグタイムも再び注目されていくことになる。
この独特の、聴いていて心地良いリズムはリスニングミュージック、劇伴曲、アニメBGM、ゲーム音楽(特にスーパーマリオシリーズのBGM作者である近藤浩治は、ラグタイム、ビッグバンドなどの影響を大きく受けている)などにも採用され、またポップミュージックの原点にもなっているなどしている。
掲示板
1 ななしのよっしん
2024/06/02(日) 17:52:07 ID: Ljj8NAQqwF
記事乙
メイプル・リーフ・ラグも有名なラグタイムの曲だね
タイトルは今調べて初めて知ったけど
>>sm4360287
>>sm6904026
急上昇ワード改
最終更新:2024/09/10(火) 09:00
最終更新:2024/09/10(火) 09:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。