ラン(蘭 )- ラン科の植物の総称。
世界中のあらゆる環境に分布し、大きさや茎・葉の形は様々。分かりやすい共通点が「花が基本的に左右対称である」ことくらいしか挙げられないほど多様性がある。木にはならない。
熱帯では他の木の幹に根を下ろして生長する(栄養を奪うわけではない)着生性のランが多く見られる。インド~マレーシア、中南米のコスタリカ~パナマ~コロンビアにかけて、アフリカ熱帯地域の3つの熱帯地域は特にランの多様性が高い。
ランの仲間はどれも花が美しいので観賞用に栽培される。まれに葉や茎を観賞するものもある(ジュエル・オーキッド)。和ラン(東洋ラン)と洋ランに分けられ、特に洋ランが一般的。
世界最大の生産・輸出国はタイ。タイ国際航空は紫色のランをシンボルにしており、女性乗客にランのコサージュをプレゼントするサービスを行っている。日本では愛知県で最も生産されている。
ランを国花とする国はランの種類を指定している。ブラジル・コスタリカ・コロンビア・ベリーズはカトレヤの仲間のそれぞれ別の種類、エクアドルとグアテマラはリカステ、ベネズエラはカタセツム、パナマはエスピリト・サント、シンガポールはバンダを国花としており、これらの国はシンガポールを除き全て中南米にある。また、かつて存在した満州国は白蘭を国花としていた。
ランの花は植物の花の中で最も進化的だといわれており、種類によって非常に様々な形をとる。その形態は主に昆虫との関係に適応したものである。
花を昆虫に似せることによって攻撃または交尾行動を起こさせ、その隙に花粉をなすりつけたり、蜜を持たないのに蜜を持っていると見せかけて昆虫をおびき寄せ、その隙に花粉をなすりつけたり、というように狡猾ともいえるような工夫がなされているものもある。例えば『「盗蜜がそんな難しいわけない」といって飛んでいったマルハナバチが5分後花粉まみれで戻ってきた』、という事例も生物界ではよくあること。
ランの種子はダストシードともよばれるほど非常に微小で、ほとんど養分を含んでいない。そのため、ほとんどのランは自力で発芽することができず、菌類から養分を受け取ることが必要である。生長して光合成できるようになると菌類の助けを必要としなくなる場合もあるが、いつまでも菌根(ラン型菌根)という構造を維持し、菌類に栄養を頼り続けるケースもある。
甚だしくは、オニノヤガラやツチアケビなどの「無葉緑ラン」は自分で光合成を行うことすらせず、栄養を菌類に完全に依存する形となっている。この場合、菌類にメリットがあることは確認されておらず、ランが何らかの方法で菌類を誘い寄せて「貢がせている」という説が有力である。そして、さんざん貢がされた菌類は最終的にどうなるかというと、何と消化されてしまうのである(菌毬消化)。
ラン科の植物をご存知、ないのですか!?
有名なランとしては、デンドロビウム(セッコク)・カトレヤ・シンビジウム・ファレノプシス(コチョウラン)・パフィオペディラムなどが挙げられる。
ランなんて花屋に行かなきゃ無いだろう、と思っている人がいるかもしれないが、ネジバナのように雑草化してどこでも見られるランもある。シランはよく庭に植えられる。シュンランやキンラン・ギンランは各地の林で見られる。
食用になるものはほとんどないが、ただ一つ産業として成立するほど重宝されているのが、バニラの仲間である。
花や葉が似ることからランの名を持つが、ラン科でない植物は多い。身近なところでは、スズラン・ヤブラン・シランはユリ科。リュウゼツランはリュウゼツラン科。マツバランはシダ植物。
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2025/01/21(火) 10:00
最終更新:2025/01/21(火) 09:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。