ランドオブリバティ(Land of Liberty)とは、
人気を背負ったGⅠで盛大なやらかしをして
競馬ファンに強烈な印象を残した
2018年生まれの日本の競走馬である。
鹿毛の騙馬。
......どうしてこんなに
コッチへ寄っているのかだって?
それはこの馬を語る為にも
下の動画を見てもらうのが
何よりも早いだろう。
...とまぁ、こんな馬である。
ここからはキチンとコッチ側で説明しよう。
父ディープインパクト、母*ドバウィハイツ、母の父Dubawiという血統。
父は言わずと知れた歴史的名馬にして大種牡馬。
母は(当時の)海外芝GⅠゲイムリーステークスとイエローリボンステークスを勝利した名牝。ランドオブリバティはその6番仔。
母の父はマイルGⅠを2勝し種牡馬として数多くの名馬を輩出した大種牡馬。
半姉に2018年のフィリーズレビュー勝ち馬リバティハイツ、半弟に重賞戦線で善戦を続けるキングズパレスなどがいる。
2018年4月27日に誕生。生産者は社台ファーム。馬主は吉田照哉。
所属は美浦の鹿戸雄一厩舎→嘉藤貴行厩舎。
管理する鹿戸調教師は早くからこの馬の活躍に期待を寄せており、自身の厩舎の所属騎手である三浦皇成に調教の時点で跨らせるなどしていた。
そんな三浦を背に8月の新潟で行われた2歳新馬に3番人気でデビュー。
不良馬場での出走となり少し走りにくそうな様子は見せたものの、終始2番手の位置から直線に向いて先頭に立つと外から追いすがる各馬をやり過ごして僅差ながらも見事にデビュー勝ちを収めた。
その後は中山2000mの芙蓉ステークスへ。鞍上は変わらず三浦皇成。前走の2~4着馬がその後それぞれ勝ち上がったこともあり、前走のレベルが高いと見た競馬ファンからの支持を受けて1番人気での出走となった。
レースでは前走と同じく終始2番手で進め、最終コーナーでは少し外に膨らむような様子は見せたもののん...?直線ではそのまま後続を突き放して、終わってみれば2着馬を3.1/2馬身差離しての圧勝だった。ゴール後は力が有り余っていたのか、更に外ラチの方へと向かう仕草も見られた。ん...??
陣営は芙蓉Sの圧勝劇を踏まえ、同条件のGⅠである年の瀬のホープフルステークス(GⅠ)への直行を決意。ランドオブリバティにとっては初の重賞挑戦となるが、やはり芙蓉Sの圧倒的なパフォーマンス[1]は無視できず単勝3.5倍、複勝1.2倍の2番人気の支持を集めた。単勝2.1倍の1番人気で既に重賞馬だったダノンザキッドとオッズ差がそこまで開かなかったのも、片や中山未経験、片や中山で圧勝という事実から来るものであった。
また、ホープフルSの鞍上も引き続き三浦皇成に決定。三浦はこの時デビュー13年目、GⅠ騎乗は今回のホープフルSで93回目だったが、ここまで一度も中央のGⅠを勝てていなかった。しかし今回は騎手の初GⅠ制覇が起こりやすい2歳GⅠの中でも特に人気通りに決まりやすく波乱の起きにくいホープフルS。更に同コース圧勝歴がある人気馬が巡ってくるという千載一遇のチャンス。しかも自身の所属先で普段から面倒を見てくれている鹿戸調教師から託された馬だというのだからドラマチックである。
「競馬の神が三浦にGⅠを勝てと言っている」、競馬ファンたちはそう信じて疑っていなかった。「仮に負けても掲示板には入るだろう」、そんな声が多かった。
馬体重は前走から+14kgだったがパドックの様子から太め感は無く、成長分であろうとの見方が多かった。また歩き方も自身に満ち溢れており、パドック内を大人しく周回していた。返し馬でも暴れずしっかり動いていて高気配。
そして多くの人々の期待を込めていざ出走。スタートの出は良かったものの、横に居たヨーホーレイクに二度接触してカチンときたのか、逃げ想定だったタイトルホルダーを差し置いて口を割りながら先頭に躍り出てしまう。ついでに最初のコーナーを曲がる時にまた外に軽く膨れもしたが向こう正面でなんとか修正。そのままペースメイクをしながら勝負どころの最終コーナーを終えて抜群の手応えで最終直線に...!
ちょーっと外に膨れてしまって!
大外へ逸走してしまいました!!!
なんとランドオブリバティはコーナーを曲がらずに直進し、大きく外側に逸走。
他馬の一団から外れるとそのまま暴れまわって外ラチへ突っ込もうとしてしまう。
このままでは危険だと判断した鞍上の三浦が咄嗟に左手綱を引っ張って何とかランドオブリバティを外ラチの手前で静止させる事に成功。最悪の事態は免れるも、ランドオブリバティが急に止まったせいで背中に乗っていた三浦は勢いよく放り出されて地面に打ち付けられてしまう。落馬した三浦に救護班からすぐに担架が運ばれてくるも、それを余所に競走中止となったランドオブリバティは暴れることもなくテクテクと待避所まで歩いて行き、その後捕まったのだった...。
もちろん平地調教再審査[2]。
幸いランドオブリバティに特に怪我は無く、落馬した三浦も左胸部打撲と診断されこの日の最終レースと翌日の全てのレースで乗り替わりとなったが、年が明けて2021年の競馬開催初日だった1月5日には復帰出来るほどの軽傷で済んだ。
鹿戸調教師はレース後、このアクシデントに「話にならない[3]。ハナには行きたくなかったけど、余裕があり過ぎて遊んじゃったかな。少し子どもっぽいところはあるけど、ケイコ(調教)では一度もあんなことはなかった。」と厳しい表情で今回の逸走の原因を探っていた。また鹿戸調教師自身のX(旧Twitter)も更新。管理する調教師の立場として責任を重く受け止めていることを明かした。
年が明けて1月20日、ランドオブリバティは三浦を背に平地調教再審査に臨んでいた。なんとか無事に走れるようにと、陣営は調教で使うハミを本番のレースで使用するジェーンビットに変更し、ダートコースやウッドチップ、坂路などを単走や集団の中で走らせて調整。その甲斐あってか審査は問題無く一発合格となった。
三浦は審査後、「外へ逃げるそぶりもなくこなしてくれました。新馬戦からタッグを組んで期待している馬。G1の舞台でリベンジしたい。」と、意気込みを新たに色々あった相棒との再始動を誓った。それと同時に次走が中京で行われる2月のきさらぎ賞(GⅢ)である事も決定した。
きさらぎ賞当日。今回は左回りで逸走も起こりにくいだろうという判断、そして何よりも前走の逸走直前の抜群すぎる手応えが評価されホープフルSの3着馬ヨーホーレイクを差し置いて1番人気に支持された。
レースではまずまずのスタートを決めた瞬間、両側の馬がそれぞれ左右でランドオブリバティ側にもたれかかるような格好になった結果そのまま二頭に挟まれてしまい大減速。最後方での競馬になった。
1コーナーでまた膨れそうになったものの、その後は無事に進んで最終直線にも向けれたものの、前では先に抜け出していたラーゴムとヨーホーレイクがデッドヒートを繰り広げたままゴールイン。ランドオブリバティも何とか末脚を発揮して3着は確保したが、皐月賞に向けての賞金加算には失敗した。
レース後、三浦は「今日はとにかく無事にゴールできて良かったです。今日に関してはコーナーを回ってくれました。」と何よりも無事にゴール出来た事に胸をなでおろし、鹿戸調教師も「一つ真面目に走るという課題はクリアしてくれました。」と語った。
皐月賞に出走してホープフルSのリベンジに挑みたい陣営は次走を3月21日のスプリングステークス(GⅡ)に決定。3着以内に入れば皐月賞の優先出走権が与えられるレースだ。
前走は不利があったものの離された3着だったが、スプリングS当日は重馬場だったこともあり不良馬場での勝利経験があるランドオブリバティは前走6馬身差の圧勝を見せた素質馬ボーデンに次ぐ2番人気に支持された。ただ、ホープフルS以来の右回りコース(中山)だった事で今回こそ無事にゴール出来るのかが心配されていた。
鞍上は当初ミルコ・デムーロに乗り替わりの予定だったが、デムーロが別のレースで斜行を起こして3月20日と21日の2日間騎乗停止処分になった事でたまたま乗れなくなってしまい、引き続いて三浦が騎乗する事になった。
レースでは1枠1番だったこともあり終始インでレースを進めたが1~2コーナー付近で折り合いを欠く一面があるも、向こう正面では落ち着いて3~4コーナーで進出を開始。4コーナーを曲がって直線に向いた際にまた外に膨らみそうになった後、直線では外の各馬に差されて7着に敗れた。
賞金的な問題で皐月賞はパスし、ランドオブリバティの次走はダービートライアルのプリンシパルSかギリギリ出られそうだったNHKマイルカップの両睨みとなった。その後オーナーサイドと協議した結果、NHKマイルカップ(GⅠ)に正式に出走する事が決定した。ホープフルSぶりのGⅠ出走である。前走の惨敗と距離短縮もあってか、当日は9番人気であった。鞍上は石橋脩への乗り替わりが決定。前回のようなトラブルも無く、今回で初めて三浦以外の騎手を乗せる事となった。
レースでは4.6倍の3番人気バスラットレオンがスタート直後に落馬して競走中止というどっかで見たような波乱の展開となった。それを気にせずランドオブリバティは抜群のスタートを決めて一時期先頭に立つも、ピクシーナイトとホウオウアマゾンに先を譲り3番手でレースを進める。その後は直線でインを突くも伸びあぐねて8着。GⅠの借りをGⅠで返すことは出来なかった。
その後、新馬戦を勝った思い出の地である新潟の2勝クラス 糸魚川特別に出走。鞍上はスプリングSで叶わなかったミルコ・デムーロとのコンビとなり、1番人気に支持された。
レースはいいスタートを決めると2番手の位置で追走。そのまま危なげなく進行し、直線で前に居た馬を追い越すとそのままノーステッキで快勝。ポテンシャルを見せつけた久しぶりの勝利と共に3勝クラスへ勝ち上がった。
休養を挟んで秋。天皇賞(秋)に出走する同厩の同期エフフォーリアの併せ馬などに付き合いつつ、前日の府中で行われる3勝クラス 紅葉ステークスに単勝1.9倍の1番人気で出走。前目でレースを進んでいたが直線で前が壁になってしまい末脚を発揮出来ず7着に凡走。
その後11月の秋色ステークスに鞍上武豊を迎えて1番人気で出走するも直線で差され3着に敗れた。
OP入りを目指して3勝クラスに精力的に出走していたものの、古馬になってからは4歳春から5歳春までに7戦して一度も馬券内に絡むことすら出来なくなってしまい、苦しい日々を送っていた。
5歳の5月、このままではダメだと感じた陣営はランドオブリバティの障害転向を決定。障害練習を重ねて7月に障害試験に無事合格。10月の新潟で行われる障害3歳以上未勝利に鞍上草野太郎で出走する事になった。ただ、皆の脳裏にあるのはあの大暴走なので障害で買うのは怖いと、少し控えめな5番人気の支持を受ける。
レースでは綺麗な飛越を見せながらハナを主張。淡々としたレース運びで最終直線の障害も危なげなくクリアし、最後は僅かに差されてしまったが障害初戦で2着に健闘。久々の馬券内となった。
好走を見せたランドオブリバティは引き続き草野を背に、中一週で新潟の障害3歳以上未勝利に出走。今度は2番人気の支持を得ることに成功した。
今回もハナを主張してペースを握っていくも、向こう正面で突然失速して競走中止。原因は鼻出血によるものだった。これにより少し休養を挟んで体勢を立て直すこととなる。
年が明けて6歳になったランドオブリバティ。そんな彼に2つの変化が訪れる。
1つ目は転厩。
今までお世話になった鹿戸雄一厩舎を離れ、同じ美浦の嘉藤貴行厩舎の所属になった。
もう1つは去勢。
遂にランドオブリバティにもその時が来てしまった。そもそも去勢をせずに障害を走ることは稀なので当然と言えば当然の結果ではあるが。
これにより晴れて騙馬の仲間入り。ついでに次走も決定し、中山の障害4歳以上未勝利に出走する事になった。前走は競走中止だったものの鼻出血は度外視との声も多く、今回も2番人気の支持を得る。鞍上はこれまで乗ってくれていた草野が他馬を優先した為、五十嵐雄祐が騎乗することになった。
レースでは相変わらず良いスタートを決めて先頭へ。第一障害を飛越してコーナーを曲がりそのまま第二障害へ...!
なんとランドオブリバティは第二障害の手前で突然大きく外へ逸走。そのまま障害を斜越し、外ラチの付近に差し掛かってようやく落ち着きを取り戻したのか騎手を振り落とす事はなくそのまま立ち止まって競走中止となった。ランドオブリバティと鞍上の五十嵐双方に怪我は無かった。
4年ぶり2度目の逸走。
しかも今回逸走した場所もホープフルSと同じ中山競馬場だったのでデジャヴを感じる人も多かった。
当然障害調教再審査[4]。
平地調教再審査と障害調教再審査をそれぞれ言い渡された馬も珍しいだろう...。
障害競走での逸走は平地よりも他馬への影響が大きい為、もし再審査に合格してもまた逸走する可能性はゼロでは無く、ランドオブリバティは既に去勢を終えてしまっているので外部からの気性是正も難しいのでもう障害競走を続けるのは困難。かと言って平地に戻ってもまたやれるのか、というかまた逸走しないかと競馬ファンは憂いていたが、出走停止期間中の4月3日付けで競走馬登録を抹消。行き先未定のまま「乗馬になる」という事だけが報じられ、ランドオブリバティはその波乱万丈な競走馬生活を終えた。
そんなランドオブリバティが引退してからしばらく経つが、未だに彼が今どこで何をしているのかは分かっていない。ただ、色々ありすぎた彼が今は何にも縛られず、逃避行もせずにどこかで自由を謳歌できているのを心から願いたいものである。
ランドオブリバティが逸走した理由だが、結論から言うと原因は不明である。ただ逸走が異なるシチュエーションで2度発生したことからも鞍上の技量や臨戦過程などではなく、ランドオブリバティ本人の問題である事が窺える。そうは言っても彼は喋れないので真相は闇の中だが、眉唾程度によく言われている考察を2つ紹介しよう。
1つ目は早く帰りたかったという考察である。...決して茶化して言っているわけではなく、これは逸走が発生した地点に起因する考察だ。
ホープフルSで彼が逸走した中山競馬場の4コーナー付近、いわゆる西船橋駅の方向にはレース出走前後の馬たちが待機する出張馬房のエリアがスタンドを挟んで存在している。ホープフルSの日はとても快晴で、風に乗った出張馬房の匂いを嗅いだレース中のランドオブリバティが早くカイバを食べたり寝たりしたかった為にその方向に向かって逸走したのではないかというものだ。
2回目の逸走が発生した中山の障害2880mの第二障害付近にも、外の大回りコースを挟んで中山競馬場乗馬センターの厩舎が存在している。真偽のほどは分からないが馬は好奇心旺盛でレース中にも頻繁によそ見などをする生き物なので、ランドオブリバティが馬房の匂いに釣られた可能性はゼロでは無い。
2つ目は手前のクセに関する考察である。
手前とは馬の走り方の事で、左前脚を右前脚よりも前に出して走ると左手前、逆が右手前である。左手前の状態では重心が自然と左に傾くので左回りコースのコーナーを自然な状態で曲がることが出来る。逆に右回りコースのコーナーを左手前で走ってしまうと騎手が曲がりたい方向とは逆側に馬の重心が寄ってしまっているので、他の馬とぶつかってしまったり外に膨れたりしてしまうのである。ランドオブリバティはその状態に陥っていたと考えられており、実際にパトロールビデオを見てみるとホープフルSで逸走する直前、ランドオブリバティは直線が見えた瞬間に急に右手前から左手前に切り替えて走っている。人に利き手があるように、馬にも利き脚が存在する。恐らくだがランドオブリバティの利き脚は左脚で、左手前で走った方が全力が出せるので直線に入って手前を切り替えてみたら勢い余って膨れてしまいコーナーを曲がれなくなったのではないだろうか。
再度言うがこれはあくまでも考察であり、何故ランドオブリバティが逸走したのかは本人以外分からない。
競馬は人間だけでなく、走っている馬にもちゃんと意思があるスポーツである。それが時に強さを生み、時にこういったハプニングを生み出す。その駆け引きを楽しむのも競馬の面白さであろう。
| ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
| Cosmah | |||
| Wishing Well | Understanding | ||
| Mountain Flower | |||
| *ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
| Lady Rebecca | |||
| Burghclere | Busted | ||
| Highclere | |||
| *ドバウィハイツ 2007 鹿毛 FNo.1-s |
Dubawi 2002 鹿毛 |
Dubai Millennium | Seeking the Gold |
| Colorado Dancer | |||
| Zomaradah | Deploy | ||
| Jawaher | |||
| Rosie's Posy 1999 鹿毛 |
Suave Dancer | Green Dancer | |
| Suavite | |||
| My Branch | Distant Relative | ||
| Pay the Bank |
クロス:なし
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最終更新:2026/06/14(日) 19:00
最終更新:2026/06/14(日) 19:00
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