君だけが、見た世界。
ドバイ、香港、アメリカ、香港。
幾度も国境を越え、ついにかなえた日本の悲願、
ブリーダーズカップ初制覇。
海外G1年間3勝、米国最優秀芝牝馬。
日本のどんな名馬も見られなかった世界の頂の風景を
君は、その目に映した。
ラヴズオンリーユー(Loves Only You) とは、2016年生まれの日本の元競走馬・繫殖牝馬である。鹿毛の牝馬。
栗東・矢作芳人厩舎所属、安平町・ノーザンファーム生産
馬主はDMMドリームクラブ(新興の超大口一口クラブ)
主な勝ち鞍
2019年:優駿牝馬(GⅠ)、忘れな草賞(L)
2021年:クイーンエリザベス2世カップ(香港GⅠ)、ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ(アメリカGⅠ)、香港カップ(香港GⅠ)、京都記念(GⅡ)
馬名は「みんなへの愛を込めて。母名より連想」(JRA競走馬情報より)
父ディープインパクト、母*ラヴズオンリーミー、母父Storm Catという血統。
父のディープインパクトは最早説明不要の三冠馬で、種牡馬としてもリーディングを独走。ディープインパクトとストームキャット牝馬とは一種のニックス(相性の良い配合)として知られ、同じ配合にはキズナやエイシンヒカリなどがいる。
母のラヴズオンリーミーは現役時代未出走であったものの、半姉Rumplestiltskinは欧州の2歳GⅠ2勝を挙げ、その母つまり本馬の祖母MonevassiaはKingmamboの全妹、そしてKingmamboの妹という事はその母はGⅠ10勝の世界的名牝Miesqueである。この血統背景があったからこそノーザンファームは90万ドルで購入。繁殖入り後はドバイターフ勝ち馬リアルスティールを輩出し、そしてそのドバイターフ当日に生まれたのが本馬ラヴズオンリーユーである。他には従兄弟に仏ダービー馬Study of Manがいる。
2017年のセレクトセールに上場されると、同年より一口馬主クラブを開設予定のDMMがセレクトセールに参入。そこの1歳馬セールに出された本馬は1歳馬最高額となる税抜1億6,000万円でそのDMMに落札された。
DMMドリームクラブは超大口のクラブであり、1口32,000円×10,000口の総額3億2,000万円で募集がかけられ、そのうち9,932口を集めた模様である。
2歳となりラヴズオンリーユーと名付けられた本馬は、全兄リアルスティールを管理した矢作芳人厩舎へと入厩する事となった。
デビュー戦は2歳11月の京都芝1800m。ここをルメール鞍上で2番人気に迎えると、若干立ち遅れながらも中団から伸びて1番人気アーデンフォレストを交わして勝利。
続いてマイルの白菊賞に岩田康誠鞍上で挑戦すると、やはり立ち遅れて今度は後方からとなったが、直線で外に持ち出されると他馬とは違う脚色で差を広げ、1馬身3/4差をつけて勝利。
明けて3歳となり、矢作師は2月に一度使って桜花賞へ向かうプランを立てたが、ここでラヴズオンリーユーが細菌性疾患に罹ってしまい、3月中の出走も難しく桜花賞も賞金的に難しい事からプランは白紙化。
そして阪神のリステッド競争である忘れな草賞へと出走。状態は余り良くないと言われておりレースでもまた立ち遅れて他馬にぶつかって後方からとなる。しかし今回から鞍上のM.デムーロが外に回して追い出せば後続を突き放し、結果3馬身差をつけて快勝する。
短期放牧を挟んで初重賞初GⅠとなる優駿牝馬(オークス)へと出走。初の関東輸送ではあったが通常の前日輸送ではなく2日前に輸送を行うことで、今までで最も良い状態での出走にこぎつけた。
オークス当日は何と1番人気(単勝4.0倍)に支持される。桜花賞馬グランアレグリアがNHKマイルカップへ向かい、2着馬シゲルピンクダイヤは血統面から距離延長は歓迎できず人気を落とし、3着馬クロノジェネシスが僅差の2番人気となった。他はフラワーCから直行のコントラチェックが人気を集めていた。
そしてレース本番。いつも出遅れていたラヴズオンリーユーは初めて上手く発馬を決め、中団外目を追走する。ジョディーが逃げて1000m通過59秒1と比較的速いペースで逃げていたが、3コーナー付近からコントラチェックやカレンブーケドールなどが仕掛け始めてペースが落ちる事無く進む。こうなると息つく暇のない消耗戦となる。直線に入ってカレンブーケドールが先頭に立つが勢いが止まらないし、後方組は瞬発力が生かせない。しかし外に持ち出していたラヴズオンリーユーは一完歩毎に確実に伸び続け、先に抜け出していたカレンブーケドールを捉え、50m程の競り合いの末クビ差競り落としゴール。GⅠ初制覇。
この勝利によりDMMドリームクラブは初重賞勝ちがGⅠ勝利となり、鞍上のM.デムーロはクラシック五競走を制覇、無敗のままオークス制覇は2006年カワカミプリンセス以来で5頭目の記録である。
夏場を休養に充て、ぶっつけで秋華賞に挑戦する予定だったが、右前脚の蹄を痛めて回避。結果秋の初戦にはエリザベス女王杯が選択された。ここでも1番人気に支持され、次いで秋華賞を勝ってきたクロノジェネシス、復活を期すラッキーライラックという人気順であった。
レースは2年連続2着のクロコスミアが後ろを離して逃げるがペース自体は遅く、その2番手に馬群を引き連れる形でラヴズオンリーユーという展開。京都の下り坂で一気にペースが上がってロングスパート勝負となり、直線に入ってもクロコスミアが粘り続け、ラヴズオンリーユーも脚を伸ばすが、最内を突いたラッキーライラックの抜け出しを許し、クロコスミアにクビ差届かず3着と5戦目にして初の敗戦となった。
エリザベス女王杯後は休養し、ドバイシーマクラシックから始動の予定でドバイへと輸送されたが、レース数日前にドバイミーティング中止が発表され帰国。
復帰戦にはヴィクトリアマイルを選択。ここでは同じくドバイ帰国組のアーモンドアイが圧倒的1番人気に推され、本馬は単勝9.5倍の3番人気に推された。レースでは道中中段のインを追走したものの直線では伸びが無く、7着に敗れた。その後鳴尾記念に出走するも、直線で一緒に上がったパフォーマプロミスをハナ差凌げず2着となった。
休養後府中牝馬Sから始動するものの、当日の東京競馬場は雨の影響で馬場が悪化し、それが影響したか8頭立ての5着に敗戦。しかし続く阪神開催のエリザベス女王杯では道中中団後方から直線外目に持ち出して脚を伸ばし、2年連続の3着に入線する。その後の有馬記念は特に言うことなく10着に敗れた。
明けて5歳となり、この年は阪神開催の京都記念から始動。鞍上は川田将雅に乗り替わった。1番人気で出走すると道中4番手から直線で粘るステイフーリッシュを差し切り、1年9カ月ぶりの勝利となった。
その後オイシン・マーフィーを背にドバイシーマクラシックへ出走。日本からは本馬の他クロノジェネシスも参戦し、外国馬に前年の仏ダービー勝ち馬でサウジカップを勝ってきたMishriffや、香港ヴァーズ勝ち馬Mogulなどが出走。レースでは道中中団後方から、前に居るクロノジェネシスをマークする形で進め、最後の直線ではMishriff、クロノジェネシスとの競り合いになるが、最後に甘くなって3着となった。日本馬同士バチバチにやりあってたら外から差されたでござる
その後香港へ転戦しクイーンエリザベス2世カップへ出走。日本馬は本馬の他デアリングタクト、グローリーヴェイズ、キセキが出走し、地元勢からは古豪のExultantが出走し7頭立てとなった。鞍上は香港の若手のホープ、ヴィンセント・ホーに決定。レースでは道中4番手、インにいるデアリングタクトを外からマークする形で進め、直線で外に持ち出されると残り200mで先頭に立ち、グローリーヴェイズの追撃を振り切ってゴール。GⅠ2勝目を挙げた。
レース後は一度帰国し、秋の米GⅠブリーダーズカップ・フィリー&メアターフを大目標にすることとなった。早めに出国して現地で前哨戦を使うプランもあったが、最終的には遠征前に札幌記念を使うことが決まった。
その札幌記念では初の古馬対戦となる桜花賞馬ソダシともども人気を集め、本馬が1.9倍、ソダシが3.8倍、その他の10頭はいずれも10倍を超えるというオッズとなった。レースは大外から先行して早めに仕掛けたソダシに対して中団からの進出でよく追ったものの、ペルシアンナイトとの2着争いにはアタマ差先着したがソダシの粘り脚の前に3/4馬身差で惜敗した。しかしながら矢作師は「川田は馬のバランスが良くなったと言ってくれた。このままアメリカに向けて準備していきます」とまずまずの評価を与え、改めて予定通りの遠征プランを表明。
10月22日、同厩で8月のブリーダーズゴールドカップを勝ち同じ米GⅠ・BCディスタフに出走の帯同馬マルシュロレーヌとともに出国。現地オッズではWar Like Goddess、Loveに次ぐ3番人気に推されて迎えた11月6日のブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ。直前にスプリントとレディスクラシックのJBC2競走を勝った川田将雅の手綱で4番手好位につけたラヴズオンリーユーは、直線一気の末脚で、先に抜け出したWar Like Goddessら前3頭の僅かな隙間をこじ開けるようにして鮮やかな差し切り勝ち。日本調教馬初のブリーダーズカップ制覇を果たした。なお、このレースは2021年の牝馬限定戦で一番高いレーティングとなった。これは、すなわち一番強い牝馬たちが集った大会であったことを意味する。
米国遠征後は再び香港へ転戦、ダノンスマッシュやレシステンシアら国内勢と合流し12月の香港カップへ。QE2Cに続く春秋香港2冠に挑む。陣営はこれを引退戦と発表。グランアレグリアはマイルチャンピオンシップをもって引退済み、クロノジェネシスも有馬記念をもって引退予定なので、2019年クラシック世代の牝馬三冠の3頭はいずれも2021年末までに現役を退くことになる。
そして香港カップ。ラヴズオンリーユーはアメリカから香港へ向かい、日本からはレイパパレとヒシイグアスが参戦。Exultant引退後香港の中距離層は若干薄くなったものの、それでもGⅠ勝ちのあるPanfieldや前哨戦好内容のKa Ying Star、欧州からは欧州2000路線最高峰の英チャンピオンS2, 3着組のDubai Honour、Mac Swineyが参戦。合わせて12頭立てとなった。
レースでは4番枠から発走。ポンッとスタートを決めると前を見る好位の3, 4番手を追走。4コーナーに入る辺りで後ろが動き始めるがまだ泰然と構える。直線に入って内に進路を求めると前2頭の間をまずこじ開け、大外から伸びてきたヒシイグアスと先に抜け出たRussian Emperorが並ぶと更にそれの間をこじ開け、ヒシイグアスに短アタマ差をつけてゴール。着差こそ少ないものの、馬込みを気にしない勝負根性と川田のゲキに応える操縦性、父譲りの瞬発力の光るレースであった。
同年緒戦の京都記念で久方ぶりに勝利した際、カンテレの競馬中継で実況が「あの輝きをもう一度」と発した訳であるが、ラヴズオンリーユーはその後海外の大レースで最高の輝きを解き放って、2021年度JRA賞最優秀4歳以上牝馬に選出。有終の美を迎えることとなった。
2022年1月30日に東京競馬場で引退式を行い、後日ノーザンファームにて繁殖入り。なお引退式同日の香港では彼女の名を冠したレース「ラヴズオンリーユーハンディキャップ」が8Rにて開催(芝1600m)。海の向こうでも引退に花を添える事になった。2月2日、競走馬登録抹消
。賞金額はJRA分3億3874万9000円、海外分5億7519万9700円だった。
さらに翌2月11日、BCフィリー&メアターフの勝利などが評価され、2021年エクリプス賞最優秀芝牝馬を受賞。日本馬のエクリプス賞受賞はもちろん史上初の快挙である。また、全米サラブレッド競馬協会が選出する「モーメント・オブ・ザ・イヤー」にも「Japanese Duo」としてマルシュロレーヌと共に選出され、アメリカ競馬の歴史にその名を刻んだ。
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
Lady Rebecca | |||
Burghclere | Busted | ||
Highclere | |||
*ラヴズオンリーミー 2006 鹿毛 FNo.20 |
Storm Cat 1983 黒鹿毛 |
Storm Bird | Northern Dancer |
South Ocean | |||
Terlingua | Secretariat | ||
Crimson Saint | |||
Monevassia 1994 鹿毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native | |
Gold Digger | |||
Miesque | Nureyev | ||
Pasadoble |
クロス:Northern Dancer 4×5×5(12.50%)
上述の通り、祖母Monevassiaはキングカメハメハやエルコンドルパサーの父であるKingmamboの全妹。
掲示板
318 ななしのよっしん
2023/02/27(月) 15:28:59 ID: a4jKwvgvRh
ついにラヴズもお母さんになったんだな
グランアレグリア、ラヴズオンリーユー、クロノジェネシス、三冠を分け合った牝馬たちが
エピファネイアの牡馬を出産したから今度は息子たちがクラシック三冠を分け合うことになるかもなあ
319 ななしのよっしん
2023/04/09(日) 00:35:39 ID: rh560m+pYY
今更だけど三冠馬全員相手がエピファネイアなのか……
人間に例えたらすげえことになるな
320 ななしのよっしん
2023/05/11(木) 16:17:01 ID: YSopI/j48Y
急上昇ワード改
最終更新:2023/05/31(水) 20:00
最終更新:2023/05/31(水) 20:00
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