リオデジャネイロオリンピック

リオデジャネイロオリンピックとは、2016年の夏にブラジルのリオデジャネイロで開催された夏季オリンピックである。

開催期間

2016年8月5日（金）～8月21日（日）（現地時間）

→日本の競技結果やトピックスはこちら

概要

夏季オリンピック
リオデジャネイロオリンピック
正式名称
第31回オリンピック競技大会
Games of the XXXI Olympiad
基本情報
開催国	ブラジル
開催都市	リオデジャネイロ
開会式	2016年8月5日
閉会式	2016年8月21日
競技種目数	28競技306種目
参加国・地域	206
新採用/追加競技
7人制ラグビー ゴルフ
オリンピックテンプレートボックス

2009年10月1日の国際オリンピック委員会（IOC）の総会にて、2016年の夏季オリンピックの開催地をリオデジャネイロ（ブラジル）、東京（日本）、シカゴ（アメリカ）、マドリード（スペイン）の4都市の中から選ぶこととなり、最終的に開催地となった。リオデジャネイロは南半球にあるため、南半球での夏季オリンピック開催はシドニーオリンピック以来16年ぶりの開催となる。なお、東京は2020年に東京オリンピックが開催することになった。

開催地決定については、『オバマ効果』でシカゴが優位とされてきた^[1]が、第1回投票で最下位となり、予想外の落選。そして、東京も第2回投票で最下位となり、落選が決定した。最終投票にリオデジャネイロとマドリードが残り、最終投票でマドリードを打ち負かした。

南米初、それもBRICsの一員で成長著しいブラジルでのオリンピック開催ということで期待の声も上がっていた。一方、前年の2015年あたりから種々の問題が明らかとなっていく。

主だった懸念材料は、順調だったはずの経済情勢、急速に深刻化した医療面と相変わらずの治安である。
まず、経済情勢についてである。もとよりインフラ整備の遅れは指摘されており、2013年9月4日の時点でIOCから警告が出されていた。これに加え、2016年初頭からブラジルを含む新興国の経済情勢が悪化した。国内ではデモが頻発するなどの社会不安に見舞われ、工事の進捗も危ぶまれることとなる。オリンピックに関するインフラの懸念は想定通り遅れながらも回避されたものの、この間に大統領の弾劾裁判が行われてルセフ大統領が職務停止となった。これにより、開会式にはテメル大統領代行が代わりに参加するという異常事態となった。
医療面では、蚊の媒介によって発生するジカ熱の流行が収束しない。「オリンピック中は冬だから蚊も不活発で問題ないよ！」というブラジルの説明を真に受けた選手は少ないだろう。
治安の悪さも相変わらずである。競技会場周辺や付近の観光地では強盗や短時間誘拐（身柄を拘束してATMから預金を下ろさせたり買い物をさせたりする）、果ては銃撃戦の恐れがある。期間中には中国やオーストラリアの選手が強盗に遭い、ポルトガルの教育大臣も襲われるという国際問題まで発生した。

こうした不安により、オリンピック出場権を獲得しながら辞退する選手が続出した。

さらに、直前に大きな爆弾が投下される。2015年、ロシアの国を挙げてのドーピング並びにドーピング隠しが発覚した。ドーピングを検査する機関まで不正に関与していた衝撃は大きく、IOCは直前の7月になって陸上選手の出場を認めず、他の競技については各競技連盟に処分をゆだねた。こうして、メダル獲得が有力だった選手を含む多くのロシア選手がオリンピック出場不許可となったばかりか^[2]、続くリオデジャネイロパラリンピックではロシア選手全員の出場が不許可となった。出場可否の判断はオリンピック中も続き、オリンピック開催中にスポーツ仲裁裁判所によって出場可能になったロシア選手が追加登録されるという珍事態となっている。

新種目としては7人制ラグビーが、そして112年ぶりの復活種目としてゴルフが採用された。このうち、ゴルフが復活するにあたってのPR映像には世界各国のプロゴルファーが登場し、タイガー・ウッズや宮里藍、石川遼など各国のゴルフ界のスター達が金メダルを争うことになると予想された……が、上述の要因や「本業」の米メジャーツアーとの兼ね合いから男子では世界ランキング上位15人中トップ4を含む7人が出場を辞退し、日本選手でも国内ランキング1位であった松山秀樹も出場を辞退した。

こうして数々の問題を抱えながらも2016年8月5日夜 (日本時間6日朝)、リオデジャネイロオリンピック開会式が行われ、オリンピックが開幕した。

なお、本大会で用いられた君が代は、聞きなれた日本人にとってはBPMがかなり遅く感じるであろうが、読売交響楽団によってあえて遅く演奏されているものである。実はソチオリンピックでも同じバージョンを使っていたらしいが、その時はほとんど話題に上らなかった。

競技結果（日本）

メダル獲得数 金: 12個 銀: 8個 銅: 21個 計: 41個

金メダル

• 萩野公介 - 競泳男子400m個人メドレー
  ※本大会の日本勢金メダル第1号
• 大野将平 - 柔道男子73kg級
• 内村航平・山室光史・加藤凌平・田中佑典・白井健三 - 体操男子団体
• 田知本遥 - 柔道女子70kg級
• ベイカー茉秋 - 柔道男子90kg級
  ※この階級での金メダルは日本勢初
• 内村航平 - 体操男子個人総合
  ※史上4人目の連覇、日本人選手の連覇は1972年ミュンヘン五輪以来44年振り
• 金藤理絵 - 競泳女子200m平泳ぎ
  ※日本競泳女子史上最年長メダリスト(27歳)、競泳界の沢穂希
• 登坂絵莉 - レスリング女子フリースタイル48kg級
• 伊調馨 - レスリング女子フリースタイル58kg級
  ※レスリング競技で＆女子選手として史上初（通算6人目、本大会では2人目）となる個人種目4連覇
• 土性沙羅 - レスリング女子フリースタイル69kg級
  ※レスリング女子重量級の金メダルは日本勢初
• 高橋礼華・松友美佐紀 - バドミントン女子ダブルス
  ※バドミントンでの金メダルは日本勢初
• 川井梨紗子 - レスリング女子フリースタイル63kg級

銀メダル

• 坂井聖人 - 競泳男子200mバタフライ
• 萩野公介 - 男子200m個人メドレー
• 原沢久喜 - 柔道男子100kg超級
• 太田忍 - レスリング男子グレコローマンスタイル59kg級
• 丹羽孝希・水谷隼・吉村真晴 - 卓球男子団体 
  ※男女団体ともにメダルを獲得したのは初めて
• 吉田沙保里 - レスリング女子フリースタイル53kg級
  ※個人戦206連勝＆世界大会16連覇が決勝での敗北で途切れる
• 樋口黎 - レスリング男子フリースタイル57kg級
• 山縣亮太・飯塚翔太・桐生祥秀・ケンブリッジ飛鳥 - 陸上男子400mリレー
  ※男子陸上トラック種目では初の銀メダル、女子と合わせても88年ぶりの銀メダル。準決勝・決勝ともにアジア記録を更新

銅メダル

• 近藤亜美 - 柔道女子48kg級
• 高藤直寿 - 柔道男子60kg級
• 三宅宏実 - ウェイトリフティング女子48kg級
• 瀬戸大也 - 競泳男子400m個人メドレー
• 中村美里 - 柔道女子52kg級
• 海老沼匡 - 柔道男子66kg級
• 松本薫 - 柔道女子57kg級
• 羽根田卓也 - カヌースラローム男子カナディアンシングル
  ※カヌー競技でのメダル獲得は日本初、カヌースラロームでのメダル獲得はアジア初
• 永瀬貴規 - 柔道男子81kg級
• 萩野公介・江原騎士・小堀勇気・松田丈志 - 競泳男子800mリレー
  ※1964年東京五輪以来52年振りのメダル
• 星奈津美 - 競泳女子200mバタフライ
• 羽賀龍之介 - 柔道男子100kg級
• 水谷隼 - 卓球男子シングルス
  ※卓球男子、および男女シングルスでのメダル獲得は日本勢初
• 山部佳苗 - 柔道女子78kg超級
• 錦織圭 - テニス男子シングルス
  ※1920年アントワープ五輪以来96年振りのメダル
• 白井健三 - 体操男子種目別跳馬
• 乾友紀子・三井梨紗子 - シンクロナイズドスイミングデュエット
• 石川佳純・伊藤美誠・福原愛 - 卓球女子団体
  ※伊藤は15歳300日での受賞で、五輪卓球史上最年少メダリスト
• 奥原希望 - バドミントン女子シングルス
• 乾友紀子・三井梨紗子・吉田胡桃・中村麻衣・丸茂圭衣・中牧佳南・林愛子・箱山愛香・小俣夏乃 - シンクロナイズドスイミング チーム
• 荒井広宙 - 陸上男子50km競歩
  ※競歩でのメダル獲得は日本勢初

その他のトピックス

• 競泳（男子400m個人メドレー）でのダブル表彰台は1956年メルボルン五輪以来60年振り。
• 体操女子団体の4位入賞は1968年メキシコ五輪以来46年振り。
• 7人制ラグビーでは強豪のニュージーランド、フランスを破り、4位入賞、世界を驚かせる。
• 野村敏京 - 初開催となったゴルフ女子で4位入賞。
• 板橋美波 - 女子10m高飛び込みで8位入賞。日本人の入賞は1936年ベルリン五輪以来80年ぶり。
• 寺本明日香 - 体操女子個人総合で8位入賞、日本人の入賞は1964年東京五輪以来52年ぶり。
• 柔道の男女合わせてメダル12個獲得は過去最多。加えて男子の全階級におけるメダル獲得は1964年東京大会（当時は全4階級）以来52年ぶりで、全7階級となってからでは初。
• メダル数は前回の2012年ロンドン大会の39個を上回り、歴代最多となった。

外国人選手の競技結果

• マイケル・フェルプス（アメリカ） - 競泳6種目に出場し、金メダル5個（個人3、団体2）、銀メダル1個。うち4×200mフリーリレーにてオリンピック史上3人目（大会1人目）となる4連覇を達成。生涯通算で獲得した金メダル23個は言うまでもなく史上最多^[3]。本大会を持って現役引退を発表。
• ウサイン・ボルト（ジャマイカ） - 陸上3種目に出場、100m・200m・400mリレーの3種目すべてで3連覇を達成。来年の世界陸上後の引退を表明したため、最後のオリンピック出場となった。
• サッカー男子ブラジル代表 - 開催国として臨んだ本大会にて決勝でドイツをPK5-4で下し同国として五輪史上初の金メダルを獲得。スクロールスコアの借りを返した。
• ライアン・ロクテ（アメリカ） - 競泳4×200mフリーリレーにてフェルプスとともに金メダルを獲得したものの、帰国直前に酔っぱらって現地のガソリンスタンドの設備を破壊したばかりかタクシー強盗に遭ったと虚偽申告。地元警察はもとよりIOCまで調査に乗り出す騒ぎとなり、全世界に恥をさらすこととなった。
• 猫ひろし（カンボジア） - 国籍変更後2度目の挑戦でマラソンに出場。139位に終わったものの完走を果たした（出場者155名、完走者140名）。
• エレーナ・イシンバエワ（ロシア）  - 女子棒高跳びの世界記録保持者。上述のドーピング騒動に伴う陸上ロシア勢締め出しによりオリンピックに出場できず、リオデジャネイロにて引退を発表。

関連動画

関連商品

関連項目

• ブラジル
• リオデジャネイロ
• リオデジャネイロパラリンピック（第15回夏季パラリンピック）: 2016年9月7日（水）～9月18日（日）
• 安倍マリオ

前回大会	当大会	次回大会
ロンドンオリンピック	リオデジャネイロオリンピック	東京オリンピック（2020年）

外部リンク

• 2016年夏季五輪はリオデジャネイロ 南米初 東京は第2回投票で落選(サンケイスポーツ)
• 日本オリンピック委員会 リオデジャネイロオリンピック特設サイト
• 日本パラリンピック委員会 リオデジャネイロパラリンピック特設サイト

脚注

1. *同年1月、アメリカ初の黒人系大統領としてバラク・オバマが就任している。オバマはシカゴがあるイリノイ州選出上院議員であった。
2. *アメリカに練習拠点を置いている走り幅跳びのダリア・クリシナのみ、オリンピック期間中国際陸連に一度参加資格を取り消されながらも唯一出場を認められた。
3. *1928年ヘルシンキ五輪から2016年リオ五輪までに日本競泳陣が獲得してきた金メダル （22個） よりも多い。