リップシュタット戦役 単語

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リップシュタットセンエキ

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銀河英雄伝説戦闘
リップシュタット戦役
基本情報
時期 帝国488年 4月6日8月
地点 銀河帝国
結果 銀河帝国正規軍の勝利
詳細情報
交戦勢
ゴールデンバウム朝銀河帝国政府 リップシュタット貴族連合
導者
帝国宰相
クラウス・フォン・リヒテンラーデ公爵

オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク公爵
最高指揮官
帝国軍最高
ラインハルト・フォン・ローエングラム元帥
実戦総司令官
ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ上級大将
動員兵
ローエンラム元帥
 ミッターマイヤー艦隊
 ロイエンタール艦隊
 ケンプ艦隊
 メックリンガー艦隊
 ミュラー艦隊
 ビッテンフェルト艦隊
 キルヒアイス艦隊
 ワーレン艦隊
 ルッツ艦隊
など
リップシュタット貴族連合
 ブラウンシュヴァイク公爵
 リッテンハイ侯爵
 ヒルデスハイム伯爵
 フレーゲル男爵
など貴族3740名
兵員総数2560万名
艦艇総数15万隻前後
リップシュタット戦役
オーディン制圧 -
アルテナ会戦 - レンテンベルク要塞攻防戦 - 
キフォイザー星域の会戦 - シャンタウ星域の戦い - 
ガイエスブルク要塞の戦い - ヴェスターラントの虐殺
ローエンラム侯暗殺未遂事件 - オーディン再制圧
前の事件 次の事件
帝国領侵攻作戦 イゼルローン回廊帝国寄り宙点における戦闘

リップシュタット戦役とは、「銀河英雄伝説」の戦闘の一つである。

概要

帝国488年4月6日8月ゴールデンバウム朝銀河帝国において発生した大規模な内戦。

第36代皇帝フリードリヒ4世の死後、第37代皇帝としてエルウィン・ヨーゼフ2世を擁立した帝国宰相クラウス・フォン・リヒテンラーデ公爵宇宙艦隊長官ラインハルト・フォン・ローエングラム侯爵両名の枢軸体制に対し、オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク公爵ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム3世侯爵保守門閥貴族連合して対抗したことによる貴族叛乱である。

この戦役における貴族連合敗北の結果、ルドルフ大帝以来五世紀にわたって帝国を支えた門閥貴族体制は全に崩壊するとともに、戦役の終結と時をあわせて発生した宮廷クーデターによりローエンラムラインハルト帝国宰相・帝国軍最高官として銀河帝国の実権を握し、ローエンラム独裁体制が確立されることとなった。

経緯

エルウィン・ヨーゼフ2世の即位

帝国487年10月皇帝フリードリヒ4世が急死すると、皇太子ルードヴィヒが逝していたことから、帝国内ではをして後継とするかが問題となった。

皇太子ルードヴィヒには男子(すなわち直系皇孫)であるエルウィン・ヨーゼフがいたが、5歳と幼少で、かつ有な姻戚を持たなかったこともあって、彼よりもフリードリヒ4世アマーリエとブラウンシュヴァイク公爵オットーであるエリザベート、おなじくクリスティーネとリッテンハイ侯爵ウィルヘルサビーネの二人が補であるとみなされていた。エリザベートは16歳サビーネは14歳とこちらも若くはあるものの、それぞれブラウンシュヴァイク公爵とリッテンハイ侯爵という帝国門閥貴族でも最大級の権門の生まれであり、後ろ楯としては充分なものがあった。

しかし、当時務尚書・帝国宰相代理の地位にあったリヒテンラー侯爵クラウは、これら外戚が政を左右することを恐れるとともに自身の権勢維持を図り、エルウィン・ヨーゼフを擁立した。対立は必至となった門閥貴族への対抗上、軍事民からの人気を必要としたリヒテンラーデ侯は、宇宙艦隊副長官である伯爵ラインハルト・フォン・ローエングラム元帥を同盟者に選ぶ。ローエンラム元帥もまた政と宮廷におけるリヒテンラーデ侯の権を必要としており、彼は宇宙艦隊長官・侯爵に、リヒテンラーデ侯は摂政公爵に位階をすすめた上でエルウィン・ヨーゼフ2世が即位することとなった。

この動きにより、自身の皇帝に擁立するべく宮廷工作を重ねていたブラウンシュヴァイクおよびリッテンハイム侯はあるべき外戚としての権を奪われることとなった。さらに、先時代の官僚貴族リヒテンラー帝国騎士出身のローエンラム侯による新体制は門閥貴族を疎外するものとなったため、室の屏たるを自認する門閥貴族全体に強い反発を巻き起こした。ここに及び、本来競争者であったはずのブラウンシュヴァイク・リッテンハイム両はリヒテンラーデ・ローエンラム両者への共通の憎悪をもとに手を結ぶ。

このようにして、帝国の支配階級内には帝国488年初頭までに皇帝リヒテンラーデ=ローエンラム枢軸対反皇帝ブラウンシュヴァイク=リッテンハイ連合の構図が成立する。後者がいずれ武叛乱に至ることは前者にも不可避と予測され、ローエンラム元帥府では戦争準備が進められることとなった。

リップシュタット貴族連合の成立

帝国488年2月初旬頃、ブラウンシュヴァイク・リッテンハイム侯の両名を中心とする門閥貴族3740名が、首都オーディンリップシュタットのに位置するブラウンシュヴァイクの別荘に参集する。集会の名は園遊会と古代名画オークションだったが、実際には反リヒテンラーデ=ローエンラム枢軸体制を呼号する決起集会であり、この時おこなわれた「愛国署名」の文面は、リヒテンラーローエンラム侯を非難するとともに、”伝統的貴族階級”をして王守護を担うべき選良と謳ったものであった。この「愛国署名」を「リップシュタット盟約」と通称し、これをもって門閥貴族による軍事組織リップシュタット貴族連合」が成立したものとされる。

貴族連合の盟ブラウンシュヴァイク公爵オットー、副盟をリッテンハイ侯爵ウィルヘルムがその地位についたが、実戦部隊総司令官を決めるにあたって問題が生じた。自身が直接揮を執るつもりであったブラウンシュヴァイクに対し、競争者でもあるリッテンハイム侯が、盟が軽々に前線揮に出るべきではなく、専門の職業軍人を総司令官につけるべきだとして老練の用兵として信望のあるウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ上級大将推薦したのである。貴族の多くも賛同し、メルカッツ上級大将総司令官就任が要請されることとなった。

しかし、そもそもメルカッツ上級大将リップシュタット盟約の参加者ではなく中立的立場を望んでおり、総司令官就任の要請にも固辞を通そうとした。ブラウンシュヴァイクは盟としての体面からなんとしても彼の総司令官就任を必要としており、説得が脅迫的になったためにやむなく受諾したが、この時メルカッツ上級大将ブラウンシュヴァイクにふたつの条件を受け入れさせている。実戦の全権を委ね揮系統を統一すること地位身分にかかわらず命に従い反すれば軍規に則り処罰を受けること、の二点であった。

リップシュタット戦役の勃発

リップシュタット連合の成立につづいて、反リヒテンラーデ=ローエンラム枢軸貴族・軍人の大部分はまでにオーディンを離れた。事態が軍事衝突へと加速度的に進行するなかで、大規模な軍事衝突を回避しようとする動きも存在したが、それは門閥貴族排除のため暴発的武叛乱をこそ望んでいたローエンラム側ではなく、むしろ貴族連合側にあった。直接の軍事衝突に及んだ場合、富・数的戦に優るとはいえ過度に楽観的で実戦経験もない門閥貴族の軍では不利と見る者たちがいたのである。

このうちの一人、ブラウンシュヴァイク公爵に仕えるアントン・フェルナー大佐は、一撃をもって事態を解決すべきとして独自に300名の兵を集め、ローエンラム元帥の居館を襲撃せんと試みたが、当の居館はすでに厳重に警護されていた。それを知ったフェルナー大佐が襲撃を断念して部隊を解散させたために戦闘は未発に終わったが、この襲撃未遂事件がリップシュタット戦役の直接の引きとなった。

フェルナー大佐の独自行動を知ったブラウンシュヴァイクは、これ以上都にとどまることに身の危険を感じ、家族・臣下とともにひそかにオーディンを脱出。これを知ったローエンラム元帥は実をもって軍務省ビル・統帥本部を制圧するとともに、オーディンに残留していた門閥貴族ブラウンシュヴァイクにつづいて脱出を試みたところを拘束し、オーディン握した(オーディン制圧)。

この結果、ローエンラム元帥宇宙艦隊長官にくわえ軍務尚書・統帥本部総長を兼任し、帝国における軍事の全権を得ることとなった。4月6日皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世ローエンラムラインハルトに対し帝国軍最高称号をあたえるとともに、ブラウンシュヴァイク以下の貴族たちを反逆を企図する国賊として討伐の勅を降す。ブラウンシュヴァイク以下、オーディンを離れた門閥貴族・反枢軸軍人はガイエスブルク要塞を本拠として集結していたが、これをもって正式に帝国への叛乱と見做され、”賊軍”と呼称されることとなった。

参加勢力

銀河帝国政府(リヒテンラーデ=ローエングラム枢軸/討伐軍)

リップシュタット戦役に至る両者の対立は帝国の支配階級内での分裂ではあったが、ローエンラム元帥はもとより民からの人気が高く、門閥貴族への反感もあって討伐軍側が民階級の支持を受けることとなった。また、貴族の中にもごく一部ながら討伐軍側を支持する動きが存在していた。リップシュタット連合の成立直前にオーディンしてローエンラム元帥への忠を表明したマリーンドルフ伯フランがその代表格であり、オーディン制圧時には脱出しそこねた貴族の一部がマリーンドルフ伯護されている。

ローエンラム元帥府の兵から構成される討伐軍の戦宇宙艦隊長官ローエンラム元帥によって直卒され、宇宙艦隊総参謀長をパウル・フォン・オーベルシュタイン中将が務めた。上級指揮官としてはジークフリード・キルヒアイス上級大将ウォルフガング・ミッターマイヤー大将オスカー・フォン・ロイエンタール大将カール・グスタフ・ケンプ中将エルネスト・メックリンガー中将ナイトハルト・ミュラー中将フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト中将ウルリッヒ・ケスラー中将らが参加している。

リップシュタット貴族連合(貴族連合軍・門閥貴族軍)

リップシュタット貴族連合な参加貴族としては、ブラウンシュヴァイク公爵とリッテンハイ侯爵という両巨頭のほかに、ヒルデスハイム伯爵、ランズベルク伯爵フレーゲル男爵などがいた。これらの貴族のうちには儀礼的に軍の階級を有する者も少なからず存在したが、彼ら以外に正規軍を離反して参加する職業軍人も多く、装甲擲弾兵総監オフレッサー上級大将アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト中将といった面々が部下を引き連れて参加している。特に、実戦総司令官を任されたメルカッツ上級大将は、新進気鋭の将帥からなるローエンラム元帥府の面々からもその軍歴と手腕によって一置かれる存在であった。

正義諸侯軍”と自称した貴族連合軍の戦は、正規軍と貴族の私兵をあわせて兵員総数2560万名に達し、艦艇総数においても15万隻以上に及んだとみられる。この兵は、組織の統一を必要とする雑多な集団でこそあったものの、討伐軍に十分対抗しうる大軍であった。しかし、幹部級将校の数的中核をなした門閥貴族の多くはまともな軍務経験もなく、組織幹部としての統一された意思もほとんど持っておらず、戦略面ではおのおのが利己的なを押し通し、実戦に際しては生来の傲慢さに由来する楽観義が蔓延するというありさまであり、この統率の欠如は最終的に貴族連合敗北する因のひとつとなった。また、これら貴族将校に対して兵士はすべて民出身者であり、その構成のさが戦役の最終局面にいたって露呈することとなる。

両軍の戦略

討伐軍

エルウィン・ヨーゼフ2世の登極により帝国の内戦が不可避のものとして予測されるようになったとき、ローエンラム元帥府において問題となったのが、第三勢となりうる自由惑星同盟、ひいてはイゼルローン要塞に駐留するヤン・ウェンリー大将の存在であった。前年のアムリッツァ星域会戦で同盟軍戦の多くが失われたとはいえ、ヤン大将ローエンラム元帥の最大の敵手のひとりであり、介入を受けた場合に内戦の長期化や戦況の逆転なども想定され得たためである。

ローエンラムはヤン大将内問題に拘束するべく、思想犯(事実上の捕虜)として収容されていたアーサー・リンチ元同盟軍少将を起用。捕虜交換に乗じてフェザーンから秘密裏に帰したリンチ少将が同盟軍幹部に軍部クーデターを使嗾させた。これにより4月13日、同盟首都ハイネセンにおいて軍事会議によるクーデターが発生したことで、ヤン大将は同年8月ごろまでヤン艦隊を率いてクーデターの鎮圧に注することとなり、リップシュタット戦役が同盟の干渉を受けることはなかった。

軍事的には、ローエンラム元帥の信頼するキルヒアイス上級大将官、ワーレンルッツ中将を副官とする別働隊が編成され、辺域の経略にあたっている。首都オーディンを守るのはモルト中将の率いる留守部隊将兵3万名のみであったが、これは貴族連合側の政治的事情から、皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世のいるオーディンを攻撃される危険がなかったためであった(詳細は後述)。

貴族連合軍

ブラウンシュヴァイクによる初期の戦略案は、首都オーディンから本拠ガイエスブルク要塞にいたるまでを戦略縦深とし、航路上の九箇所おいた軍事拠点に配置した戦をもって討伐軍に消耗を強い、最終的に消耗しきった討伐軍をガイエスブルク要塞から出撃した貴族連合が撃滅するというものであった。

しかし、この作戦には、各拠点への兵分散のために本拠ガイエスブルク要塞が手薄になり、討伐軍が通信・補給の遮断により各拠点を間接的に化してガイエスブルク要塞へと直行した場合には作戦じたいが意味になるという危険をはらんでいた。この危惧を摘したメルカッツ上級大将戦略に修正を加え、各拠点には偵察・監視の機を担わせて実戦ガイエスブルク要塞へと集中配備し、遠路ガイエスブルク要塞に到来する討伐軍に対し決戦におよぶ、という構想を示した。

しかし、結局これらの戦略が厳密に運用されることはなかった。従を知らない門閥貴族たちのはしばしば先鋭化し、総司令官であるはずのメルカッツ上級大将でさえもしばしば妥協を余儀なくされたからである。ブラウンシュヴァイクも時に総司令官就任時の二条件を無視することがあり、こうした問題点はリップシュタット戦役の終結にいたるまで是正されることがなかった。

幻のオーディン急襲案

上記した戦略構想がまとめられた作戦会議の場においては、ブラウンシュヴァイクメルカッツ上級大将による構想が示されたのち、さらに修正を加えるとしてシュターデン提督からも別の戦略構想が披されていた。この構想は、討伐軍をガイエスブルク要塞に引きつける一方で大規模な別働隊によりオーディンを急襲、皇帝を擁して彼の正当性を逆転させるというものであった。この案はメルカッツ上級大将も一時は構想した策ではあったが、貴族連合軍の政治的事情をかんがみれば非現実的な選択肢というしかなかった。

なぜならば、オーディン急襲が成功すれば、その指揮官貴族連合軍最大の功績とともに皇帝都を後ろ楯として得ることとなり、貴族連合無視して自ら最高権を手中に収めることすら可となるからである。もともと利己的で野心の強い門閥貴族たちが反リヒテンラーデ=ローエンラム枢軸という点でのみ一致して集った貴族連合においては、オーディン急襲案の政治的な意味合いは大きすぎた。

作戦会議でも、ランズベルク伯アルフレット自覚にこの点を摘したことで、貴族連合内に不和を生み出す原因となっている。ローエンラム元帥もこの問題を理解していたため、貴族連合軍が別働隊をもってオーディンを奇襲する可性を無視して兵を正面戦闘に集中することができた。

戦闘経過

緒戦

リップシュタット戦役における最初の交戦となったのは、4月下旬、両軍が共に初戦の勝利と相互の戦術評価をして出撃したことで発生したアルテナ会戦である。この戦闘における両軍の戦は、シュターデン提督揮する貴族連合軍先16000隻に対し討伐軍先ミッターマイヤー艦隊14500隻であった。この戦闘では、くも組織の脆弱さを明らかにした貴族連合軍が大敗し、有貴族ひとりヒルデスハイム伯も戦死した。

勝利した討伐軍は、貴族連合軍の管理下にあるフレイアレンテンベルク要塞の戦略的重要性を危険視し、この要塞を全面攻撃する(レンテンベルク要塞攻防戦)。防御を直接揮する装甲擲弾兵総監オフレッサー上級大将を前に苦戦を余儀なくされたものの、最終的にはレンテンベルク要塞を陥落させ、敗戦ののち収容されていたシュターデン提督およびオフレッサー上級大将を捕虜とすることに成功した。

この時、討伐軍はオフレッサー上級大将のみを釈放してガイエスブルク要塞への帰還を許している。これは貴族連合政治的に揺さぶる工作であり、同様に捕虜となった同僚・部下16名が処刑される一方でひとりガイエスブルク要塞に戻ったオフレッサー上級大将は、ブラウンシュヴァイクより背信の嫌疑を受けて射殺された。反ローエンラムの最右翼とみなされていたオフレッサー上級大将が背信の咎で処刑されたことは、討伐軍の思惑通り貴族連合内に大きな動揺をもたらすこととなった。

貴族連合の動揺

戦役勃発以降、キルヒアイス上級大将揮する討伐軍別働隊は辺域の定にあたっていた。キルヒアイス上級大将は占領した惑星の統治を民衆に任せるとともに治安の維持に努め、この間に発生した60回以上の小戦闘にもすべて勝をおさめている。この時期、キルヒアイス上級大将は担当する辺域について政軍両面の全権を委ねられており、彼を”辺域の王”と称するような冗談がられたほどであった。

この事態を受けた貴族連合軍は7月初旬頃、辺域の奪回のため副盟リッテンハイム侯を指揮官に5万隻の大軍を分遣する。しかし、この的はあくまで名上のものにすぎず、実態は盟ブラウンシュヴァイクとの対立を深めたリッテンハイム侯の分行動といえた。このリッテンハイム軍はキフォイザーガルミッシュ要塞を根拠地とし、キルヒアイス軍とのあいだにキフォイザー星域の会戦が発生する。戦いはリッテンハイム軍の敗に終わり、リッテンハイム侯もガルミッシュ要塞において死亡貴族連合は副盟と全軍の三割におよぶ兵を失った。

同じ時期、進撃する討伐軍本隊のうちロイエンタール艦隊は、シャンタウ域においてメルカッツ上級大将の直接揮による秩序だった貴族連合軍大艦隊の迎撃を受ける(シャンタウ星域の戦い)。老練のメルカッツ上級大将を対手とすることになったロイエンタール大将は、過去にない難戦を予測して一時撤退を選択したため、この戦闘は結果としてリップシュタット戦役における貴族連合軍側の初勝利となった。

ガイエスブルク要塞をめぐる戦闘

以降も討伐軍は進撃を続け、ローエンラム元帥から貴族連合軍への古典的かつ侮蔑的な”果たし状”の送付をきっかけに戦場ガイエスブルク要塞の周辺へと移った(ガイエスブルク要塞の戦い)。数回繰り返された小戦闘の結果、挑発と擬態に踊らされた貴族連合軍は討伐軍を過小評価し、8月15日戦闘ではブラウンシュヴァイクまでも自ら出撃するに至る。この好機に、討伐軍は緻密な縦深を構築して貴族連合軍の誘引・殲滅を図った。貴族連合軍後衛に控えていたメルカッツ上級大将によって全面崩壊こそまぬがれたものの、この戦闘貴族連合軍の敗に終わり、受けた損は甚大なものとなった。

こうした討伐軍側有利の戦況を受け、民階級にも反抗の機運が育ちつつあった。ブラウンシュヴァイク領の惑星ヴェスターラントでは大規模な暴動が生起、統治者であるブラウンシュヴァイクの甥シャイド男爵死亡する事件が発生する。これに激怒したブラウンシュヴァイクは、ヴェスターラントに対して禁忌とされてきた核攻撃を命。核攻撃の情報を得た討伐軍も貴族連合軍下層の兵士・民衆を離反させる好機として座視したため、命は妨なく実行された。これにより、ヴェスターラントに居住する民衆200万人が虐殺される(ヴェスターラントの虐殺)。

この惨劇は、討伐軍の監視衛星からの映像によって帝国全土に広められ、貴族連合ブラウンシュヴァイクから人心が離反する決定打となった。包囲下のガイエスブルク要塞に残った門閥貴族たちはブラウンシュヴァイクフレーゲル男爵を中心に最後の抵抗に打って出たが、キルヒアイス上級大将の別働隊を合流させた討伐軍の前に壊滅する。貴族連合軍内部では兵士の離反が相次ぎ、フレーゲル男爵ら門閥貴族の多くは死亡ブラウンシュヴァイク自殺を遂げ、ここにリップシュタット貴族連合全に崩壊した。

戦後

ローエングラム独裁体制の成立

9月9日、討伐軍の占領下となったガイエスブルク要塞で戦勝式が開催された。しかしその途中、ローエンラム元帥暗殺未遂事件が発生、キルヒアイス上級大将死亡する惨事となった。暗殺犯はブラウンシュヴァイクの臣下アンスバッハ准将だったが、この事件を奇貨としたローエンラム元帥府の高級幹部は暗殺未遂の罪を帝国宰相リヒテンラーの陰謀に帰してその排除を決断。麾下の戦を可な限りの速度オーディンへと帰還させ、璽をはじめとする政府を制圧した(オーディン再制圧)。対するリヒテンラーも戦役の終結を見越して宮廷工作を行っていたが、ローエンラム元帥府側の速な動きに機先を制される形となり、逮捕されたのち自決した。

10月ローエンラム元帥公爵に陞爵して帝国宰相に任じられ、帝国軍最高官の称号とあわせて政軍の全権を握した。ローエンラムカール・ブラッケオイゲン・リヒターら以前からの開明を任用し、刑法民法や税制の化、貴族荘園・農解放などを中心とする画期的な革を実行。貴族連合に与した門閥貴族の生き残りから財産と特権を剥奪する一方、内務省社会秩序維持局の止、思想犯・政治犯多数の釈放、発禁メディアの再刊許可貴族向けの機関止と農民庫新設など、民衆の権利を拡する革新的な政策が進められた。

軍事面では、ローエンラム元帥府を構成したロイエンタールミッターマイヤー大将オーベルシュタイン中将は上級大将に昇進し、その他の中将大将へと昇進した。先に殉職したキルヒアイス上級大将も、帝国元帥称号をはじめとした各種の名誉を受けている。長く辺防備の任を務めていたカール・ロベルト・シュタインメッツ中将の協により辺域もめてローエンラム体制に組み込まれ、シュタインメッツ中将大将昇進のうえローエンラム元帥揮下に入った。また、ガイエスブルク要塞において降したファーレンハイト中将も、そのを見込まれ、大将に昇進してローエンラム元帥の麾下に迎えられている。

こうして政軍双方からローエンラム独裁体制確立された結果、すでに英雄視されていたローエンラムは”解放者”ないし”革者”として民階級の熱狂的支持を受けることとなった。この支持が帝国489年から490年にかけての”神々の黄昏”作戦の遂行に大きく寄与し、ローエングラム朝銀河帝国の成立に至るのである。

戦後の貴族連合軍残党

リップシュタット戦役の結果、貴族連合軍の門閥貴族はほとんどが死亡するか捕らえられたが、脱出に成功した者もいくらか存在した。ランズベルク伯やフレーゲル男爵の部下レオポルド・シューマッハ大佐は難を逃れてフェザーン亡命したが、二人はのちに皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世の”救出”を成功させ、帝国フェザーン駐在高等弁務官であったヨッフェン・フォン・レムシャイド伯爵とともにハイネセンでの銀河帝国正統政府の成立に参画することとなる。

実戦総司令官メルカッツ上級大将も、ガイエスブルク要塞の戦いの最終盤で要塞外に取り残されて孤立、ヤン大将の駐留するイゼルローン回廊へ向かい、部下とともに自由惑星同盟への亡命を選んだ。メルカッツ上級大将は同盟軍で中将待遇の客員提督として迎えられ、銀河帝国正統政府成立にあたっては軍務尚書に任じられた。

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