ドイツ語の”Luftwaffe”のLuftは空、waffeは武器の意味。
現在のドイツ連邦共和国の空軍もルフトヴァッフェであるが、飛行機や戦史好きの頭に浮かぶのは、
熾烈な戦いを繰り広げたナチス・ドイツ時代のルフトヴァッフェである。
第1次世界大戦で敗れたドイツはベルサイユ条約において軍備に制限を受け、航空機の保有を禁止されたが国際的に孤立していたソビエト連邦との秘密協定を用いてソビエトの工業都市、リペツクで試作機の製造や航空機パイロットの育成を行って将来の空軍編成の準備を進めていた(当然条約違反)。
また、民間レベルでも航空機の開発制限があったため海外で開発・製造を行うことで航空技術を維持していた。
やがてヒトラー率いるナチスが政権を握ると帝政時代のエース・パイロット、ヘルマン・ゲーリングを中心に空軍編成の準備が始まり、1935年に公式にルフトヴァッフェが設立された。
翌1936年のスペイン内戦への介入で実戦経験を得たルフトヴァッフェはその経験を反映した航空機と戦術を開発して第2次世界大戦に臨み、地上部隊との連携でポーランド、北欧、フランスを制する事になる。
だが、イギリス侵攻に先駆けて行われた大空襲=バトル・オブ・ブリテンで護衛戦闘機が、対ソ戦で爆撃機・輸送機の能力(特に航続距離)の問題が表面化したことに加え、ドイツ本土が空襲に晒された事で航空機と燃料の製造が滞り元々開きのあった連合国(アメリカ、ソビエト)との航空戦力差が更に増大、ドイツ本土にも地上部隊が迫っていた。この状況下でもジェット機(Me262、Ar234)の投入やエース・パイロットや後述する地上部隊が奮戦したが状況は好転することなく1945年の敗戦を迎えた。
ルフトヴァッフェの指揮系統は『空軍総司令部』をトップに各地域の空軍部隊を一括して指揮する『航空艦隊』、地域の航空機部隊を一括して指揮する『航空軍団』、最前線で対応する『航空団』の順になっていた。そして航空団は任務によって以下の種類に分けられていた。
団名 | 任務 | 主な運用機 |
戦闘航空団 (JG) |
昼間戦闘機による制空 を担当。 |
Bf109、Fw190 |
夜間戦闘航空団 (NJG) |
夜間戦闘機による防空 を担当 |
Bf110、Ju88 |
駆逐航空団 (ZG) |
駆逐戦闘機によるKG の支援 |
Bf110 |
急降下爆撃航空団 (StG) |
字の通り、急降下爆撃 で地上攻撃、艦艇攻撃 を担当 |
Ju-87 |
爆撃航空団 (KG) |
水平爆撃による戦略目標 破壊、航空雷撃も担当 |
He111、Ju88 |
輸送航空団 (TG) |
輸送機の運用を担当 | Ju52、Me323 |
教導航空団 (LG) |
試作機の運用・研究を 担当 |
多数 |
部隊名 | 運用 | 備考 |
第1降下装甲軍団 ヘルマン・ゲーリング (機甲部隊) |
前述の警察部隊が空軍発足と共に移籍 された。 当初は歩兵+高射砲部隊だったが最終的 に2個機甲師団を基幹とする大部隊に 巨大化した。 終戦時は東部戦線だったことから 殆どがシベリアに消えた。 |
北アフリカ戦線で一度降伏= 消滅しているが北アフリカに 送られていなかった残存部隊 を元に再編された。 |
降下猟兵 (空挺部隊) |
北欧、対仏戦で大いに戦果を挙げたが クレタ島攻略以降は空挺作戦ではなく、 反撃用の精鋭歩兵として通常の地上戦 に従事した。 |
陸軍と武装親衛隊は独自の 降下猟兵部隊を保有してい た。 |
空軍野戦師団 (一般歩兵部隊) |
東部戦線で兵員を消耗した陸軍からの 人員転籍要請に対する妥協として編成。 後方での警備任務を担当したが訓練・ 装備共に不足していた。 |
最終的に陸軍に移籍。 |
高射砲部隊 | 8.8㎝ flak等の重高射砲を運用。 必要に応じて陸軍、武装親衛隊に配属 されて防空戦闘を実施した。 |
高射砲には対地用砲弾も用意 されていた事から切羽詰まった 陸軍部隊から脅迫されて地上戦 に参加し敵戦車を撃破した逸話 が多い。 |
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/20(土) 12:00
最終更新:2024/04/20(土) 12:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。