レイデオロ(Rey de Oro)とは、2014年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2016年:ホープフルステークス(GII)
2017年:東京優駿(GI)、神戸新聞杯(GII)
2018年:天皇賞(秋)(GI)、オールカマー(GII)
生産者はノーザンファーム、馬主はキャロットファーム。美浦・藤沢和雄厩舎所属。
父キングカメハメハ、母ラドラーダ、母父シンボリクリスエス。父と母父の説明は割愛。母はマイル戦を中心にOPまで出世し、ヴィクトリアマイルへの出走経験もある馬である。しかしそれ以上に重要なのは牝系で、ラドラーダの母はスプリント路線で一世を風靡したレディブロンド、そしてその母はかのウインドインハーヘア。つまりディープインパクト・ブラックタイド兄弟や帝王賞馬ゴルトブリッツがファミリーにいるかなりの良血馬なのである。
レイデオロが入厩したのは母ラドラーダ、母父シンボリクリスエス、更に祖母レディブロンドを共に手掛けた美浦の名門・藤沢和雄厩舎。14度のリーディングトレーナーに輝くなど日本競馬史に残る名伯楽なのだが、無理に使わない厩舎の方針や有力馬の不運もあってそれまで牡馬クラシックとは無縁。ことにダービーではシンボリクリスエス、ゼンノロブロイなどの名馬でも2着に敗れるなど何度も苦汁を嘗め続けていた。
2歳10月にデビューし、危なげなく2連勝。暮れのホープフルS(当時はGⅡ)に参戦し、3戦連続となる上がり最速の末脚で快勝。2歳シーズンを3戦無敗でターンし、クラシックの有力候補となる。この馬の他にも、この年の藤沢厩舎は阪神JFをソウルスターリング、朝日杯FSをサトノアレスで制し牡牝の2歳チャンピオンを両取りするなど絶好調だった。
宿願のクラシック制覇へ向け、王道の弥生賞→皐月賞→ダービーのローテを描いていた陣営。しかしソエ(若い馬特有の骨膜炎)の影響で弥生賞をパスせざるを得なくなり、ぶっつけで皐月賞に出る事になってしまう。4ヶ月の休み明けが嫌われ、無敗の重賞馬にも関わらず5番人気。本番も後方から上がり2位の末脚で突っ込むが、前が止まらずアルアインの5着に敗れてしまう。ともあれ、レイデオロは明らかに調整途上であり陣営も当初からダービーが最大目標と語っていただけに、後方3番手から5着まで押し上げられたのは十分という声もあった。
迎えた最大目標の日本ダービー。今回は調整も順調、しかも同厩のソウルスターリングがオークスを圧勝と流れも向いていた。青葉賞を圧勝したアドミラブルに1番人気は譲ったが、5.3倍の2番人気で本番を迎える。
近年のダービーとしてはやや不利な外寄りの12番枠からスタート。いつも通り後方から前をうかがう。レースは淡々と流れ…ていたはずが、向正面に各馬が入ったところで場内は騒然とした。
レイデオロが外から一気にポジションを押し上げ、大捲りを仕掛けたのである。
これは引っ掛かったわけでも反応が悪かったわけでもなく、鞍上のクリストフ・ルメールがあえて行かせたものだった。その理由は明快、あまりにもペースが淡々としすぎていたのである。レイデオロが2番手につけた直後に通過した1000mのラップは63秒2。過去10年でも異例の超スロー…どころか、1984年のグレード制以降、1000m63秒台のダービーは初。この流れでは、後ろにいては届かない。
(この超スローペースを演出したのは単勝188.8倍、14番人気のマイスタイルに騎乗していた横山典弘騎手。もしもルメールが早めにポジションを変えていなかったら、クィーンスプマンテやテイエムプリキュアのような大波乱となっていたかもしれない)
最後の直線に向き、馬場の真ん中から先頭に近づくレイデオロ。外からスワーヴリチャードが追い詰めてきたものの、レイデオロは最後に更に突き放し3/4馬身差で勝利した。
鞍上のルメールもキャリア通じて初の「ダービー」勝利、そして藤沢和雄は開業25年目、19頭目にして悲願のダービー制覇。ダービートレーナーの夢を叶えた。
しかしこの勝利の代償なのか、レイデオロはこれ以降の馬生において、ある悪癖を抱える事になってしまった。特殊な勝ち方の弊害からかレイデオロは強烈な前進気勢を持つようになり、レースで掛かり易くなってしまったのである。この悪癖のせいもあり、その後のレースではダービーのような立ち振る舞いをすることはできなくなってしまった。
秋は地元関東のセントライト記念ではなく関西の神戸新聞杯から始動。このレースで早くも行きたがるそぶりを見せてしまうが、道中で鞍上が壁を作る事に成功し辛勝。菊花賞の優先出走権は得たがその後は距離適性を考慮しジャパンカップへと駒を進める。
ジャパンカップでは直線で上がり最速の末脚で伸びたものの、先に抜け出していたシュヴァルグランに振り切られて2着に敗退した。
ダービー制覇とJC2着という安定した成績から、ほぼ満票でこの年の最優秀3歳牡馬を受賞した。
開けて4歳、陣営は春の目標をドバイ遠征と定め、前哨戦として京都記念に出走。ここでは主戦のルメールの騎乗停止を理由に、短期来日中のダリオ・バルジューに乗り替わった。圧倒的1番人気に支持されたものの、バルジューの強気な騎乗はかかり癖の矯正が課題であったレイデオロとは相性が悪かったのか、道中引っ掛かるなど終始ちぐはぐなままクリンチャーの3着と惜敗。
不安を抱えながらも、再びルメールを背に日本代表としてドバイシーマクラシックに遠征。2番人気に支持されるが、ゴドルフィンのホークビルが作り出したスロー展開の中、またも引っかかってしまう。直線では伸びきれず逃げ粘ったホークビルの4着に敗れる。その後春は全休となった。
夏を超えて、秋は中山のオールカマーから始動。断然の1番人気となり、中団からレースを進めて同期の皐月賞馬アルアインを内から差し切って勝利した。なおダービー馬によるオールカマーの制覇はこれが史上初であった。
(余談であるが、同日開催の神戸新聞杯で勝利したのもこの年のダービー馬であるワグネリアン。ダービー馬の同日重賞制覇もこれが史上初。「西も東もダービー馬」な1日だった。)
陣営は天皇賞(秋)とジャパンカップの両睨みから前者を選択。人気では東京が得意なスワーヴリチャードに押されて2番人気に甘んじるも12頭の少頭数の中で5番手につけて。直線では早めに促され、ロングスパートで駆け抜けて勝利した。
ダービー馬による秋天の制覇はこれで史上6頭目、前走オールカマーからの制覇はこれが史上初であり、藤沢はこの勝利で現役最多の秋天6勝目を手にした。
次走はこの年に牝馬三冠を達成したアーモンドアイの主戦でもあった鞍上のルメールとの兼ね合いもあり、ジャパンカップを回避して有馬記念を選択。ホープフルステークス、オールカマーの勝利から元々中山の方が得意と言われていたこともあり、2.2倍と抜けた1番人気に支持される。
今度は9番手と中団からの競馬を選択。道中も全く問題はなかったが、3,4コーナー地点で若干緩んだ馬場に反応が遅れ、一足早く抜け出していたブラストワンピースを捕まえきれずクビ差2着に敗戦した。
しかし4歳時に出走したGIレース全てで掲示板を外さなかった事などが評価され最優秀4歳上牡馬を受賞。2年連続JRA賞受賞の栄誉を手にした。
明けて5歳、昨年のリベンジのため再びドバイシーマクラシックに出走。しかし、かかり癖がここに来て再発。スローペースに我慢が効かなくなったレイデオロはハナを切ってしまい最終コーナーを先頭で通過したものの、直線で失速しオールドペルシアンの6着(8頭立て)。生涯で初めて掲示板を外す結果となった。
次走は初参戦となる宝塚記念。同期の牡馬クラシックホース達と共に出走したものの馬群に揉まれて直線で伸びることはできず、同期の牝馬リスグラシューの5着に敗れる。
秋初戦のオールカマーでは、主戦のルメールが神戸新聞杯に出走する皐月賞馬サートゥルナーリアを優先した事から、鞍上を福永祐一に代えて出走。連覇を目指すも動きは鈍く、ここでもスティッフェリオの4着に敗れる。福永もレース後に「直線で他の馬に差されてしまうなんて」と動揺を隠せないようなコメントを残した。
天皇賞(秋)への出走は見送り、次走はウィリアム・ビュイックの騎乗でジャパンカップに挑んだ。馬体診断で細江順子氏が絶賛したように、仕上がりが良く見えたためか1番人気で出走したが、結果はスワーヴリチャードの11着と生涯最悪の惨敗に終わった。ジャパンカップ当日は不良馬場であり、ビュイックは 「デビュー以来で最高の出来と聞いていた。しかし馬場が柔らかくて進んでいかなかった。道中でステッキを使うことも考えるほどだった」とコメントした。
陣営も馬場を敗因に挙げた。重芝発表の新馬戦を勝った時ですらもルメールが「こういう重い芝は良くない」と発言したように、重芝は苦手だったのだろう。(キングカメハメハ産駒全体の傾向として、重芝の勝率は他の一流種牡馬と比べても低い)
ラストランとなった有馬記念では騎乗停止処分を受けたビュイックから鞍上を三浦皇成に代えて、9番人気で出走した。
陣営はブリンカーを着用させる事でレースへの集中力を取り戻させようと努力したものの、結果は勝馬リスグラシューから遠く離された7着に終わった。このレースを最後に引退し、種牡馬入りした。
キャリア終盤の連敗の要因は一部で囁かれた出走レースの選択ミスによる消耗にあったのか、或いは気性の矯正が裏目に出てしまったからなのか、それとも単純に衰えによって走る気力と体力を失ってしまったからなのか、それは分からない。
5歳時のレースではコーナーを回る前の段階でジョッキーの手は激しく動いており、促されているにもかかわらず直線で失速する、という光景が繰り返されていた。
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo 1990 鹿毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
Miesque | Nureyev | ||
Pasadoble | |||
*マンファス 1991 黒鹿毛 |
*ラストタイクーン | *トライマイベスト | |
Mill Princess | |||
Pilot Bird | Blakeney | ||
The Dancer | |||
ラドラーダ 2006 青鹿毛 FNo.2-f |
*シンボリクリスエス 1999 黒鹿毛 |
Kris S. | Roberto |
Sharp Queen | |||
Tee Kay | Gold Meridian | ||
Tri Argo | |||
*レディブロンド 1998 鹿毛 |
Seeking the Gold | Mr. Prospector | |
Con Game | |||
*ウインドインハーヘア | Alzao | ||
Burghclere |
掲示板
221 ななしのよっしん
2025/01/13(月) 17:58:19 ID: SRmXgk3mEF
産駒のトロヴァトーレがニューイヤーS勝利して、産駒初の古馬OP勝ち。
トロヴァトーレに菊花賞3着のアドマイヤテラ、12月にOP入りしたムルソー、ダービー掲示板のサンライズアースあたりが今のところ有望株かな。このあたりから重賞まで届く仔が出てくれれば……
222 ななしのよっしん
2025/01/15(水) 13:57:52 ID: 99KoyFkkwN
有望株4頭のうち母父ハーツクライとマンハッタンカフェはあれだけ数いればって感じだが2頭が母父エンパイアメーカーなんだな
223 ななしのよっしん
2025/01/16(木) 12:02:48 ID: S2m2dyFSC8
悪い意味で生産牧場泣かせだよね
よく失敗例で挙げられるラムタラは、血統的に付けられる国内の牝馬がかなり限られてるのに、日高が社台に対抗しようと後先考えず焦って無理に購入したからラムタラではなく日高側の失敗なんだけど、レイデオロはドゥラメンテに代わる中長距離もいけるキンカメ産駒の代表格になるはずだったのに、この惨状
あれだけ一級レベルの牝馬を種付けしておいて、数頭がOP戦勝利・GI掲示板入りだけで再評価なんて釣り合わなすぎるし、種付けした牝馬のラインナップを今見るともったいないことをしたと思わざるを得ない
急上昇ワード改
最終更新:2025/01/21(火) 16:00
最終更新:2025/01/21(火) 16:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。