Master of Monster |
「レイ・ハリーハウゼン」とは、「ダイナメーション」と呼ばれるストップモーションアニメとライブアクションの合成技術を用いて20世紀の特撮映画界に革命をもたらし、特撮を駆使したモンスター映画の歴史をつくったクリエイターであり、骸骨剣士や7つの首をもつヒドラ等のクリーチャー達に生き生きとした動きをつけてみせた事等から「Master of Monster」と呼ばれて尊敬されている偉大な映画人である。
「レイはつねに新しく、けっして古びない。」 レイ・ブラッドベリ(作家) 「私たち、特殊効果に関わるすべての人間が、レイから絶大なインスピレーションを受けている。」 ジョージ・ルーカス(映画監督/プロデューサー) 「僕はレイのすべてから影響を受けた。彼の画期的な映画群には驚嘆するほかない。」 スティーヴン・スピルバーグ(映画監督/プロデューサー) 「僕の映画におけるすべての創造物は、レイの「孫」だと言ってもいい。」 ジェームズ・キャメロン(映画監督/プロデューサー) 「彼は永遠にストップモーション・アニメの王様だ。」 ニック・パーク(「ウォレスとグルミット」監督)
1950年代から1970年代そして1981年までの間、ハリウッドやイギリスを拠点に
といった特撮映画を制作・公開していたクリエイターであり、その高い技量から奇蹟の様な映像を次々と生み出し、それまで特撮が人間の演技の添え物的扱いだったところに「特撮を主役にした映画」が作れることを証明するという革命を起こして、特撮映画の歴史をつくった人物である。
レイ・ハリーハウゼンの特撮技術は、「キング・コング(1933)」の特撮を担当した「ウィリス・オブライエン」が生み出した、アーマチュアと呼ばれる骨格を内蔵した人形を1コマずつ動きを変えて撮影するモデルアニメーションと実写のライブアクションを合成する特撮技術を更に進化させて、それまで撮影時の温度による変化もあってモデルアニメーションを撮影してからライブアクションの撮影を行い、工学的に合成していた為に製作費が高騰していた点を、充分に撮影プランを練った後に先にライブアクションを撮影し、1コマごとに色温度を調整するフィルタを開発して、先に撮影したライブアクションを光学合成することなくモデルアニメーションを撮影するというもので、独自の手法を用いて低予算ながらも高いクオリティの特撮映画を製作していった。
※レイ・ハリーハウゼンが映画界をめざしたきっかけは「ウィリス・オブライエン」の「キング・コング」であり、二人は「猿人ジョー・ヤング」撮影の際に共同で作品をつくりあげ、ウィリス・オブライエンは「ハリーハウゼンの師匠」と呼ばれるようになった。
レイ・ハリーハウゼンが考案した撮影方法は、人間の動きにあわせて人形をよりダイナミックに動かすことが可能となった他、人間の動きに対して剣と剣をぶつけあう剣劇等の立体的な動きをつけやくなり、このような立体的な演出方法と撮影方法は、「シンバッド7回目の冒険」製作中に、プロデューサーのチャールズ・H・シニアが車のダッシューボードに記載されていた「ダイナフロー」という専門用語をもとに「ダイナメーション」と名付けられ、特に怪獣やモンスター(クリーチャー)らを動かす際に真価を発揮し、元々人形のアニメーションに光るセンスを持ち合わせていたレイ・ハリーハウゼンの技量とケミストリーして、
といったCG全盛の現在ですら、レイ・ハリーハウゼン以外がダイナメーションで再現するのは不可能と言われるほどの特撮映像を生み出していった。
※レイ・ハリーハウゼンの「ダイナメーション」により、人形と人間を同時に演技させることが可能になった反面、低予算でも特撮映画が作れるという制作現場的には悪い風潮も生み出してしまった。
レイ・ハリーハウゼンが師匠のウィリス・オブライエンにより映画の世界に進むこととなったのと同じく、ジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグといった特撮映画界の巨匠となる若者達や、共に映画を製作した事でレイ・ハリーハウゼンと肩を並べる実力を実証するジム・ダンフォースらを映画の世界に進むきっかけをあたえていった。
※ピクサー製作のCGアニメ「モンスターズ・インク」には、「ハリーハウゼン」と言う名前の寿司屋が登場する。
円谷英二が特撮監督を務めた日本映画の代名詞的存在であるキング・オブ・モンスター「ゴジラ」の第一作公開の前年に、レイ・ハリーハウゼンが特撮監督としてデビューした作品が公開された。
奇しくもゴジラ同様に核実験によって古代の怪獣「リドサウルス」が蘇り、都市に上陸して人間達を襲うという内容で、円谷英二とは直接的な接点はなかったものの、円谷英二もまたウィリス・オブライエンの「キング・コング」に感銘を受け、フィルムを1コマ1コマ研究した程の人物であった事から、特撮映画界の偉大な巨匠二人が同じ映画に感銘をうけ、同じコンセプトの映画制作に携わったという不思議な縁を持っている。
また、日本では「特撮の神様」と呼ばれる円谷英二と肩を並べる存在とされているが、巨大怪獣だけでなく等身大から様々の大きさのモンスターを自在に動かした事から、レイ・ハリーハウゼンは「Master of Monster」と呼ばれている。
ウィリス・オブライエンの「キング・コング(1933)」に衝撃を受けて、映画の仕事に携わる道を志し、学生時代からストップモーションアニメ映像の自主制作をおこなっていた。
高校卒業後は、南カリフォルニア大学の夜間部に通いながら映像技術を学び、卒業後は人形劇の会社に就職してアニメーションスタッフとして働いていたが、第二次世界大戦時には2年間従軍し、陸軍の映像班に所属して、ストップモーションアニメによる「戦場での架橋工程を示した軍用教育映画」などを手掛けた。
退役後、ウィリス・オブライエンの新作「猿人ジョー・ヤング」の製作に参加し、その85%以上を担当したと言われる特撮パートは、1949年のアカデミー視覚効果賞を受賞したほどで、ウィリス・オブライエンは後年「ハリーハウゼンの師匠」と呼ばれるようになった(なお人形を使用したアニメーション映像と実写映像を組み合わせる手法を考え出したのはウィリス・オブライエンであり、オブライエンは特撮映画の先駆者とも言われている)。
※ウィリス・オブライエンとは後に「動物の世界」を共に製作した他、ウィリス・オブライエン没後に、遺された企画の中から「恐竜グワンジ」等がレイ・ハリーハウゼンの手により映画化されている。
1952年、ワーナーブラザースからの資金提供により特撮監督としてのデビュー作を製作することになったレイ・ハリーハウゼンは、高校時代からの友人である小説家「レイ・ブラッドベリ」の短編「霧笛」を題材に選び、独自の解釈を加えて、核実験により蘇った怪獣「リドサウルス」がニューヨークを襲う怪獣映画「原始怪獣現る」を製作し、1953年に公開された映画は「猿人ジョー・ヤング」の1/10とも言われる低予算にもかかわらず大ヒットを記録し、レイ・ハリーハウゼンはクリエイターとしての名声を確立した。
※翌1954年には日本でも公開されたが、この年には「ゴジラ」の第一作目も公開された年である。
1955年には、ゴールデン・ゲート・ブリッジを巨大な蛸が破壊せんとする映画「水爆と深海の怪物」を製作し、1956年には、後にティム・バートンが「マーズ・アタック」製作時にUFOのパロディ元とした「空飛ぶ円盤地球を襲撃す」を製作した。
※「水爆と深海の怪物」に登場する大蛸の足は、低予算のため六本しかなかったりする。
1957年には、後にレイ・ハリーハウゼンのモンスター(クリーチャー)の代名詞的存在の一体となる火星生物「イミーア(Ymir)」が、人間の手により地球に連れてこられて、象と戦わされたり、人間達との戦いの果てにコロッセオから落ちて死ぬというキング・コングをオマージュしたかのような映画「地球へ2千万マイル」を製作した。
1958年には、後に名コンビとなるプロデューサー「チャールズ・H・シニア」と共に「シンドバッド七回目の冒険」の製作にこぎつけ、五輪メダリストのエンゾー・M・グレコ指導による骸骨戦士と人間の剣劇シーンや、一つ目巨人「サイクロプス」や双頭の巨大鷲「ロック鳥」らの怪物達を生き生きと動かして自身初のカラー映画を成功させ、1963年には、最高傑作とも言われる7人の骸骨剣士と3人の人間が入り乱れて剣劇を行ったり、青銅の巨人タロスや7つ首の大蛇ヒドラが登場する「アルゴ探検隊の大冒険」を製作した他、H.G.ウェルズ原作の「月世界探険」やラクウェル・ウェルチの肉体も楽しめる「恐竜100万年」「恐竜グワンジ」らの特撮映画を製作した。
1973年に15年ぶりにシンドバッドシリーズの続編である「シンドバッド黄金の航海」を製作し、作中に登場する六本腕の石像カーリーと人間との剣劇は、ハリーハウゼン作品の中でも知名度の高いシーンとなった。
1981年には、レイ・ハリーハウゼンに並ぶ実力の持ち主とされたジム・ダンフォースをスタッフに加えて製作した「タイタンの戦い」が公開され、「こんなんなら石像にされても仕方ない」と思わせるメドゥーサが高い評価を得、映画そのものも大ヒットを記録した。
その後は、企画が実現しなかった事もあって映画界から身を引き、イギリスにて妻や映画の撮影時に使用したミニチュアモデル達と共に余生を送っている。
そして1992年、アカデミー賞特別賞を受賞したレイ・ハリーハウゼンは、授賞式にて盟友のレイ・ブラッドベリの手からオスカー像を受け取った。
余生はイギリスにて過ごしていたが、2013年5月7日、ロンドン市内の病院で92歳にて死去した。
※その他「レイ・ハリーハウゼン」の詳細についてはWikipediaの該当項目参照の事
制作・視覚効果
原案・制作・脚本・視覚効果
視覚効果・特殊効果
出演 |
レイ・ハリーハウゼンの名シーンを再現したMikuMikuDance作品
関連人物
主なタイトル |
掲示板
26 ななしのよっしん
2021/02/25(木) 00:06:52 ID: xsw1lzqhu3
コレクション再販しないかな
27 ななしのよっしん
2021/05/20(木) 13:21:18 ID: 6TitvCckDI
動きが段違いにいいよね
28 ななしのよっしん
2023/11/10(金) 23:38:07 ID: qF9dYiCLJf
「恐竜グワンジ」
日帰りで行ける場所に古代生物が生き残っている秘境があったりするツッコミどころ満載の映画だけど、特撮のクオリティがむちゃくちゃ高くてびっくりした。
建物の中まで追っかけてくるの、あのサイズの恐竜でないとできない展開だった。
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最終更新:2025/04/01(火) 10:00
最終更新:2025/04/01(火) 09:00
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