レスポンスシステムとは、ヨーヨーの構造の一つ。
スリープするヨーヨーを、手元に引き戻すための仕組みのことである。
近代ヨーヨーは軸とストリングがつながっておらず、ストリングが伸びきるとそのまま下で空回り(スリープ)をする。
手を引くと、たるんだストリングがヨーヨー本体のどこかに引っかかり、ストリングが巻き取られて手元に戻ってくる。
現在のヨーヨーは、軸回りに何らかの摩擦を発生させるものを置いておき、そこをストリングの引っかかりどころとしている。この仕組をレスポンスシステムという。後述の理由で「スター」と呼ぶこともある。
レスポンスシステムは、戻すときだけではなく、ヨーヨーを投げ出す時にも重要である。
ボディ内側にある程度の摩擦がないと、手の運動エネルギーがストリングからヨーヨーに伝わらず、ろくに回転しないままストンと落ちる「スカ」と呼ばれる現象が発生する。これは回転力が弱まるだけでなく、腕を痛めるおそれがある危険な状態である。
レスポンスシステムは、投げ出し時と引き戻し時に摩擦を確保するだけでなく、一旦スリープが始まったら引き戻す時まで摩擦を与えないという矛盾した性能も必要なため、各社様々な工夫をこらしている。
現在、様々な種類のレスポンスシステムがある。
構造ごとに、目的や戻り具合、フィーリングなどが異なる。
木製軸ヨーヨーでは、軸そのものがレスポンスシステムであるため、必要ない。
レスポンスシステムは、金属軸・プラスティックボディという摩擦の少ない材質でヨーヨーが作られて初めて必要になったものである。
ヘンリース・バイパーの初期型や、初期のヨーヨージャム製品[1]などは、トランスアクセル機種でもレスポンスシステムがない。このようなヨーヨーは、ボディ内側の摩擦か、ボールベアリングに封入されているグリスの摩擦を利用して引き戻すようになっている。
オフストリング機種のうち、小径ベアリングのものには搭載されていない場合が多い。
軸回りの部分にギザギザのモールドを入れたもの。形状が星に似ていることから名づけられた。
長らくレスポンスと言えばこれだったので、現在でもレスポンスシステムの総称として「スター」が用いられる。
引き戻しヨーヨーに向く。摩耗してしまうと交換が効かないのが弱点。
ポリエステル製のストリングの場合、逆にスターバーストがストリングを溶かしてしまうこともある。
現在では主にルーピングヨーヨーに用いられる。
かつてはストリング機にも用いられていたが、バインドが主流になってからは下火になっている。
Fully-Adjustable Starburst Technologyの略。
ヨーヨーファクトリー・F.A.S.T. 201や301に採用されているシステムで、ストリングが当たるとボディ内部に引っ込むスターバースト。
従来のスターバーストより山を高くできるため、初心者用ヨーヨーに向く。
また、スターの山谷を左右のボディで合わせるとレスポンスが強く、合わせないと弱くなる。このように、ギャップ幅をさほど変えずに戻り具合の調整をすることもできる。
滑りが皆無と言っていいほど悪く、バインド仕様にすることが出来ないため、ある程度上達すると使いづらくなる。
軸回りにコルクをはめ込んだもの。
プレイマックス・バンブルビーに採用されたのを皮切りに、同社トランスアクセル機種にはほぼ全て採用されている。
プレイマックス買収後は、買収先のダンカンが引き継いで販売している。
スターバーストに比べて非常に戻りがよく、交換が効くのが利点。
独特のフィーリングや、蜂の羽音のようなスリープ音を好むプレイヤーもいる。
ただし、ストリング用としては戻りが良すぎて滑りに劣り、ルーピング用としてはちょっとすり減ると戻らなくなってしまう。後述のレスポンスステッカーほど融通が利かないため、人気はいまいちである。
軸回りに布製のステッカーを貼り付けたもの。
トム・クーンのヨーヨーに搭載された「ターボディスク」が初出。
ダンカンはこれにゴムを吹き付けた「フリクションステッカー」を、フリーハンドのレスポンスシステムとして採用した。以降、ダンカンヨーヨーのレスポンスシステムはほとんどこれになった。
最大の特徴は、削れ具合による戻り具合の調整のしやすさである。
新品では非常に戻りがよく、初心者またはルーピング向け。
使い続けると表面のゴムが磨り減っていくが、この状態は複雑なストリングトリックに向く。
これは同時に弱点でもあり、せっかくちょうどいいレスポンスにしても、すぐに磨り減って感覚が変わってしまう。
これが主流だった頃は、初心者から上級者まで数多のプレイヤーが、自分好みのフリクションの研究に時間を費やした。ステッカーを削ったり、片方だけ貼り付けたり、他の材料で自作してみたり、他のヨーヨーに貼り付けたり。
現在はフィーリングの変わらない、セッティングの必要がないレスポンスシステムがあるため、下火となっている。
フリクションステッカー仕様ヨーヨーの改造方法。のちに正式な製品仕様となった。
考案者は当時ダンカンクルーだったタケシ・カミサト。そのため「タケシレセス」とも呼ばれる。
フリクションステッカーを貼り付ける部分を旋盤で削ってへこませることにより、プレイ中に余計な摩擦がかからないようにした。引いても戻らず、バインドするとしっかり戻り、フリクションステッカーも長持ちする。
これが人気を博したことにより、「ダンカン・スローモンキー」と「ダンカン・フリーハンドMg」がレセス仕様に変更。
それ以降は、へこませるのであればフリクションステッカーよりもOリング式の方がよいとされ、下火になる。
しかし、この「ベースを凹ませ、摩擦の強い素材を使う」というアイディアは、この改造が元になっている。
軸回りにゴムのリングをはめこんだもの。
初期のものは水道のパッキンなどに使われる黒いゴムリングだった。
現在はシリコーン製が主流である。摩擦力がとても高く、劣化しにくく、ストリングも黒くならない。
溝幅が狭い状態では、とても戻りがよいため、ルーピングに適する。
上級者にはスターバーストの方が好まれるが、初心者にはほぼメンテナンスフリーであるOリングが向く。
「サンセットトラジェクトリー」を始めとする、ヨーヨージャムの中期ルーピングモデルに積極的に採用された。
「ヨーヨーファクトリー・ループ360」や、ハイパーヨーヨーの「ハイパークラスター・パッドタイプコア」など、初心者向けのルーピング機種にも採用されている。
溝幅をベアリング幅いっぱいまで広げると、引いて戻らず、バインドするとしっかり戻るようになる。
そのためバインド仕様のヨーヨーに適しており、現在のストリングトリック機のほとんどがこの仕組を採用している。
また、ベアリングを薄いものに換えると、簡単に引き戻し仕様にできる。そのため、「ボールベアリングを厚めと薄めの2種類入れておけば、初心者にも上級者にも買ってもらえる」という、メーカーの都合にも合致していた。
ヨーヨージャムやエアロヨーは、1製品に両方のベアリングをパッケージングしており、ダンカンやヨーヨーファクトリーは、それぞれの仕様を別々に販売している(厚めベアリングの方は「プロ」とついていることが多い)。この場合、薄め仕様を買ったプレイヤーがバインド仕様にしたい場合は、厚めベアリングを別に買うことになる。
初期はゴムリングが少しはみ出すレイアウトになっていたが、前述の「レセス加工」にヒントを得たことで、現在ではツライチか、すこしへこませるようになっている。
また、コンケイヴベアリング(中心部分がへこんだボールベアリング)と組み合わせると、よりプレイ中の摩擦を軽減できる。
ボディの片方をスターバーストに、もう片方をOリングにした仕様。ハーフスターまたは1.5スターともいう。
初出は「ヨーヨージャム・マトリックス」で、なんと両面Oリングよりも早い。
その後、ヨーヨージャム所属だった鈴木裕之が、スターバースト機種の「ナイトムーブズ1」とOリング機種の「ナイトムーブズ2(プロトタイプ)[2]」を半分ずつ組み合わせた「ナイトムーブズ1.5」を製作し、実戦投入。
自身のシグネイチャーモデル「スピーダー」にも採用された。
その反響はすさまじく、その後しばらくヨーヨージャムのヨーヨーはハイブリッドとなり、もともと両面Oリングだった「ヒットマン」すら、のちにハイブリッド仕様が発売されたほどである。
当時の利点は、Oリングの持つバインド時の安定感と、スターバーストの持つ滑りの良さを両立していた点。
当時、スターバーストは引き戻しに、Oリングはバインドに向いているとされたが、1.5スターは2個買って組み替えれば両方作ることができるという利点もある(但し、軸のついている位置によってはもっと手間がかかる)。
AAAでは「左手を引き戻し仕様、右手をバインド仕様」というセッティングにするプレイヤーがおり、島田大輔などが「スピーダー」をスターバーストとOリングに組み替えて使用したことがある。彼のシグネイチャーモデル「ヨーヨージャム・シグマブレードツヴァイ」の初期型は、それを想定して1.5仕様になっていた。
しかしながら、シリコンOリングやレセス加工・コンケイヴベアリングの登場によって、Oリングの信頼性が高まったことで、スターバーストは徐々に使われなくなっていった。
そうすると、「両面Oリングにするために2個買う」という本末転倒な事態となり、結局「ダークマジック」「シグマブレードツヴァイ」などのヨーヨーはハイブリッドを廃止。両面Oリング仕様になった。
元祖である「スピーダー」も、「スピーダー2」からは両面シリコンリングになっている。
その後発売されたヨーヨーはシリコンOリングとなり、ハイブリッドスターの製造は行われなくなった。最後のハーフスター採用機種は、ヨーヨージャム活動終了まで残っていたロングセラー「キックサイド」である。
スピンタスティクスの「トルネード」や「タイガーシャーク」に採用されていたレスポンスシステム。
スターバーストのようなギザギザではなく、全体を丸く盛り上がらせている。
滑りは良いが、見た目通り戻りに欠けてスカりやすかったため不評で、「トルネード2」や「タイガーシャーク4」ではスターバーストが採用されている。
軸回りにストリングを縫い付けるレスポンスシステム。
採用ヨーヨーは、「ヨーヨーファクトリー・ループ720」と「ハイパーヨーヨー ハイパークラスター・フラッシュフェンリル(に採用されているパーツ『ストリングコア』)」のみ。
糸通しのようなもので、ボディにあいている穴にストリングを通して使用する。
ストリングは、デフォルトではヨーヨーに使われているものがついているが、ヒモ状のものであれば何を使ってもいい。
プレイヤーの発想次第で無限の可能性が広がるというウリ文句だったが、いろいろ試された結果「スターバーストの方がいい」という結論に達し、結局後続が出ることはなかった。
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最終更新:2025/03/28(金) 10:00
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