ロマン・グロージャン(Romain Grosjean、1986年4月17日~)とは、スイス・ジュネーヴ生まれのレーシングドライバーであり、オープニングラップの狂人である。
ロメイン・グロージャン、ロメ・グロジャンなどと表記することもある。2chでは「グロ」で通じる。
ヨーロッパGPでそれまでルノーのレギュラードライバーであったネルソン・ピケjrに代わり、F1デビューを果たした。当時のフランスでは、「アラン・プロストの後継者」とも呼ばれ、かなりの期待をかけられていた。
しかし、彼はデビュー戦から、早くもそのミサイル(2ch等において多重クラッシュの原因になった者を指す)振りを発揮していくこととなるのである。
まず、デビュー戦のヨーロッパGPでオープニングラップにフェラーリのルカ・バドエルと接触。同年のイタリアGPでもクラッシュを喫しウイングを損傷。更に続くベルギーGPでもオープニングラップにジェンソン・バトンとクラッシュし、リタイアへと追い込んだ。グロージャンがバトンをスピンさせたとする各ドライバーの意見とは異なり、彼は「バトンがコースアウトさせた」と主張。シーズン途中のデビューながら、実に3回ものクラッシュを起こす暴れっぷりである。
そのまま最終戦アブダビGPまで起用されることとなるが、ルノーは2010年にロバート・クビサとヴィタリー・ペトロフを起用することを決定。F1のシートを失う結果となった。
2010年は無所属だったが、ニック・ハイドフェルドの後継としてピレリタイヤのテストドライバーに就任した。
2011年はロータス・ルノーGPのテストドライバーに就任し、アブダビGPとブラジルGPの2戦でフリー走行に出走した。またこの年、GP2のチャンピオンを獲得している。
2012年は前年のGP2の好成績を受け、ロータスからF1に復帰することが発表された。
一度F1を去ったグロージャンに期待をかける人間などほとんどおらず、シーズン前に話題に上ることはほとんどなかった。
しかし彼は諦めていなかった。F1から離れていた2年間で、彼はミサイルとしてかなりの成長を遂げていたのである。
迎えた開幕戦・オーストラリアGPでは、予選で周囲を驚かせる3番グリッドを獲得。だがこれは、これから始まる彼の劇場のほんの幕開けに過ぎない。
決勝では1周目こそ乗り切ったものの、2周目にウィリアムズのパストール・マルドナードと接触、そのままリタイアとなった。
続く第2戦マレーシアでは、オープニングラップにメルセデスAMGのミハエル・シューマッハに追突。再びリタイアを喫することとなる。
第3戦中国で6位に入り、初の入賞を記録。続くバーレーンでは3位に入り、復帰4戦で表彰台を獲得した。誰もがこの時は彼はミサイルを卒業し、普通の速いドライバーになってしまうのかと思っていた。
しかし彼の伝説は、終わりを告げることなどなかったのである。
第5戦スペインでは、再びオープニングラップにザウバーのセルジオ・ペレスと接触。ペレスのタイヤはパンクし、そのままリタイアとなった。しかしグロージャンは4位入賞を果たし、ファステストラップも記録した。
ペレスはレース後に 「F**king French!!!」と罵っていたとか。
第6戦モナコではスタートでミハエル・シューマッハをウォールに追いやり軽く接触。このことがきっかけでスピンし、彼のマシンは道を塞ぐような形で1コーナーの手前で停止した。このときグロージャンはブレーキを踏んでいなかったため、後退してきたマシンに小林可夢偉が乗り上げてジャンプ。可夢偉はマシンにダメージを負って数周後にリタイアとなった。
「残念なことにまたグロージャンだった。最初はペレスで、今回は可夢偉が犠牲者だ」とペーター・ザウバーは語る。
第7戦カナダでは混乱もなくオープニングラップを突破し、終盤にタイヤ戦略を成功させてレッドブルのセバスチャン・ベッテル、フェラーリのフェルナンド・アロンソを続けざまにオーバーテイク。そのまま2位でゴールし、F1における最高順位を更新した。
続く第8戦ヨーロッパでは2位走行中にオルタネーターのトラブルが発生し、そのままリタイア。この年グロージャンがリタイアしたレースでクラッシュを起因としないものは、これのみである。
第9戦イギリスでは、またもやオープニングラップにフォース・インディアのポール・ディレスタと接触。ディレスタはこの接触でタイヤをパンクさせてしまい、ピットインを余儀なくされてしまう。そんな中グロージャンは、6位入賞を果たした。
第10戦ドイツではオープニングラップに接触し、フロントウイングを壊してしまう。その後ピットインしてレースを続行したものの、18位ノーポイントに終わる。
第11戦ハンガリーでは予選で素晴らしいアタックを見せ、自己最高の2番グリッドを獲得。決勝でも終盤まで1位のハミルトンを追い上げていたが、タイヤ戦略の違うチームメイトのキミ・ライコネンにかわされ、3位に終わった。
第12戦ベルギーは、ある意味彼のキャリアハイライトと言ってもいいだろう。予選は9位に終わり、スタートにかけるグロージャン。その意気込みは相当なものだった。
レースはまずマルドナードがロケットスタート明らかなジャンプスタートをしたことから始まる。グロージャンも後方からスタートを決め、順位を争っていたが、もう既に横にスペースがないハミルトンに幅寄せを行い、ハミルトンの前輪とグロージャンの後輪が接触。グロージャンのマシンはそのまま1コーナーへと突進し、アロンソ、可夢偉、ペレスの3人を撃墜。熱狂的瞬間多重クラッシュとなった。それでも止まらないグロージャンのマシンは、1コーナーのランオフエリアのバリアに接触するまで進み続けた。クラッシュ時、グロージャンのマシンはアロンソの頭すれすれを通過しており、一歩間違えば死亡事故に発展していたかもしれないほどの重大事故である。
レース後、スチュワードはグロージャンに責任があると見なし、1レースの出場停止処分と50000ユーロの罰金を科した。F1ドライバーに出場停止の処分が下されたのは、実に18年ぶりのことであった。
1戦の出場停止後、復帰したシンガポールGPではマーク・ウェバーの「ぶつかってきたら右フック」発言の影響かトラブルもなく7位入賞。しかしまだ彼は懲りていなかった。
続く第15戦日本GP、スタートで遅れを取ったグロージャンは横に並びかけてきたペレスを気にするあまり、前を走るウェバーに追突。この時グロージャンは、なんと追突後もブレーキを踏まずに進み続けるほどの故意犯ぶりである。これによりグロージャンには10秒ストップのペナルティが下された。
ウェバーはその後レースに復帰、ほぼ最後尾から9位入賞に漕ぎ着ける健闘を見せた。当然ながら、レース後はグロージャンに対し激怒していた。ウェバーはグロージャンに対し、「ロマン、俺の目を見ろ」「もしこれを続けたら、F1に居場所はなくなると思え」と言い放ったほか、ロータスのオフィスに怒鳴り込んだとされる。
その後の第16、17戦は特に問題なくレースを終えた。
しかし、第18戦で思わぬアクシデントが起こる。
レースも終盤へと近づいてた39周目。グロージャン、ディレスタ、ペレスによる5位争いのバトルが起きていた。
その時、5位を走っていたグロージャンはディレスタにあっさりと抜かれる。
続けざまにペレスもグロージャンを追い抜き、グロージャンは7位まで順位を落とした。
特にクラッシュなど起きずに良かったと胸をなでおろしたその後、アクシデントが起きてしまった。
先ほど、グロージャンを抜いたペレスがその勢いでディレスタにもアタック。
アタックは成功したが、無理に抜いた結果コースから膨らんでしまった。
その後、復帰しようとコースに戻ったがグロージャンに接触。その余波でウェバーも巻き添えを食った。
今年、グロージャンが自分からクラッシュせずにリタイアしたのはわずか二回である。
第19戦アメリカGPは初めてのレースでまたもやクラッシュをするかと思ったが
特に何も起こらず(ヒヤヒヤとする場面はあったが) 無事に終了。
そしてF1、2012年最後のレースであるブラジルGP。天候がよく変わることで有名なこのコース。
予報通り雨が降り、路面が滑りやすくなっていた。
予選ではHRTのペドロ・デ・ラ・ロサと接触してQ1敗退、18番手からのスタート。
この事に焦っていたのかもしれないグロージャンが決勝5周目に単独でスピン。
そのまま壁にミサイルを発射激突し、リタイア。
ちなみに、グロージャンは19戦走って、16台を撃墜とぶつかっている。
2013年も引き続きロータスからF1に参戦することが発表された。チームメイトは迷子ネンキミ・ライコネン。
開幕戦オーストラリアGPは、ライコネン優勝の影で10位入賞と全く目立たず。続くマレーシアGPでは、ライコネンを抑えて6位に入賞した。
第4戦バーレーンGPでは、終盤に3位を走行していたフォース・インディアのでぃれ☆すたポール・ディ・レスタをオーバーテイクし、前年と同じく3位入賞。2013年の初表彰台を獲得した。ちなみにこのレース、優勝から3位までが前年と同じという、珍しいレースでもあった。
ここまで4戦連続入賞と、前年の暴れっぷりが嘘のような安定感を見せていたが、第5戦スペインGPではマシントラブルでリタイア。更に第6戦モナコGPでは、レース終盤にトロ・ロッソのダニエル・リカルドに追突してしまい、やはりクラッシャーからは抜け出せていないことを印象付けてしまった。だが、このレースでは彼よりもペレスの暴れっぷりが凄まじかった。
第7戦カナダGPでは、モナコGPのクラッシュにより10グリッド降格ペナルティを受け、最後尾もとい29番グリッドからのスタートとなった。決勝でも目立つことなく、13位ノーポイント。
第8戦イギリスGPは、タイヤバーストが多発する荒れたレースとなった。幸いグロージャンはバーストを免れたが、レースでライコネンのひとつ前を走行中に、こまっちゃん小松エンジニアから、「Kimi is faster than you」とチームオーダーを発令され、クラッシュとは違う意味で目立つこととなる。
続く第9戦ドイツGPでは、イギリスGPでのバースト連発もあって、ピレリがタイヤの構造を微変更。これがロータスにとってプラスに働き、金曜フリー走行から好調な走りを披露。予選ではライコネンの後塵を拝したものの、決勝ではチームメイトがタイヤの摩耗に苦しむ傍ら、安定した走りで上位を走行。一度目のピットストップでライコネンを逆転し、ベッテルに続く2位に躍り出た。
ここでグロージャンはファステストを連発。22周目にはその差が2秒以内に縮まり、次第にベッテルを追い詰めていく。初優勝が現実味を帯びてきたが、エンジンブローでコース脇の斜面に停まったビアンキのマシンが、コロコロと坂を転がりはじめてコースを横断。ここでセーフティカーが導入され、グロージャンがコース上でベッテルを抜くチャンスは一旦途切れる。
レース再開後も力強いペースでベッテルとテール・トゥ・ノーズの接近戦を展開。 2度目のピットストップでアンダーカットを狙うが、ベッテルもすぐさまこれに反応し、作戦は成功しなかった。更に、グロージャンは早めのピットストップを行ったため、レース終盤タイヤに苦しむこととなってしまう。後ろからはソフトタイヤでファステストを連発するライコネンが迫っており、チームは優勝を狙うためにチームオーダーを発令。グロージャンも一度は対抗したものの、結局最後は指示通りにポジションを譲り、3位に後退。それでもその後は4位のアロンソから逃げきり、ロータスにダブル表彰台をもたらした。レース後に出迎えてくれたスタッフの拍手は、ライコネンよりもグロージャンの時の方が大きかったという。
続く第10戦は、昨年ベストの予選2番手を獲得したハンガリーGP。この年はグロージャンはスーパーラップを叩きだし、予選3番手を獲得。決勝ではスタートでポジションを落とすが、タイヤに優しいロータスの特性を活かして上位を走行していた。
しかし、レース中盤にフェラーリの俺達のまっさんフェリペ・マッサをオーバーテイクした際、4輪がコース外へと飛び出したことでペナルティを受けてしまった。更にゴール後には、ジェンソン・バトンをオーバーテイクした際の接触により、20秒加算ペナルティ。それでも6位入賞を果たすが、ペナルティによって、初優勝のチャンスを逃すこととなってしまった。
昨年、嫌な思い出のある夏休み明けの第11戦ベルギーGPでは、スタートも問題なく切り抜け、8位入賞。2012年には出場停止で走行できなかった第12戦イタリアGPでも8位入賞し、4戦連続入賞を果たす。
アジアラウンド初戦のシンガポールGPでは、またしても予選でベストラップを叩きだし、予選3位を獲得。決勝でも序盤上位を走行していたが、突然マシンにトラブルが発生し、ピットイン。そのままリタイアとなってしまった。
ここまでの成績は3位表彰台2回、入賞8回。クラッシュを気にしてか昨年よりパフォーマンスが落ちているように思えたが、グロージャンが真価を発揮するのはここからであった。
第14戦韓国GPでは、2戦連続となる予選3番グリッドを獲得。レースでは序盤メルセデスAMGのルイス・ハミルトンとバトルを繰り広げ、ピットストップ戦略によってハミルトンを逆転。2位に浮上し、そのままトップ独走のベッテルを追走する。
レース終盤までこの位置をキープしていたが、このレースは某国の法則か呪いか荒れに荒れ、2度もセーフティカーが導入されることになった。グロージャンはリスタート前の15コーナーでミスをしてしまい、1コーナーで3番手に付けていたチームメイトのキミ・ライコネンに先行を許してしまう。
タイヤはグロージャンの方が新しいため、彼はチームにオーダーの発令を要求したが、ロータスはこれを拒否。2人をコース上で戦わせた。結局最後まで逆転はならず3位に終わったが、今年3度目の表彰台を獲得し、表彰台でも笑顔を見せた。
しかしプライドを傷つけられた彼の内心は穏やかではなく、心配した小松エンジニアもグロージャンに声をかけたという。
続く第15戦日本GPは、昨年グロージャンの悪名を一気に高めることとなった因縁の舞台。だが、今年はこの舞台が2013年のハイライトになるであろうと、一体誰が予想していたであろうか。
最近好調の予選では、またしても好調ぶりをアピールし、4番グリッド獲得。4番グリッドと言えば、昨年の悪夢を思い出す人も多いだろうが、今年は違った。
グロージャンは見事な蹴りだしでロケットスタートを決め、一気にポジションを上げに掛かる。対してフロントローのレッドブル勢は揃ってスタートに失敗し、予選3番手のハミルトンと4番手のグロージャンが一気に襲い掛かった。
しかしハミルトンは4番手に後退したベッテルのフロントウイングにリアタイヤが接触し、パンク。そのまま優勝戦線から遠ざかることとなる。イン側からスタート失敗のベッテルをパスしたグロージャンの目の前にいたのは、ポールからスタートしたマーク・ウェバー。スーパースタートを決めたグロージャンの頭には昨年の事がよぎったが、今年のグロージャンは完璧であった。誰にもぶつけず、誰にもぶつけられることなく、1コーナーでトップに浮上したのである。
その後はウェバーの追撃を受けるが、グロージャンはミスのない走りでトップを堅守。最速のレッドブルと遜色のないペースで走行し、初優勝が現実味を帯びてきた。ロータスの小松らエンジニアは、優勝するための戦略を練り、オーソドックスな2ストップを選択する。これは、グロージャンを信じた選択であった。
レッドブルはミスのないグロージャンを追い詰めるため、作戦を変更。ウェバーを3ストップにし、ベッテルは第2スティントを長くした変則2ストップに打って出た。
グロージャンはどちらのマシンも前に行かせないため、やや早めに2度目のストップを敢行。ひとまずはベッテルを抑えることに成功するが、タイヤの状況は完全に不利なものであった。レース終盤、グロージャンはベッテルとウェバーに相次いでオーバーテイクされ、3位に転落してしまう。
それでもグロージャンは堂々と走りきり、全力を尽くした上での3番手であった。これまでの中で一番優勝に近い3番手に、ロータスのスタッフは彼を祝福しようと表彰台の下へ急いだ。
レース後、彼は「なんてスタートだ!」とコメントし、一年で最高の思い出になるだろうと語った。
続くインドGPでは、まさかの予選Q1敗退。やはりこの好調はまぐれではなかったのか? とささやかれ始めるが、決勝では見事にタイヤ戦略を成功させ、3戦連続の3位表彰台。下位からのスタートでも、十分勝負になることを証明してみせた。
ちなみにこのレースでは終盤、タイヤの終わったチームメイトのライコネンとあわやというシーンがあった。
56週目のターン4で、グロージャンはライコネンを抜きにかかったが、ライコネンは譲らず、グロージャンはコースオフ。
その一連のバトルを見たロータスのトラックサイド・オペレーションズ・ディレクターであるアラン・バーメインが
「Kimi, Get out of the f●●●ing way!(キミ、どけ!)」
と指示、
それを受けてライコネンが
「Don’t shout there f●●● ,I brake out of the corner,I was can't
(いちいち怒鳴るな、コーナーを抜けていた。無理だ)」
と応酬した。その後、チームはライコネンに不適切な表現だったと謝罪、アブダビでも、両ドライバーを交えて、話し合いをすると公表した。
続くアブダビGPでは表彰台こそならなかったものの、6番手スタートから2つ順位を上げて4位フィニッシュ。4戦連続で入賞を果たし、波に乗る。
舞台を北米大陸に移した第18戦アメリカGP。ここでもグロージャンは好調で、予選では素晴らしいアタックを見せてレッドブルの2台に続く3位に滑りこむ。
そして迎えた決勝。スタートではぶつけないロケットスタートを決め、ベッテルに次ぐ2位に浮上。さすがにベッテルを追うのは無理があったが、後方から迫るウェバーに関しては決してポジションを譲らず、そのまま2位でチェッカー。最強レッドブルにロータスで割って入るという、 大金星を上げた。決勝後、グロージャンは、
「本当にタフなレースだった。マーク(ウェバー)を抑えるために、人生最高の走りをしなければならなかったくらいだ。テキサスで少なくとも1頭のブルを手なずけることができて最高の気分だ。彼らは明らかに最速のパッケージだったからね」
もはやレッドブルに対抗できる唯一の存在となったグロージャン。最終戦のブラジルGPでは優勝も期待され、多くの人が彼に注目していた。
しかし、予選6位から迎えた決勝の1周目でエンジンがバカンスに行ってしまいブローしてしまい、そのままリタイア。期待された初優勝は、お預けとなってしまった。
それでも後半戦、当初の予想を覆してレッドブルに対抗し、アメリカでは遂に1台を打ち破ってみせたグロージャン。完全に、去年の汚名を返上したと言ってもいいだろう。ライコネンの離脱によって14年はロータスのエースとなることから、待ちに待った初優勝に期待したい。
2014年も引き続きロータスF1チームから参戦。チームメイトは、ウィリアムズから移籍してきた師匠パストール・マルドナド。
大きな規約変更があった今シーズン、ロータスは二本牙のフロントノーズを持つ、独創的なマシンを送り込んできた。しかしチームは資金難で1回目のプレシーズンテストを欠席。2度目からは参加を果たしたものの、ルノーエンジンの信頼性が非常に悪く、厳しいスタートとなった。ルノーユーザーの中でも特にロータスの状況は酷く、1回目のテストに参加しなかったとはいえ、全チーム中最短の走行距離となってしまった。
グロージャンもこの状況に怒り、2回目のバーレーンテストでは、ガレージの中でかんしゃくを起こしている様子が国際映像に捉えられた。
そんな最悪の状況で迎えた開幕戦、オーストラリアGP。ロータスはフリー走行から危機的状況を露わにし、グロージャンも全くと言っていいほどパフォーマンスを発揮できなかった。予選ではタイムを記録した中では最下位の21位に終わった他、チームメイトのマルドナドはマシンを制御できずスピンさせるなど、ロータスの深刻な状況が浮き彫りとなった。
21位から迎えた決勝では44週目にマシントラブルでリタイア。マルドナドも30周目にリタイアしており、ロータスは開幕戦をダブルリタイアで終えることとなった。オーストラリアで難しい週末を過ごしたグロージャンは「2014年のドライビングは以前ほど楽しくない」と語り、メルボルンでのレースはテストセッションの延長だったと、フラストレーションが溜まっていることを明らかにした。
第2戦マレーシアGPでも厳しい状況は相変わらずで、フリー走行から散々な状況であった。グロージャン、マルドナド共に面白いようにトラブルが連発し、全く走れないまま予選を迎えることとなる。
しかし予選では雨が降ったことにより、奇跡のQ2進出。16番グリッドを獲得し、雨ではまだそれなりといっても余りに酷すぎるがの戦闘力があることを示してみせた。
決勝で目立つことはなかったが、粘り強い走りで入賞一歩手前の11位完走。このレースでは中盤、小林可夢偉操るケータハムと数周に渡って熱いバトルを繰り広げた。更に終盤には性能差のあるマシンで去年のチームメイトであるフェラーリの迷子ネンライコネンを抑えこむなど、随所で光る走りを見せた。
グロージャンはレース後、ライコネンとのバトルについて、「最後のバトルは楽しかった。キミを先に行かせないようにしながら僕たちの過去のバトルを思い出していたよ!」とコメントしている。また「11位はエンストンとトラックの全員にとって良い結果」と話し、更に「残り8周目くらいでダウンフォースが大きくロスしていた。特にクルマのリアでね。特に僕は守る側にいたので状況は難しくなった。その問題がなければ、もっと高い位置でフィニッシュできたと確信している」と、今後入賞のチャンスがあるであろうことを期待させる言葉を残した。
しかし、転機は訪れた。ヨーロッパラウンド初戦の第5戦スペインGP、ロータスはフリー走行から速さを見せ、予選に期待がかかる。
その予選ではマルドナードがミスでQ1敗退となってしまったものの、グロージャンは速さを見せ、最終的に5番グリッドを獲得した。
グロージャンは「このトラックはオーバーテイクが難しいので、第1スティントはできるだけタイヤを温存するようにして、どれだけ行けるかを確かめたい。明日どんな結果を残せるかはまだわからないけど、ついにポイントを獲得できるチャンスだというのは言うまでもない」 と語り、初ポイントの期待は否が応でも高まる。
そして決勝。グロージャンはスタートで4位を窺うような素振りを見せるも、抜ききれずに5位。その後も5位をキープするが、1度目のピットストップ後に順位を落とし、一時は入賞圏外に。それでも粘りの走りを見せ、最終的に猛烈なペースで追い上げてきたベッテルには抜かれたものの、ペースの落ちたマッサをオーバーテイクし、8位。遂に今季初ポイントを手にした。
続く第6戦でも8位入賞を果たしたものの、以降はルノーPUの完成度不足が影響して入賞圏外に沈み、年間14位に終わった。
チームはPUをメルセデス製にスイッチし、戦力向上が期待された。第11戦ベルギーGPでは3位でフィニッシュし、自身として2年ぶりの表彰台を獲得した。最終的には19戦中入賞9回、年間11位という成績だった。
この年の9月、日本GP終了後に、新チーム・ハースF1チームへの移籍を発表した。グロージャンと関係の深い小松礼雄(こまつ・あやお)エンジニアも彼に伴ってハースへ転身した。
チーム初年度となる2016年は21戦中入賞5回の年間13位、2017年は20戦中入賞8回の年間13位という成績だった。
2018年は第5戦スペインGPのオープニングラップ・3コーナーで単独スピン、そこから車列に突っ込みニコ・ヒュルケンベルクとピエール・ガスリーの2者を巻き込む多重クラッシュを引き起こした(参考映像)。第9戦以降辛うじて入賞を重ねるようになったが、第14戦イタリアGPでは6位フィニッシュを果たすものの、レース終了直後にルノーが「フロアの寸法がレギュレーション違反である」と抗議し、調査の結果失格処分を受けた。最終的には21戦中入賞7回の年間14位であった。
2019年は21戦中入賞3回の年間18位という不本意なシーズンを過ごした。
2020年は第9戦アイフェルGP(ニュルブルクリンク)での9位が唯一の入賞だった。シーズン途中でチームは来季のドライバー交代を発表した。更に第15戦バーレーンGPでは、オープニングラップでダニール・クビアトと交錯して制御不能となりガードレールに激突、マシンが大破・炎上する重大事故に見舞われた(参考映像)。最悪の事態を予感させたが、グロージャンは自力でマシンから脱出した。幸いにもヘイローデバイスや耐火レーシングスーツのおかげで一命こそ取り留めたものの、手に火傷を負った影響で残る2戦を欠場せざるを得なくなり、グロージャンのF1キャリアはここで幕引きとなってしまった。
2021年はDayle Coyne Racing with RWR(Rick Ware Racing)と契約してインディカー・シリーズに参戦する。ただしグロージャンが出走するのはロード・ストリートコースのみで、インディ500を含むオーバルトラックには出走しない。(チームの発表)
……と思いきや、2021年のインディ500を受け心変わりしたらしく、6月に入ってオーバルトラックで出走する意向に移ったとのこと。場合によっては翌年のインディ500も視野に入れていくとしている(外部リンク)。
結局、同年シーズン中に契約を切り替え、第13戦ゲートウェイでオーバル初出走を果たした。
スイスとフランスの二重国籍を所有しているが、モータースポーツにおいてはフランス国籍であることを明言している。
F1ではほとんどのレースのオープニングラップで接触事故を起し、他者をリタイアに追いやることから「問題児」「オープニングラップの狂人」「サーキットの通り魔」と称されている。
2012年の日本GP後には、ウェバーから「もしグロージャンに学習能力がないのなら、また出場停止にすべきだ。最低でも2レース以上のね」と言われてしまう。
また「狂人」発言の前にはBBCに対し、「僕らにはスタートが2回必要かも。1回は彼に。後は僕らにね」とも話している。
ニコ・ロズベルグからは「またグロージャンだ」と言われ、BBCのコメンテーターを務めるペヤング先生ことデビッド・クルサードからは「ロマンよ、ロマンよ、何をやっているんだ?1コーナーでのインシデントが多すぎる」と評されている。でも先生だってベルギーで湯切り大失敗してかやく飛散させたじゃないですかー!
また、マクラーレンのチーム代表マーティン・ウィットマーシュは日本GPでの出来事を「Classic Grosjean(=典型的なグロージャン)」と話し、元F1ドライバーのジョニー・ハーバートは「彼がチームに何をもたらしているのか理解できない」とロータスにグロージャンを解雇するよう呼びかけた。
更にレッドブルのヘルムート・マルコもグロージャンに対し「グロージャンの前科の数々を考えると、あのペナルティーでは不十分だ」とコメント。バトンも「グロージャンを変えさせるのはF1の責任なのか? そうでなければ、ヤツには冷静になってなんとかしてもらわないと、まわりはたまんないよ」と話している。デビュー20戦で、彼はF1界の大御所のほとんどを敵に回してしまった。
これに対しグロージャンは、「バカげたクラッシュだった」と自分の非を認めている。
……しかし、クラッシュの度に謝罪や反省をしていても結局はクラッシュを引き起こしているのだが。また「謝罪した」とした後に、「謝罪などない(ベルギーGP後のペーター・ザウバーのコメント)」という話も出ていたりする。
余談ではあるが、2012年第15戦日本GP終了現在、彼はデビューしてからの20戦中11戦でクラッシュしている。デビュー年だけで6戦中3戦、2012年だけでも14戦中8戦という数字である。いずれの場合においてもクラッシュ率が50%を越える辺り、彼はF1ドライバーとしての意識が足りないミサイルとしてチャンピオンの領域に達していると言えよう。
しかし、2012年終了時点でのクラッシュ回数は25戦中12戦となり、残念なことにクラッシュ率が50%を下回った。まあ来季も参戦したらクラッシュするんだろうけど。
なお、ロータス代表のエリック・ブーリエ曰く、「まだ大丈夫だ。だが改善を期待している」としており、今のところはグロージャンの来季に影響が出ている様子はない。
また、元ワールドチャンピオンのジャッキー・スチュワートも「私は喜んでロマンに協力する。彼はとても大きな可能性を持っていると思う」と、コーチとして協力する旨を表明しており、これでグロージャンの素行が改善すれば、まだチャンスはあると見てよい・・・のか?
本来は「この動画にはグロテスクなシーンが含まれているので注意してください」という警告を示すタグである。
が、グロージャンのクラッシュが増えてからは「この動画ではグロージャンが多重クラッシュを起こしています」
あるいは「この動画にはグロージャンが出ています」という意味が増えた模様。もちろんF1のファンの間でだが。
掲示板
174ななしのよっしん
2021/05/16(日) 13:51:35 ID: njfFrLXvzi
175ななしのよっしん
2022/02/27(日) 03:15:58 ID: njfFrLXvzi
プラクティスで佐藤琢磨にカマホリしたのはグロージャンミサイルかい…
176ななしのよっしん
2023/02/22(水) 00:25:33 ID: 7DG/xXlfvI
https://
なんと展示会であのVF-20が展示されるそうな。
急上昇ワード改
最終更新:2023/03/23(木) 21:00
最終更新:2023/03/23(木) 21:00
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