ロードカナロア 単語

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ロードカナロア

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その速さを渡る。

どれほどのスプリンター世界の壁に阻まれたことか。
そんな過去を一蹴する圧勝劇だった。
電光石火の末脚はを渡り、香港を突き抜けた。
竜王覚め。それは、新たな伝説の始まりだった。

JRA「ヒーロー列伝」No.75 ロードカナロアexit

Lord Kanaloa

ロードカナロアとは、2008年生まれの日本競走馬である。鹿毛

名前冠名+ハワイ海神・カナロアから。 

プリントレースと呼ばれる芝1200mのレースにおいて抜群の成績を収め、サクラバクシンオーと並び中央競馬史上屈スプリンターと称される名である。

Lord Kanaloa

な勝ち
2011年:京阪杯(GIII)
2012年:スプリンターズステークス(GI)、香港スプリント(G1)、シルクロードステークス(GIII)
2013年:高松宮記念(GI)、安田記念(GI)、スプリンターズステークス(GI)、香港スプリント(G1)、阪急杯(GIII)

栄光への疾走と挫折

キングカメハメハレディブラサムStorm Catという血統。と同じく一口馬主クラブロードホースクラブに購買され、安田行厩舎に入厩。
2歳暮れにデビュー1200mの新馬戦を快勝。次走はNHKマイルカップ皐月賞を見据えてマイルオープンに出走するが末が甘くなり2着、1400m戦でもやっぱり末が甘くなり2着。
この結果を受け、営は1200m戦専念を決める。 そこそこの良血であったため、くからのクラシック断念は勇気がいる決断といえる。

しかし、短距離育成のスペシャリストになりつつある安田師の判断に間違いはなく、1200m戦に戻った500万下勝。3歳OPも快勝。まで休んで古オープン相手でも勝。重賞初挑戦の京阪杯を感じさせないスピードで一番人気に応え快勝。翌年、高松宮記念へ向けて出走したGⅢシルクロードSも、トップハンデを物ともせず勝利。怒涛の勢いで連勝街道を突き進む。
なんか勝ったことばっかり書いてないか?と思われるかもしれないが、別に苦もなくさらっと一番人気に応えて勝っているのでこれ以上装飾しようがないというかなんというか。
1200m戦6戦6勝、さしたる苦戦もなしとあれば、スプリント界の新として大いに人気を背負うのは必然。新装開店中京競馬場一発GⅠ高松宮記念でも一番人気を背負うが、同じ厩舎の先輩で前年のスプリンターズSの勝ちであるカレンチャンの前に屈し3着。ついに1200mで初めての敗北を喫してしまう。 

龍王への道

この最初の挫折とも言える敗北リズムが狂ってしまったのか、函館スプリントSではいい手応えだったのに、11頭立てでなぜか前づまりを起こし2着に敗れる。
…これは彼の責任ではなく鞍上の責任であろう象である。高松宮記念でも若干そういう傾向があったからか主戦が福永祐一から岩田康にスイッチとなった。
コンビで迎えたセントウルステークスでは、サマースプリントシリーズ優勝狙いのが強いという流れが最近できているからか、一度は先頭に立つものの、に頑ったエピセアロームの鋭い差し脚に屈し2着に終わった。
とはいえ、タイム差なしの2着は3ヶぶりの一叩きとしては上々であり、本番のスプリンターズSではめ先頭に立ったカレンチャンを外から快に差し切りレコード勝ち。一度は王の座をつかみそこねたが、二回チャンスはきっちり掴んでみせた。

そして、これが引退レースとなる先輩カレンチャンとともに、年末恒例・香港国際競走DayのGⅠのひとつ、香港スプリントへ遠征を敢行した。
過去日本がことごとく惨敗を重ね、アグネスデジタルステイゴールドエイシンプレストンが次々と勝利日本シャティン競馬場を支配した2001年ダイタクヤマトメジロダーリングが失意の中帰する羽になった(メンバーアレとか言うな)香港国際競走の中で一、間違いく毎年世界最高レベルレースが繰り広げられていると断言できるレースである。最近は香港ヴァーズ欧州の強とかが来て割とメンバーうようになったけどね。
一応、前年にカレンチャンは5着に入ったが、人によっては5着でもカレンチャンすごい、強すぎって言うくらいの好結果である。 ビリーヴショウナンカンプサニングデールカルストンライトオすら勝負にならんレベルボコボコにされ通しであった。

2012年は圧倒的強さの地元勢がおとなしめではあったが、それでもLucky NineCerise Cherryといった地元の今を代表するスプリンターは出走していたし、連勝記録で有名な女傑Black Caviar以外にも多数の名スプリンターがいるオーストラリアからもSea Sirenが遠征してきていた。
今までの常識で考えれば、いくらカレンチャンやカナロアを持ってしても、掲示板が精々で勝つのは難しいであろうと大方の競馬ファンは思ったであろう。

しかし、海神・「カナロア」からとった名前から連想したであろう中国龍王というすんげえかっこいい名を背負った彼は一味違った。カレンチャンが後手を踏んでゴタゴタに巻き込まれる中、スタートを決めると好位につけ、直線向いて仕掛けるとぐんぐん加速し、後続に2身半差つけて堂々と押し切り勝利。差がつきにくいスプリント戦で2身半差は圧勝だとか粉砕といっていいくらいの差である。断じて玉砕ではないですよ吉本アナ
この勝利で、ついに香港国際競走Dayの日本による全制覇が達成された。

伝説への挑戦

2013年世界龍王となったロードカナロアは標を去年一番人気を背負いながら愛しカレンチャンに抑え込まれ、惜敗してしまった高松宮記念と定め、その試練として得意距離1200mではなく、1400mとなる阪急杯から始動、三歳時に負けてる距離なので不安説もあったが危なげなく楽勝。

そしてプリント戦の大一番、高松宮記念
戦からの過程も好調、は611番と内過ぎず外過ぎずの絶好ライバルも勝負付けが済んでいる相手ばかり。負ける要素を探す方が難しいほど盤石の態勢だった。
そしてレース当日、スタートで出負けして中団後方からの競馬になってしまい、番狂わせがあるかと思わせたがそんなことはなかった。
絶対的なスピードが違うのか持ったまま徐々に進出、直線で外に持ち出し上の岩田騎手がゴーサインを出すと末脚を爆発させ、り込みを図るハクサンムーン一気に強襲。大外からドリームバレンチノが鋭く追い込んできたが余裕で抑え込み、コースレコード叩き出して圧倒的な強さで優勝した。
やっぱり世界龍王は強かった・・・>世界龍王は強かったんや・・・。
これで伝説スプリンターサクラバクシンオーもなし得なかった日本史上初のプリンGI三連勝を達成する。(当時は高松宮記念がなかったんだけど)

もう内では無敵なので海外挑戦もファンから期待される存在となったが、ファンが一番見たかった対決相手であるスプリント戦敗、ゼニヤッタグレード制導入後の記録更新し、生ける伝説として驀進する2010年台前半の世界最強スプリンター豪州史上屈の女傑Black Caviarデビューから25連勝を記録した後、もうやるべきことはないと引退してしまった。
それを受けてか、あるいは既定路線だったか距離延長となる安田記念に向かう。マイル絶対王者がいないこともあり、やや押し出された感は強かったが一番人気に推された。
今回はスタートを決めて中団でバッチリ折り合い、シルポート逃げたよどみない流れに乗る。隣でマイル路線の筆頭格のグランプリボスが大きく口を割るのとは対照的であった。
直線では外から力強く抜け出してダノンシャークをねじせ、飛んできたショウナンマイティ脚を封じ切る強い勝ち方を見せ、短距離統一王者となった。 
香港スプリントを勝った時点で日本の歴史上屈の短距離となったのだが、この勝利伝説級の名とくらべても遜色のないレベルになったといっても過言ではあるまい。

まあ、その、岩田がなんか色々やらかしたけど、それあったって並のスプリンターじゃバテて勝てなかったからね…

史上最強の龍王

サクラバクシンオー以来のスプリンターズS連覇を狙った現役最後の。しかし前戦のセントウルSでは、高松宮記念惜敗後、に本格化した快速ハクサンムーン逃げ切りを許し2着に敗れてしまう。とは言え三着以下はぶっちぎっており実力の違いは見せていた。
そして迎えた本番。ハクサンムーンがこの日も元気に飛び出し前半32.9という暴走気味のペース逃げを付けにめに動いたサクラスペルが逆に潰れる中で逃げ切るくらいのりを見せていたのだが、中団に控えていたロードカナロアが外から快に伸び、残り100mあたりできっちり差し切ってそのままゴール。これで史上初の内スプリンGⅠ三連覇、さらにGⅠになった後としてはサクラバクシンオー以来となる連覇を達成した。
さすが世界のルォォォォォォォォォォォォォォォドカナロァァァァァァァァァァァァァァ↑である。長いですよ小林アナ 
ついに内での較対がいなくなったと言える程の実績である。 々は伝説撃者なのかもしれない。

そして世界のロードカナロアの引退レースとなった香港スプリント、外から好スタートを決めると中段やや前の外側をスムーズに走る。そして最後の直線残り300メートルから仕掛けると、そこから矢のような末脚を繰り出し、先頭を交わしてグングン差を広げていく。
結局、ゴール版を通過したときには2着に5身の差をつける、「これが本当に引退するレースか」と言いたくなるほどの大楽勝劇で日本競馬史上最強スプリンターは自らの引退を飾った。
香港スプリント連覇を達成したのは史上三頭香港史上最強とも名高いサイレントウィットネス以来の快挙を遠征の身で成し遂げた。
サイレントウィットネスSacred Kingdomのような香港大将格といえるは今年も不在であったが、逆にその総大将格の地位に遠征でありながら就いた絶対的な”龍王”の強さを称えるしかないと言い換えることもできよう。

通算成績19戦13勝。最も負けたのが初GⅠ高松宮記念の3着、1400m以下は17戦12勝2着4回3着1回とサクラバクシンオーすら駕する安定感を誇り、1年どころか半年でピークが過ぎることもある短距離界において2年以上最前線最強を競い続け、マイルGⅠすら獲得してみせるなど、較対が前述のサクラバクシンオーでも物足りなく感じるレベルである。香港スプリント2勝を引かずとも、伝説スプリンターと断言していい。
距離専業のとしてはマイラーのタイキシャトル以来、スプリンターとしては史上初のJRA年度代表馬獲得(最優秀短距離も受賞)という偉業も、彼が現役で積み上げたものの前ではむ。 
最優秀4歳以上を譲ったのはまあ、同期三冠馬への餞みたいなもんだ。 

龍王の棲むところ

この場所はにも
奪われたくないと思った。
頂上からの眺めが
こんなにも美しいものだとは。

明け渡せと迫る
すべて撃ち払ってやる。
の向こうにそびえる山も
いっそ征してやろう。
聴け、わが哮を。
ここは龍王の棲みなのだ!

JRA「名馬の肖像」ロードカナロアexit

引退後

2014年からは種牡馬として、その圧倒的な強さを伝えていく役を担う。体調不良キングカメハメハの後継補として、毎年250頭以上の繁殖牝馬を集める人気ぶり。しかも出生率7割という打率の高さである。初年度産駒2017年デビューし、同期三冠馬オルフェーヴルや既に米国時代の産駒日本実績を残しているヘニーヒューズらの産駒を全く相手にしないスピードで勝ちを量産。ぶっちぎりでファーストシーズンリーディングサイアーを獲得、全体の2歳リーディングでもディープインパクトに次ぐ2位と文句なしの滑り出しを見せた。

自身は典的なスプリンターであったが、アーモンドアイサートゥルナーリアパンサラッサなどといった系のスピード系のスタミナを併せ持つ中距離を得意とするも少なからず輩出しており、その中でもアーモンドアイ2018年牝馬三冠達成に加え、圧倒的ワールドレコードジャパンカップを制するなど際立った活躍を見せ、2020年遂に前人未到のGⅠ9勝をあげ、正に伝説になった。翌2021年より繁殖入りしており彼の系譜は確実に次代に受け継がれていくだろう。地方でも重賞11勝をマークしている兵庫大将ジンギを出している。
一方、リーディン種牡馬争いではシルバーコレクターと化しつつある。2021年ディープインパクト産駒の実質的な最終世代がまだ3歳で、アーモンドアイ引退もあり太刀打ちできずほぼダブルスコアをつけられ2位。ディープ産駒が実質的に古のみになった2022年は出走数・勝利数・重賞勝利数の全てでディープを上回ったが、変わらぬハイアベレージを記録したディープに約6億円届かず2位2023年はディープ産駒の出走数が1000回を割り3位に後退した大チャンスの年だったが、遺された産駒が年間GⅠ5勝と覚醒した亡きドゥラメンテに約2億円差で振り切られ2位2024年ドゥラメンテと入れ替わるように年間重賞15勝を挙げて勢力を伸ばしたキズナに4億円強の差をつけられ2位と、2024年時点で4年連続リーディン2位になっている。キングカメハメハは7年連続2位だったがそれはディープインパクトという絶対王者がいたからであって、ロードカナロアは4年間で3頭が入れ替わる群雄割拠の中でずっと2位という不思議なことが起こっている。産駒は毎年GⅠを勝っているしEIも高いのだが…。

2018年にはJRA顕彰馬に選出。産駒アーモンドアイ2023年顕彰馬入りし、ディープインパクトジェンティルドンナに続く子での殿堂入りを果たした。2024年にはキングカメハメハ顕彰馬入りしたため、史上初の子孫3代での殿堂入りとなる。

ああ、つくづくBlack Caviarとの対決が見たかった……

血統表

キングカメハメハ
2001 鹿毛
Kingmambo
1990 鹿毛
Mr.Prospector Raise a Native
Gold Digger
Miesque Nureyev
Pasadoble
マンファ
1991 黒鹿毛
*ラストタイクー *トライマイベスト
Mill Princess
Pilot Bird Blakeney
The Dancer
レディブラサム
1996 鹿毛
FNo.2-s
Storm Cat
1983 黒鹿毛
Storm Bird Northern Dancer
South Ocean
Terlingua Secretariat
Crimson Saint
*サラトガデュー
1989 鹿毛
Cormorant His Majesty
Song Sparrow
Super Luna In Reality
Alada
競走馬の4代血統表

クロス:Northern Dancer 4×5×5(12.5%)

主な産駒

2015年産

2016年産

2017年産

2018年産

2019年産

2020年産

2021年産

2022年産

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関連項目

JRA顕彰馬
クモハタ - セントライト - クリフジ - トキツカゼ - トサミドリ - トキノミノル - メイヂヒカリ - ハクチカラ -
セイユウ - コダマ - シンザン - スピードシンボリ - タケシバオー - グランドマーチス - ハイセイコー -
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