ンジャメナとは (ンジャメナとは) [単語記事]

ンジャメナとはチャド共和国の首都であり、しりとりにおいて最後に「ん」が付く言葉が出る時に、思わず脳内をよぎってしまう言葉の最も代表的な物である。
ルール上、相手が最後に「ん」の付く言葉を言った時点でこちらの勝利は確定するので知っていてもあまり意味はないが、このような習性を持ってしまうのはシリトリストの悲しい性。

概要

生まれてこのかたしりとりを一度でもやったことのない人でもない限り、ほとんどの人が知っている言葉だと思われる。

“ルールでは最後に「ん」が付くと負けだが、それは言葉が無いから出来たルールであって言葉があるのだから「ンジャメナ」はセーフだろ。”という実に捻くれた理論に則って使われることが多い･･････と思われるが、この場合「ンジャメナ」と答えられるのは相手プレイヤーであるので、そのプレイヤーが「しりとりを続行したい」という意思を持っていないのなら、最後に「ん」の付く言葉を言ったプレイヤーが「ンジャメナ」という言葉を知っていたところで敗北は決定的であり、実はしりとりというゲームにおいて「ンジャメナ」という言葉はあまり意味がないと言わざるをえない。
言うまでもなく、この時に最後に「ん」の付く言葉を言ったプレイヤーが相手プレイヤーに「ンジャメナ」などの言葉を言わせようとし、続行を迫ることはナンセンス。

少しばかり、しりとりにおける「ンジャメナ」の話ばかりが目立ってしまったが、ここはしりとりの記事ではなく「ンジャメナ」の記事であるので一応「ンジャメナ」それ自体について説明すると、「ンジャメナ」とはアフリカ中央部にあるチャド共和国の首都であり、重要産業は食肉、魚、綿花の加工、人口はおよそ99万3000人。
「ンジャメナ」という名はアラビア語において「癒しの場所(place of rest)」を意味する言葉だが、実は1973年に改名されたもので、元々はフランス人の名前が由来の「フォール・ラミ」という地名。
今現在の「ンジャメナ」の治安は反政府勢力による侵攻が2006,2008年に行われていたりとあまり良いとは言えず、またこの地はフランスがアフリカ地域で行う軍事行動（例としては、2013年にマリ共和国に行われた軍事介入など）の拠点の一つになっているとのこと。

ともあれ、どちらかといえばしりとりにおいて「ん」からはじまる言葉として圧倒的に有名な「ンジャメナ」であるが、実は他にも「ん」で始まる言葉はアフリカ関係の地名など、思いの外存在するので興味のある方は地図帳なりを是非。

表記

記法としては他にも「ウンジャメナ」とか「エンジャメナ」とか「ヌジャメナ」など様々。

まあ毎度のことながら外国語を日本語表記する際にお馴染みの曖昧さが原因でもあるが、この場合は地名の転写でよく引き合いに出される英語での発音（N'Dj amena, ウンジャメイナとエンジャメイナの中間くらいの感じ）とチャドの公用語の一つであるフランス語での発音（Ndj amena, ヌジャメナ）に依ったものと推測できる。

ルーツを同じくする英語とフランス語（どちらもインド・ヨーロッパ祖語）は両方とも単独の「n」だけで音節（最小の音のまとまり）を構成できない（つまり発音が困難である）ため、この場合は英語は前に、フランス語は後に弱い曖昧母音を入れて発音する結果、このようなことになるわけだ（ちなみに英語の綴りにアポストロフィが入っているのは、この場合は*「エンドジャメナ」等と読ませないための工夫である）。

類似の例で有名なのは、西アフリカのガーナ共和国の初代大統領「エンクルマ」で、この表記は Nkrumah の英語読みに基づいている。さすがに「ウンクルマ」は自重したらしい（尤も、名前自体は現地のアカン語に由来するものの、元々ガーナの公用語は英語なので、無理に「ンクルマ」とする必然性は（しりとりで使用する時以外は）無い）。一方ンジャメナにしても公用語はフランス語とアラビア語なので、こちらもンジャメナにする必然性は（しりとりで使用する時以外は）無い。

一応最後に言っておくと、フランス語ならば先述の「ヌジャメナ」、アラビア語ならば نجامينا と書いて「ニジャーミーナー」（Nija amiynaa）となるのだが、実はアラビア語の方が元祖で、内戦中の1973年に、フランス植民地時代からのフォール・ラミ（Fort-Lamy, 「ラミの砦」。フランスのチャド盆地攻略の時に戦死したフランス軍指揮官アメデ＝フランソワ・ラミにちなむ）という首都名を、アラビア語で「休憩場」を意味する近隣の村落名ニジャーミーナーをアフリカっぽくアレンジして「ン」で始めてみた、というあたりが真実な予感。