ヴィクラントとは (ヴィクラントとは) [単語記事]

ヴィクラントとは

サンスクリットで「勇敢な」「強い」「度胸のある」を意味する言葉。英語のCourageousに相当。
インド海軍が建造している国産の航空母艦の名称

ここでは(2)のインド海軍の空母について扱う。

ヴィクラントとは、インド海軍が建造中の空母である。

上記のとおり、インドの言葉で「勇敢」「強い」を意味する。^[1]

概要

インド海軍が建造中の空母で2013年 8月12日に進水式が行われた。就役した場合インド軍が保有する空母は2隻目となる。が、様々な問題により、就役するのは2030年以降になるだろうと見られている。 ^[2]

元イギリス空母である「ヴィクラント」（初代）の運用および元ロシア空母である「ヴィクラマーディティヤ」の運用によりノウハウを得たインドが建造している。ただ、ヴィクラマーディティヤとは違いこちらは自国産の材料やシステムによるものを目指した純粋なインド国産空母である。

ほか、国産2番艦（IA C-2）として「ヴィシャール」（Vis hal）が計画されている。

スペック・詳細

全長	262.5m
全幅	60.84m
排水量	排水量: 37,500t ^[3] 満載排水量: 40,862t ^[4]
乗員	1,400人
動力	LM2 500 ガスタービンエンジン x4 12,0000hp
最大速力	28ノット
兵装	バラク短SAM発射機 CIWS
レーダー	RAN-40L 3次元レーダー EL/M-2248 MF-STAR 3次元レーダー
搭載機	MiG-29K x25 カモフ Ka-31 早期警戒ヘリ x4

ベースとなっているのは、1990年代に立ち消えとなった国産空母建造計画である。ヴィクラント（初代）の退役により防空能力が低下したことを受けて、内容を見直すことで建造計画（IA C-1）を復活させた。この艦はその国産空母1番艦となる。

設計に関しては、フランスのDC NS社、イタリアの企業フィンカンティエーリ社の協力がある。フィンカンティエーリはイギリス海軍が建造中のクイーン・エリザベス級航空母艦の設計も行った実績を持ち、イタリア空母カブールと同様に高性能センサーや誘導兵器が充実している。加えてレーダーやミサイルはイスラエル製、ヘリコプターは英国製と欧米の要素が取り入れられている。 ^[5]

しかし全体としての設計はインド海軍設計局（DND）が手掛けており、ヴィクラマーディティヤのものを踏襲したと見られるSTOBAR方式が採用されている。コンポーネントについても伝統的に主要武器供給源としているロシアのコンポーネントを採用し、航空艤装はロシア・ネフスキー設計局が主な担当となっている。艦載機を発進させる発艦レーンと艦載機を回収させるアングルド・デッキが交差するという珍しいX型のレイアウトはロシアが改装を行ったヴィクラマーディティヤにも採用されている。 ^[6] ^[7]

上記のような感じなので、フランスやイタリアの設計を取り入れつつロシア設計の甲板レイアウトが使われるなど、東西空母を合わせたようなデザインになっているようである。 ^[8]

艦載機には一隻目のヴィクラマーディティヤと同じく、ロシアから購入した「Mig-29」を導入している。艦載機は25機とやや少なめの軽空母タイプで、スキージャンプ式発艦であるためカタパルト技術を入れなくても戦闘機を発進させられるようになっている。 ^[9]

ロシア
アドミラル・クズネツォフ級 2番艦ヴァリャーグ	キエフ級 4番艦バクー
↓	↓
中国	インド
遼寧 (元・ヴァリャーグ)	ヴィクラマーディティヤ (元・バクー)
山東（国産）	ヴィクラント（国産）

ヴィクラントは海洋進出を強めている中国を牽制するために建造されたと見られているが ^[10]、牽制対象の中国も国産空母のモデルはソ連崩壊後ウクライナに残された空母アドミラル・クズネツォフ級を購入し改造した遼寧、艦載機J-15もSu-33の原型機を同国から手に入れ開発したものであるため、中国もインドもお互いがロシア製の空母と戦闘機を購入し、そのノウハウを自国産の空母と戦闘機の研究開発に活かしているというつながりになっている。

なお、現在建造中のヴィクラントは2代目である。初代のヴィクラントは蒸気カタパルトなども搭載されていたイギリスのマジェスティック級航空母艦「ハーキュリーズ」であり、建設中止状態で放置されていたのをインドが購入し竣工させた（なお初代ヴィクラントとなったこの艦船は1997年に老朽化のため除籍されている）。