おじさんはどこにでもいる中年のサラリーマン
近頃会社の業績が伸び悩みリストラの噂が広がっていて不安です
ある日おじさんは上司に呼び出され転勤を言い渡されてしまいます
転勤先は自宅から3時間通勤の群馬の超僻地です
おじさんは暗黙のリストラだと察しますが、長年勤めたプライドも残っている為「こちらから辞めてやるぜ!」と上司に辞表を叩きつけ会社を辞めてしまいます
仕事一筋で生きてきたおじさん これからは自分の為に生きていこうと心に誓います
実は昔からバイクに憧れていたおじさん 貯金を崩してハーレーダビッドソンを買おうと決めました
ところがバイク屋に行くとハーレーはとてもとても大きく、短足で腕の短いおじさんには乗れませんでした
憧れのバイクにも乗れず自暴自棄になり悲しみにくれるそんな時、おじさんの目にとある建物が飛び込んできます
それはバイクおじさん養成所という施設でした
興味を持ったおじさんがパンフレットを見ると『己をバイクにしていく』というキャッチコピー
そこでおじさんは気づきます 「憧れのハーレーには乗れなかったけど、俺にできることは俺自身がバイクになることだ!」
おじさんは意を決し養成所に入りました
しかし他に生徒は見当たらずおじさんひとりだけ
おじさんがトレーナーに聞いてみると「今まで50人教えたんだけど誰も成功したことなくてね・・・」
おじさんは逆に燃えました じゃあ俺が初めてのバイクおじさんになってやるぜ!と血の滲むような修行が始まります
ちなみにトレーナーはバイクおじさんの理論を完成させたものの自身はバイクおじさんになれなかった、夢見がちなちょっと危ないおじさんなのでした
腹筋ローラーを両手両足に構え姿勢の維持を10時間しました
脇腹を蹴られシフトチェンジする機構に耐えるためボウリングボールを何度も脇腹に落とされました
眼球をライトにする為にインプラント手術も受けました
そんな苦労が実を結び、ついにおじさんはバイクおじさんになることができました
まさか本当にバイクおじさんになれるとは微塵も思っていなかったトレーナーは泣いて大喜びです
しかし喜びもつかの間トレーナーは忠告します
「いいかお前は今おじさんよりもバイク側に結構寄っている 必ず上に人間を乗せて走れ お前がお前だけの為に走り続けたらいつかお前自身がバイクになってしまう」
忠告をしっかり理解したおじさんですが、心の中に灯る熱い思い
「俺は俺の為だけに生きるんだ 俺の人生を生き抜いてやる」と昼夜問わず北は北海道、南は沖縄まで疾走し続けました
サラリーマン時代仕事漬けだったおじさんには勝手気ままな旅は新鮮でとても楽しい旅でした
けれどどこか一人で走り続ける寂しさに気づきます
そんな思いを燻らせたまま走り付いた先は、気が付けば群馬の僻地
おじさんの身体はもう限界でした バイク化が進み土砂降りの雨の中、廃屋の軒先で倒れこんでしまいます
「このままバイクになっちまうのかな・・・」薄れゆくおじさんの意識
「まぁ、それもいいや ここまで人生走り続けて少し疲れたかな」と目を閉じ背もたれにもたれ掛かったところ、おじさんの目の前をそれはそれは可愛らしいょぅι゛ょが通りかかります
おじさんに気づいたょぅι゛ょは「苦しそうだけど大丈夫?」と怖がりながらも声をかけてきますが、疲れとバイク化が進み声も出ないおじさん
ょぅι゛ょは心配しつつもすごすごと立ち去っていまいました
「仕方ないね」と目を閉じたおじさん
どれくらい時間がたったでしょうか おじさんが何かの物音に気づき再び目を開けるとあのょぅι゛ょが近づいてくるではありませんか
なんと傘とおにぎりを持ってきてくれたのです
憔悴しきっていたおじさんの心にとても温かい気持ちが溢れてきました
おじさんとょぅι゛ょはポツリポツリと会話し始めます するとょぅι゛ょが物憂げな表情で「海なし県の群馬で生まれて今までに海を見たことがないの お父さんもお母さんもとっても忙しくて連れて行ってもらえなくて、一度でいいから見てみたいなぁ」と愚痴をこぼしました
ょぅι゛ょの温かみに触れたおじさんはなんとかして恩返しがしたい気持ちにあふれ立ち上がります
「嬢ちゃん俺の腰に乗りな!俺が海を見せてやるぜ!」と
そこから二人の海を目指す旅が始まりました
誰かを乗せて走る喜び こんなにも温かみのある素晴らしいものなんだとおじさんは感動しました
「もっともっとこの喜びと感動に溢れる熱い思いを味わっていたい!」
しかしおじさんの体は限界でした
おじさんのバイク化は限界を超え、走る間も徐々に蝕まれる感覚に必死に根性で耐えていたのです
「せめてこの娘に海を見せるまでは!」
そんなこととは知らず、ただただ海を見たい期待で無邪気に笑うょぅι゛ょの笑顔はとてもほほえましいものでした
どれくらい時が過ぎたでしょうか ついに湘南の海にたどりつくことができた二人
朝焼けの湘南のそれはそれは美しい海を眺めながらょぅι゛ょが呟きます
「おじさんありがとう こんなきれいな海を見られてとっても嬉しい ありがとう!」
ょぅι゛ょが振り返るとそこには完全にバイク化してしまいピクリとも動かなくなったおじさんの姿がありました
ょぅι゛ょは「おじさんごめんね でも本当にありがとう」と泣き崩れます
流した大粒の涙の雫がおじさんに触れると、おじさんはなんとバイクの種になり地面の中に埋もれていっていましました・・・
~数年後~
あの日のょぅι゛ょはすっかり大きくなり少女へと成長していました
少女は両親とあの懐かしき湘南の海を再び訪れました
おぼろげな記憶を頼りにたどり着いたいつかの海岸
そこにはなんとも立派なバイクの木がそびえたち、 その木の枝には美しく威厳を放つハーレーダビッドソンが実っていました
おわり
一般通過バイクおじさんは、ニコニコ生放送でお絵描き配信をしている、かにビーム氏による擬人化(?)により誕生する。
以前から配信中に、度々『ドルルルルルロォ』というわかりやすい騒音で氏の住まいを横切り通過していく、どこにでもいるそこらの二輪車おじさん(※おじさんかどうかすら怪しい)なのだが、それなりの頻度で登場することからリスナー共々【一般通過バイクおじさん】と呼び始める。
そんなある日、配信中に疲れから落書きを始めてしまいリスナーも好き勝手にお題をコメントしていたところ、いくつかの落書きを経て何故かこの一般通過バイクおじさんを描き始めるかにビーム氏。筆の進みもテンションも極まりつつある中出来上がったのが、物理法則を無視しながらSAN値をゴリゴリ削ってくる狂気を孕み、あまつさえ人間までやめてしまったおじさんと無垢で可愛らしい幼女の絵であった。
と、ここまでならギリギリ許容できたかもしれない絵であったが、何を思ったか翌日の配信開始直後から何故か色が付き動画化された一般通過バイクおじさんをリスナーは目撃してしまう。前日の配信終了後から仕事の合間を縫って動画作成していたというかにビーム氏に対し、リスナーの反応は苦笑しつつも「疲れてるの?」「頭おかしい」「病院いこ?」など本気で氏を心配する者やどう反応したらいいのかわからない、という笑いと憐み、動揺・不安が入り混じるものとなった。
その日の配信中にこれまた何故か動画調整をおこない、ついには動画投稿までしてしまう。さらに翌日の配信ではバイクおじさんの驚愕の真実(設定)が約10分にわたり笑いをこらえつつ明かされる。
いったいかにビーム氏はどこを目指しているのか・・・。
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最終更新:2024/03/19(火) 10:00
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