三冠馬とは、競馬において特定の3競走に勝った馬のことである。
3競走の定義は国、地域、競走条件等で多々分類されているが、一般的には日本の中央競馬(JRA)のサラブレッド系3歳馬(2000年までは「4歳馬」と呼称)限定の「クラシック競走」におけるものを指す。
そもそも日本には「クラシック競走」とされる3歳(旧4歳)限定の大レースが存在しておらず、日本各地で行われていた帝室御賞典などが大レースとして扱われていた。その後不況からの馬産の衰退を食い止める目的で昭和7年(1932年)に本場イギリスの高額賞金レースでもあったダービーステークスを範に取った東京優駿大競走が設立、それに続く形で他のクラシックレースをモデルにした阪神優駿牝馬、京都農林省賞典四歳呼馬、中山四歳牝馬特別、横濱農林省賞典四歳呼馬が設立され、昭和14年(1939年)に五大クラシックが成立し、現在に至っている。下の表の施行場所などの情報はいずれも現在の物である。
レース名 | 施行距離 | 創設年 | 相当する本国のレース |
---|---|---|---|
東京優駿 | 東京 2400m |
昭和7年 (1932年) |
ダービーステークス 1マイル4ハロン6ヤード (約2420m) |
優駿牝馬 (牝馬限定) |
東京 2400m |
昭和13年 (1938年) |
オークスステークス 1マイル4ハロン6ヤード (約2420m) |
菊花賞 | 京都 3000m |
昭和13年 (1938年) |
セントレジャーステークス 1マイル6ハロン115ヤード(約2921m) |
桜花賞 (牝馬限定) |
阪神 1600m |
昭和14年 (1939年) |
1000ギニーステークス 1マイル (約1609m) |
皐月賞 |
中山 2000m |
昭和14年 (1939年) |
2000ギニーステークス 1マイル (約1609m) |
日本の中央競馬のサラブレッド系3歳馬限定「クラシック競走」である、
の3レースを指す。これらの競走に出走できるのはサラブレッド系3歳馬(旧:4歳馬)だけなので、競走馬にとって挑戦するチャンスは一生に一度しかない。ただし2000年までは「日本国内の生産馬」のみ出走でき、外国産馬(日本以外の国で生まれてから日本に輸入された馬)の出走はできない、などの制限事項があった。またクラシック競走は「繁殖馬の選定のための競走」という前提があるため、騸馬(去勢した馬)の出走は現在も不可能である。
2022年現在、8頭が三冠を達成している。このうち、シンボリルドルフ・ディープインパクト・コントレイルは三冠を達成するまで、すなわち菊花賞を勝つまで無敗であったので、「無敗(不敗)の三冠馬」と称されることがある。
セントライトの時代は、まだ現在のようなレース体系が確立しておらず、セントライトが達成した三冠のレース名も現在とは違って「横濱農林省賞典四歳呼馬」「東京優駿競走」「京都農林省賞典四歳呼馬」であった。(但し当時から「三榮冠」として、これらを三冠とする概念は存在していた。)
達成年 | 馬名 | 達成時戦績 | 生涯成績 |
---|---|---|---|
昭和16年 (1941年) |
セントライト | 12戦9勝 (小西喜蔵) |
12戦9勝 |
昭和39年 (1964年) |
シンザン | 11戦8勝 (栗田勝) |
19戦15勝 (天皇賞(秋) 有馬記念) |
昭和58年 (1983年) |
ミスターシービー | 9戦7勝 (吉永正人) |
15戦8勝 (天皇賞(秋)) |
昭和59年 (1984年) |
シンボリルドルフ | 8戦8勝 (岡部幸雄) |
16戦13勝(うち海外1戦0勝) (天皇賞(春) ジャパンカップ 有馬記念2回) |
平成6年 (1994年) |
ナリタブライアン | 13戦9勝 (南井克巳) |
21戦12勝 (有馬記念 朝日杯3歳ステークス) |
平成17年 (2005年) |
ディープインパクト | 7戦7勝 (武豊) |
14戦12勝(うち海外1戦0勝) (天皇賞(春) ジャパンカップ 有馬記念 宝塚記念) |
平成23年 (2011年) |
オルフェーヴル | 10戦6勝 (池添謙一) |
21戦12勝(うち海外4戦2勝) (有馬記念2回 宝塚記念) |
令和2年 (2020年) |
コントレイル | 7戦7勝 (福永祐一) |
11戦8勝 (ホープフルステークス ジャパンカップ) |
日本の中央競馬のサラブレッド系3歳馬限定「クラシック競走」である、
の3レースを指す。これらの競走に出走できるのはサラブレッド系3歳馬(旧:4歳馬)だけなので、競走馬にとって挑戦するチャンスは一生に一度しかない。さらに3レースの内桜花賞、優駿牝馬は牝馬限定戦のため、達成できるのは3歳(旧4歳)牝馬のみである。
2022年現在、日本初の二冠牝馬であるスウヰイスーが1952年に菊花賞で2着になったのを最高位にし達成できた牝馬は存在せず、さらに1970年にビクトリアカップが創設されて後述の牝馬三冠路線が確立してからは、二冠牝馬が菊花賞に一度も出走していない。ここでは達成馬が現れるまで暫定的にあと一歩まで迫った二冠牝馬を紹介する。
年度 | 馬名 | 残る一冠 着順 (優勝馬) |
備考 |
---|---|---|---|
昭和18年 (1943年) |
クリフジ | 中山四歳牝馬特別 デビュー前 (ミスセフト) |
東京優駿競走1着(変則三冠馬)。 |
昭和22年 (1947年) |
ブラウニー | 優駿牝馬 不出走 (トキツカゼ) |
菊花賞を優勝した最後の牝馬。 東京優駿競走3着。 |
昭和27年 (1952年) |
スウヰイスー | 菊花賞 2着 (セントオー) |
日本初の二冠牝馬。 菊花賞の着差は1/2馬身。 |
昭和29年 (1954年) |
ヤマイチ | 菊花賞 3着 (ダイナナホウシユウ) |
クリフジの娘。 |
昭和32年 (1957年) |
ミスオンワード | 菊花賞 10着 (ラプソデー) |
無敗の二冠牝馬。 |
昭和39年 (1964年) |
カネケヤキ | 菊花賞 5着 (シンザン) |
牡牝双方の二冠馬による対戦。 勝利したシンザンが史上2頭目のクラシック三冠馬に。 |
皐月賞・ダービー・菊花賞・桜花賞・オークスの五大クラシック競走のうち、桜花賞・オークスは牝馬限定競走のため、牡馬は前者3レースにしか出走できないが、牝馬は全5レースに出走可能であり、理屈の上では牝馬が「五冠」を達成することも可能である。しかし、桜花賞と皐月賞、オークスとダービーはそれぞれ1週後の連闘となるため、実行に移した牝馬はいない。
しかし現在のようなレース体系がとられていなかった時代、例えばオークス(当時は「阪神優駿牝馬」)は5月下旬ではなく10月上旬に開催されていたため、今とは異なる変則的な三冠に挑むこともできた。1943年の牝馬クリフジが、その唯一の例である。
達成年 | 馬名 | 生涯成績 |
---|---|---|
昭和18年 (1943年) |
クリフジ | 11戦11勝 (前田長吉) 東京優駿競走 / 阪神優駿牝馬 / 京都農林省賞典四歳呼馬 |
の3レースの事を指す。これらの競走に出走できるのはサラブレッド系3歳(旧4歳)牝馬だけなので、挑戦するチャンスは一生に一度しかない。
桜花賞と優駿牝馬(オークス)は、皐月賞・ダービー・菊花賞と並ぶ「クラシック競走」であるが、秋華賞(旧:エリザベス女王杯、ビクトリアカップ)は日本独自の3歳牝馬限定競走なので、「クラシック競走」には含まない(モデルとなったレースはある)。
当初は1970年に創設されたビクトリアカップが三冠目だったが、エリザベス2世の訪日を記念して1976年にエリザベス女王杯が新設されることとなり、ビクトリアカップは廃止された。なお、ビクトリアカップ時代は三冠達成馬はいなかった。
1996年にエリザベス女王杯が4歳(現3歳)牝馬と5歳(現4歳)以上牝馬の混合競走に改編されたため、その年から秋華賞が新設されて牝馬の三冠目となった。
達成年 | 馬名 | 達成時戦績 | 生涯成績 |
---|---|---|---|
昭和61年 (1986年) |
メジロラモーヌ | 11戦9勝 (河内洋) |
12戦9勝 |
平成15年 (2003年) |
スティルインラブ | 7戦5勝 (幸英明) |
16戦5勝 |
平成22年 (2010年) |
アパパネ | 9戦6勝 (蛯名正義) |
19戦7勝(うち海外1戦0勝) (ヴィクトリアマイル 阪神ジュベナイルフィリーズ) |
平成24年 (2012年) |
ジェンティルドンナ | 8戦6勝 (岩田康誠) |
19戦10勝(うち海外2戦1勝) (ジャパンカップ2回 ドバイシーマクラシック 有馬記念) |
平成30年 (2018年) |
アーモンドアイ | 6戦5勝 (C.ルメール) |
15戦11勝(うち海外1戦1勝) (ジャパンカップ2回 ドバイターフ 天皇賞(秋)2回 ヴィクトリアマイル) |
令和2年 (2020年) |
デアリングタクト | 5戦5勝 (松山弘平) |
※現役 |
他の三冠との大きな違いは「複数回チャンスがある」という点である。しかしクラシック三冠は"世代最強"を決める競走であるのに対し、古馬三冠は"現役最強"を決める競走であり、クラシック三冠の数倍の馬と戦い、その頂点に立つ必要があるため、複数回チャンスがあるからと言って達成が容易であるわけではない。事実、2022年現在、秋古馬三冠を達成した競走馬は2頭しかおらず(年を跨いでの秋古馬三冠達成でもキタサンブラック一頭しかいない)、春古馬三冠に至っては定義づけがされる前も含め対象競走をすべて同一年に勝利した馬はただの1頭もいないという事実がそれを悠然と物語っている。
の3競走のことを指す、この3競走をJRAは秋古馬三冠と正式に呼称してはいないが、競馬関係のマスコミ等の間では2000年から同一年に3競走を制覇した競走馬の馬主にはJRAから褒賞金(内国産馬は2億円、外国産馬は1億円)が贈られることから、クラシック三冠と区別するために使用されることがある。
達成年 | 馬名 | 達成時戦績 | 生涯戦績 |
---|---|---|---|
平成12年 (2000年) |
テイエムオペラオー | 19戦12勝 (和田竜二) |
26戦14勝 (皐月賞、天皇賞(春)連覇、宝塚記念) |
平成16年 (2004年) |
ゼンノロブロイ | 15戦7勝 (O.ペリエ) |
20戦7勝 |
春古馬三冠は大阪杯がGIとなった2017年に定義された新たな三冠で、春の古馬王道路線である
の3競走を指す。こちらもJRAが正式に呼称している三冠ではないが、秋古馬三冠同様、同一年に3競走を制覇した競走馬の馬主に褒賞金(秋古馬三冠の褒賞金と同額)が送られることから競馬関係のマスコミ等で使用されることがある。前述のとおり春古馬三冠は定義付けがされる前も含めて達成した競走馬は存在しない。ただし春古馬三冠が定義される以前は、天皇賞(春)の前哨戦は阪神大賞典や日経賞の方が一般的だったことも理由にある。
JRAで主に三冠の枠組みとして呼ばれたものを挙げる。いずれもレースの施行条件変更や制度の変化に伴い消滅している。
馬名 | 各競走勝利年 | 最終戦績・備考 | ||
---|---|---|---|---|
小倉大賞典 | 北九州記念 | 小倉記念 | ||
アトラス | 1968年 (武邦彦) |
1967年 (武邦彦) |
1969年 (武邦彦) |
53戦13勝、小倉19戦7勝 小倉重賞完全制覇[4] |
ロッコーイチ | 1975年 (河内洋) |
1974年 (武邦彦) |
1975年 (武邦彦) |
52戦9勝、内小倉12戦4勝 |
ミヤジマレンゴ | 1978年 (武田悟) |
1976年 (武田悟) |
1976年 (武田悟) |
25戦9勝、内小倉9戦4勝 |
メイショウカイドウ | 2005年 (武豊) |
2005年 (武豊) |
2004年 (藤田伸二) 2005年 (武豊) |
43戦11勝、内16戦8勝 小倉記念連覇、唯一単年でも達成 |
大井競馬場で開催される
の3競走が三冠競走とされており、東京王冠賞が秋から春に移動したり、各レースが距離短縮を行ったりしたこともあったが、2001年の東京王冠賞廃止までこれが続いた。三冠馬も2022年現在、この3競走が三冠競走であった期間にしか出ていない。また、羽田盃と東京ダービーは地方限定競走である為、当然ながら地方所属馬でないと南関東三冠は得られない。
2024年よりダートグレード競走における三冠レースを中心とした2・3歳馬競争の体系整備にともない、羽田盃と東京ダービーをJpn1に指定、ジャパンダートダービーの開催時期を10月上旬に変更し「ジャパンダートクラシック」に改称することで、南関東三冠改め3歳ダート三冠として催行されることになる。これにより中央馬にも南関東三冠馬改め日本3歳ダート三冠馬になれる可能性が出てくる。その一方での出走条件は3歳のみから、3歳牡・牝と明記されているため、騸馬は出走不可になる。
なお上記記載、ダート交流三冠が1998年まで存在していたが、再びJRA所属馬が出走できるダートの三冠レースとなる。
達成年 | 馬名 | 達成時戦績 | 生涯戦績 |
---|---|---|---|
昭和42年(1967年) | ヒカルタカイ | 17戦11勝 (竹山隆) |
31戦15勝(うち中央11戦3勝) (天皇賞(春) 宝塚記念) |
昭和50年(1975年) | ゴールデンリボー | 11戦6勝 (赤間清松) |
13戦6勝(うち中央3戦0勝) |
昭和53年(1978年) | ハツシバオー | 13戦10勝 (宮浦正行) |
17戦11勝(うち中央1戦0勝) |
昭和58年(1983年) | サンオーイ | 12戦8勝 (高橋三郎) |
29戦13勝(うち中央7戦1勝) (札幌日経賞) |
昭和61年(1986年) | ハナキオー | 12戦9勝 (堀千亜樹) |
13戦9勝 |
平成元年(1989年) | ロジータ | 12戦8勝 (野崎武司) |
15戦10勝(うち中央2戦0勝) |
平成13年(2001年) | トーシンブリザード | 7戦7勝 (石崎隆之) |
30戦9勝(うち中央3戦0勝) |
そもそも「クラシック競走」とは、近代サラブレッド競馬発祥の地・イギリスにおいて古くから開催されていた Classic (古典的・格式のある)なレースのことである。日本のクラシック競走も、これを模範としてレースが作られた。
レース名 | 施行距離 | 創設年 | 相当する日本のレース |
---|---|---|---|
セントレジャーステークス | 1マイル6ハロン115ヤード (約2921m) |
1776年 | 菊花賞 (3000m) |
オークスステークス (牝馬限定) |
1マイル4ハロン6ヤード (約2420m) |
1779年 | 優駿牝馬 (2400m) |
ダービーステークス | 1マイル4ハロン6ヤード (約2420m) |
1780年 | 東京優駿 (2400m) |
2000ギニーステークス | 1マイル (約1609m) |
1809年 | 皐月賞 (2000m) |
1000ギニーステークス (牝馬限定) |
1マイル (約1609m) |
1814年 | 桜花賞 (1600m) |
上記のように、イギリスには日本の秋華賞(旧:エリザベス女王杯)に相当するレースが存在しないため、イギリスにおける「牝馬三冠」とは「1000ギニー・オークス・セントレジャー」のこととなる。
2020年現在、牡馬三冠は15頭、牝馬三冠は9頭いる。また、1840年に牝馬クルシフィックスが1000ギニー・2000ギニー・オークスの「変則三冠」を達成している。
※イギリスにおいて現在、【三冠】の価値は急速に低下してしまっている。バーラムの三冠(1935年)から1970年まで、2000ギニー・ダービーの二冠を制した馬が5頭いたが、第二次世界大戦勃発の影響でセントレジャーが中止になった1939年のブルーピーターや故障引退した1949年の*ニンバスと1957年のクレペロはともかく、1967年のロイヤルパレスと1968年のサーアイヴァーは立て続けにセントレジャーを回避することになり、段々とセントレジャーの地位が低下してしまった。
1970年に無敗で三冠を達成したニジンスキーが三冠直後に凱旋門賞で2着に敗れると、この原因がセントレジャー出走による疲労だという憶測が広まり、「三冠忌避」の流れは加速した。そして1987年のダービー・セントレジャーを制したリファレンスポイントを最後に、2000ギニー優勝馬・ダービー優勝馬のセントレジャー出走自体が途絶えてしまっていた。
しかし全く無価値になったわけではなく、1994年に2歳GIのレーシングポストトロフィーを圧勝したセルティックスウィングが三冠挑戦を宣言した(同馬は2000ギニーで2着に敗れている)ほか、2012年、無敗で二冠を達成したキャメロットがニジンスキー以来42年ぶりとなる三冠達成へ挑戦したが、直線の猛追及ばず惜しくも2着に敗れる結果となった。
達成年 | 馬名 | 達成年 | 馬名 |
---|---|---|---|
1853年 | ウェストオーストラリアン | 1900年 | ダイヤモンドジュビリー |
1865年 | グラディアトゥール | 1903年 | ロックサンド |
1866年 | ロードリヨン | 1915年 | ポマーン |
1886年 | オーモンド | 1917年 | ゲイクルセイダー |
1891年 | コモン | 1918年 | ゲインズバラ |
1893年 | アイシングラス | 1935年 | バーラム |
1897年 | ガルティーモア | 1970年 | ニジンスキー |
1899年 | フライングフォックス |
達成年 | 馬名 | 達成年 | 馬名 |
---|---|---|---|
1868年 | フォルモサ | 1904年 | プリティーポリー |
1871年 | ハンナ | 1942年 | サンチャリオット |
1874年 | アポロジー | 1955年 | メルド |
1892年 | ラフレッシュ | 1985年 | オーソーシャープ |
1902年 | セプター |
達成年 | 馬名 | 戦績 |
---|---|---|
1840年 | クルシフィックス | 1000ギニー / 2000ギニー / オークス |
コロネーションカップ、オークス、ダービー、プリンスオブウェールズステークスのいずれか1競走とエクリプスステークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスで構成されていた三冠で、2003年に創設された。さらにインターナショナルステークスを勝利すればBHBグランドスラムとなる。
トリプルクラウンで100万ポンド、グランドスラムで500万ポンドのボーナスが支払われるということで創設されたのはいいものの、経費節減のためにわずか2年で廃止され、達成馬はいなかった。
三冠という定義づけはされていないものの、ヨーロッパの代表的な3レースをまとめて呼称したもので、イギリスとフランスのレースで構成されている。なおこれを欧州三冠と呼ぶのは日本だけである。
の3レースを指す。ダービーはもちろん3歳限定戦だが、後者2レースは古馬も出走可能なレースである。しかし、達成した馬はいずれも3歳で全レースに勝利している。
達成年 | 馬名 |
---|---|
1971年 | ミルリーフ |
1995年 | ラムタラ |
米国の競馬はヨーロッパ・日本と違って芝ではなくダート競走が主体であり、レース体系も大きく異なる。三冠は5月から6月にかけてのわずか5週間に施行される、
の3レースを指す。いずれの競走も牡馬・牝馬・セン馬全て出走可能だが、三冠達成はいずれも牡馬である。
1978年のアファームド以降、ケンタッキーダービー・プリークネスステークスを制した馬が13頭出たが、全て三冠目のベルモントステークスで敗れたか、故障による不出走という結果に終わった。そのためもはや現れないではとも言われていたが、2015年にアメリカンファラオが37年ぶりに達成した。更にその3年後にジャスティファイが達成している。
なお、日本の文献では「アメリカクラシック三冠」という記述が散見されるが、アメリカ競馬においてはclassicsという言葉に日本や英国の競馬のような定義づけはされていないため、一般名詞として「最高峰のレース」といった意味でしか使われない。したがって米トリプルクラウンを指してクラシック三冠と呼ぶのは適切ではない。
達成年 | 馬名 | 達成年 | 馬名 |
---|---|---|---|
1919年 | サーバートン | 1948年 | サイテーション |
1930年 | ギャラントフォックス | 1973年 | セクレタリアト |
1935年 | オマハ | 1977年 | シアトルスルー |
1937年 | ウォーアドミラル | 1978年 | アファームド |
1941年 | ワーラウェイ | 2015年 | アメリカンファラオ |
1943年 | カウントフリート | 2018年 | ジャスティファイ |
1946年 | アソールト |
の3つの3歳牝馬限定競走のことを指し、これをすべての競走がニューヨーク州の競馬場で行われる(エイコーンステークスはベルモントパーク競馬場、残り2競走はサラトガ競馬場)ことからニューヨーク牝馬三冠、またはトリプルティアラと呼称している。牝馬限定の三冠であるためか、アメリカ三冠とは違い過酷なローテーションにはなっていない。
なお、三冠の体系は過去に何度か変化している。2002年まではエイコーンステークス、マザーグースステークス(現在はGII)、CCAオークスの3競走を三冠競走としており、2020年時点での達成馬は全てこの体系で達成している。その後、2003年から三冠競走からエイコーンステークスが除かれ、アラバマステークスが新たに三冠競走に加えられるも、この体系の三冠競走は2006年までというわずかな期間で終了し元の体系に戻される。そして2010年にマザーグースステークスを三冠競走から除外し、2003年に一度三冠競走となったアラバマステークスを再び三冠競走に設定して、今の三冠の体系となった。
達成年 | 馬名 | 達成年 | 馬名 |
---|---|---|---|
1968年 | ダークミラージュ | 1989年 | オープンマインド |
1969年 | シュヴィー | 1993年 | スカイビューティ |
1974年 | クリスエヴァート | ||
1975年 | ラフィアン | ||
1979年 | ダヴォナデイル | ||
1985年 | モムズコマンド |
一応アイリッシュ2000ギニー、アイリッシュダービー、アイリッシュセントレジャーは存在するが、すぐお隣の国に本家三冠レースが存在するため、アイリッシュ2000ギニーやアイリッシュダービーに有力馬が出走することはあるものの三冠レースとは認識されていない。そもそもアイリッシュセントレジャーは日本やイギリスと異なり古馬にも開放されているので、長距離レースとしての側面が強い。
牝馬路線としてアイリッシュ1000ギニー、アイリッシュオークスも存在するが、こちらも同様である。
かつてはプール・デッセ・デ・プーラン(フランス2000ギニー)、ジョッケクルブ賞(フランスダービー)、ロワイヤルオーク賞(フランスセントレジャー)が三冠扱いとなっていた。
しかし、2000ギニーはともかく他の2レースはというと
達成馬も1899年のパースと19世紀にまで遡る必要がある。
なお、ジョッケクルブ賞は2005年に2400mから2100mに距離を短縮しており、それに伴いロワイヤルオーク賞の代わりにパリ大賞典を三冠目とした路線が確立した。この三冠の達成馬はまだいない。この三冠路線成立以前も含めれば、以前のフランス三冠を達成したパースのみが達成している。
牝馬路線としてはプール・デッセ・デ・プーリッシュ(フランス1000ギニー)、ディアヌ賞(フランスオークス)、ヴェルメイユ賞が存在する。ヴェルメイユ賞はクラシック競走ではない牝馬限定競走で、日本のビクトリアカップ(後のエリザベス女王杯、秋華賞)のもととなった競走である。こちらは現在も三冠路線として認識されており、最近では2008年にザルカヴァが達成している。
一応メールミュルヘンスレネン(ドイツ2000ギニー・GII)、ドイチェスダービー(GI)、ドイチェスセントレジャー(GII)という三冠路線は存在するが、3歳春に実績を残した競走馬は主にイギリスやフランスの大レースに向けて調整されるため、ドイツ国内での三冠レースという概念はほとんど存在しない。過去にケーニヒスシュトゥールのみが達成している。
2歳王者決定戦の「М・И・カリーニン記念」、ソビエトダービーに当たる「ボリショイ・フシエソユツニー賞」、古馬チャンピオンを決める「ソビエト社会主義共和国賞」という特殊な三冠レース体系が取られていた。主な達成馬にアニリンがいる。
パート1国のブラジルではリオ地区やサンパウロ地区などで競馬が行われており、様々な三冠体系が存在する。
一例としてリオ地区では「ヒオ・ヂ・ジャネイロ州大賞」「F.エドゥアルド・ヂ・パウラ・マシャド大賞」「クルゼイロ・ド・スウ大賞(ブラジルダービー)」の3レースが牡馬三冠、「エンヒキ・ポソロ大賞」「ディアナ大賞」「Z.G.ペイショート・ヂ・カストロ大賞」の3レースが牝馬三冠となっており、前者は12頭、後者は5頭が達成している。
2021年にはブラジルで繋養されて余生を送っているアグネスゴールドの産駒・ジャネールモネイがリオ牝馬三冠に挑戦し見事に牝馬三冠馬となった。前年シーズンの2020年、マイスキーボニータはリオ牝馬3冠戦を1着、1着、2着だったので同じ産駒が雪辱を晴らすこととなった。
エル・エンサージョ・メガ(芝2400m)、チリセントレジャー(ダート2200m)、エル・ダービー(芝2400m)で構成される。三冠競走に芝とダートのレースが混合しているのは世界でも稀。
例年は6~8月に行われ、6月のクイーンズプレート(AW10ハロン≒2000m)、7月のプリンスオブウェールズステークス(ダート9.5ハロン≒1900m) 、8月のブリーダーズステークス(芝12ハロン≒2400m)の3レースで構成されている。全てでコースの違いがある極めて珍しい競走体系になっている。
2020年は新型コロナウイルスの影響で3レースとも延期になる中、カナダを拠点にしている日本人の福元大輔騎手がマイティハート(Mighty Heart)で二冠を勝利。2003年のワンド以来17年ぶりの三冠に挑んだが、ブリーダーズステークスでは7着であった。
クラシック三冠は3歳ではなく4歳限定で、香港クラシックマイル(芝1600m)、香港クラシックカップ(芝1800m)、香港ダービー(芝2000m)で構成される。いずれも香港所属馬のみが出走可能。
達成したのはラッパードラゴン(2017年)、ゴールデンシックスティ(2020年)の2頭のみ。
これとは別に古馬も対象とした国際三冠レースが2つある。香港トリプルクラウンシリーズは香港スチュワーズカップ(芝1600m)、香港ゴールドカップ(芝2000m)、香港チャンピオンズ&チャターカップ(芝2400m)、チャンピオンスプリントシリーズはセンテナリースプリントカップ(芝1200m)、チェアマンズスプリントプライズ(芝1200m)、クイーンズシルヴァージュビリーカップ(芝1400m)で構成される。
掲示板
729ななしのよっしん
2023/03/13(月) 13:57:30 ID: 5AHvTdpkDF
>>728 KYDL2bYfHV は
よほどコントレイルの事が好きなんだね。だからこそ色々なことを書いて、自分が知らない他の良い所を知りたがっているように思える。
730ななしのよっしん
2023/03/13(月) 18:40:15 ID: uxKrwmRe/i
731ななしのよっしん
2023/03/20(月) 01:58:29 ID: vZrMk9/M9+
冷静に考えると
83年から87年の流れすごくない?
83年三冠馬シービー 南関東三冠馬サンオーイ
84年史上初無敗の三冠馬ルドルフ
85年二冠馬ミホシンザン(父が三冠馬シンザン)
86年史上初牝馬三冠メジロラモーヌ
ミホシンザンが怪我でダービーが出れなかったダービーは馬場的にシリウスシンボリには勝てないかもしれないが下手すると4年連続で三冠馬になってたんだよな...
あまり話題にならないサンオーイも毎日王冠でシービーを押しのけての一番人気だった
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最終更新:2023/03/29(水) 05:00
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