三刀屋久扶(みとや・ひさすけ ? ~ 1591)とは、出雲の戦国武将である。三刀屋久祐とも書かれる。
出雲中部に位置する三刀屋城を拠点とした国人領主・三刀屋氏当主。大内・尼子・毛利といった勢力の狭間において、時には寝返りを、またある時には寝返りを、更には寝返りをも駆使して生き残りを図ったが、最後は寝返り疑惑を理由に領地をボッシュートされた。信用って大事だね。
三刀屋氏の本拠である三刀屋城は、山陰地方と山陽地方を結ぶ生命線上に位置している。現代で言えば国道54号沿いに相当するので地図で見てもらうと分かり易い。その為、尼子氏の防衛線である「尼子十旗」の一つとして扱われ、重要視されていた。
1541年、尼子氏が毛利氏を攻めた「吉田郡山城の戦い」に尼子傘下として参加したが、大内家の陶隆房が援軍に駆け付けた事で尼子軍は敗北。これに勢いをつけた大内氏(というか隆房)が大々的な尼子征伐を計画したため、「隆房は若いのにやるじゃない、これからは大内の時代よね」と本城常光・三沢為清らと共に大内氏に寝返った。
1542年から始まった(第一次)月山富田城の戦いでも三刀屋城は重要な補給拠点となったが、1年経っても攻め落とせない状況を見て「失望しました。隆房くんのファンやめます」と、本城常光・三沢為清らと共に尼子方に寝返る。彼らの動きがきっかけで大内氏は撤退せざるを得なくなり、またこの大敗北が後々の大内家崩壊へと繋がっていくのだが、久扶は知る由もなかった。
ときの尼子氏当主・尼子晴久は、戻って来た国人衆たちを繋ぎとめる為、「久」の偏諱を与えるなどして家中の強化を図った。久扶の「久」もこの時貰ったものなのだが、それ以前にナニ扶を名乗っていたのかは不明。一方の大内氏はクーデターを起こした隆房が厳島で敗死するなどして衰退著しく、代わって安芸の毛利氏が台頭してきた。
それなりに厚遇されていたのか、この間は長らく晴久の下で精力的に働いており、石見銀山の防衛などでも活躍している。だが、1561年に晴久が急死したことで気持ちがぐらつき始める。1562年頃には「晴久さんにはお世話になりましたが、心機一転、毛利で頑張ります!」と本城常光・三沢為清らと共に毛利氏に寝返った。ってまたお前らか!!
数年後の1566年、第二次月山富田城の戦い…そこには毛利方として元気に尼子家を攻める三刀屋久扶(と三沢為清)の姿が!(※本城さんは殺されました) こうして尼子氏は滅亡し、三刀屋久扶は巧みな寝返りテクニックで生き残る事に成功した。
しかし数年後、諦めの悪い事に定評のある山中鹿之介が、尼子勝久を擁立して尼子再興軍を結成。周囲の旧尼子系の面々が俺も俺もとこぞって参加するが、三刀屋久扶は毛利家への篤い忠誠心でこれを固辞する。
…というのは嘘で、実際は参加したかったのだが「どうせお前また裏切るんだろ?」と苦情が殺到したため参加させてもらえなかったというのが真相である。なんという狼少年。結局、久扶(と三沢為清)は吉川元春配下として尼子再興軍を相手に転戦し、上月城の戦いにも参加して再興軍にトドメをさした。
天下の覇権が豊臣氏に移った後は、吉川氏配下として九州征伐や肥後国人一揆鎮圧にも参加する(もちろん三沢為清も一緒)。
ところが、1588年に毛利輝元・吉川広家・小早川隆景の上洛に付き従った際に、どういうわけか三刀屋久扶は勝手に徳川家康と面会する。おいおいまた寝返りか?と疑惑をかけられた久扶は領地没収の上、毛利家を追放されてしまった。
ただし実際のところは、一緒に上洛したとか家康と会ったとかいう当時の記録はない。また同じ境遇の三沢氏もこの頃一時幽閉されている。毛利氏が大名として更なる中央集権化を図る上で、未だに独立心が強いと診断された久扶はここで失格させられてしまったようだ。生き残るための手段として寝返りや独自行動を連発した結果、それが晩年の自分の首を絞めてしまった。やっぱり狼少年である。
その後は京都に移り、1591年に死去した。子孫は尾張徳川家に仕えた。
「信長の野望」(PC)シリーズにおける三刀屋久扶(三刀屋久祐)の能力一覧。
三回登場。最初の二作は「三刀屋久祐」表記。創造では三刀屋城が登場するも彼の姿は無かった。戦国立志伝で久しぶりに登場。
軍事能力 | 内政能力 | |||||||||||||||
戦国群雄伝(S1) | 戦闘 | - | 政治 | - | 魅力 | - | 野望 | - | ||||||||
武将風雲録(S1) | 戦闘 | - | 政治 | - | 魅力 | - | 野望 | - | 教養 | - | ||||||
覇王伝 | 采配 | 67 | 戦闘 | 60 | 智謀 | 33 | 政治 | 51 | 野望 | 61 | ||||||
天翔記 | 戦才 | 120(B) | 智才 | 66(B) | 政才 | 106(B) | 魅力 | 47 | 野望 | 63 | ||||||
将星録 | 戦闘 | - | 智謀 | - | 政治 | - | ||||||||||
烈風伝 | 采配 | - | 戦闘 | - | 智謀 | - | 政治 | - | ||||||||
嵐世記 | 采配 | - | 智謀 | - | 政治 | - | 野望 | - | ||||||||
蒼天録 | 統率 | - | 知略 | - | 政治 | - | ||||||||||
天下創世 | 統率 | - | 知略 | - | 政治 | - | 教養 | - | ||||||||
革新 | 統率 | - | 武勇 | - | 知略 | - | 政治 | - | ||||||||
天道 | 統率 | - | 武勇 | - | 知略 | - | 政治 | - | ||||||||
創造 | 統率 | - | 武勇 | - | 知略 | - | 政治 | - | ||||||||
戦国立志伝 | 統率 | 58 | 武勇 | 40 | 知略 | 60 | 政治 | 55 | ||||||||
大志 | 統率 | 56 | 武勇 | 40 | 知略 | 60 | 内政 | 55 | 外政 | 57 |
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最終更新:2024/03/29(金) 20:00
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