三重殺(トリプルプレー、ゲッスリー)とは、ノーアウトが一気にスリーアウトチェンジとなり守備側を喜ばせてしまうプレーのことである。
野球やソフトボールにおいて、一連のプレーで3つのアウトをとること。併殺が「ゲッツー」と呼ばれるように、三重殺は「ゲッスリー」と呼ばれる(和製英語で、「ゲットスリーアウト」の略)。
その性質上、塁上に走者が2人または3人おり且つ無死でなければ発生し得ない。
そのため、1つ成立しただけで大きな話題になるほど珍しいプレーである。また、攻撃側にとってはノーアウト且つ得点圏という最大のチャンスが潰えてしまう最悪の形である。
ちなみに、打者記録については併殺と三重殺の区別をせず、「併殺打」に含めて記録する。従って、「三重殺打」という記録は存在しない。
三重殺の中では最も発生するケースが多い。ゴロの打球を処理し、フォース状態(進塁義務のある状態)の走者3人をアウトにする。
走者一・二塁または満塁で打者が三塁手へ向けたゴロを放ち、三塁手が捕球して三塁ベースを踏み、二塁に入った二塁手または遊撃手に送球し、その後一塁手へ送球するのが最も多い形である。
この場合、打者には併殺打が記録される。
併殺同様、三重殺の場合でもボールを処理した順に野手の守備番号が記録される。前述の例の場合、「5-5-4-3」または「5-5-6-3」。
2012年7月1日、埼玉西武ライオンズ対北海道日本ハムファイターズの試合。
2回表、無死一・二塁で、日本ハムの打者・陽岱鋼が打ったゴロの打球を三塁手のエステバン・ヘルマンが捕球し、三塁ベースを踏んで二塁走者の中田翔をアウト、ヘルマンが二塁手の片岡易之に送球して一塁走者の小谷野栄一をアウト、片岡が一塁手の浅村栄斗に送球して打者走者の陽をアウトにし、トリプルプレーが成立。
この日は稲尾和久の生誕75周年記念として同年に永久欠番になった背番号24を西武の選手・首脳陣全員がつけており、また陽の背番号も当時24だったため、プロ野球ファンからは神様、仏様、稲尾様の力だと言われた。
外野手が三重殺に関わる場合の多くはこの形である。打者が上げたフライやライナーの打球を直接野手が捕球し、2人の走者がリタッチやタッチアップを試みるも、タッチされたり戻るべき塁に送球されてアウトになる形。
併殺に同じく、痛烈なライナーの打球が内野で捕球された場合に発生しやすく、ヒットエンドランを試みていた場合でも同様である。バントでの進塁を狙って小フライになり直接捕球されて三重殺を喫してしまうケースもあるようだ。
この場合、打者に併殺打は記録されない。
2012年8月17日、埼玉西武ライオンズ対東北楽天ゴールデンイーグルスの試合。
6回表、無死一・二塁で、楽天の打者・ホセ・フェルナンデスの放った痛烈な当たりを右翼手の熊代聖人が好捕球してアウト、熊代が二塁手の浅村栄斗への中継を挟んで二塁ベース上の遊撃手・中島裕之に送球して二塁走者の銀次をアウト、中島が一塁手の中村剛也に送球して一塁走者の藤田一也をアウトにし、トリプルプレーが成立。
西武にとっては、同シーズンに2度目の三重殺を達成したことになる。
(0:53~1:07を参照。YouTube版はこちら)
2014年4月22日、東京ドームでの北海道日本ハムファイターズ対福岡ソフトバンクホークスの試合。
3回裏、日本ハムは1点を先制してなお無死一・三塁、打者はこの日が25歳の誕生日な中田翔。
中田の当たりはセンターへのハーフライナーとなり、これを柳田悠岐が捕球しアウト、三塁走者の西川遥輝はタッチアップを試みるが、柳田から捕手の細川亨への好返球が返ってきて、クロスプレーの末タッチアウト、さらに一塁走者の大谷翔平もタッチアップを試みるが、細川が二塁手の本多雄一に送球して大谷もタッチアウトとなり、トリプルプレーが成立。
ホークスとしては球団史上15年ぶりとなる三重殺となった。柳田はその後、同点タイムリーヒットを放つ活躍も見せ、結果的にこの試合はソフトバンクが勝利した。
無死で走者が2人または3人いて、攻撃側がツーストライクからヒットエンドランを仕掛けるものの、打者が空振りして三振、スタートした走者も捕手からの送球などによりアウトとなる形。
この場合、記録上は打者の三振と走者の盗塁失敗となり、打者に併殺打は記録されない。
打者走者以外の2人の走者がいずれもタッチアウトになった後、一塁に達した打者走者が先の塁を狙ってタッチアウトとなるようなケースで、結果的に3つのアウトが全てタッチアウトによるものになる。打者がゴロの打球を打って一塁に到達することが前提となり、打者以外の走者が塁間に挟まれてしまう挟殺(ランダウンプレイ)で発生しやすい。
その名の通り補殺がない、つまり打球を捕球した選手が3つのアウトを取る三重殺である。無死一・二塁または満塁でヒットエンドランを仕掛けたが、それが内野へのライナーになってしまったときにおこりうる。
一例を挙げると、無死一・二塁でヒットエンドランをしかけるもライナーとなり二塁手が捕球、その後二塁ベースを踏んで二塁に戻れなかった二塁走者をアウト、二塁ベースに突っ込んできた一塁走者にタッチして3アウトになるというケースがある。
これは非常に稀なことであり、NPBではセントラル・リーグで表彰対象となっている。日本では1967年7月30日、阪急ブレーブス対東京オリオンズ戦の2回裏、無死一・二塁において阪急の住友平二塁手が達成した一例のみである。
0:03~1:06を参照。単体はこちら。
2001年5月12日、ナゴヤドームでの中日ドラゴンズ対読売ジャイアンツ戦での出来事。
0対3の3点ビハインドで9回裏の中日の攻撃、1点を返してなお無死満塁で打者は代打・井上一樹。
井上の打球はセンターへのフライとなり、これを松井秀喜が捕球しアウト、その後二塁手の仁志敏久に送球。これを見た三塁走者の鈴木郁洋はタッチアップを諦め、一旦は三塁ベースへ戻っていた。しかし、二塁走者の大西崇之は飛び出しており、それに気付いた仁志は走って大西にタッチしてアウト。大西の動きを見て慌てて飛び出していた鈴木は三本間に挟まれ、仁志から捕手の阿部慎之助に送球し、阿部が鈴木にタッチしてアウト。
巨人では球団史上初の、「トリプルプレーで試合終了」という奇跡が起きた。セ・リーグ全般で見ても、1996年のヤクルトスワローズ以来の2度目である。逆に中日の星野仙一監督は「何やってんじゃもー!」とキレたのは言うまでもない。
1962年7月12日、南海ホークス対東映フライヤーズ戦の1回裏、無死満塁で東映が記録した。
打者のケント・ハドリが外野飛球を打ちアウト。三塁走者の大沢啓二はタッチアップして本塁へ。二塁走者のバディ・ピート、一塁走者の野村克也もタッチアップを試みるが、両者ともタッチアウト。その後、大沢のスタートが早かったとの守備側のアピールが認められ大沢もアウトとなり、「四重殺」が成立した。公式記録上は三重殺である(第3アウトの置き換えにより大沢が第3アウトとなり野村に残塁が記録されたため)。
なお、このケースで守備側がアピールを怠っていれば、大沢の得点が認められ、いわゆる「ルールブックの盲点の1点」が入っていたことになる。
掲示板
6 ななしのよっしん
2017/11/04(土) 23:51:03 ID: mnHq9rpUms
無捕殺三重殺って響きかっこいいけど動き少ないから内容の凄さに比して見た感じは地味だよね。
7 ななしのよっしん
2022/04/11(月) 12:54:57 ID: iLM3O2h4Rq
https://
2021.8.14 獅vs鷲 1回表 外野フライで飛び出したランナー戻れず三重殺
https://
2022.4.10 獅vs鷹 5回表 バスターからサードゴロからの三重殺
8 ななしのよっしん
2022/08/18(木) 19:29:59 ID: 7kVE1fYlkj
第104回全国高校野球選手権大会
下関国際が大阪桐蔭を相手にバントエンドランの小フライから三重殺
甲子園ではめったに起きない(2013年以来の9度目)で、その後の勝利に影響するビッグプレーになった
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最終更新:2025/03/21(金) 20:00
最終更新:2025/03/21(金) 19:00
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