上海亭とは。
中華料理店やラーメン店の店名として一般的なものの一つ。資本・師弟関係に関係なく、上海亭と名乗る店は多い。
食べログに登録されている店でも全国で36軒あるが[1]、これはごく一部と推測され、実際にはこれ以上の上海亭が多数存在すると思われる。
機動警察パトレイバー及び、押井守が関係した作品に度々登場する中華料理店。
パトレイバーにおいては、1988年の初期OVA(アーリーデイズ)から2014年の実写版、ゲームに至るまで、多くの作品に登場している。特車二課に(他の店と比べて)程近い場所に位置しており、営業時間中は特車二課員の胃袋を一手に賄っている。他に出前可能な店舗がないこともあって独占状態ではあるが、故に毎日大量の調理と出前をこなさなければならず、これが店側にとっては大きな負担となっている。同時に、特車二課が特定の店に補給を依存しているという弱点にもなっている。後述するように、この弱点ゆえの事件も発生した。
パトレイバー以外では、ケータイ捜査官7第35話「ケイタのはつゆめ」において、押井守がパトレイバーのパロディを行った際に登場した。
正確な位置は不明だが、陸の孤島と呼ばれる特車二課に近いこともあって、店舗の周囲には特に何もない。むしろ特車二課が来るまでどうやって営業していたのか、不思議に思うほどである。
店を切り盛りするのは店主(オヤジ)と店員の二人。店主はTVアニメ版とゲームエディションでは崎宮駿、実写版では中国人になっている。従業員はTVアニメ版では「ツトム」と「マモル」、ゲームエディションは「まもる」、実写版ではスパイっぽい中国人である。
メニューは、TVアニメ版とゲームエディションでは多岐に渡る。ワンタンメン、餃子、ニラレバ炒め、天津飯、みそバターラーメンなど中華料理店でお馴染みのものから、カツ丼やカレーライスなど中華料理以外のものも用意している。
実写版でも五目ヤキソバやタンメンなどの注文を出したが、中国人のオヤジはチャーハンのみを受付け、大量に調理したチャーハンと中華スープ、付け合せのモヤシを寸胴などに入れて配達していた。
特殊な立地の特車二課の糧食を担う上海亭だけに、上海亭がなんらかの事案に巻き込まれたり、むしろ上海亭が原因の事案も発生した。
上海亭が関係した事案で最も有名なもの。TVアニメ版第29話「特車二課壊滅す」で描かれた。整備班が集団食中毒で壊滅状態になり、第二小隊からも被害者が出た。
事件の遠因は、従業員のツトムが日々の業務に不満を持っていたことである。彼は毎日多数の出前を特車二課に届ける仕事に嫌気がさしていた。ある日の午後、出前を催促する電話をかけてきた太田巡査に怒鳴られ、またオヤジからも怒鳴られたツトムは、以前からの計画を実行した。特車二課の出前を野良犬に与え、自分はそのまま逃走したのである。太田巡査から再三の苦情を受けたオヤジはツトムを捜索し、出前の残骸を発見し回収。この時に皿を洗わなかった事が、悲劇の直接的原因となった。出前が来ないことに腹を立てた太田巡査は上海亭に再度電話、オヤジと口喧嘩になり、特車二課と上海亭は断交状態に陥った。もしここで出前を諦めていれば、後の悲劇は起こらなかったであろう。
他の隊員から翻意を促された太田巡査はオヤジに侘びを入れ、改めて出前を注文し直す。しかし既に時間が遅いこともあり、オヤジは「野犬が出没する」と難色を示した。この言動に激怒した太田巡査はオヤジと再び口論。その結果、太田巡査は進士巡査を伴い、出前を警護する為に2号機で出動してしまう。太田が来ることになり調理に焦ったオヤジは、先述の洗っていない皿に次々と料理を盛り付けてしまう。これにより、野良犬の唾液等が料理と混ざった状態になってしまったのだ。
上海亭に到着した太田・進士の両巡査は、その場で料理を食べたことで急性の食中毒を起こし、これに恐怖を感じたオヤジは逃走し姿をくらます。一方で、進士・太田の両巡査と連絡が取れなくなった第二小隊は彼らを捜索するため、後藤警部補、篠原巡査、泉巡査が出動。後藤警部補らの出動から間もなくして、二課棟に進士巡査から電話がかかってきた。既に意識が朦朧としていた進士巡査は、「ここに来てはいけない」という旨だけ伝えて事切れてしまった。緊急事態を察したシバシゲオ隷下の整備班は、第二小隊の熊耳巡査部長らを残し、残存する総員で上海亭へ出撃する。
後藤警部補らは上海亭に到着すると、食中毒で倒れていた太田・進士の両巡査を直ちに保護。救急車で病院へと搬送した。この時に後藤警部補は二課棟へ電話をかけたが、既に整備班が総員出撃した後で連絡がつかず、とりあえず現場をそのままにして病院へと向かった。
後藤警部補らが現場を離れた直後、総員出撃した整備班が現場へ到着。上海亭の中に人気は無かったものの、オヤジが盛り付けた料理が所狭しとテーブルにならぶ「マリーセレスト状態」が広がっていた。元々昼食を採っていなかったことで空腹だった彼らは、目の前に置かれている料理を食べてしまい、集団食中毒を起こして倒れてしまった。上海亭には身動きの取れなくなった数十名の整備員がうずくまり、食中毒の原因となった料理の残飯が並び、周囲には2号キャリア、98式AV、乗用車、自転車が放置されたままになった。
事件後はオヤジも店に戻り、新たに雇用された「まもる」という従業員と共に営業を続けている。本件の反省を踏まえ、特車二課は警視庁に「居住環境改善要求」を度々だしている。しかし以後も特に改善の見込みは無く、鶏小屋の増築と課内における食料生産活動で窮をしのぐ状態が続いている。
上海亭自体が直接関わったわけではないが、後に大きな事案へと発展した出来事。新OVA第8話「火の七日間」で描かれた。出来事が起きた現場が上海亭であったことから、「上海亭の裏切り」と呼ばれるようになった。上海亭の裏切りを含む一連の出来事は「火の七日間」と呼ばれる。
事の発端は、榊整備班長が部下の整備員が二課棟内に隠匿していたAVやエロ本を発見したことにある。神聖な仕事場をポルノで汚されたと感じた榊班長は、隠匿していたポルノを焼却処分。さらに「整備班局中法度 Vol.2」を定め、整備員への締め付けを強化する。法度の中身は以下の通りである。
整備員は対抗措置として庁内LANを利用したエロ画像の回し見、缶コーヒーやカップ麺の闇取引、ハゼの密漁及び干物の密売をした。しかし、特にハゼの密漁と密売は一部の者に富の集約をもたらし、深刻な経済問題を招いた。このように、榊班長の時代に逆行するクロムウェル的施策は、整備員らの不満の蓄積及び労働・居住環境の悪化を招いた。
状況を打開するため、シバシゲオは若い整備員を代表して榊班長に直談判を行うことになった。一方で榊班長もまた思うところがあり、シバを伴って上海亭へと赴く。榊班長は不満を伝えようとするシバを穏やかにたしなめると、「整備の心を若い奴らに伝えたい、それができるのはシゲだ」と諭す。シバは、自身の窮地を救った榊班長を深く尊敬していた事もあり、その言葉に感銘を受けた。だが彼が受けた感銘とそれによる変節は、シバを極端且つ苛烈な白色テロへと駆り立ててしまった。この上海亭におけるシバシゲオの変節が、後に特車二課整備班を更なる混乱へと誘う「上海亭の裏切り」である。
シバは「本庁出身組」と呼ばれる榊班長直系の整備員を束ね、特車二課整備班風紀粛清統制委員会を設立。自ら突撃隊長に就き、風紀を乱した整備員に血の粛清を加え始める。統制委員会の取締りは干物密造工場の強襲、密漁船の拿捕、エロ本の押収など、局中法度で規制された活動に対して厳しく行われた。整備班内ではスパイや密告が横行し、時に二重スパイが暗躍することとなった。これら本庁出身組による苛烈な取締り及び白色テロの横行は、後に「黒い十月」と呼ばれることになった。
この弾圧に対し、反権力側も対抗措置として要人テロの実施を決定。神聖不可侵な榊班長への実力行使が忌避された為、整備員の憎悪はシバに集中、テロの標的となった。しかし要人テロは権力側の更なる報復の誘い水となり、特車二課整備班は二派に分かれてテロの応酬を繰り広げる事になった。
さらに抵抗組織がセクト化し、派閥抗争と内ゲバを始めたことで混迷の度合いは深くなった。セクトは一時、三派十一流にまで分かれた。主だったセクトは以下の通りである。
各セクトは最大動員時に於いても二桁に達することはなく、いずれかが優位を確立することも無く、セクト間の不毛な暗闘を繰り広げることとなった。こういった状況を招いたのは、元を辿れば榊班長の締め付けにあるものの、直接的にはシバシゲオの裏切りと粛清にあると言えるだろう。また整備員による思慮無き武力闘争路線もまた、自分たちの首を占める事に繋がったとも言える。
これらの非建設的且つ暴力に傾倒した闘争は整備員の疲弊を招き、また第二小隊長の後藤警部補が榊班長を説得したこともあり、七日間で収束した。尚、闘争が最も激しかった状況であっても、整備班は本来の機能を全うし特車二課の任務に支障が出る事は無かった。
余談だが。終盤でブチ山(ヲタク版)が貼っていたポスターのアイドル「都々目まこ」とは、ケルベロス・サーガの登場人物である都々目紅一と、複数の押井作品に登場している女優・歌手の兵藤まこをかけたもの(多分)。また都々目まこの楽曲「真赤な眼鏡」とは、現在ではケルベロス・サーガの第一作目に位置づけられた押井守監督の実写映画「紅い眼鏡」にかけている(恐らく)。さらに都々目まこのポスターと同じデザインのものが、紅い眼鏡にも登場している。そしてケルベロス・サーガとは、警察内部にあって武力行使による治安維持に固執する首都警特機隊が、自治警や首都警公安部と抗争を行い、果ては自衛隊と戦火を交える権力の内ゲバを描いた作品である。
再び上海亭の出前が絡んだ事件。テロリストに出前が狙われた。ゲームエディション第2話「補給線を守れ」で描かれた。
ある日のこと、特車二課はいつものように上海亭へ出前の注文を出した。注文をまとめたのは第二小隊に配属されて間もない、3号機指揮担当の空谷みどり巡査。その日の注文もいつもと変わらず、多種多様なものであった。だがかつての悪夢を思い起こさせるかのように、出前が来る事はなかったのである。そしてあの悪夢の日と同じように、太田巡査は上海亭に対し再三にわたり催促の電話をかけたのだが、ここでオヤジから思いもよらない事態が告げられた。店員の「まもる」が配達途中でレイバーに襲われ、出前の岡持を奪われたと言うのだ。
篠原巡査は、特車二課を狙ったテロリストによる兵糧攻めの可能性を主張した。兵糧攻めであるか否か、被疑者が確保されていない状況では動機は判然としないものの、客観的事実として特車二課の出前が奪われたのは間違いない。そこで熊耳巡査部長の発案で、囮の配達を特車二課棟へと走らせ、出前を奪うために現れたレイバーを第二小隊で確保することになった。民間人を危険に晒すわけには行かないため、囮は太田巡査が行った。
上海亭側に1号機、二課棟前に3号機を配置して待伏せていると、2機のレイバーが出前を奪うために現れた。上海亭側のものは1号機が確保し、太田巡査を追いかけたもう1機は3号機が確保。被疑者は検挙され、松井刑事に引き渡された。
被疑者はやはりテロリストであった。しかし篠原巡査が推測したような、兵糧攻めなどという戦略に基づく行動ではない。彼らは内部抗争から組織を終われ、レイバーを盗んで逃走・潜伏。空腹で困っていたところ、たまたま上海亭の出前を目撃し、これを強奪したのであった。
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最終更新:2024/03/28(木) 23:00
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