古代日本において下駄の前身となる足駄が誕生し、それから戦国時代までほとんど形を変えなかったが、江戸時代に入ると様々な形の下駄が生まれ、明治時代には現在とほとんど形の変わらない下駄が作られるようになった。
二枚歯の駒下駄、歯を持たないサンダル型の右近下駄、傾斜のついた大きな前歯を持つ千両下駄(後歯の形状によっては大町下駄・小町下駄・後丸と呼ばれる)、朴歯の高下駄、一本歯など様々な種類がある。
昔は三本歯の下駄もあり、黒塗りのものを花魁が履いていた。歌舞伎では女性が背の低い一本歯下駄を履くこともあったという。
なお、田下駄と呼ばれる農耕具があるが、履物の下駄とは別物とされている。
ほとんどの下駄は木製で、足をのせる「台」に穴を開け鼻緒を挿げることによって作られる。
二枚歯の駒下駄という下駄には、足を乗せる台と歯を接着して作る「継歯」(天一、天二などと呼ばれる)と一つの木の塊から作る「連歯」(並柾、真物などと呼ばれ、高級なものは本柾・糸柾と呼ばれる)がある。
他には一本歯や高下駄など、堅くて丈夫な朴を使った歯を台に差し込む「差し歯」というものもある。歯が丈夫な上に取り換えることができて経済的ではあるが、歩くのに慣れが必要である。
また、差し歯下駄が滅多に履かれなくなり、歯入れ職人が次々と廃業しているため、差し歯を台と接着したものも増えてきている。
山伏は一本歯の下駄を履くことがある。また、天狗も一本歯の下駄を履いている。
山道などの坂道では台が傾かないため、一本歯が歩きやすいとされる。ただ、下り坂は慣れないとかなり怖い。
他にも、一本歯はトレーニングに使われている。
近代に入ると洋服に下駄を合わせるファッションが生まれ、ボロボロの学生服などに朴歯の高下駄を履く『バンカラ』というスタイルも生まれた。
これは当時、西洋文化(ハイカラ)の流入に対抗する精神によって生み出されたものである。一説によると浮ついたものには目もくれず、身なりも気にならないほど勉学に勤しんでいることを表現しているらしい。
現在、その精神はほぼ廃れてしまったものの、このファッションを継承している学生は全国の高校・大学に少なからずいる。
ちなみに坂本龍馬は和服にブーツを取り入れていた。
踵を少し出して履くことが良いとされているが、これは他人が下足を見たときに持ち主の足を小さく思わせるため(纏足が有名だが、中世・近世の西洋でも主に貴族階級において小さい足が好まれるなど世界中で小さい足が好まれる傾向があった)という説と着物の裾を踏まないようにするためという説がある。
一般的に、冠婚葬祭やパーティなど格式が重んじられる場では下駄を履くことができず、草履(雪駄も草履の一種)を履くべきであるとされる。
ただし、雪国では草履表の下駄(日光下駄など)は草履扱いになり、白鼻緒・白足袋着用であれば礼装として認められる。
地域・人によって独自のルールが存在するので要確認。
多くの下駄は軽くて丈夫な桐が使われており、桐以外で作られたものは雑木下駄と呼ばれる。
雑木は主にスギ、ヒノキ、ヤナギ科の樹木が使われているが、それらよりも桐のほうが軽く、衝撃吸収性が高いとされている。
特にヤナギ科(ドロノキやコットンウッドなど)の下駄は堅いため履き心地が悪く、やや割れやすい。ただ、近年は外国産の安い桐や継歯による量産体制が整っているので徐々に見なくなってきている。
近年、中国などで素早く育てられた安い桐による中国製下駄が多くなってきた印象だ。特に低価格の焼き右近下駄は中国製のシェアが圧倒的だろう。多くの着物初心者が最初に履く下駄は、おそらく浴衣セットについてくる中国製の安い右近下駄だと思う。
中国製のコストカット術は舌を巻くほどで、鼻緒には綿の代わりにスポンジを使い、簡単に挿げられるように前坪には金具や接着剤を使っている。後ろの縛り方はもれなく簡略化している。
もし不具合が起きて履物店に持って行ったとして、前坪にひょうたん型の金具を使っているだけであればその場しのぎの調整は可能だが、その他の金具や接着剤が使われていれば調整は絶望的で、その場合は鼻緒を買い直すことになる。
筆者の聞くところによると、浴衣セットについて来るような中国製の下駄で鼻緒擦れする人が多いようだ。
おそらく、鼻緒が緩いのと、生地の質が悪いのが原因だろう。特に柄物はザラザラしている印象なので、安物を買うのなら無地が無難だと思う。
残念なことに、日本製でも金具を使っている下駄が出てきたようだ。
筆者の近所の履物店で確認してもらったところ、前坪は接着剤を使っていなかったため調整可能だが、後ろが簡略化されており手の施しようがないとのこと。
後ろの縛り方を簡略化してしまうのは以前から日本でも行われており、昔ながらのやり方でやっている職人は今やごく僅かだそうだ。
今や「日本製」という言葉も鵜呑みにすることはできない時代となった。
以前は誰もが履いており、普通に履物として使用している場合は武器として認識されないため、創作の世界では暗器(隠し武器)として使用される場合がある。
その代表的なものとして『はだしのゲン』が挙げられる。この作品において主人公のゲンは自らの履いている下駄を手にはめ、喧嘩をしていた。
ゲンの場合は場当たり的に下駄を武器としているだけだったが、『魁!!男塾』では下駄を武器とする武術体系を身につけたキャラクターが登場する。この際使われる下駄は歯の部分に『刃』をつけており、他のキャラの日本刀などと同じようにメイン武器として使われている。
下駄の武器化をさらに押し進めると、妖力で空を飛ぶ『リモコン下駄』まで進化する。『ゲゲゲの鬼太郎』にて登場した鬼太郎の使うこの下駄は、一旦足から放たれると使用者の思い通りに空を飛び敵に衝突する。鬼太郎の切り札のひとつであり、数多くの妖怪たちを倒してきた恐るべき下駄である。
ちょっと横道にそれたところでは『南国少年パプワくん』において天候を自由に操ることのできる下駄が登場。靴/下駄を放って地面に落ちた際に上になっている面で明日の天気を占うという遊びから作られたものであるが、局所的とはいえ自在に天候を操る天候兵器であった。
直接は武器に使われていないがガンダムシリーズの宇宙世紀でも下駄は登場する。『機動戦士Zガンダム』においてもビルスーツの行動範囲を広げるための補助兵器として『ゲター』が登場。名前の通り、下駄が元となっている。補助兵器であるためゲター自体は武器を搭載していないが、モビルスーツを載せて戦場に現れる場面が描かれている。
勇者シリーズや一部のロボットもの、戦隊ものなどには、いわゆる「グレート合体」と呼ばれるパワーアップ合体方式があり、主人公ロボットがサポートロボットと合体して最強状態になるものがある。その合体形式は多くの場合サポートロボットが強化パーツへと分割され主人公ロボットに装着される。その際、足を延長するパーツの多くはまるで下駄のように履かれる事から、慣用表現の「下駄を履かせる」と意味を揃えて「下駄合体」などと呼ばれる。
音に聞くと揶揄のように思えるが、下駄合体は勇者シリーズにおいては前身である「トランスフォーマーV」の更に前身である「トランスフォーマーマスターフォース」から連なる伝統的な合体方式であり、下駄が最強パワーアップ用パーツである事に疑う余地は無い。
なお、下駄のようにパーツを履く合体のみを下駄合体と言うので、脛以下を包み込む、または換装するような合体は「下駄合体」とは呼ばれない。
似たような強化パーツ合体に「背負い物」「羽合体」があり、それも言葉を換えただけで本義は下駄合体に等しい。
生活に密着したものであったため、いくつかの慣用表現に使われている。
また、自作PC界でも、CPUのソケットを変換するパーツを下駄と呼んでいる。slot1をsocket370に変換するものなどが著名である。
掲示板
17 ななしのよっしん
2016/12/02(金) 18:44:36 ID: AQq7RZ2k1P
通販だとどうしても写真と説明文のみが情報源なので心当たりと言っても、やはりオススメできるものではありませんね
18 ななしのよっしん
2019/05/06(月) 07:10:09 ID: W27Ti8THLW
「下駄を履くまでわからない」の話は無しか
言うてあんま関係ないけども
19 ななしのよっしん
2021/05/11(火) 06:42:53 ID: WlFlew9yjA
油足だから夏は雪駄はきだしたんだが、田舎なもんだから砂利や泥がはいってきて困ってたが、ゲタなら高いから入らないよな。
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最終更新:2025/03/27(木) 10:00
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