世襲議員とは、議員の一形態である。
世襲議員について、次の2つの定義が考えられる。
議員の地位を親から世襲した議員の典型例は、明治憲法の時代における貴族院の皇族議員や公爵議員や侯爵議員である。皇族男子や公爵男子や侯爵男子は、一定の年齢に達すると自動的に貴族院議員になった。皇族たる地位や公爵・侯爵といった爵位は世襲されていたので、貴族院議員の地位も実質的に世襲されていたことになる。
地盤・知名度・財産を親から世襲した議員は、日本国憲法の時代において多く見られる。世襲議員家の一覧という単語記事には大量の世襲議員が列挙されている。
後援会などの地盤を親から世襲した議員は、親から名字を受け継ぐし、「親の名前と似た名前」を受け継ぐことがある[1]。こうして知名度までも世襲する。
さらに、日本の税制では、政治家の親が政治家の子に遺産を相続させるとき、親の政治団体から子の政治団体へ寄付するという方式を使うと簡単に相続税を回避できる。日本の政治家一族にとって日本はパナマよりもはるかに安全で確実な租税回避地(タックスヘイブン)である。日本の政治家たちがパナマ文書に登場しないのはこのためである[2]。
後援会のことを地盤(ジバン)と呼び、知名度のことを看板(カンバン)と呼び、財産のことを「紙幣が詰まったカバン」に見立てる。後援会・知名度・財産の3つを「三バン(サンバン)」という。三バンが親から子へ世襲され、「選挙で当選しやすい体制」が継承される。このため親から子へ議員の座が世襲されているかのように見える。
世襲議員の長所の1つは、優秀な人が永遠の命を保っているように人々を錯覚させるところである。とくに実子の世襲議員はそういう長所を強く持つ。
優秀な人物Aが国会議員に当選し、内閣に入って国務大臣の地位を得て活躍するとする。AにBという実子がいて、AとBは顔がよく似ていて名前も似ているとする。AからBに後援会などの地盤が世襲され、「選挙で当選しやすい体制」が継承され、BがAと同じような活躍をすると、BがなにやらAと同一の存在であるかのように見え、Aが生き続けているように見える。世の中の人々が、「優秀な人物Aが永遠の生命を得てこの世に生き続けている」というような錯覚をおぼえ、「優秀な人物が滅びることなく存在し続けている」と確信して安心するようになり、人心の安定を生む。
世襲議員を見て人々は「なんだか優秀な人が永遠の生命を得て生き続けているようだ」と錯覚することは、宗教の信者が「なんだか優秀な人が永遠の生命を得て生き続けているようだ」と錯覚することと非常によく似ている。
宗教というのは、教義において「皆さんの信仰対象はもの凄く優秀な存在である。そしてその信仰対象は、永遠の命を得てずっとこの世に存在し続けている」という教義を持つことが多い。仏教でもキリスト教でもイスラム教でもそういう教義が見られる。人という生物は、優秀な存在が滅びることを見て不安に感じ、優秀な人が生き続けると確信することによって安心する。人のそういう性質を熟知している宗教団体は、「優秀な存在が永遠の生命を得て存在し続けている」と信者に言い聞かせることによって、信者を安心させている。
つまり、世襲議員は神や仏と同じような役割を担っているのであり、人々の信仰対象になっているのであり、ある種の宗教的存在である。
世襲の立候補者は、非・世襲の立候補者に比べて、知名度が高くて当選しやすくライバル政党に議席を奪われにくいという長所がある。
Aという議員が引退するとき、子のBがその後援会を引き継いで立候補するか、子以外の秘書のCがその後援会を引き継いで立候補するか、子以外の子分議員のD(Aが国会議員である場合、都道府県会議員や市区町村議会議員が子分議員になりやすい)がその後援会を引き継いで立候補するか、のどれかになりやすい。
この場合、Bの方が「Aと同じ名字」という理由で知名度に恵まれており、当選を果たしやすく、ライバル政党に議席を奪われにくい。
このため「○×党が政権与党になり続けないと日本が滅ぶ!△◇党が政権を奪うのは悪夢である!『悪夢の△◇党政権』を繰り返してはならない!」といったことを言いながら選挙における○×党の勝利を目指す人は、世襲議員を大いに支持する傾向がある。
世襲議員の短所は、階級社会を生むところである。社会が「世襲議員を含む上位階級」と「世襲議員を含まない下位階級」の2つに分裂する。
世の中には様々な階級社会が存在するが、どの階級社会も共通して大きな欠点を抱えている。階級社会になると、人が「所属する階級が異なる人」に対して話しかけることをためらう社会になり、人が「所属する階級が異なる人」に対して積極的情報提供権(表現の自由)を行使することを遠慮する社会になり、情報伝達が盛んに行われない社会になり、風通しが悪い社会になる。
「国務大臣を複数輩出した家系の世襲議員」に対し、人々は心理的な壁を感じて「この世襲議員は自分とは出来が違う存在なので話しかけるのを遠慮すべきだ」と考えるようになり、積極的情報提供権(表現の自由)を自ら封印するようになる。
「国務大臣を複数輩出した家系の世襲政治家」は、人に話しかけられにくい存在であり、民意を吸収しにくい存在であり、幅広い層から情報を収集することを行いにくい存在であり、「情報が盛んに流通して欠点が即座に修正される社会」を作り出しにくい存在である。
自民党などの政党において世襲議員への批判が繰り返されている。そのため自民党では2009年衆議院議員選挙のマニフェストにも世襲制限の公約が記載された。しかしその後の自民党は世襲を容認する方向に傾いた。詳しくは自由民主党の記事を参照のこと。
掲示板
33 ななしのよっしん
2024/02/15(木) 02:26:13 ID: K1uJxld6D8
「結果的に」世襲政治家になるなら仕方ない(親が政治家の家にたまたま生まれたらその子は能力があっても政治家になれないなんて逆におかしい)と思うけど最低限の公平性は保ってほしいと思う、
具体的にはアメリカの大統領の任期制限みたいに選挙区ごとに当選回数の上限つけるとか親と同一の選挙区からは出馬できないとか
日本の世襲政治家は政治資金から票田まで文字通り親におんぶにだっこされてるボンクラが多すぎ
無能なだけならまだしも余りにも典型的な親の七光りだから親世代が悪事働いてても何も言えないし
それどころかそのまま黙ってりゃいずれ自分の分が回ってきて美味しい汁啜れるから告発するメリットもないっていう悪いところばかり知恵が回る見本みたいになってる
34 ななしのよっしん
2024/03/06(水) 03:03:18 ID: +lGAkhtJXH
やっても無駄だよ。子供がでれないなら血縁関係のない秘書なり友人なりを擁立して何が何でも基盤を継承させるだけだよ。そしてそこまで制限したら立候補の自由に抵触するし現実的じゃない。
世襲が問題なのではなく、世襲でも当選できてしまう国民の見識の方を変えるべきであって、議員側の実力や基盤を削ろうとするのはおかしい。
世襲側を変えようとしても抜け道を使われて歪な結果にしか終わらないと思うよ。公平性というならトップダウンではなく、弱小や泡沫の救済を行うボトムアップ方式で世襲議員との格差をなくす方で考えたほうが良いと思う。
35 ななしのよっしん
2024/03/30(土) 22:09:37 ID: j6WndAYH6n
供託金制度や世襲に文句言う奴はそれらを取っ払ってN国の擁立したような候補が乱立したら文句垂れるだろ
既存政党や世襲のバックアップがあるには有利だがあの辺の政党の躍進を防いでいるわけだが与党参政党とかへずまりゅう議員とかにお前ら耐えれんの?
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最終更新:2024/04/20(土) 07:00
最終更新:2024/04/20(土) 07:00
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