中判カメラとは、スチルカメラの一種である。
120フィルムを使用したカメラをこう呼称し、デジタルカメラの分野でも35㎜フルサイズより大きなイメージセンサーを使ったカメラが中判デジタルカメラと呼ばれている。
より大きなフィルムを使用するカメラは大判カメラと分類される。
35ミリ判に使われている135フィルムより面積の大きな120フィルムを使っており、高画質で引き伸ばしにも強いので広告写真などプロの世界に多用されているカメラである。またプロではなくとも趣味で愛用する者も多い(実際にハッセルブラッドのVシステムはプロよりもアマチュア市場の方が大きかった)。
日本では120フィルムがブローニーフィルムと呼ばれている。これはコダックのカメラブランドであるブローニーに由来する。最初に日本で知られたブローニーが120フィルムを使用するタイプだった為に、日本では120フィルムがブローニーフィルムと呼ばれる様になった。因みにブローニーには他のフィルムを使用するモデルも多数あり、ブローニーが必ずしもブローニーフィルムを使うのではない。
フィルムが大きい為に一般層に普及した35ミリ判のカメラよりボディは大きく重くなってしまうが、それでも大判カメラよりはずっと持ち運びし易く手持ち撮影も可能である。大判カメラに使われるフィルムがシートフィルムなのに対して120フィルムは135フィルムと同じくロールフィルムなのも使い易さの一端であろう。
カメラの構造は多種多様でレンジファインダーもあれば一眼レフもあり、レンズ一体型もあればレンズ交換式もあった。更にはレンズのみならずファインダーやフィルムバックの交換式もあり、例えばフィルムバックの交換で複数のフォーマットで撮影が可能となる。
35ミリ判と同様に時代と共に性能や機能が向上しており、銀塩時代の末期には一部ではあるが自動露出や、果てはオートフォーカスまで搭載した機種もあった。それらは深い知識や高い技術が無くとも、35ミリ判カメラの感覚で簡単に使える。
一部の機種では120フィルムの二倍の長さを持つ220フィルムにも対応しており、220フィルムを使うと撮影可能枚数も長さに応じて二倍となる。
同じフィルムを使用しながらも使用する面積に違いにより以下のフォーマットに分かれる。大きなサイズになるほどフィルム一本で撮影出来る枚数は減る。
何れも実際の画面サイズはフォーマット名よりも少し小さくなる。
尚、フォーマット名は口頭では『ろくよんご』、『ろくろく』などと発音される。
120フィルムでは最も小さなフォーマットでありセミ判とも呼ばれる。中判カメラとしてはボディを小さく出来、一部の機種ではオートフォーカスにも対応した。
正方形の写真が撮れるスクエアフォーマット。ハッセルブラッドのVシステムが採用しているのもあり大変に人気が高い。また二眼レフカメラの大半がこのフォーマットである。
6×6㎝判より少し横に長く、キャビネ判と同じ縦横比率のフォーマット。6×4.5㎝判から6×7㎝判までが比較的に製品数も多く、一般層にも馴染み深い。
これより上には6×8㎝判、6×9㎝判、6×12㎝判、6×17㎝判などがある。
以下に一部ではあるが代表的な機種の名前を記す。
フォーマットは6×6㎝判。
ハッセルブラッドを代表し、取り分け503Cシリーズの人気は高い。その上品で高級感のある佇まいに多くの愛好家が憧れの眼差しを向けた。
デジタルへの移行に伴い銀塩中判カメラは中古で安価に手に入るが、Vシステムはその人気から高値である。
フォーマットは6×6㎝判。
ローライより生み出された二眼レフカメラの代表格にして最高峰。日本の二眼レフ市場にも多大な影響を与えた名機である。レンズや仕様の違いで多くのバリエーションがある。
非常に高価ではあるがローライフレックス2.8FX、4.0FW、4.0FTは今でも新品の購入が可能である。
フォーマットは6×4.5㎝判。
645、645N、645NⅡの三種が発売され、初代のみがマニュアルフォーカスで二代目からはオートフォーカスを備えている。
フォーマットは6×7㎝判。
35ミリ判の一眼レフをそのまま大きくした様な外見で通称バケペン。
初代はペンタックス6×7の名で発売されその後ペンタックス67に改名されている。また後継機にしてシリーズ最後のペンタックス67Ⅱがある。
フォーマットは6×7㎝判。
縦位置と横位置を変更出来るレボルビング機構、接写撮影に強い蛇腹など豊富な機能を有し、プロの世界で定番機種であった。フィールドカメラの雄がペンタックス67ならば、それと並び立つスタジオカメラの雄である。
RBは機械式でRZは電子式である。
フォーマットは6×7㎝判。
レンズ交換式のレンジファインダーカメラで、その完成度は非常に高い。後継機のマミヤ7Ⅱではファインダーの視認性が著しく向上しており、その差が中古市場での相場にも表れている。
その前に発売されていたニューマミヤ6シリーズは6×6㎝判フォーマットで、レンズに沈胴機構を採用しており携帯性に優れる。
フォーマットは6×9㎝判。
35ミリ判と同じ縦横比の6×9㎝判を採用しておりその画面サイズから観光地での集合写真に重宝された。
フォーマットは6×4.5㎝判。
レンズ固定式でオートフォーカスを搭載した言うなれば中判バカチョンカメラである。外観は高級感があるとは言い難いが最も手軽に扱える中判カメラであった。
殆どの機種が単焦点だがGA645Ziプロフェッショナルは倍率は低いながらズームレンズを搭載している。
レンズ固定式のレンジファインダーカメラで、GF670Wの方が広角のレンズを搭載している。6×6㎝判と6×7㎝判のフォーマット切り替えが出来るのも特徴。またGF670の方はレンズを折り畳める蛇腹カメラ。
何れもトイカメラ。
ルビテルは二眼レフ。
ベルエア6×6㎝判、6×9㎝判、6×12㎝判と多くのフォーマットに切り替えられるのが特徴。当初はプラスチックレンズのみであったが、後にはガラスレンズも追加された。
ダイアナプラスはダイアナカメラの復刻版である。
35㎜フルサイズよりも大きなイメージセンサーを搭載したデジタルカメラが中判デジタルカメラである。小型カメラと同様に中判カメラも主流はデジタルに移行しつつある。
カメラボディに(銀塩カメラのフィルムバックに相当する)デジタルバックを装着して使用する他、ボディとバックが一体型の製品も存在する。分離型はデジタルバックの交換によりカメラボディはそのままでより高性能、高機能のデジタルカメラにする事が出来る。
イメージセンサーのサイズには44×33や36×48などがありセンサー面積は何れも120フィルムに追い着いていないが、フェーズワンやハッセルブラッドのハイエンド製品に採用されているセンサーサイズは6×4.5㎝判に肉薄している。
マミヤ・デジタル・イメージングと提携し共同開発でカメラボディとデジタルバックから成る中判システムを製造、販売している。早くからデジタルバックを扱っておりこの分野では老舗である。
フェーズワンブランドで展開すると同時に同等品のカメラボディをマミヤブランド、デジタルバックをリーフブランドでも販売している。
富士フイルムと共同開発でレンズ交換式のHシステムを販売している(H1は富士フイルムのGX645AFプロフェッショナルと同等品)。
当初はデジタルバックは手掛けておらず、H1やH2には他社のデジタルバックが対応していた。後にボディとバックがお互いに専用となる路線へ一本化し、他社製デジタルバックは取り付けられなくなった。
ペンタックスブランドにて645シリーズのデジタルカメラを販売している。645の名を冠しているものの前述の様にセンサーサイズは6×4.5㎝判よりも小さい。ただ従来と共通のレンズマウントを採用しており、嘗て発売されたレンズを使う事が出来る。
デジタル用にもペースは緩慢ながら新しいレンズが発売されている。しかし645Zの後に発売されたレンズはイメージサークルが645Zのセンサーに最適化されており、銀塩カメラのペンタックス645シリーズでは使えない。
645Dの発売時は販売価格が100万円を切った80万円と言う価格で、中判デジタルカメラとしては非常に安価であると話題になった。APS-Cやフルサイズのデジカメと比較すると高価に思えるが、フェーズワンやハッセルブラッドの製品が数百万円と言えば如何に破格であるかが分かるであろう。
後継機の645Zが発売された折には、メーカーは月産400台を目論んでいたが予約注文のみで1500台となり供給が追い着かず、『100万円もするカメラが大人気』とウェブニュースなどで取り上げられた(ボディ本体は100万円を切っているので、100万円のカメラと言うのはレンズを含めての表現と思われる)。
大判カメラで有名なジナーと共同開発で、Hy6シリーズを販売している(最初のモデルはジナーブランドでも売られていた)。
Rシリーズの後継に位置する一眼レフのライカSシリーズを販売している。
45×30と言う独自のセンサーサイズを採用しており、縦横比がライカ判で同じである。中判カメラでありながらニコンやキヤノンの35㎜フルサイズフラッグシップカメラよりもボディは小柄である。
余談ではあるが最初の製品はライカS2であるが、これは以前にライカS1と言う製品が存在した為である。S1はライカ初のデジタルカメラであり、一般的なデジカメとは異なるスキャンタイプであった。非常に高価で日本では数台しか売れなかったと言う。
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最終更新:2025/12/10(水) 07:00
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