今川良真とは (イマガワヨシザネとは) [単語記事]

今川良真（いまがわ・よしざね　1517 ～ 1536）とは、駿河国の戦国武将である。玄広恵探（げんこうえたん）としても有名。今川氏親の三男。兄に今川氏輝、今川彦五郎。弟に象耳泉奘、今川義元、今川氏豊がいる。

生涯

今川氏はここまで二度の御家騒動を起こしていた。4代・今川範政から5代・今川範忠の家督相続と、6代・今川義忠から7代・今川氏親の家督相続である。

父の死後は長兄・今川氏輝が8代当主として家督を継いでいたが、病弱であったものの治世10年間は安定したものであった。しかし、1536年3月17日に亡くなってしまう。しかも、同日に次兄・今川彦五郎も亡くなってしまった。

一般的に氏輝は病死扱いとされているが、兄弟二人が同日に亡くなったために何かしらの累が及んだものと思われる。なので、毒殺説もある。

氏輝らが跡継ぎなく亡くなったことで、後継者を誰にするかが問題となった。候補の一人は氏親の三男である玄広恵探であり、母方の福島氏がバックアップすることになった。その中心にいたのが北条綱成の父・福島正成である。もう一人は今川氏輝・今川彦五郎の同母弟である栴岳承芳（以降今川義元）であった。彼の母親は氏親の正室・寿桂尼であり、これに太原雪斎が支持した。還俗して足利義晴の偏諱を賜り、義元と名乗ったが事態は混迷を深めた。

定かではないが、恵探も対抗手段として還俗したとも言われ、良真と名乗ったとされている。現に墓に『良真』の文字が刻まれているという。ただ、何故この名前にされたのかは定かではない。今川氏の通字は『氏』『範』であるし、良真以外の兄弟は全員『氏』の字がついている。（今川義元の別名にも『今川氏元』という名前がある）

三度目の御家騒動勃発となったが、家臣たちの支持は正室の子である義元に多く集まっていた。劣勢の状態である事は否めなかったが、それでも義元と戦うことを決意する。寿桂尼もこの状況を憂慮しており、5月24日に説得を試みるも良真や福島正成らの意思は固く、交渉は破綻していよいよ開戦へと動いた。これが『花倉の乱』の始まりである。

翌25日に久能山で挙兵し、そこから一気に山を駆け下りて今川館を急襲した。義元側もそれを事前に察知しており、城の守りを堅くしてこれをよく防いだ。結局この奇襲は失敗したため、花倉城と方ノ上城を拠点として義元に抵抗することにした。遠江の国人衆の一部は良真に味方している。しかし、北条氏綱が義元に味方することを表明したため、義元は攻勢に打って出て6月10日に岡部親綱が方ノ上城を攻め落とした。

花倉城に閉じ込められた良真は、殺到する義元軍に対し死力を尽くして耐えていた。だが結局は多勢に無勢であり、城を捨てて逃亡し、6月28日に普門寺で自害した。こうしてわずか1ヶ月で『花倉の乱』は終息し、義元の家督相続が確定したのである。

花倉城は静岡県藤枝市にある。2.5km南に新東名高速道路の藤枝PAが目印。
方ノ上城は静岡県焼津市にある。2km南西に東名高速道路の焼津 ICが目印。

補足

「信長の野望」（PC）シリーズにおける今川良真の能力一覧。

天道PKで初登場し、花倉の乱イベントが再現された。しかし高性能な義元を追放して彼を後継者に指名しない限り、武将として登場する事はないのが残念（例外は仮想シナリオ）。なにかと主役・織田信長の引き立て役という感の強かった今川義元だったが、この天道PKから一気にイケメン化し、こうしたイベントが追加されたりと存在感を高めた。