優駿とは、以下のことを表す。
1941年創刊で、日本のお役所(正確には違うか)が発行する広報誌としてはぶっちぎりの売上高を誇る。
毎月、前月に行われた開催の結果を綺麗な写真入りで掲載するのはもちろん、貴重な映像を納めたDVDとか面白げな読み物とか、専門的な馬についての書き物がいろいろ出ている。馬が好きなら一度は読んどくと良いよ。というか毎月買うとなお良いよ。700円はちと高いけど。
昔は馬主資格を持っていると唯で送られてきたらしいが、今では経費削減のために取りやめになっているとか。まぁ、売り上げが最盛期の半分以下になっているしね。馬券。
作家、宮本輝が1986年に発表した小説。彼はこの作品で吉川英治文学賞を受賞している。あと、JRA馬事文化功労賞を受賞してもいる。
オラシオン(スペイン語で祈りという意味)と名づけられた1頭の競走馬がダービーを制覇するまでを書いた小説。正確には、その周りを取り巻く牧場の若者、馬主、馬主の娘、馬主の秘書、調教師、騎手など数々の人々の生き様を通してオラシオンの周りで起こるさまざまな出来事や運命を描き出す物語である。
複雑に絡み合う人生が、オラシオンという1頭の馬によって一つに紡がれ、ダービーのゴールという瞬間に結実して行く。どろどろとした人間模様あり、悲しい別れあり、少しHなシーンあり、もちろん大迫力な臨場感あふれるレースシーンあり。美しい北海道の自然から、情け容赦なく厳しい牧場経営の実態と、馬に賭ける熱い人々の夢。それらが宮本氏の華麗で簡潔な筆致で描き出される様はまさに圧巻。最後の判定待ちシーンではマジで息を呑んでしまい、自分が本当にオラシオンの前で勝利を祈っている気分になる事請け合い。
競馬が好きなら確実に読んで損は無く、というか、必ず読んでおくべき名著。競馬を知らなくても社会派小説としても大傑作なのでお勧め。
ちなみに、この小説では馬はしゃべらないし二本足で立っても歩かないのでよろしく。
4を映画化したもの。正確には「優駿 ORACIÓN」が正式名称。ぶっちゃけ編集者がこれまで見た中でも一二を争う原作レイプである。原作レイプとかいう以前に多大な犠牲も払っている。これはひどい。
フジテレビ開局30周年記念として1988年に公開された。主演に当時人気絶頂だった斉藤由貴や緒方直人、吉岡秀隆、加賀まり子などを配し、JRA全面協力の下、かなりの金をかけて製作されたと思われる。
しかしながら、原作の複雑で重厚な物語を2時間に収めるのはやはり無理だったのだろう。物語の難しい部分を大胆にカット。単純化した結果、まったく薄っぺらい物語が出来上がってしまい、挙句にそれでもやはり尺が足りず、説明不足が目立つという有様。おいおい。
さらに、JRAが全面協力したはずのレースシーンでもなぜか馬に何の迫力も見出せない。関連動画で見てもらえば分かるが、なんか馬がドタドタ走っている?
…これには裏話があって、本来最後のレースシーンは1987年の実際のダービーを撮影して使用する予定だったのである。ところがこの時、競馬のことをよく知らないスタッフはすべてのカメラを一番人気だったマティリアルに向けてしまったのである。誰か忠告してやれよ…。この年のダービーは皐月賞馬が脱落しての混戦ダービーだぜ…。(一応マティリアルは単枠指定、2.4倍の一番人気と前評判は凄かったんだが、それで結果がわかるのならレースは要らない)。
ところが、案の定というかなんというか、マティリアルは18着に惨敗。よりにもよってマティリアルには似ても似つかない四白流星栗毛のメリーナイス(4番人気)が6馬身差のぶっちぎりで勝ってしまっていた。ちゃんと撮っていれば他がダメでもこのシーンだけは圧巻だったはずなのに…。
「本物のダービーのゴール前映像を使う」「この年のダービー優勝馬がオラシオンのモデルになる」ということは大々的に宣伝した以上後には引けず、メリーナイスに似た仔馬時代と成馬時代のオラシオン役となる二頭の馬を見つける所からスタート。しかしここでメリーナイスの特徴「四白流星栗毛」が立ちはだかる。そのような都合のいい馬がなかなか見つからなかったため、仔馬・成馬二頭の四白栗毛を見つけ、メリーナイスの特徴だった大流星を化粧で描いてまでして何とかオラシオン役は確保。
しかし本当の問題はレースシーンであった。これは引退して乗馬をやっていた馬を動員して撮影したものである。ところが、撮影時うまいことオラシオン(役の馬)が勝つ展開にならなかったせいで何度も撮り直されたのである。しかも迫力を出そうと引退した馬達を無理に激走させたために故障した馬が続出したという。…ここでいう「故障」が「予後不良」でない事を祈るばかりである。
競馬映画なのに道理で馬が走るシーンが少ない筈だ…。それにしてもカット割りの下手さだとか何とかはどうしようもない。
そもそも小説のオラシオンは青鹿毛だった筈なのに(まあこれは本来レース映像優先のためなんだろうけど…)。もちろん、メリーナイスは何も悪くないのだが…。
ほかにもいろいろ競馬的におかしいところがあるので、確かめて見たい人は見たら良いと思う。牧場風景とか朝の調教シーンとかはちょっと良かったし、根本騎手等の昔の騎手がちょっと出ているので、それ目当てでも良いかも。メリーナイスの雄姿がばっちり映っているのでメリーナイスのファンにもお勧め。空馬で走っている恥ずかしいシーンもあるけど。なぜか第32回有馬記念の映像が使われているので勝ち馬のメジロデュレンも一瞬、大写しになります。
だかしかし、絶対に原作を読んでから見てはいけない。発狂します。あと、サクラスターオーのファンも見てはいけない。痛ましいスターオーの姿が・・・。なんであんな映像を入れたのか!
恐ろしいことにこの映画、240万人もの人が見て、30億円もの興行収入が上がる大ヒット作なのである。原作好きはマジ涙目だよ!無論競馬ファンからも不評。誰得なのこの映画…。
まぁ、見た人の中から競馬や原作に興味を持ってくれる人が出たんじゃないか、という事を祈るしかない。
掲示板
14 ななしのよっしん
2022/06/28(火) 22:26:02 ID: 3WDIjPeVwe
フジっていうと競馬中継のイメージがあるけど当時はどうだったんすかね。まあスポーツなりドキュメンタリなりの経験があるスタッフいればわかりそうなもんだが。
その辺書いた記事ないかと思ったが大百科って競馬番組関連はあんまりないのね。
15 ななしのよっしん
2022/07/01(金) 19:13:06 ID: gyghDjZgZ1
一昨日BSでやってたから見たけどセリフが全然聞き取れなかった
16 ななしのよっしん
2023/06/25(日) 13:54:39 ID: 4+aEHpDEiG
昔のでもこんなんなんだなぁ ちゃんとした映画はちゃんとした人達で作られてるんやで
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最終更新:2025/02/17(月) 10:00
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