光岡・オロチとは (ミツオカオロチとは) [単語記事]

光岡・オロチ（大蛇・Orochi）とは、光岡自動車が生産販売していたスポーツカーである。

経緯

相変わらずおかしな個性的なデザインの車ばかり作る光岡自動車が「自動車人気復興大作戦」と銘打って世に送り出した車。そしてその光岡車の中でも特に異彩を放つ怪物。

オロチは、ファッションスーパーカーというコンセプトに基づいて形作られた車である。

当初はホンダ・NSXにボディをかぶせたものを2001年にコンセプトカーとして発表したが、その後自社製のシャシに変更するなどの紆余曲折を経て2006年に予約を開始した。

後に廉価モデルである「大蛇・零」や限定モデルの「大蛇・兜」「オロチ・ゴールドプレミアム」等を販売したが、保安基準やパーツ供給の問題から2014年に生産を終了。最終モデルとして「ファイナル・オロチ」が5台限定で販売されたのを最後に、オロチはその短い生涯に幕を下ろした。

と思っていた2014年 11月、突如セブンイレブンと共同で「新世紀エヴァンゲリオン」とのコラボモデル「エヴァンゲリオンオロチ」を1台限定で発売するという謎の展開を迎えた。カラーリングは山下いくと。値段はセブンイレブン史上最高販売価格となる1600万円。11月30日まで申し込みを受け付けていた。
なお、このエヴァンゲリオンオロチは新車ではなく光岡が所有していたものをカスタマイズした車である。残念ながら生産が復活したわけではなかった。

概要

キャッチコピーは『このクルマは、如何なる獲物も、喰い破る。異端系、最上位クラス。』。

この車の最大の特徴は、なんといってもそのデザインにある。
オロチの名の通り蛇（ヤマタノオロチ）をモチーフとしたエクステリアは曲線が多く使われており、まさにキャッチコピー通りの今にも毒牙を剥いて噛みつきそうな有機的かつ怪物的フォルムとなっている。きゃあ、モデラーごろし。
この奇怪なデザインには賛否両論あるものの、これこそが他の車には無いオロチの特異性である。というかこんな車がそうそうあってたまるか。
さらに日本車としては珍しく幅広で車高が低いため、オロチを知らない人に「これ日本車なんだぜ？」と言うとびっくり仰天すること間違いなし。興味を持たれるとは限らないが。

このように異端の車として君臨するオロチだが、その内面は意外にも大人しい。
一般的にスーパーカーというと高速性能を重視しておりどうしても日本の道では走りにくく、乗り心地も悪いと思われがちだが、オロチは上述のように「ファッションスーパーカー」というコンセプトで生まれた車であり、他のスーパーカーとはそもそも目指すべき場所が全く異なっていると言える。つまり、あくまでファッション。走りよりもかっこよさがメインなのである。そこ、別にかっこよくないとか言うな。
故にパワーよりも静粛性や操作性、居住性を考慮し、日本でも日常的に使いやすいように作られている。トランスミッションもATのみ（これには価格を抑えるという狙いも含まれている）。
ただ、その特性のためオロチがスーパーカーにカテゴライズされるかどうかは微妙な線であるという意見もあるらしい。

また、自動車人気復興のための車ということもあってかこういったクラスの車としてはかなり手頃な価格で、値段は1000万円前後であった。比べるのもどうかとは思うが参考までにランボルギーニ・アヴェンタドールが約4000万円、フェラーリ・458スパイダーが約3000万円、レクサス・LFAが約3500万円と出ている。

スペック

上述したようにスポーツ走行はあまり考慮されていないため、スペックは他のスポーツカーと比較してかなり控えめである。あくまでファッション性を重視した車であることが窺える。

ボディタイプ	2ドアクーペ
トランスミッション	電子制御5速AT
全長	4560mm
全幅	2035mm
全高	1180mm
重量	1690kg
ホイールベース	2600mm
エンジン	トヨタ・3MZ-FE　水冷V型6気筒DOHC 3310cc
最大出力	233馬力
最大トルク	33.4kg･m
駆動方式	MR