児灌頂 単語

チゴカンジョウ

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児灌頂(ちごかんじょう)とは、日本仏教の一天台宗」にて中世に行われていた宗教儀式である。

ぶっちゃけた言い方をすると、「によって女とのセックスを禁じられていた生臭坊主が、女の代わりに男児を性欲のはけ口にするホモセックスを行い、その言い訳として使っていた教義」と表現できる。

「児」の一文字で「ちご」と読むのが分かりにくいからか、「稚児灌頂」と表記されることもある。だが、古文書などでは「児灌頂」と表記されているらしく学術的にも「児灌頂」の表記で扱われることが多い。

概要

中世の寺には、僧に仕えて身の回りの世話をしたりする剃髪しない男性修行僧である少年たち、すなわち児(ちご)が登場するようになった。

そして、当時の僧はで女犯(にょぼん)、すなわち女性とのセックスを禁じられていた。

女とセックスしたいがでダメって言われてるし……という煩悩を溜めすぎたせいで頭が沸いたクソボーズたち。彼らは次のような滅な理屈を考え出したらしい。

児に頂の秘儀を行って児を観世音菩薩(観音菩薩)となすのじゃ。観音様は慈悲をもって一切衆生を救う存在なのじゃ。そんな観音様になった児は犯してもいいだろ、これでワシも観音様に救済されるのじゃぐへへ」……といったかんじ

ダークファンタジーに出てくる邪教祭とかが使ってそうな理屈。ほんとファンタジーならよかったのだが古い仏教文書にマジでこういう文章が出てくるらしいので、嫌なことに現実だったらしい。

原文だと「今授時○[1]字出シテ観世音菩薩也 観音以慈悲為観音也 有慈悲一切衆生 」 とか「煩悩炎起可犯 縦若犯トモ加様頂シタラム児ヲハ可犯 若頂セサラム児犯サハ可成三悪種因」とか書いてあるらしいっすよ。

一人の児を複数の僧が犯すこともあったと解釈できる文章もあるらしい。「児」に頂前の準備方法をレクチャーする箇所に「人多クニントハン」と言う部分があるとか。

御大層な別名を付けたりもしていたらしい。く「若気」(きのごとし)・「」(あたふる)・「法性」など。よくを「菊」に喩えたりするが、最後の「法性」はそれに似たようなものかもしれない。

ちなみにそこに挿入される僧の陰茎についても「明火」という別名を用いたりしていたようだ。

幸い、このクソみたいな秘儀はそのうちれ、長く世に知られることはかった。

そこに転機を与えたのは、大正末期昭和に活動した小説家であり、出した後には天台宗の大僧正にまでなった人物「今東」。この人物が、この儀式「児灌頂」をベースとした小説『稚児』を雑誌『日本評論』の昭和11年西暦1936年3月号に掲載したのである。この小説は僧と稚児らの三角関係などを描いたフィクション作品だが、「児灌頂」について記された古文書『教秘伝私』の書き下し文などが差し挟められたものだった。

これによって「児灌頂」について世に広まる……かと思いきや、この雑誌掲載版では『教秘伝私』の具体的に性的な部分になると「(約四千字を削除す)」と、いきなり文章が削除されていたという。作者が後にく「美俗のために削除しなければならなかった」とのこと。この号の発行直前には二・二六事件が勃発しているなど、社会が緊している時期であったことも関係していたかもしれない。

これに憤慨していた今東は、それから11年経過した昭和22年西暦1947年)に削除されていた部分も復活させた単行本として『稚児』を発行。序文は谷崎潤一郎が記している。三島由紀夫稲垣足穂もこの『稚児』から自作引用しているなど、アレ文学者らから大いに注を集めた。

「そんな儀式マジで行われていたなんて信じたくないなあ。その今東って小説家自作に使うために創作した内容なんじゃないの?」と思いたい人も居るかもしれない。しかし、1980年代民俗学宗教学者の阿部泰郎氏がこの「児灌頂」の縁起として記される慈童説話が天皇の即位頂においても説かれていることを摘するなどの論考を発表、以後は複数の研究者らが「児灌頂」に関する研究・論考を発表しており、中には「児灌頂」に関連する古文書を複数紹介しているものもあるため、「今東創作したもの」とは考えがたいのだった。

関連動画


この動画解説されている『稚児之子』は寺院の稚児の性を扱ったものであるが、天台宗寺院のものではないようでもあり「児灌頂」自体とは関連していない。だが当時稚児が性的な対と見なされていたことを示す参考として挙げる。

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関連項目

脚注

  1. *字のため記載困難
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